終了条件1 「塁」からの逃走
終了条件2 「磯崎蘭」との合流
終了条件2 「磯崎蘭」との合流
強い吐き気がする。
苦しい、辛い、頭の中に、蛇が入ってくるような……
目が開けられない。開けても黒一色しかない。閉じて擦っても、なんの光もまたたかない。
ダメだ――意識が――のたうつ――
「ここは……」
殴られたように割れる頭を振りかぶりながら、制服姿の少女が立ち上がる。
磯崎蘭は、気がつけば何処とも知れぬ林道の、傍らに生えた一本の木にもたれかかっていた。
ふらつきながらもなんとか二本の足で立ち、辺りを見渡す。
誰もいない。
「おーい!」と叫ぼうと口を開き、張りついたような喉の痛みに遮られ、しかしそれにより声を出すのをやめることが間に合う。
まだ意識は混濁しているが、「殺し合い」という言葉は、蘭の記憶にこびりついていた。
磯崎蘭は、気がつけば何処とも知れぬ林道の、傍らに生えた一本の木にもたれかかっていた。
ふらつきながらもなんとか二本の足で立ち、辺りを見渡す。
誰もいない。
「おーい!」と叫ぼうと口を開き、張りついたような喉の痛みに遮られ、しかしそれにより声を出すのをやめることが間に合う。
まだ意識は混濁しているが、「殺し合い」という言葉は、蘭の記憶にこびりついていた。
(大きな声を出すのはダメだよね。)
はっ、はっ、と荒れていた息を深呼吸でなだめながら、自分の置かれた状況を考える。まだよく回らない頭で行うそれは痺れるような頭痛を起こしたけれど、蘭は一つずつ落ち着いて考えようと努めた。
(さっきの感じは、タイムスリップとかの感じとはちょっと違う。どっちかっていうと瞬間移動の方が近かったかな。)
(こういう時は何かカギになるようなものがあるかも……あ、あった! メモ? えーっと、『装備:商品NO.0 "大砲" 場所:作業小屋 説明:全長5.34メートル。重量18トン。口径890ミリメートル。速度約500メートル毎秒。砲弾装填済み。後部の導火線に着火するとこで発射可能。』……たぶん重要なものなのかな。)
(このメモからなにか読み取れないかな……うわっ! なに、これ、強い、嫌な感情が……)
(こういう時は何かカギになるようなものがあるかも……あ、あった! メモ? えーっと、『装備:商品NO.0 "大砲" 場所:作業小屋 説明:全長5.34メートル。重量18トン。口径890ミリメートル。速度約500メートル毎秒。砲弾装填済み。後部の導火線に着火するとこで発射可能。』……たぶん重要なものなのかな。)
(このメモからなにか読み取れないかな……うわっ! なに、これ、強い、嫌な感情が……)
服のポケットにいつの間にか入っていたメモを手のひらに包み込み意識を集中させる蘭の額に、汗が浮く。少しして彼女は林道を歩き始めた。
さて――実のところ、彼女は普通の人間ではない。
生物学的には人類であることには間違いないが、彼女には、彼女たちにはホモ・サピエンスとは一線を画する力がある。
それは、端的に言って『超能力』。
いわゆる、エスパーと呼ばれる人種が彼女だ。そういう意味では、オープニングでツノウサギに反抗したジョースターの一族に近いものがある。事実、彼女にはクレイジー・ダイヤモンドやスタープラチナといったスタンドが見えていた。もっともそれは『感覚の目』を意識したことでのものであったが、しかしそれでも止まった時の世界への違和感に気づき、ツノウサギが叩きつぶされる瞬間を遠くからでも目撃したことは間違いない。彼らほどの戦闘に長けヴィジョンを生じさせるような超能力ではないものの、ことテレパシー能力に関しては彼女は非凡なものを持っていた――そのせいで会場にも広がる赤い霧から主催者側の悪意を無意識に読み取ってしまいストレスを受けてもいるのだが。
