「くっ、みんな……すまない! すぐ助けに戻るからな! あっ、戻るモノレール行っちゃった。」
子どもたちを置いていち早く逃げた松岡先生。
悔しげに扉に拳を叩きつけると、やることもないので駅に止まるのを待つことにした。
松岡先生的にさっきのは苦渋の決断だった。ちょっと危機管理能力が高すぎて判断が早かったので、子どもたちを置き去りにするみたいな形になっちゃってマジピエン。
もちろん熱血教師として直ぐに戻って助けに行くつもりである。
でも逆行するためのモノレールは行っちゃったみたいだし、次がいつ来るかもわかんないんで時間かかっちゃうのも仕方ないね。
悔しげに扉に拳を叩きつけると、やることもないので駅に止まるのを待つことにした。
松岡先生的にさっきのは苦渋の決断だった。ちょっと危機管理能力が高すぎて判断が早かったので、子どもたちを置き去りにするみたいな形になっちゃってマジピエン。
もちろん熱血教師として直ぐに戻って助けに行くつもりである。
でも逆行するためのモノレールは行っちゃったみたいだし、次がいつ来るかもわかんないんで時間かかっちゃうのも仕方ないね。
「そろそろ止まるみたいだな。よし、こうなったら一駅ダッシュするぞ! ネバーギブアップ、オレ!」
停車まで入念なストレッチを心がけると、ドアが開いたと同時に駆け出す。颯爽と改札を飛び越え、線路沿いに走り始める。無賃乗車だけど多少はね?などと誰にしているのかわからないテヘペロをしつつ驀進。なかなかのスピードではある。
「みんな無事でいてくれ……! 先生は必ず助けに行くぞってなんだあの大仏!?」
そのままスピードを落とさずに大仏の脇を通り過ぎる。高めの雑居ビルの隙間からヌっ!と大仏にしか見えない大きな仏像が見えた。おそらく大仏であると考えられる。
しかしそんなものは今どうだっていいんだ、重要なもんじゃない。場違いな大仏をガン見しつつモノレール沿いを駆けると、なんとか水族館直結の駅まで戻ってこれた。
しかしそんなものは今どうだっていいんだ、重要なもんじゃない。場違いな大仏をガン見しつつモノレール沿いを駆けると、なんとか水族館直結の駅まで戻ってこれた。
(三沢くん! 河合さん! いたら返事してくれー!)
クッソ小さい上に間違えた名前で子どもに呼びかける。当たり前だが答えるものはいない。そもそも聞こえるような声を出していない。
駅のホームにおっかなびっくり上がってあたりを見渡してみた。たぶん血とかはない。
駅のホームにおっかなびっくり上がってあたりを見渡してみた。たぶん血とかはない。
「そういえば逆向きのモノレールが駅を出てすぐにすれ違ったな。つまりアレに乗ったってことだな! ならひとまず安心だ。いやー良かった。」
良いわけあるか。
多分に楽観的な結論を出すと、自販機でコーラを買った。お釣りやデザインが明らかに日本語じゃないんだが、そんなの関係ない。ブシュとフタを開けてゴクリと飲む。シュワシュワした泡がパチパチと口の中で弾けると、フレーバーが味覚と嗅覚を刺激する。たまらない。
多分に楽観的な結論を出すと、自販機でコーラを買った。お釣りやデザインが明らかに日本語じゃないんだが、そんなの関係ない。ブシュとフタを開けてゴクリと飲む。シュワシュワした泡がパチパチと口の中で弾けると、フレーバーが味覚と嗅覚を刺激する。たまらない。
「ハーッ! よし、エネルギー補給完了! そろそろ次のモノレールも来るだろうからそれで追おう。」
ソッコーで一本飲み干し、もう一本飲もうか考えながらモノレールを待つ。
しかし、来ない。わりと長く待ってるのにぜんぜん来ない。あれ?おかしくない?と思って時刻表を確認。当然読めないので困惑する。だが時刻表の上にかかっていた時計の針は読めた。
現在2時前。昼ならともかく夜なら100%終電が終わっている。
しかし、来ない。わりと長く待ってるのにぜんぜん来ない。あれ?おかしくない?と思って時刻表を確認。当然読めないので困惑する。だが時刻表の上にかかっていた時計の針は読めた。
現在2時前。昼ならともかく夜なら100%終電が終わっている。
「もしかして、さっきの終電だった……?」
確かめる術はない。
松岡先生は慌てて駆け出した。胃の中でコーラが泡立つ。逆流する。脇腹が痛い。
松岡先生は慌てて駆け出した。胃の中でコーラが泡立つ。逆流する。脇腹が痛い。
「おかしいな、コーラはマラソン選手も
愛飲するって書いてあったのに。」
愛飲するって書いてあったのに。」
