「動かないで。」
朱堂ジュンは出会い頭に刀を持った少年へと拳銃を突きつけた。
一時間以上は歩いていて油断していたために間近になるまで気づかなかったのを考えると、先手を取れたのは僥倖だ。
もしかしたら相手も、同じように油断していたのかもしれない。
とっさに抜刀はしたもののそこで動きが止まり、だから額へと銃口の狙いをつけられた。
一時間以上は歩いていて油断していたために間近になるまで気づかなかったのを考えると、先手を取れたのは僥倖だ。
もしかしたら相手も、同じように油断していたのかもしれない。
とっさに抜刀はしたもののそこで動きが止まり、だから額へと銃口の狙いをつけられた。
「片手を頭の上に置いて、もう片方の手で刀を地面に突き刺して。」
「くっ……! 乗っているのか?」
「早く! 刺したら下がって、うつ伏せに寝転がって。」
「くっ……! 乗っているのか?」
「早く! 刺したら下がって、うつ伏せに寝転がって。」
有無を言わせずに武器を置かせる。勝負では主導権を握った方が勝つ。
悔しそうな顔で言うとおりにする少年に内心でわずかにほっとしながら、それでも油断無く少年の背中に膝立ちになり、今一度頭に銃を突きつけた。
そこで、頭の後ろで組まれた手から紙片が覗いていることに気づく。
「もらうよ」と言って奪い取ると――
悔しそうな顔で言うとおりにする少年に内心でわずかにほっとしながら、それでも油断無く少年の背中に膝立ちになり、今一度頭に銃を突きつけた。
そこで、頭の後ろで組まれた手から紙片が覗いていることに気づく。
「もらうよ」と言って奪い取ると――
『装備:命の百合 場所:一本杉の根本 説明:どんな傷も癒やす蜜を出す百合。器一杯飲めば永遠の命が得られる。』
「わたしだけじゃなかったんだ」自然と言葉が漏れる。
それを聞いてか、少年は伏せていた目を上げる。
ジュンと目が合う。
その目は、彼女を負かした少年の目にそっくりだった。
それを聞いてか、少年は伏せていた目を上げる。
ジュンと目が合う。
その目は、彼女を負かした少年の目にそっくりだった。
朱堂ジュンは小さい頃から足が速かった。
走るのが好きだから速くなったのか、走かったから走るのが好きになったのかは覚えていないが、ジュンの好きという気持ちと走る速さは比例して増していった。
親はそんなジュンを応援した。
その甲斐もあって彼女の努力は実り、いまやジュンは将来を有望視されるアスリートにまでなった。あと数年もすればオリンピックの育成選手にもなり得るだろう。そんな時だ。
ジュンの母親は病に倒れた。
治る見込みは無かった。
彼女を今まで支えてきた存在は、近い将来、彼女がアスリートとして大成するよりも確実に早く死ぬことになった。
だが、そんな時だ。
ラストサバイバル、人生逆転のゲームに参加するチャンスが巡ってきたのは。
毎年小学6年生が、優勝者にはなんでも願いが叶うという景品のために、命がけで戦うゲーム。
それがラストサバイバル。
ジュンはそれに参加した。
種目はひたすら休みなく歩き続けるサバイバルウォーク。長距離をメインとする彼女が勝つためにあるような競技だった。
そして彼女は敗北した。
最終盤までトップにいながら、ノーマークだった少年に最後の最後に負け、願いを逃した。
母親を助ける手段を失った。
彼女は泣いた。
叫んだ。
そして後悔した。
何が足りなかった? 覚悟が足りなかった。
何が足りなかった? 決意が足りなかった。
決死さが足りなかった。必死さが足りなかった。死ぬと決めたと書くから決死なのだ。必ず死ぬと書くから必死なのだ。彼はそれを持っていた。自分が死ぬことを覚悟していた。その意気を感じた。
そしてその上で、楽しんでいた。
彼は、自分の命を捨てることすらも楽しんでいたと、彼女はあれを振り返って感じた。
だから、彼女は決めた。
たとえ命を失ってもではなく、必ず命を失うと決めて戦うと。