そしてそんな彼女だからこそ、歩き始めて少しして作業小屋らしきものを見つけたところで、足を止めた。
生物学的には人類であることには間違いないが、彼女には、彼女たちにはホモ・サピエンスとは一線を画する力がある。
それは、端的に言って『超能力』。
いわゆる、エスパーと呼ばれる人種が彼女だ。そういう意味では、オープニングでツノウサギに反抗したジョースターの一族に近いものがある。事実、彼女にはクレイジー・ダイヤモンドやスタープラチナといったスタンドが見えていた。もっともそれは『感覚の目』を意識したことでのものであったが、しかしそれでも止まった時の世界への違和感に気づき、ツノウサギが叩きつぶされる瞬間を遠くからでも目撃したことは間違いない。彼らほどの戦闘に長けヴィジョンを生じさせるような超能力ではないものの、ことテレパシー能力に関しては彼女は非凡なものを持っていた――そのせいで会場にも広がる赤い霧から主催者側の悪意を無意識に読み取ってしまいストレスを受けてもいるのだが。
そしてそんな彼女だからこそ、歩き始めて少しして作業小屋らしきものを見つけたところで、足を止めた。
「な、なに、何が居るの……」
声を出さないようにしていたことも忘れて、思わず呟く。そして踏み出しかけたまま空中にあった足は、90度向きを変えて林の中の道なき道を歩き始めた。
蘭は察したのだ。この先に、『死』が待っていると。
今まで出会った能力者や超常的な存在とは違う、現実的な、日常から地続きの『死』の気配を。
再び呼吸が荒くなる。メモにある大砲のことも気になる。だが蘭は、絶対に近づいては行けないという己の感覚に従い林の中へと駆け出した。
蘭は察したのだ。この先に、『死』が待っていると。
今まで出会った能力者や超常的な存在とは違う、現実的な、日常から地続きの『死』の気配を。
再び呼吸が荒くなる。メモにある大砲のことも気になる。だが蘭は、絶対に近づいては行けないという己の感覚に従い林の中へと駆け出した。
(おっかしいな~、一本道なんだけどな~。)
林の中へと蘭が姿を消して数分後、同じ位置で富竹ジロウは、周囲を趣味の悪い黄色のカメラで見渡していた。
望遠を効かせて視界は距離にして何百メートルかはあるが、邪魔な木々により死角が大きすぎる。
結局富竹は諦めると、辺りの地面を調べ始めた。
望遠を効かせて視界は距離にして何百メートルかはあるが、邪魔な木々により死角が大きすぎる。
結局富竹は諦めると、辺りの地面を調べ始めた。
蘭と同じように意識を取り戻した富竹は、蘭と同じ内容のメモを頼りに道を歩き、カメラを望遠鏡代わりにすることで彼女を見つけて追いかけてきたのだが、目的地と思わしきところまであと少しと行ったところで見失ってしまっていた。
実はこのメモ、参加者の初期位置の一番近くにある特殊な装備を記したものなのだが、その目的は強力な装備を渡して殺し合いを激化させるというよりも、このように参加者同士を同じ場所に集めるために配られている。たとえ参加者が300人いようとも、島一つが会場ではそうそう出会うものでもない。そのことはもしディズニーランドに300人の人間がバラバラに配置されたらどうなるかを考えればわかりやすいだろう。目立ったランドマークでもなければ下手をすれば一日あっても全員が一所に集まることはできない。もちろん富竹も主催側のそういう魂胆を理解してはいたが、だからこそ余計にこのメモの場所へと行こうとしていた。
「もし梨花ちゃんたちが巻き込まれていたら保護しなければ」、そういう『大人』の使命が、見え透いた罠を承知で足を前にすすめる。それになりより、目の前で彼の知己である若者たちと同じぐらいの子供が一人でふらついているのだ。接触しないわけにはいかない。いかないのだが……
