バトル・ロワイアルでオープニングで首輪外そうとするタイプ、という人種が存在する。
古今東西様々なデスゲームにおいて、行動力はあるものの忍耐力や思考力といったものがない人間も多数参加してきた。
そういう人間は参加者になれば場をひっかき回す存在になるので主催者も参加させたがるのだが、同時に彼らには役割がある。
すなわち、見せしめ。
このロワではサイコロステーキ先輩こと、累に切り刻まれた剣士のようなそこそこの戦闘力を持った人間が選ばれやすい。ただ一人だと確実に動いてくれるかわからないので、そういうタイプは何人か参戦させがちである。複数のうち誰かしらかを見せしめにして、あまりは参加者というわけだ。
古今東西様々なデスゲームにおいて、行動力はあるものの忍耐力や思考力といったものがない人間も多数参加してきた。
そういう人間は参加者になれば場をひっかき回す存在になるので主催者も参加させたがるのだが、同時に彼らには役割がある。
すなわち、見せしめ。
このロワではサイコロステーキ先輩こと、累に切り刻まれた剣士のようなそこそこの戦闘力を持った人間が選ばれやすい。ただ一人だと確実に動いてくれるかわからないので、そういうタイプは何人か参戦させがちである。複数のうち誰かしらかを見せしめにして、あまりは参加者というわけだ。
「ねーこれカメラどこー!? アタシノーメイクなんだけどー!? それとも心霊ゲンショー!? チョコー! いないー?」
さて、この少女紫苑メグはまさしくバトル・ロワイアルでオープニングで首輪外そうとするタイプだった。
ブランド物の服に、時間をかけてセットされただろう髪、そしてバカっぽいしゃべり方。
メスガキという言葉がしっくりくる彼女は、ホラー映画のお色気ブロント美女のように序盤も序盤で死ぬことを期待して参加者にさせられた。
実際、1度目のループにおいては他の参加者を見つけてドッキリだと安心すると、直ぐさま首輪を外しにかかり、力ずくで引っ張った結果脱落した。
期待通りの結果に主催者であり彼女のクラスメイトである大形京はひとしきり笑い、彼女が騒いだために同じくクラスメイトである須々木凛音も死ぬことになってまた笑ったのだが、それを見たギロンパとしては興ざめである。
デスゲームに詳しくない大形としては単に参加者にしたら自滅しそうだなぐらいの感覚だったが、デスゲーム主催者のギロンパとしては、こういう展開はもっと目立つところでやってもらいたい。これだとなんでメグを参加者にしたのかわからなくなる。
というわけで彼女は。
ブランド物の服に、時間をかけてセットされただろう髪、そしてバカっぽいしゃべり方。
メスガキという言葉がしっくりくる彼女は、ホラー映画のお色気ブロント美女のように序盤も序盤で死ぬことを期待して参加者にさせられた。
実際、1度目のループにおいては他の参加者を見つけてドッキリだと安心すると、直ぐさま首輪を外しにかかり、力ずくで引っ張った結果脱落した。
期待通りの結果に主催者であり彼女のクラスメイトである大形京はひとしきり笑い、彼女が騒いだために同じくクラスメイトである須々木凛音も死ぬことになってまた笑ったのだが、それを見たギロンパとしては興ざめである。
デスゲームに詳しくない大形としては単に参加者にしたら自滅しそうだなぐらいの感覚だったが、デスゲーム主催者のギロンパとしては、こういう展開はもっと目立つところでやってもらいたい。これだとなんでメグを参加者にしたのかわからなくなる。
というわけで彼女は。
「ねぇー! ほんとうにだれもいないのー! ねぇー! ねぇーったら……」
配置をずらされて近くにいる参加者も変更されていた。
おかげで森の中で1人きりである。
ふだんなら落ち着くという言葉も落ち込むという言葉も縁遠い彼女だが、今回は流石に参っていた。
東京で暮らし活動エリアはもっぱら原宿。そんな彼女に、赤い空と赤い霧に覆われた森など不気味すぎる。
おかげで森の中で1人きりである。
ふだんなら落ち着くという言葉も落ち込むという言葉も縁遠い彼女だが、今回は流石に参っていた。
東京で暮らし活動エリアはもっぱら原宿。そんな彼女に、赤い空と赤い霧に覆われた森など不気味すぎる。