走るのが好きだから速くなったのか、走かったから走るのが好きになったのかは覚えていないが、ジュンの好きという気持ちと走る速さは比例して増していった。
親はそんなジュンを応援した。
その甲斐もあって彼女の努力は実り、いまやジュンは将来を有望視されるアスリートにまでなった。あと数年もすればオリンピックの育成選手にもなり得るだろう。そんな時だ。
ジュンの母親は病に倒れた。
治る見込みは無かった。
彼女を今まで支えてきた存在は、近い将来、彼女がアスリートとして大成するよりも確実に早く死ぬことになった。
だが、そんな時だ。
ラストサバイバル、人生逆転のゲームに参加するチャンスが巡ってきたのは。
毎年小学6年生が、優勝者にはなんでも願いが叶うという景品のために、命がけで戦うゲーム。
それがラストサバイバル。
ジュンはそれに参加した。
種目はひたすら休みなく歩き続けるサバイバルウォーク。長距離をメインとする彼女が勝つためにあるような競技だった。
そして彼女は敗北した。
最終盤までトップにいながら、ノーマークだった少年に最後の最後に負け、願いを逃した。
母親を助ける手段を失った。
彼女は泣いた。
叫んだ。
そして後悔した。
何が足りなかった? 覚悟が足りなかった。
何が足りなかった? 決意が足りなかった。
決死さが足りなかった。必死さが足りなかった。死ぬと決めたと書くから決死なのだ。必ず死ぬと書くから必死なのだ。彼はそれを持っていた。自分が死ぬことを覚悟していた。その意気を感じた。
そしてその上で、楽しんでいた。
彼は、自分の命を捨てることすらも楽しんでいたと、彼女はあれを振り返って感じた。
だから、彼女は決めた。
たとえ命を失ってもではなく、必ず命を失うと決めて戦うと。
「オレは藤山タイガ。EDF第3師団K部隊だ。」
突然の言葉でジュンは我に帰る。
ほんの僅かな間だろうが、自分の内面に沈みこんでいた。
それに気づくと同時に、なぜ?と思う。なんで少年は名乗ったのか。
ほんの僅かな間だろうが、自分の内面に沈みこんでいた。
それに気づくと同時に、なぜ?と思う。なんで少年は名乗ったのか。
「名前あるんだろ、名乗れよ。」
「なんで。」
「なんでって、じゃあなんて呼べばいいんだよ。」
「そうじゃなくて、わたし、君を殺す気なんだけど。」
「本当に殺す気あるなら話しかけないで撃つだろ。」
「なんで。」
「なんでって、じゃあなんて呼べばいいんだよ。」
「そうじゃなくて、わたし、君を殺す気なんだけど。」
「本当に殺す気あるなら話しかけないで撃つだろ。」
ギリ、と頭に銃口を押しつける。
ますます、少年があの子に重なって見えた。
ますます、少年があの子に重なって見えた。
「違うって言ったらどうする。」
「妹がいる。」
「は?」
「もしかしたら、妹もここにいるかもしれない。できればでいい。殺すのは後回しにしてくれないか。間違っても殺し合いに乗るようなヤツじゃないんだ。」
「ちょっと待って、君言ってることわかってる?」
「ムチャクチャだよな。でも、こうして話してるってことは、ちょっとは頼めるんじゃないかって思って。」
「……」
「頼む。オレを殺すのは、まあ、ホントはすごい嫌だし、助けてほしいけど、でも殺るんなら、妹だけは殺さないでほしい。」
「妹がいる。」
「は?」
「もしかしたら、妹もここにいるかもしれない。できればでいい。殺すのは後回しにしてくれないか。間違っても殺し合いに乗るようなヤツじゃないんだ。」
「ちょっと待って、君言ってることわかってる?」
「ムチャクチャだよな。でも、こうして話してるってことは、ちょっとは頼めるんじゃないかって思って。」
「……」
「頼む。オレを殺すのは、まあ、ホントはすごい嫌だし、助けてほしいけど、でも殺るんなら、妹だけは殺さないでほしい。」
「タイガくん、もし君が優勝したら、妹さんの次でいいから、わたしの、母親を助けてくれない?」
「……は?」
「前さ、これと似たようなゲームに参加したことがあるんだ。それは本当に死ぬようなことはなかったんだけれど、首輪じゃなくて腕輪みたいなのつけてさ。優勝したらなんでも願いが叶うっていうの。」
