竜宮レナの歩きははたと止まっていた。
まるで未来を見てきたかのようなデジャヴや化けガエルの死体を見つけたことで、自分が覚せい剤の影響下にあると確信した彼女は、根本的な問題に気づいたのだ。
まるで未来を見てきたかのようなデジャヴや化けガエルの死体を見つけたことで、自分が覚せい剤の影響下にあると確信した彼女は、根本的な問題に気づいたのだ。
「いつの間にかヒロポン打たれたって、大変なことになってるんじゃ……?」
自分の頭がおかしくなったのではなく薬物のせいだと結論づけて。
じゃあそんなドラッグを使われてしまった自分は大丈夫なのかと、冷静になることで気づくことになった。
じゃあそんなドラッグを使われてしまった自分は大丈夫なのかと、冷静になることで気づくことになった。
「どうしよう、クスリって一回でも使ったら一生依存するんだよね。今はなんともないけど、もしこのまま文字が読めなかったりしたら……」
微妙にずれたことを考えながら、首をかく。薬のせいかストレスのせいか、なんだか首にかゆみを感じ始めている。そういったことは今までもあったことがあるので特段の驚きはないが、ウザったさはある。悩ましいことが山盛りなのに、そこにまためんどくさいことが起きるとまたストレスを感じずにはいられなかった。
「警察は、信用できない。自分で使ったと思われて逮捕させるかもしれないし。まずは……」
首をかきながら独り言を言いながら歩き始める。とにかく突っ立っていても仕方がない。歩いたところでどうなるというわけでもないが、とにかくマトモそうな人でも見つけたい。そのマトモそうなとはどうやって見分けるのかも決めずに街を彷徨えば、いつしか見覚えのある景色が見えた。おや?と思って角を曲がると、そこにはさっきの化けガエルの死体。どうやらぐるりと回って同じところに出てしまったらしい。しかしレナが気になったのはカエルではなく、その側に立つ和服の男だった。
どうやら行き違いになっていたが、この近くにも人がいたらしい。
レナはじっと男を見る。方針はノープランだが、自分以外の人間に出会ったのなら接触は検討していた。問題は、男の人となりがわからないこと。腰に刀を差した侍っぽい男など、警戒してしかるべきだろう。
どうやら行き違いになっていたが、この近くにも人がいたらしい。
レナはじっと男を見る。方針はノープランだが、自分以外の人間に出会ったのなら接触は検討していた。問題は、男の人となりがわからないこと。腰に刀を差した侍っぽい男など、警戒してしかるべきだろう。
「この町、変な男の人しかいないのかな……」
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
(後ろ? しまった!)
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
(後ろ? しまった!)
背後から男に呼びかけられて、レナの背筋が凍った。
あまりに迂闊!
自分が侍を見つけたように、誰かに見つけられる可能性を軽く見ていた。ほぞを噛む思いをしながら、それでもなんとか冷静さを保つ。わざわざ声をかけたということは、少なくとも直ぐには殺されはしないだろう。
あまりに迂闊!
自分が侍を見つけたように、誰かに見つけられる可能性を軽く見ていた。ほぞを噛む思いをしながら、それでもなんとか冷静さを保つ。わざわざ声をかけたということは、少なくとも直ぐには殺されはしないだろう。
しかし、そのレナの期待はすぐに裏切られることになる。
(先手は取られたけど、まだ巻き返せる。)
「あの、実は──」
「あの、実は──」
振り向きざまに襲うことも考えつつ、レナはなるべく真面目な中学生らしさを意識して男に振り返った。実は男がお巡りさんだったりすれば、第一印象を良くしておけば、なんかこう、上手く行くかもしれない。そんな期待を込めたレナの目に入ってきたのは。
ふんどし一丁の全身をハチミツでコーティングした、筋肉質な男の笑顔だった。
思わず、視線が股間にいく。
明白なもっこりの横からは黒い陰毛がはみ出ていた。
思わず、視線が股間にいく。
明白なもっこりの横からは黒い陰毛がはみ出ていた。
「変態だあああああああああああ!!!」
「ひでぶっ!」
「ひでぶっ!」
レナの拳が男へと突き刺さる。
木霊する二人分の悲鳴とハチミツのヌメヌメを感じながらレナは確信した。
この町ヤク使ってる人ばっかだと。
木霊する二人分の悲鳴とハチミツのヌメヌメを感じながらレナは確信した。
この町ヤク使ってる人ばっかだと。
「レナ殿、もう大丈夫でござるよ。」
緋村剣心の言葉で、レナはおそるおそるキッチンからリビングを覗いた。
「いやー、いい湯だった。」
そこにいたのは、すっかりハチミツを洗い落とし、なぜかバスローブを着込んで寛いでいる近藤勲だった。
(大丈夫じゃない!)