実はこのメモ、参加者の初期位置の一番近くにある特殊な装備を記したものなのだが、その目的は強力な装備を渡して殺し合いを激化させるというよりも、このように参加者同士を同じ場所に集めるために配られている。たとえ参加者が300人いようとも、島一つが会場ではそうそう出会うものでもない。そのことはもしディズニーランドに300人の人間がバラバラに配置されたらどうなるかを考えればわかりやすいだろう。目立ったランドマークでもなければ下手をすれば一日あっても全員が一所に集まることはできない。もちろん富竹も主催側のそういう魂胆を理解してはいたが、だからこそ余計にこのメモの場所へと行こうとしていた。
「もし梨花ちゃんたちが巻き込まれていたら保護しなければ」、そういう『大人』の使命が、見え透いた罠を承知で足を前にすすめる。それになりより、目の前で彼の知己である若者たちと同じぐらいの子供が一人でふらついているのだ。接触しないわけにはいかない。いかないのだが……
(見落としたか? 確かに霧が、それも赤い霧が出ているけれど、決してそこまで濃くはない。ライフルで狙撃するのは難しくても、人影だけなら見落としようなんてないはずだ。)
だが現実に富竹は蘭を見失っている。撮影が下手とはいえ野鳥の撮影をメインとしたフリーのカメラマンをやっている富竹からすれば、鳥より遥かに大きく空も飛ばない子供一人、見失うことなど万に一つもなにのに、だ。まさか唐突に林の中を進んだ、というのも考えたが直ぐにその考えを打ち消す。そんなことをする動機がまるで見当たらない。もちろん誰かに襲撃されたような痕跡もないし、そのような気配も感じていない。
まさか超能力で危機を察知したから方向転換した、などとは思いもよらず、それでも注意深く辺りを見渡す。
まさか超能力で危機を察知したから方向転換した、などとは思いもよらず、それでも注意深く辺りを見渡す。
もし、この時、あと一分でも、いや三十秒でも時間があれば、富竹は蘭の足跡を見つけただろう。
(金属音? 小屋の方からか?)
だが、そうはならなかった。
富竹の研ぎ澄ませた感覚が捉えたのは、前方からの異音。
その音に顔つきを変えると、前よりも更に足音と気配を消して、しかしスピードは倍以上で前進する。それは奇襲を警戒してのそれまでの歩行から、自分が奇襲する側に立っての走行だ。
富竹の研ぎ澄ませた感覚が捉えたのは、前方からの異音。
その音に顔つきを変えると、前よりも更に足音と気配を消して、しかしスピードは倍以上で前進する。それは奇襲を警戒してのそれまでの歩行から、自分が奇襲する側に立っての走行だ。
(何らかの事情であの小屋にいる。その可能性もある。間に合えよ――)
筋肉質な身体はタフに前へ。滑るように小屋に近づくと、中を伺う。
(違う、音は中からじゃない。)
どこだ? 外か、反対側か。
(見つけた。え?)
そして目撃した。富竹は確かに目撃した。
和服の少年が馬鹿でかい刀を持った男に首を跳ね飛ばされる姿を。
和服の少年が馬鹿でかい刀を持った男に首を跳ね飛ばされる姿を。
(もう一人来たか。この殺し合い、何人殺りゃ終わるんだ。)
異様な姿の和服を着た少年の首を軽々と跳ねた男、桃地再不斬は、愛刀の首斬り包丁を肩に担ぐと包帯の下の口を歪めた。
彼、再不斬は忍者だ。そして死んだ身だ。
ある国で用心棒として雇われ、大国の忍びと戦い、最後には雇い主に裏切られ、その裏切りの代償を道連れという形で払わせてこの世を去った。
が、どういうわけか生きている。
これは一体どういうことか。
普通なら大いに悩む問題も、彼は僅かに困惑するだけであっさりと受け入れた。
彼の世界には、生きた人間を生け贄に死んだ人間を不死身のゾンビとして生き返らせ、洗脳して故郷に返し自爆させるという、卑劣極まりない忍術がある。
実際に目にしたことはないが大方自分もそれをやられたのだろうと納得した。