「……ギャンブルの話か?」
「そんな感じ。鞘をこっちに投げて。」
「……は?」
「前さ、これと似たようなゲームに参加したことがあるんだ。それは本当に死ぬようなことはなかったんだけれど、首輪じゃなくて腕輪みたいなのつけてさ。優勝したらなんでも願いが叶うっていうの。」
「……ギャンブルの話か?」
「そんな感じ。鞘をこっちに投げて。」
そのまま回り込むと、突き刺さっていた刀の下へと行く。銃で腰の鞘を抜くように示すと、飛んできた鞘を片手で掴み、銃をポケットへと押し込んだ。
タイガは動かなかった。
刀を地面から抜き、鞘へとしまう。今度は納刀したそれで立ち上がるように指示した。
タイガは動かなかった。
刀を地面から抜き、鞘へとしまう。今度は納刀したそれで立ち上がるように指示した。
「今度のこれも、似たようなものなんじゃないかな。優勝したら願いが叶うとか、そんなふうな。少なくとも優勝できなかった子よりは生きてる可能性が高いでしょ。だから、もし君が優勝したら、わたしの家族に会いに行ってほしい。それで、できる限りでいいから助けてほしい。わたしが優勝してもそうするから。」
「無理だな。」
「無理だな。」
拳銃を抜く。
「オレの親は行方不明だ。お前に見つけられるのか。」
「心配しないで。わたしの親も病気で長くないから。」
「……なのに、そんなこと頼むのか?」
「だから、頼むの。恨むんなら地獄で恨んどいて。」
「勝手に地獄行きにするんじゃねえ。」
「地獄みたいなものでしょ、ここも、ううん、その前も。あはは、この先もか。ずっと地獄じゃん。」
「何がおかしい。」
「心配しないで。わたしの親も病気で長くないから。」
「……なのに、そんなこと頼むのか?」
「だから、頼むの。恨むんなら地獄で恨んどいて。」
「勝手に地獄行きにするんじゃねえ。」
「地獄みたいなものでしょ、ここも、ううん、その前も。あはは、この先もか。ずっと地獄じゃん。」
「何がおかしい。」
ギラついた目をタイガは向ける。
それ目掛けてジュンは、刀を投げ渡した。
「うわっ!」と情けない声を上げてタイガは受け止める。
それ目掛けてジュンは、刀を投げ渡した。
「うわっ!」と情けない声を上げてタイガは受け止める。
「……一人よりは二人のほうがマシでしょ。今は殺さないでおく。代わりにわたしの前を歩いて戦って。断ったら撃つ。」
そしてタイガの足元に向けて発砲した。
「オーケー?」
「……クソ、わけわかんねえ……!」
「オーケー!?」
「くっ……オーケーだ! オーケーだよ!」
「あと振り返っても撃つから。」
「……クソ、わけわかんねえ……!」
「オーケー!?」
「くっ……オーケーだ! オーケーだよ!」
「あと振り返っても撃つから。」
刀を腰に、手を頭の上に置かせて前を歩かせる。
ジュンはわからないように、銃をポケットへと入れた。
ジュンはわからないように、銃をポケットへと入れた。
「今の銃声何かしら。ねえ?」
「……さあ。」
「……さあ。」
折れた枝を手に取る。
超能力で先を尖らせる。
そして投げる! を、繰り返す!
超能力で先を尖らせる。
そして投げる! を、繰り返す!
ドス「あぶな!」ドスッ「ちょ」ドドス「ま」ドドスドドスドス「待って」ドドスドドスドス「助けて!」ドドスドドスドス「お願いします!」ドドスコスッ「わああああああああああ!!!???」
「返事ぃ!」
「はい……」
「はいじゃないわ、何かって聞いとんねん。耳義足なん?」
「耳が義足ってなんだよ……」
「なんでツッコミだけはちゃんと話すねん!」
「いたーい!?」
「はい……」
「はいじゃないわ、何かって聞いとんねん。耳義足なん?」
「耳が義足ってなんだよ……」
「なんでツッコミだけはちゃんと話すねん!」
「いたーい!?」
(コイツの行動、全部デジャヴや。予知夢を見たんか、もしくは、時間がまき戻った、とかか?)