──レナの強力なパンチで起きた音は当然彼女が影から見ていた侍こと剣心にも聞こえたわけで。
剣心がハチミツふんどし変態こと近藤と共に行動していたこともあり、3人で情報交換する流れとなっていた。
もちろん、レナとしては避けたかったのだが、なにせ相手は侍を自称する変質者2人。しかもレナの考えとしては彼らもヤク中である。そのうえ侍らしく腰には刀。こうなってしまってはすぐに逃げられる体勢を整えつつ、2人にしたがって刺激しないようにするしかなかった。
剣心がハチミツふんどし変態こと近藤と共に行動していたこともあり、3人で情報交換する流れとなっていた。
もちろん、レナとしては避けたかったのだが、なにせ相手は侍を自称する変質者2人。しかもレナの考えとしては彼らもヤク中である。そのうえ侍らしく腰には刀。こうなってしまってはすぐに逃げられる体勢を整えつつ、2人にしたがって刺激しないようにするしかなかった。
「……すみません、近藤さん。さっきは気持ち悪いと思ってつい。」
謝ってるのか謝ってないのかよくわからない謝罪をしつつ、レナもリビングのテーブルについた。
近藤曰く、カブトムシを採るためにハチミツを塗りたくっていたらしい。まあシャブ中のすることだと流した。しかもお巡りさんらしい。世も末だが、無理やり覚せい剤を打たれればそうもなろうとなんとか納得した。
近藤だけでなく、剣心も当然警戒している。第一印象では背丈は同じぐらいなのもあり同年代かと思ったら、軽く情報交換すると三十絡みの侍口調の変態だとわかった。というかそもそもあんなハチミツふんどしと理由があれど一緒に動いている時点で好感度はゼロだ。
近藤曰く、カブトムシを採るためにハチミツを塗りたくっていたらしい。まあシャブ中のすることだと流した。しかもお巡りさんらしい。世も末だが、無理やり覚せい剤を打たれればそうもなろうとなんとか納得した。
近藤だけでなく、剣心も当然警戒している。第一印象では背丈は同じぐらいなのもあり同年代かと思ったら、軽く情報交換すると三十絡みの侍口調の変態だとわかった。というかそもそもあんなハチミツふんどしと理由があれど一緒に動いている時点で好感度はゼロだ。
(どっちも信用はできないけど。最低限の情報は聞き出さないと。)
「で、その鎧武者っていうのは?」
「で、その鎧武者っていうのは?」
なんでも剣心は鎧武者に襲われたという。また幻覚なのかと思ったが、しかしなまじ2人が侍なので考え直す。侍がいるのだ、自分を武者だと思い込んで襲いかかる可哀想な人がいてもおかしくないだろう。目の前に可哀想な人の実例があるので信憑性はある。
刀と拳銃で武装して鎧を着て錯乱している男。危険人物のことは少しでも知っておきたいと、やむを得ず話に乗る。どうやら2人はその男を追っている中で、レナも見た化けガエル(レナにポケモンの知識は無い)を見つけ、首が刀で撥ねられていたことから近くにそいつがいると思って周りを調べていたらしい。
情報交換が進むと、剣心はレナの出会った参加者の話に食いついた。
刀と拳銃で武装して鎧を着て錯乱している男。危険人物のことは少しでも知っておきたいと、やむを得ず話に乗る。どうやら2人はその男を追っている中で、レナも見た化けガエル(レナにポケモンの知識は無い)を見つけ、首が刀で撥ねられていたことから近くにそいつがいると思って周りを調べていたらしい。
情報交換が進むと、剣心はレナの出会った参加者の話に食いついた。
それから聞かされた左之助なる喧嘩屋の人となりでまた剣心への評価が下がった。どう聞いてもヤンキーである。なまじ園崎という存在が割と身近なので、どうしてもそっちの業界という認識になる。近藤といい人づきあい考えろと思った。
そして思った。この2人から自分のことを話されたら、自分も変態だと思われるんだろうなと。
そして思った。この2人から自分のことを話されたら、自分も変態だと思われるんだろうなと。