本来ならそういうことが無いように忍の死体は痕跡一つ残さぬよう処理されるが、抜け忍である自分にそれは当てはまらない。何より、彼が戦っていたのはその忍術を開発した者がかつて長を務めていた隠れ里である。
おおかた自分の死体を回収して悪用した――つまりこの殺し合いも木の葉が主催するものだと彼は考えていた。
殺した少年の血を吸う愛刀の感覚を感じながら、再不斬は久々に感じる高揚を味わう。
彼が忍になった里では、忍者の学校を卒業するにあたり同級生と殺し合うという因習があったが、これはそれを思わせるものだ。自分が生徒を皆殺しにしたことでなくなってしまったそれを、自分を負かした連中の犬としてやるハメになったのは思うところがあるが、殺し自体に喜びはあっても抵抗は無い。これが身体の自由を奪われてのものであったらもちろん反抗しただろうが、自分の殺意で殺人をするというのならやぶさかではなかった。
そして彼は、建物の陰で息を潜めている人間へと向かおうとして、ふと、自分の刀の感覚に足を止めた。
ある国で用心棒として雇われ、大国の忍びと戦い、最後には雇い主に裏切られ、その裏切りの代償を道連れという形で払わせてこの世を去った。
が、どういうわけか生きている。
これは一体どういうことか。
普通なら大いに悩む問題も、彼は僅かに困惑するだけであっさりと受け入れた。
彼の世界には、生きた人間を生け贄に死んだ人間を不死身のゾンビとして生き返らせ、洗脳して故郷に返し自爆させるという、卑劣極まりない忍術がある。
実際に目にしたことはないが大方自分もそれをやられたのだろうと納得した。
本来ならそういうことが無いように忍の死体は痕跡一つ残さぬよう処理されるが、抜け忍である自分にそれは当てはまらない。何より、彼が戦っていたのはその忍術を開発した者がかつて長を務めていた隠れ里である。
おおかた自分の死体を回収して悪用した――つまりこの殺し合いも木の葉が主催するものだと彼は考えていた。
殺した少年の血を吸う愛刀の感覚を感じながら、再不斬は久々に感じる高揚を味わう。
彼が忍になった里では、忍者の学校を卒業するにあたり同級生と殺し合うという因習があったが、これはそれを思わせるものだ。自分が生徒を皆殺しにしたことでなくなってしまったそれを、自分を負かした連中の犬としてやるハメになったのは思うところがあるが、殺し自体に喜びはあっても抵抗は無い。これが身体の自由を奪われてのものであったらもちろん反抗しただろうが、自分の殺意で殺人をするというのならやぶさかではなかった。
そして彼は、建物の陰で息を潜めている人間へと向かおうとして、ふと、自分の刀の感覚に足を止めた。
「首斬り包丁が刃こぼれしている?」
再不斬の持つ極めて大きな刀、首斬り包丁は、刃こぼれを付着した血で直すという性質がある。どれだけ殺そうとも手入れいらずで殺し続けられるというまさに名刀であるが、その名刀たる所以の自動修復が発動していない。
刀に目を凝らす。血はしっかりとついている。あとは鉄板の上に置いた氷の如く消えていくはずが、いつまで経ってもも消えない。
幻術か?と目の前の光景を己が幻を見せられている可能性を考え解除にかかるが、一向に消えない。そもそもこんなけちな幻を見せる意味もわからない。第一、既にこの辺りには自分と建物の陰の人間とさっき殺したガキの忍意外にいないはず――
刀に目を凝らす。血はしっかりとついている。あとは鉄板の上に置いた氷の如く消えていくはずが、いつまで経ってもも消えない。
幻術か?と目の前の光景を己が幻を見せられている可能性を考え解除にかかるが、一向に消えない。そもそもこんなけちな幻を見せる意味もわからない。第一、既にこの辺りには自分と建物の陰の人間とさっき殺したガキの忍意外にいないはず――
(『殺した』方が幻術かっ!?)