さて、彼女はバトル・ロワイアルでオープニングで首輪外そうとするタイプである。
デスゲームにおいてそう何人もいらないタイプだ。なにせ人数が多いと心理戦や頭脳戦といったものに発展させにくくなってしまう。
あまりいると、「なんでこのメンツでこいついるんだよ、もっと他に参加者にした方がいいやついただろ、名簿考えて作れよ」などと観客からブーイングがくる。
「主人公の幼なじみよりカップリング優先しろ」だとか「マーダー候補増やせ」だとか「原作見てない奴が作った名簿」だとか「主要キャラだけど枠考えたら抜いても良かったんじゃ」だとか「首輪解除要因と差し替えろ」だとか観客からブーイングがくる。
というわけでギロンパも最初はメグも参加者から外すことも検討したのだが、そこで大形からNGが出た。
大形としては彼が執着するチョコの腐れ縁であるメグの参加はマストである。
そんなことを知らないギロンパはこれだから素人は困るなどと思いながら、彼女でも役目を果たせそうなところへと配置換えした。
バトル・ロワイアルでオープニングで首輪外そうとするタイプから、ホラー映画のお色気ブロント美女のように、序盤も序盤で殺人鬼に殺させるために。
デスゲームにおいてそう何人もいらないタイプだ。なにせ人数が多いと心理戦や頭脳戦といったものに発展させにくくなってしまう。
あまりいると、「なんでこのメンツでこいついるんだよ、もっと他に参加者にした方がいいやついただろ、名簿考えて作れよ」などと観客からブーイングがくる。
「主人公の幼なじみよりカップリング優先しろ」だとか「マーダー候補増やせ」だとか「原作見てない奴が作った名簿」だとか「主要キャラだけど枠考えたら抜いても良かったんじゃ」だとか「首輪解除要因と差し替えろ」だとか観客からブーイングがくる。
というわけでギロンパも最初はメグも参加者から外すことも検討したのだが、そこで大形からNGが出た。
大形としては彼が執着するチョコの腐れ縁であるメグの参加はマストである。
そんなことを知らないギロンパはこれだから素人は困るなどと思いながら、彼女でも役目を果たせそうなところへと配置換えした。
バトル・ロワイアルでオープニングで首輪外そうとするタイプから、ホラー映画のお色気ブロント美女のように、序盤も序盤で殺人鬼に殺させるために。
「……だれ?」
木を背にして座り込んだ彼女の耳に、草が擦れる音が聞こえてきた。
この森に入ってからほとんど風を感じていなかったところになった音に、人との遭遇を期待する。クマだとかの野生生物が出てくるという発想がゼロのあたり、彼女がデスゲームで長生きできそうにないとわかるだろう。
デスゲームで野生生物に襲われること考えろという方が趣旨考えろと言われればそのとおりだが、とにかく現れたのは忍者っぽい男だった。
この森に入ってからほとんど風を感じていなかったところになった音に、人との遭遇を期待する。クマだとかの野生生物が出てくるという発想がゼロのあたり、彼女がデスゲームで長生きできそうにないとわかるだろう。
デスゲームで野生生物に襲われること考えろという方が趣旨考えろと言われればそのとおりだが、とにかく現れたのは忍者っぽい男だった。
「……ガキか。」
男の名前は、乙和瓢醐。
雪代縁の六人の同志の一人で、暗器などでなぶり殺しにすることに喜びを見出す異常殺戮者である。
道化のバギーに都合2度出し抜かれた彼は、素早く離脱すると態勢を整えようと森を駆けているところであった。
思いの外ダメージがあり足音を消しきれなかった。そのことに反省するも、思考は直ぐに目の前の相手を殺せるかに変わり、そして直ぐになぶり殺しにできるかに変わった。
多少息は上がっているが、戦闘への支障はほぼない。ダメージも相手が幕末の強者ならともかく、並の警官よりもなお弱い女子一人ならまるで問題は無い。
雪代縁の六人の同志の一人で、暗器などでなぶり殺しにすることに喜びを見出す異常殺戮者である。
道化のバギーに都合2度出し抜かれた彼は、素早く離脱すると態勢を整えようと森を駆けているところであった。