(聞きたいことは聞けたし、そろそろ離れよう。)
もう2人から得られそうな情報よりも、関わり合いになるリスクのほうが大きい。そう判断して離れる口実を探す。
しかしそれを思いつくより早く、2人の動きが変わった。突然剣心が窓際に立つと、外を伺う。すぐに近藤も続き、やや遅れてレナも窓の外を見た。
そこにいたのは、天狗のお面をつけた変態だった。
面の下から覗く白髪頭を見るに、オジサンだろう。そしてもう当たり前になった腰の刀。どうやらこのヒロポンは人間を侍にさせたがるらしい。
しかしそれを思いつくより早く、2人の動きが変わった。突然剣心が窓際に立つと、外を伺う。すぐに近藤も続き、やや遅れてレナも窓の外を見た。
そこにいたのは、天狗のお面をつけた変態だった。
面の下から覗く白髪頭を見るに、オジサンだろう。そしてもう当たり前になった腰の刀。どうやらこのヒロポンは人間を侍にさせたがるらしい。
(また変態が増えた……)
「また刀持ったやつだよ。廃刀令違反だぞ。剣さん、レナさん見ててくれ。」
「いや、ここは拙者が行こう。その格好ではまた揉め事になるかもしれぬ。」
「また刀持ったやつだよ。廃刀令違反だぞ。剣さん、レナさん見ててくれ。」
「いや、ここは拙者が行こう。その格好ではまた揉め事になるかもしれぬ。」
離れると言い出せる雰囲気でなくなり、レナは内心で天を仰いだ。
「──病院に探そうと思う。アキノリ、ここで診ていてくれ。半刻経っても戻らなかったら、死んだものだと思え。」
怪我を負った日向冬樹を前にして、鱗滝左近次が考えていたのは数秒だった。
命に別状はないが、それは適切な治療を施せればの話だ。放置すれば死ぬ傷というのは、鬼殺隊時代に見た傷と照らし合わせるればハッキリしていた。
問題は病院に行くかと、冬樹を動かすかだった。病院には先の鎧武者のような危険人物がいる可能性はあるが、他の病院を探すよりかは確実に医薬品があるだろう。冬樹を動かせば傷に障るだろうが、より早く治療を行える可能性が高まる。
命に別状はないが、それは適切な治療を施せればの話だ。放置すれば死ぬ傷というのは、鬼殺隊時代に見た傷と照らし合わせるればハッキリしていた。
問題は病院に行くかと、冬樹を動かすかだった。病院には先の鎧武者のような危険人物がいる可能性はあるが、他の病院を探すよりかは確実に医薬品があるだろう。冬樹を動かせば傷に障るだろうが、より早く治療を行える可能性が高まる。
取りうる選択肢は4つ。
1、冬樹を病院に連れて行く。
2、病院に行き医薬品を持って帰ってくる。
3、冬樹を連れて別の病院を探す。
4、別の病院を探して医薬品を持って帰ってくる。
1、冬樹を病院に連れて行く。
2、病院に行き医薬品を持って帰ってくる。
3、冬樹を連れて別の病院を探す。
4、別の病院を探して医薬品を持って帰ってくる。
まず冬樹の傷の具合から連れ歩くことは難しいと判断した。大八車なりなんなりがあれば別だが、無い以上は鱗滝がおぶって行くしかない。この傷でそんなことをすれば傷を開くことは避けられない。
となると病院から医薬品を持って帰る以外に道はないが、地図も土地勘もない以上、あの病院を探し当てれる保証がない。条件としては、大体の位置がわかっているので少し見つけやすい程度である。危険人物に会わないように気をつけて病院に入ることも考えると、他をあたったほうがまだ短時間だろう。
となると病院から医薬品を持って帰る以外に道はないが、地図も土地勘もない以上、あの病院を探し当てれる保証がない。条件としては、大体の位置がわかっているので少し見つけやすい程度である。危険人物に会わないように気をつけて病院に入ることも考えると、他をあたったほうがまだ短時間だろう。
鱗滝は最低限の応急処置と説明を残すと、直ぐに病院へと駆け出した。早く行動すればそれだけ冬樹の負担を減らせ、なにかあって時間を食っても持ち直せる。
たとえば、他の参加者と会ったとしてもだ。