「水遁・水――」「血鬼術・刻糸牢」
「水遁・水――」「血鬼術・刻糸牢」
手に刀を持っていた分の僅かな遅れ、その代償が刀越しに与えられた衝撃として再不斬を吹き飛ばす。
「――水龍弾」
飛ばされながら発動させた術がいつの間にか立ち上がっていた少年へと向かい、追撃を回避へと変更させる。
水の無いところではこのレベルの水遁しか使えないが、それでもガキ一人殺すには十分な速度と威力のそれを難なく躱したのを見て、再不斬は首斬り包丁を担ぎ直した。
ほんの少し前、確かに跳ねたはずの首を、首のない少年の身体が手に持ち、首の上へと置く。
さも当然であるかのように断面はぴたりとくっつき、一度瞬き、その下弦と書かれた瞳が再不斬へと向けられる。
水の無いところではこのレベルの水遁しか使えないが、それでもガキ一人殺すには十分な速度と威力のそれを難なく躱したのを見て、再不斬は首斬り包丁を担ぎ直した。
ほんの少し前、確かに跳ねたはずの首を、首のない少年の身体が手に持ち、首の上へと置く。
さも当然であるかのように断面はぴたりとくっつき、一度瞬き、その下弦と書かれた瞳が再不斬へと向けられる。
「勘が戻ってねぇなぁ……首を落とした手応えを間違えるなんてよぉ。」
そう口ではうんざりとした声色で言いながらも、再不斬の表情は満面の笑みだった。
面倒だな、というのが再不斬と相対する少年こと十二鬼月下弦の伍・累の感想であった。
累も再不斬と同じく死んだ身。なぜ自分が生きているのか、と僅かに困惑し、しかしすぐに事態を受け入れる。
彼の主である鬼舞辻無惨は人間を超越した鬼の中でも、その全てを支配する者だ。何らかの方法で死んだ鬼を生き返らせても全く不思議では無い。だからこそ累はこの会場で意識を取り戻して一分と経たぬうちに、自分の行動方針を決めた。
つまり、兎にも角にも無惨との合流、これに尽きる。
彼は少なくとも他の一般的な鬼よりは無惨の性格を知っている。十二鬼月という選ばれた立場であるにしても、鬼殺隊という鬼の敵に殺された自分を生き返らせたりはしないだろう。であればこれは、主より課せられた何らかの試練、あるいは罰と考えられる。
そうであるならば、事態はとても複雑だ。あのツノウサギなる鬼もどき言われたとおり殺し合うことが正解か。それとも無惨以外の何かの命令など跳ね除け主催者達を殺すことが正解か。なにが正解かを見極めなければ、自分の二度目の生は無いだろう。
ならば正しい答えは無惨に近づき、その言動を見て推し量るしかない。それが無理なら会場内をひたすらしらみつぶしに手がかりを探さざるをえず、そんなことをすること自体が確実に無惨の機嫌を損ねる。それなのに……
累も再不斬と同じく死んだ身。なぜ自分が生きているのか、と僅かに困惑し、しかしすぐに事態を受け入れる。
彼の主である鬼舞辻無惨は人間を超越した鬼の中でも、その全てを支配する者だ。何らかの方法で死んだ鬼を生き返らせても全く不思議では無い。だからこそ累はこの会場で意識を取り戻して一分と経たぬうちに、自分の行動方針を決めた。
つまり、兎にも角にも無惨との合流、これに尽きる。
彼は少なくとも他の一般的な鬼よりは無惨の性格を知っている。十二鬼月という選ばれた立場であるにしても、鬼殺隊という鬼の敵に殺された自分を生き返らせたりはしないだろう。であればこれは、主より課せられた何らかの試練、あるいは罰と考えられる。
そうであるならば、事態はとても複雑だ。あのツノウサギなる鬼もどき言われたとおり殺し合うことが正解か。それとも無惨以外の何かの命令など跳ね除け主催者達を殺すことが正解か。なにが正解かを見極めなければ、自分の二度目の生は無いだろう。
ならば正しい答えは無惨に近づき、その言動を見て推し量るしかない。それが無理なら会場内をひたすらしらみつぶしに手がかりを探さざるをえず、そんなことをすること自体が確実に無惨の機嫌を損ねる。それなのに……
「邪魔だ……!」
「連れねぇなぁ……もっと楽しめよ……!」
「連れねぇなぁ……もっと楽しめよ……!」
自らの身体が切り刻まれるのも無視して肉薄し、殴打を仕掛け、血鬼術を放つ。だがそのどれも再不斬にかすりもしない。
累が戦う再不斬は、鬼殺隊のように体力のあり、筋力や反応は彼ら以上、おまけに鬼のように術まで使う。こうとなってはそうやすやすと仕留められる相手ではない。これならば奇襲に失敗して返す刀で頸を撥ねられた時点のまま死んだふりを続けていればよかったか。
加えて、累は相手の刀の性質に舌打ちした。
