江藤想志と幹太郎の2人は最初期に出会ってからこれまで行動を共にしてきた。
キックボクシングに打ち込む高校生である想志と、南の島でカフェをやっている青年の幹太郎。顔が良いぐらいしか共通点がないように見える2人だが、彼らには一つの共通点があった。
キックボクシングに打ち込む高校生である想志と、南の島でカフェをやっている青年の幹太郎。顔が良いぐらいしか共通点がないように見える2人だが、彼らには一つの共通点があった。
(あの試合から記憶がなかったんたげど……ここって地獄とかじゃないのかな。)
(妖界じゃなくて地獄にでも送られたのかって思ったんだけどな、ちがうのか?)
「どうしたんだよ二人とも。にしてもこのパスタウメェな、お兄さんプロ?」
(妖界じゃなくて地獄にでも送られたのかって思ったんだけどな、ちがうのか?)
「どうしたんだよ二人とも。にしてもこのパスタウメェな、お兄さんプロ?」
声をかけて5分も経たないうちになんかもう打ち解けた雰囲気を発している少年、本原仁。
彼から話を聞いて疑いの心を小さくする。
『自分たちが死んだのではないか』という疑いの心を。
想志は倉沢竜人にキックボクシングの試合中に、幹太郎は竜堂ルナに死闘の果てに、それぞれ植物人間にされたり妖界へと送還されたりした。
彼らの記憶は揃って自分がこの世のものではなくなる寸前。そして出会った相手もここが地獄ではないかと疑う男。景色もおどろおどろしく必然的に自分たちの地獄行きを疑う。そうでなくても殺し合いという地獄なのだ、現実のこととは受け止められなかった。
会場西部が初期配置にもかかわらず南部まで歩いてきたのもそのためだ。元々境目近くだったとはいえ、それでも数kmは歩いている。自分たち以外に生きている存在を探し求めて彼らはさまよった末に仁を見つけたのだ。
彼から話を聞いて疑いの心を小さくする。
『自分たちが死んだのではないか』という疑いの心を。
想志は倉沢竜人にキックボクシングの試合中に、幹太郎は竜堂ルナに死闘の果てに、それぞれ植物人間にされたり妖界へと送還されたりした。
彼らの記憶は揃って自分がこの世のものではなくなる寸前。そして出会った相手もここが地獄ではないかと疑う男。景色もおどろおどろしく必然的に自分たちの地獄行きを疑う。そうでなくても殺し合いという地獄なのだ、現実のこととは受け止められなかった。
会場西部が初期配置にもかかわらず南部まで歩いてきたのもそのためだ。元々境目近くだったとはいえ、それでも数kmは歩いている。自分たち以外に生きている存在を探し求めて彼らはさまよった末に仁を見つけたのだ。
「まあな。うまいだろ。」
「俺緑色のパスタとか初めて食べたぜ。」
「仁、もう一回聞きたいんだけど……その……」
「ん? 地獄がうんとかとか? オレ死んだ覚えとかないし、普通に妖怪とか悪魔とかにユーカイされたとかじゃねえかな。なんかあの、ウサギ?が言ってたし。」
「妖怪って……」
「あ、この貝なに?」
「俺緑色のパスタとか初めて食べたぜ。」
「仁、もう一回聞きたいんだけど……その……」
「ん? 地獄がうんとかとか? オレ死んだ覚えとかないし、普通に妖怪とか悪魔とかにユーカイされたとかじゃねえかな。なんかあの、ウサギ?が言ってたし。」
「妖怪って……」
「あ、この貝なに?」
全くマイペースにパスタをがっこむ仁に言葉を失くす想志と、妖怪という言葉に黙り込む幹太郎。
なにせ幹太郎は妖怪だ。先述の死闘も彼が人間を文字通りの植物人間にしていたことがルナ達にバレて皆殺しにしようとしたからだ。なんならこの殺し合いでもまだ態度を決めかねていないだけでマーダー寄りである。
色々と普通ではないとはいえ日常生活の延長線上にある想志の人生と比べて、彼は思いっきりファンタジーの境遇だ。こうして想志にパスタを振る舞っているのも、付け合せのドリンクに一服盛ってブッ殺す下準備を兼ねている。とはいえ同じように想志にもパスタを振る舞い、その後も調べものをしたり物資を集めたりとまるでマーダーらしいことは何一つできずにいるのだが。
本当に一般人の対応をする想志とは差がある。彼の方はこの殺し合いに巻き込まれた、同じようなどこか普通でない境遇であっても一般人とかけ離れていない参加者とまるで同じようなリアクションしかできない。いちおう落ちていた銃を拾い、いちおう家族に電話をかけてみたりして、いちおうアイテムを集めて、いちおう避難する。やってきたことなどそれで説明がつく。そしてそれがつかなくなる時など、ごく限られている。
なにせ幹太郎は妖怪だ。先述の死闘も彼が人間を文字通りの植物人間にしていたことがルナ達にバレて皆殺しにしようとしたからだ。なんならこの殺し合いでもまだ態度を決めかねていないだけでマーダー寄りである。