思いの外ダメージがあり足音を消しきれなかった。そのことに反省するも、思考は直ぐに目の前の相手を殺せるかに変わり、そして直ぐになぶり殺しにできるかに変わった。
多少息は上がっているが、戦闘への支障はほぼない。ダメージも相手が幕末の強者ならともかく、並の警官よりもなお弱い女子一人ならまるで問題は無い。
「なに? コスプレ? あ! わかった、ドッキリだこれドッキリ! なんか鬼ごっことかそういうの?」
「……ああ、鬼ごっこの時間だ。」
「……ああ、鬼ごっこの時間だ。」
瓢醐の体が風になる。
20メートルほどの距離をまたたく間に詰めると、鎌のような異形の刀を振るう。
メグが慌ててポケットから何かを取り出すが、あまりに遅い。一転して驚愕に染まった瞳に切っ先が突き刺さる。手首のスナップ。眼球がえぐりだされ、眼軸をもう一方の刀で切断し切り離す。痛みを感じさせるより早くえぐってしまったことを微かに後悔しながら視線をメグへと戻した瓢湖に。
20メートルほどの距離をまたたく間に詰めると、鎌のような異形の刀を振るう。
メグが慌ててポケットから何かを取り出すが、あまりに遅い。一転して驚愕に染まった瞳に切っ先が突き刺さる。手首のスナップ。眼球がえぐりだされ、眼軸をもう一方の刀で切断し切り離す。痛みを感じさせるより早くえぐってしまったことを微かに後悔しながら視線をメグへと戻した瓢湖に。
「イヤーッ!」
ブシュウウウウウウウウ!!
「グワーッ!」
ブシュウウウウウウウウ!!
「グワーッ!」
メグの悲鳴と共に何かが顔へとかけられ、今度は瓢湖が悲鳴を上げた。
(目潰し……唐辛子!)
ボロボロと涙が流れ、鼻は殴られたように痛み、喉は呼吸を止めさせるように動きが鈍い。
幕末は闇乃武として幕府の汚れ仕事をしてきたからわかるが、それの厄介さはよく理解している。至急顔を洗わなければ今後の戦いに大きな支障が出る。
幕末は闇乃武として幕府の汚れ仕事をしてきたからわかるが、それの厄介さはよく理解している。至急顔を洗わなければ今後の戦いに大きな支障が出る。
「ごで、ごぼぅ、ごぼっ!」
捨て台詞も吐けずに逃げ出す。元々瓢湖はいたぶりたいから襲いかかったのであって、自分がやられるのは割に合わない。抜刀斎のように友の仇であれば、不殺の信念を嘲るのも含めて特攻する気になるが、基本雑魚狩りが目的である。
脇目もふらずに、ふれずに森を駆ける。なんと3度も殺し損ね、あまつさえ今までで最も大きなダメージを負った事実に激怒しながら、瓢湖は森へと消えた。
脇目もふらずに、ふれずに森を駆ける。なんと3度も殺し損ね、あまつさえ今までで最も大きなダメージを負った事実に激怒しながら、瓢湖は森へと消えた。
「ひっ、ひっぐ、い、痛いよぉ……!」
取り残されたメグは、瓢湖が来る前と同じように木に持たれかかる。その左目からは涙を、右目から血を止めどなく流しながら、終わらない嗚咽を続けた。
メグが持っていたのは痴漢撃退用のスプレーだ。こんなものを使うという発想は全く無かったが、瓢湖の姿から『不審者に襲われるドッキリ』だと勘違いしたのが幸いした。
その結果、彼女は片目を失うだけで助かったのだから。
メグが持っていたのは痴漢撃退用のスプレーだ。こんなものを使うという発想は全く無かったが、瓢湖の姿から『不審者に襲われるドッキリ』だと勘違いしたのが幸いした。
その結果、彼女は片目を失うだけで助かったのだから。
「な、なんでこんな、やだぁ……やだよ……」
力無く泣く彼女に声をかける者はいなかった。
【0123 『北部』山岳部裾野の森】
【乙和瓢湖@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
殺しを楽しむ。
●中目標
赤鼻の男(バギー)を殺せる手段を考える。
●小目標
顔を洗う。
●大目標
殺しを楽しむ。
●中目標
赤鼻の男(バギー)を殺せる手段を考える。
●小目標
顔を洗う。
【紫苑メグ@黒魔女さんが通る!! チョコ、デビューするの巻(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
●大目標
助けてほしい。
●大目標
助けてほしい。