再不斬の持つ首斬り包丁は血を吸う性質があるが、これが先程効かなかったのは累が刀に付いた血で血鬼術を仕掛けようとしたからだ。結局それはできなかったのだが、彼の力と刀の作用が釣り合ったために、血は吸われることもなかった。そしてこの拮抗状態、累は血に意識を向けていたのに対して、刀の方は当然オート。そしてそちらに意識を向けた状態で身体を斬られると。
累が戦う再不斬は、鬼殺隊のように体力のあり、筋力や反応は彼ら以上、おまけに鬼のように術まで使う。こうとなってはそうやすやすと仕留められる相手ではない。これならば奇襲に失敗して返す刀で頸を撥ねられた時点のまま死んだふりを続けていればよかったか。
加えて、累は相手の刀の性質に舌打ちした。
再不斬の持つ首斬り包丁は血を吸う性質があるが、これが先程効かなかったのは累が刀に付いた血で血鬼術を仕掛けようとしたからだ。結局それはできなかったのだが、彼の力と刀の作用が釣り合ったために、血は吸われることもなかった。そしてこの拮抗状態、累は血に意識を向けていたのに対して、刀の方は当然オート。そしてそちらに意識を向けた状態で身体を斬られると。
(やっぱり再生が遅くなっている。傷口から流れる血が、いつもより意識しないと動きが鈍る。)
つくづく面倒だと思う。最初に会ったのがこんな相手とは、これも無惨様の言外の怒りか。
累は再不斬を殺す算段を練る。逃走はありえない。これ以上醜態は晒せない。
再不斬は撤退を視野に入れ始める。負ける気はないが、長丁場になり得る戦場でいきなりチャクラを浪費したくはない。今なら一汗かいた程度で少し休めば消耗は無いに等しい。
富竹はその光景をただただ見ている。首を切られても生きてる子供に水を操る剣士、どちらも尋常でない。なんとなく自分の存在は察知されているという感じはするのでここから逃げ出すべきだと思うのだが、二人のどちらか、あるいは両方に襲われるという展開が予想できてしまう。
そして蘭は、自分の後方から来る不吉なプレッシャーを感じて足を早める。間違いなくあのまま進んでいればとても危ないことになっていたという確信がある。今はとにかく距離を取らなくては。
再不斬は撤退を視野に入れ始める。負ける気はないが、長丁場になり得る戦場でいきなりチャクラを浪費したくはない。今なら一汗かいた程度で少し休めば消耗は無いに等しい。
富竹はその光景をただただ見ている。首を切られても生きてる子供に水を操る剣士、どちらも尋常でない。なんとなく自分の存在は察知されているという感じはするのでここから逃げ出すべきだと思うのだが、二人のどちらか、あるいは両方に襲われるという展開が予想できてしまう。
そして蘭は、自分の後方から来る不吉なプレッシャーを感じて足を早める。間違いなくあのまま進んでいればとても危ないことになっていたという確信がある。今はとにかく距離を取らなくては。
バトルロワイヤル開始から十分。会場の一角では既に血風が吹き荒れていた。
【0000過ぎちょい 森林地帯にある作業小屋近く】
【磯崎蘭@宇宙からの訪問者 テレパシー少女「蘭」事件ノート9(テレパシー少女「蘭」事件ノートシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、解決して家に帰る
●小目標
森林地帯から脱出する
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、解決して家に帰る
●小目標
森林地帯から脱出する
【富竹ジロウ@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
民間人を保護し、事態を把握する
●中目標
知り合いが巻き込まれていないか捜索する
●小目標
目の前の危険な二人(再不斬と累)に襲われないように立ち回る
【目標】
●大目標
民間人を保護し、事態を把握する
●中目標
知り合いが巻き込まれていないか捜索する
●小目標
目の前の危険な二人(再不斬と累)に襲われないように立ち回る
【桃地再不斬@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
生き残る
●小目標
1.ガキ(累)を消耗せずに殺す
2.もしくは適当にあしらって仕切り直す
【目標】
●大目標
生き残る
●小目標
1.ガキ(累)を消耗せずに殺す
2.もしくは適当にあしらって仕切り直す
【累@鬼滅の刃 ノベライズ~きょうだいの絆と鬼殺隊編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
自分を生き返らせた鬼舞辻無惨の思惑を把握し適切な行動をする
●小目標
男(再不斬)を殺す
【目標】
●大目標
自分を生き返らせた鬼舞辻無惨の思惑を把握し適切な行動をする
●小目標
男(再不斬)を殺す