翠は超能力者だ。こういう異常事態にも何度か遭遇したことはある。さすがに爆弾だか毒だかが入った首輪をつけて殺し合えなどと言われたことはなかったが、それこそ神の一柱や二注と遭遇したこともあるので、多少の動揺はあれど比較的冷静だった。
そう、殺し合えなどと言われたことなどなかったのだ。つい数時間前までは。
翠の能力はどちらかと言えば念動力を主とする。力に目覚めて日が浅い蘭にテレパシーの潜在能力では劣るものの、サイコキネシスの操作技術では一日の長がある。
しかしそんな彼女でも、自分が戦いの果に死ぬという経験をタイムリープでした以上、記憶の残留は蘭と同等以上だった。
そう、殺し合えなどと言われたことなどなかったのだ。つい数時間前までは。
翠の能力はどちらかと言えば念動力を主とする。力に目覚めて日が浅い蘭にテレパシーの潜在能力では劣るものの、サイコキネシスの操作技術では一日の長がある。
しかしそんな彼女でも、自分が戦いの果に死ぬという経験をタイムリープでした以上、記憶の残留は蘭と同等以上だった。
(タイムリープなんかタイムスリップなんか未来予知なんかわからんけど、この展開は知ってる。一度読んだ本を読み返すようにな。だから、同じ行動を取り続ければ、同じ行動になるはずなんや……)
(今やってそうや。セリフを同じにしたら同じセリフが返ってきた。同じ行動をすれば、同じ結果が出るはずなんや。なのに……)
(蘭……なんなん? さっきアンタの声が聞こえた。ここに来てテレパシー全然使えんのに。なあ? なんでなん?)
(今やってそうや。セリフを同じにしたら同じセリフが返ってきた。同じ行動をすれば、同じ結果が出るはずなんや。なのに……)
(蘭……なんなん? さっきアンタの声が聞こえた。ここに来てテレパシー全然使えんのに。なあ? なんでなん?)
冷静に、努めて冷静に、翠は考える。
無駄に大仰に深呼吸して、考えを整理しようと試みた。
この殺し合いが始まって、翠はしばし記憶の混濁に混乱したあと、なんとか前と同じ行動をしようと努力してきた。
前回の記憶を活かすためには、極力変更点を減らしたい。タイムリープは自分の行動だけで変化する都合上、100%の再現性が期待できるのだ。期待できるはずなのだ。
なのに、翠からは冷や汗が止まらない。
同じ行動をしていたはずなのに、今から10分ほど前に聞こえてきた、聞き覚えのない蘭の悲鳴の意味を、必死で考えていた。
それを思い出すたびに、作った確信が崩れていく。自分が動かなければ未来は変わらない。そういうもののはずなのに、未来が最悪の方向に変わっていたから。
無駄に大仰に深呼吸して、考えを整理しようと試みた。
この殺し合いが始まって、翠はしばし記憶の混濁に混乱したあと、なんとか前と同じ行動をしようと努力してきた。
前回の記憶を活かすためには、極力変更点を減らしたい。タイムリープは自分の行動だけで変化する都合上、100%の再現性が期待できるのだ。期待できるはずなのだ。
なのに、翠からは冷や汗が止まらない。
同じ行動をしていたはずなのに、今から10分ほど前に聞こえてきた、聞き覚えのない蘭の悲鳴の意味を、必死で考えていた。
それを思い出すたびに、作った確信が崩れていく。自分が動かなければ未来は変わらない。そういうもののはずなのに、未来が最悪の方向に変わっていたから。
(記憶をロードしたうちが行動を変えなければ、シナリオは変わらん。)
(同じ行動をしてたのに、蘭の悲鳴が聞こえた。)
(おかしいやんこんなの、矛盾して、矛盾……)
(同じ行動をしてたのに、蘭の悲鳴が聞こえた。)
(おかしいやんこんなの、矛盾して、矛盾……)
何か熱いものが頬を落ちる感覚がしてハッとなる。
それを恐る恐る指先で触れる。
その熱源が、自分が流した涙だと理解して、翠は決壊した。
それを恐る恐る指先で触れる。
その熱源が、自分が流した涙だと理解して、翠は決壊した。
「蘭……アンタ……ムチャしたんやろ!」
嗚咽交じりにそう言う自分をメイ子がギョッとしてまじまじ見るのもはばからず、翠は声を上げて泣いた。
翠は理解していた。記憶を残していた者でなければ未来は変えられないのに、勝手に未来が変わっていた理由。
なんのことはない、記憶を持つものが複数いたからだ。