たとえば、他の参加者と会ったとしてもだ。
(! この気配は、近い。)
「失礼、拙者、緋村剣心と申す。急がれているようだが、話を聞かせてもらえぬか?」
「鱗滝左近次。怪我人の治療のため医者と病院を探している。知らぬのなら問答している間は無い。話があるのなら着いてこい。」
「失礼、拙者、緋村剣心と申す。急がれているようだが、話を聞かせてもらえぬか?」
「鱗滝左近次。怪我人の治療のため医者と病院を探している。知らぬのなら問答している間は無い。話があるのなら着いてこい。」
町を駆けること30分。
余計な戦いを避けるために隠密行動を心がけていたが、未だ病院は見つけられていなかった。判断を誤ったかとも思うが、他に妙案もないのでこれに賭けるしかない。そう考えていたところに突然とも言えるほど近くに現れた剣心に驚きながらも、鱗滝は素早く答えた。
剣心も鱗滝の韋駄天ぶりには驚いていたが、話の内容に更に驚いた。「どちらも拙者に覚えは無いが」駆け出す鱗滝について行きながら続ける。「拙者が待たせている者たちならば知っているかもしれぬ」そう言うと、鱗滝の足は止まった。
余計な戦いを避けるために隠密行動を心がけていたが、未だ病院は見つけられていなかった。判断を誤ったかとも思うが、他に妙案もないのでこれに賭けるしかない。そう考えていたところに突然とも言えるほど近くに現れた剣心に驚きながらも、鱗滝は素早く答えた。
剣心も鱗滝の韋駄天ぶりには驚いていたが、話の内容に更に驚いた。「どちらも拙者に覚えは無いが」駆け出す鱗滝について行きながら続ける。「拙者が待たせている者たちならば知っているかもしれぬ」そう言うと、鱗滝の足は止まった。
「案内を頼めるか?」
「もちろん、こっちだ。」
「もちろん、こっちだ。」
「おーはえーなあ。」
(なんなの……人間なのかな。)
(なんなの……人間なのかな。)
一方、先の民家の窓から見ていたレナはドン引きしていた。
天狗ハッピ変態に侍変態、ダブル変態がオリンピック選手みたいなスピードで走って行ったりこっちに来たりしている。
この殺し合いマトモな人はいないんだろうなとまた確信を深めて、ストレスからかまた首を掻いた。
天狗ハッピ変態に侍変態、ダブル変態がオリンピック選手みたいなスピードで走って行ったりこっちに来たりしている。
この殺し合いマトモな人はいないんだろうなとまた確信を深めて、ストレスからかまた首を掻いた。
【0140 市街地】
【竜宮レナ@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
●大目標
覚せい剤の幻覚をどうにかしたい。
●小目標
また変態だ……
●大目標
覚せい剤の幻覚をどうにかしたい。
●小目標
また変態だ……
【近藤勲@銀魂 映画ノベライズ みらい文庫版(銀魂シリーズ)@集英社みらい文庫】
●大目標
殺し合いに乗った連中を取り締まる。
●中目標
レナさんを保護する。
●小目標
手が足りねえ!
●大目標
殺し合いに乗った連中を取り締まる。
●中目標
レナさんを保護する。
●小目標
手が足りねえ!
【緋村剣心@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
一つでも多くの命を救う。
●中目標
レナを保護する。
●小目標
鱗滝と話す。
●大目標
一つでも多くの命を救う。
●中目標
レナを保護する。
●小目標
鱗滝と話す。
【鱗滝左近次@鬼滅の刃~炭治郎と禰豆子、運命の始まり編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いを止める。
●中目標
冬樹の治療を行う、戦力を集め、大太刀を倒す。
●小目標
剣心たちと話す。
【目標】
●大目標
殺し合いを止める。
●中目標
冬樹の治療を行う、戦力を集め、大太刀を倒す。
●小目標
剣心たちと話す。