それは炭酸抜きコーラである。
体力は戻ったのに前より遅い足取りで駆ける。片手で脇腹を抑えながらのダッシュに青色吐息。胡乱な目に映る視界は歪み、ピラミッドの幻覚まで見えだした。
いや幻覚か? あ、これ幻覚じゃないわ、ピラミッド建ってるわ。ビルの隙間からチラッと見えたわ。
体力は戻ったのに前より遅い足取りで駆ける。片手で脇腹を抑えながらのダッシュに青色吐息。胡乱な目に映る視界は歪み、ピラミッドの幻覚まで見えだした。
いや幻覚か? あ、これ幻覚じゃないわ、ピラミッド建ってるわ。ビルの隙間からチラッと見えたわ。
「ピ、ピラミッドか。ピラミッド!? なんで、なんで?」
ピラミッドショックにより思わずツッコんでしまう。なんでピラミッドが会場にあるんだよ、殺し合いはどうなってるんたよ殺し合いは。
などと思うが、そこでハッとする。
このピラミッド、水族館の駅からはそこそこ距離がある。そしてなによりピラミッド。子どもたちはここに逃げたのでは?
などと思うが、そこでハッとする。
このピラミッド、水族館の駅からはそこそこ距離がある。そしてなによりピラミッド。子どもたちはここに逃げたのでは?
「なるほど、わかったぞ! 次の駅で下車して窓から見えたここに行ったかもしれないな。よし行こう」
こじつけに近い考えだが他に子どもたちが行きそうなところになどとんと考えつかない。というわけでもう一度走り出す。さほど高いものでもないので割と直ぐに近づけた。
麓で改めて見上げる。どう見てもピラミッドです。
麓で改めて見上げる。どう見てもピラミッドです。
「やむを得ない! とりあえず探検だ。」
不審には思うが背に腹は替えられぬ。断じてちょっとワクワクなどしていない。
当然中に灯りなどないので、スマホで照らしながら進む。内装も普通にピラミッドだ。世界ふしぎ発見で見たのと同じである。
当然中に灯りなどないので、スマホで照らしながら進む。内装も普通にピラミッドだ。世界ふしぎ発見で見たのと同じである。
「待つであります! ストーップ! ストーップ!!」
「わっざ!? ナンマイダブナンマイダブ……!」
「わっざ!? ナンマイダブナンマイダブ……!」
歩き始めて何歩かすると、突然高い声が響いた。すわ祟りかと思い念仏を唱える。するとテテテテテ!と足音がした。バッと振り返る。そこにいたのは。
「うわあああカエルがピラミッドを練り歩いてる!」
緑色のカエルが必死の形相で追いかけてきていた。何故か黄色い帽子を被り、手には銃。
更にその後ろには、灰色の軍服っぽいものを着た江口洋介似のイケメンもいた。だが眼光の鋭さが半端じゃない。趣味で人殺してそうな目をしている。
更にその後ろには、灰色の軍服っぽいものを着た江口洋介似のイケメンもいた。だが眼光の鋭さが半端じゃない。趣味で人殺してそうな目をしている。
「逃げなきゃ! わっ!?」
命の危機を感じた。振り返ると走り出す。が、足が床につかない。下を見る。そこには穴。
「ピラミッドにも穴はある──」
言い終わらぬうちに松岡先生は落とし穴へと吸い込まれていった。
「アチャー、だーからいったのに。」
落とし穴の前でカエルことケロロ軍曹はOTLの字になって床をつついた。
おそ松が落とし穴に飲み込まれてから彼はなんとか助けようと四苦八苦していた。
しかしピラミッドの中を注意深く進めば同じようなトラップがそこかしこに。これは無理だと戻ると、シンプルに落とし穴からロープでも垂らして救助することとした。
というわけでロープを探す中で出会ったのが、江口洋介似の仕事で人殺してそうな顔の参加者。
その名を、斎藤一。
そんな彼はシュルリとケロロ軍曹の胴体に手際よくロープを結びつけていった。
おそ松が落とし穴に飲み込まれてから彼はなんとか助けようと四苦八苦していた。
しかしピラミッドの中を注意深く進めば同じようなトラップがそこかしこに。これは無理だと戻ると、シンプルに落とし穴からロープでも垂らして救助することとした。
というわけでロープを探す中で出会ったのが、江口洋介似の仕事で人殺してそうな顔の参加者。
その名を、斎藤一。
そんな彼はシュルリとケロロ軍曹の胴体に手際よくロープを結びつけていった。
「あれ? 一殿? なにを?」
「お前が下手な声をかけ方をした責任を取れ。」
「責任ってケロオオオオオ!?」
「お前が下手な声をかけ方をした責任を取れ。」
「責任ってケロオオオオオ!?」
そしてケロロをドーン!