蘭が自分よりもそういった感覚に強いことは、この一年の冒険で何度も実感している。自分が記憶を憶えていたのだから蘭も憶えていただろうと、自信を持って言える。そしてきっと、このクソッタレなゲームに一緒に巻き込まれたであろうことも確信している。
それがわかっているから、涙を止められなかった。突然感じた蘭の悲鳴のイメージ、強い悲しみ、無力感、負の空気。エスパーの感受性で読み取ったそれを心のままに判断するのなら、蘭の死という答えしか出なかった。
蘭の性格はよくわかっている。きっとこの場所で記憶を元に未来を変えようと動いたのだろう。おおかた、死んでしまった自分を助けるために。
つまり、翠のために蘭は死んだ。
そこまで考えて、翠は寒空の下に裸で放り出されたような感覚を覚えた。ブルりと身を震わせ続け、肌の露出を手で隠そうとし、両手で顔を覆った。
翠は理解していた。記憶を残していた者でなければ未来は変えられないのに、勝手に未来が変わっていた理由。
なんのことはない、記憶を持つものが複数いたからだ。
蘭が自分よりもそういった感覚に強いことは、この一年の冒険で何度も実感している。自分が記憶を憶えていたのだから蘭も憶えていただろうと、自信を持って言える。そしてきっと、このクソッタレなゲームに一緒に巻き込まれたであろうことも確信している。
それがわかっているから、涙を止められなかった。突然感じた蘭の悲鳴のイメージ、強い悲しみ、無力感、負の空気。エスパーの感受性で読み取ったそれを心のままに判断するのなら、蘭の死という答えしか出なかった。
蘭の性格はよくわかっている。きっとこの場所で記憶を元に未来を変えようと動いたのだろう。おおかた、死んでしまった自分を助けるために。
つまり、翠のために蘭は死んだ。
そこまで考えて、翠は寒空の下に裸で放り出されたような感覚を覚えた。ブルりと身を震わせ続け、肌の露出を手で隠そうとし、両手で顔を覆った。
「ちがう……こんなことしてたらアカン。まだシナリオ通りにやらな……」
「あ、あの、うわ。」
「……『やっぱお前の心覗くわ。』」
「あ、あの、うわ。」
「……『やっぱお前の心覗くわ。』」
頭の上に手を置こうとする翠と、それを抵抗できないメイ子。と同時に二人の周りに不可思議な力が満ちる。メイ子の頭から何かを引っ張ろうとするそれはまさしく異能。その正体は、サイコメトリーだ。
メイ子は強力な霊視能力を持つ。その力で前回同様、最初出会った参加者である翠の人となりを知ろうとした。
そして翠は能力者特有の勘の良さで自分を見ている存在に気づき、殺意のイメージを見せることでメイ子の動揺を誘い、位置を掴むとサイキックでやきを入れたという次第である。
読み取ったメイ子のクズさにデジャヴを感じて無理矢理に切り替えていく。そして気配を察知、これで未来の分岐点になんとか間に合う。
メイ子は強力な霊視能力を持つ。その力で前回同様、最初出会った参加者である翠の人となりを知ろうとした。
そして翠は能力者特有の勘の良さで自分を見ている存在に気づき、殺意のイメージを見せることでメイ子の動揺を誘い、位置を掴むとサイキックでやきを入れたという次第である。
読み取ったメイ子のクズさにデジャヴを感じて無理矢理に切り替えていく。そして気配を察知、これで未来の分岐点になんとか間に合う。
(このあとは、変な服を着た男子と、髪の長い女子から逃げようと森の中行って、そしたら、そう、黄金の鉄の塊でできた鎧の騎士に襲われたんや。)
聞こえてきた銃声に、逃げるのではなく立ち向かう。きっと変えるべき選択肢はここだ。
前回は森に逃げたらそこにいた騎士に4人まとめて襲われた。今回はリスクを覚悟でこれから出会う2人を叩く。相手が能力者である可能性や自分が能力者だとバレる可能性はあるが、ここで動かなければ記憶の意味が無い。
翠は小石を操るイメージトレーニングをしながら2人を待つ。
前回は森に逃げたらそこにいた騎士に4人まとめて襲われた。今回はリスクを覚悟でこれから出会う2人を叩く。相手が能力者である可能性や自分が能力者だとバレる可能性はあるが、ここで動かなければ記憶の意味が無い。
翠は小石を操るイメージトレーニングをしながら2人を待つ。
【0121 森の近く】