あわれ軍曹は落とし穴へとつんのめり、パカッと開いた暗闇へ吸い込まれていった。
あわれ軍曹は落とし穴へとつんのめり、パカッと開いた暗闇へ吸い込まれていった。
「……西洋のカラクリか? 雪代縁の関係者……は、考え過ぎか。」
悲鳴を上げながら滑り落ちて行くケロロ軍曹を片手のロープで支えてやりながら、器用に片手で煙草を取り出し火をつける。
そして紫煙を吐き出しながら変わらぬ仏頂面で言った。
そして紫煙を吐き出しながら変わらぬ仏頂面で言った。
元・新撰組で現在は維新政府の警官。
そんな彼が掲げるのは、幕末も明治もバトロワも変わらない。
すなわち、悪即斬。
変わらぬ表情と変わらぬ方針で街を歩いていたが、しかしなかなか人には出くわさず。
ようやく見つけたのは、しゃべるカエルであった。
これにはさすがの斎藤も柄にも無く煙草を落とした。
後ろ足で立ち、帽子を被って人語を喋るカエル。どう考えても物の怪のたぐいだ。
とりあえず刀を突きつけ尋問すると、どうやら軍隊に所属する河童らしい。
なんで河童が軍人なのかとか他にも色々と聞きたいことはあったが、こんなんでも第一参加者、しかもピラミッドなるものから滑落した人間を助けようとしている。たぶんに眉唾ものだが、罠であっても罠ごと切り伏せると思って同行したら、謎の石造りの建物(それがピラミッドだという知識はない)を見つけて、先ほどの次第である。
そんな彼が掲げるのは、幕末も明治もバトロワも変わらない。
すなわち、悪即斬。
変わらぬ表情と変わらぬ方針で街を歩いていたが、しかしなかなか人には出くわさず。
ようやく見つけたのは、しゃべるカエルであった。
これにはさすがの斎藤も柄にも無く煙草を落とした。
後ろ足で立ち、帽子を被って人語を喋るカエル。どう考えても物の怪のたぐいだ。
とりあえず刀を突きつけ尋問すると、どうやら軍隊に所属する河童らしい。
なんで河童が軍人なのかとか他にも色々と聞きたいことはあったが、こんなんでも第一参加者、しかもピラミッドなるものから滑落した人間を助けようとしている。たぶんに眉唾ものだが、罠であっても罠ごと切り伏せると思って同行したら、謎の石造りの建物(それがピラミッドだという知識はない)を見つけて、先ほどの次第である。
「ウサギに河童と殺し合わされるとは、舐められたものだ。」
【0201 ピラミッド】
【斎藤一@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
悪即斬。
●中目標
殺し合いの主催者の情報を集める。
●小目標
河童(ケロロ軍曹)の反応を待つ。
●大目標
悪即斬。
●中目標
殺し合いの主催者の情報を集める。
●小目標
河童(ケロロ軍曹)の反応を待つ。