色々と普通ではないとはいえ日常生活の延長線上にある想志の人生と比べて、彼は思いっきりファンタジーの境遇だ。こうして想志にパスタを振る舞っているのも、付け合せのドリンクに一服盛ってブッ殺す下準備を兼ねている。とはいえ同じように想志にもパスタを振る舞い、その後も調べものをしたり物資を集めたりとまるでマーダーらしいことは何一つできずにいるのだが。
本当に一般人の対応をする想志とは差がある。彼の方はこの殺し合いに巻き込まれた、同じようなどこか普通でない境遇であっても一般人とかけ離れていない参加者とまるで同じようなリアクションしかできない。いちおう落ちていた銃を拾い、いちおう家族に電話をかけてみたりして、いちおうアイテムを集めて、いちおう避難する。やってきたことなどそれで説明がつく。そしてそれがつかなくなる時など、ごく限られている。
「──だれだ!」
最初に気づいたのは妖怪の感覚を持つ幹太郎。素早く振り向き、しかし首を素早く左右に振る。それは人を探す仕草だ。こちらに近づいてくる誰かを感知した途端、他にも2人感知した。自分たちを囲むように、3人の参加者がいる。
「幹太郎さん?」
「やっべ合図忘れてた。」
「やっべ合図忘れてた。」
疑問の声を上げる想志よりも、まだ口にパスタを突っ込みながら仁が言った言葉に明敏に反応する。
一瞬殺そうか悩む。その瞬間、頭に浮かんだのは、悲しそうな少女の顔だった。
一瞬殺そうか悩む。その瞬間、頭に浮かんだのは、悲しそうな少女の顔だった。
(やっぱり、だめだな……)
「合図って、どういうことだ?」
「えーっと、ちょっと待ってて。みんなー! 大丈夫そうだぞー!」
「合図って、どういうことだ?」
「えーっと、ちょっと待ってて。みんなー! 大丈夫そうだぞー!」
仁の声から少しして3人の少女が現れても、幹太郎の頭にはルナの顔がこびりついていた。
マンションである。それも複数の。
交差点に面した4つのマンション、それへの侵入を防ぐように立ち入り禁止テープが張られている。車道にもしっかり中空に貼られ、幹太郎はそれをめくると、裏には太いワイヤーが貼ってあった。
交差点に面した4つのマンション、それへの侵入を防ぐように立ち入り禁止テープが張られている。車道にもしっかり中空に貼られ、幹太郎はそれをめくると、裏には太いワイヤーが貼ってあった。
「そのテープには気をつけてくださいまし。手榴弾に繋がっていますの。」
「先に言ってくれないか?」
「先に言ってくれないか?」
幹太郎達を囲むように現れたそこそこ美少女たち。『殺し合いからみんなで脱出する委員会』を名乗る彼女達がみんなで仁を叱るのを一通り見てから、情報交換が行われた。
現れたのは、ピンクのフリフリドレスの秋野真月、一人だけやけにサブマシンガンを持つ姿が様になっている北条沙都子、黒髪ロングでいかにも委員長という雰囲気を醸し出している一路舞の3名である。
彼女たち3人と仁も、幹太郎たちと同じような経過を辿っていた。すなわち、自己紹介をして、協力して通報などしようとし、駄目とわかると物資を集め、拾い食いで休憩し、武器を持って別の建物を調べるという具合だ。考えることはだいたい皆同じである。というか他にやることもできることも殆ど無い。無いからこそそれを認めてしまっては無力感に殺されるので、何かやることを見つけて動く参加者が多いのだ。
そうして他の参加者を探すことになったのだが、別にこれは全員乗り気というわけではなかった。というのも、4人で同じ行動をしている中で明らかに能力に差があったことがきっかけである。
旅館の跡取り娘として英才教育を受けている真月は、避難所に必要なものやそれを実際に作るノウハウまで持っていた。殺し合いで重要となるセキュリティは、トラップマスターの異名を持つ沙都子の手により落ちていた武器を用いたデストラップにより完成した。
そうなるとつまらないのは仁と舞である。行動力がトチ狂っている仁と根っからの仕切り屋である舞からすると、2人の指図で避難経路を確認したり防犯システムを確認したりワイヤーを張ったり穴を開けたりはつまらない。なんだかんだ楽しんでやってる仁はともかく、自分が2人より劣っているのを自覚してしまった舞は、意地とプライドにかけて2人に比する功績を浴びて委員長スゴイって言われたかった。
というわけで拠点もできたことだし次のフェイズである。舞が主導したのは、自分たちと同じように巻き込まれた人間を探すことであった。
この殺し合いでは、あまり参加者たちは動き回ろうとしない。その理由は3つある。1つ、赤い霧のせいで視界が効かない。まともに見えるのは100mほど。300mまでなら色や輪郭がぼやけるぐらいだが、500mほどまで行くとかなり見えにくくなり、1kmまで行けば発光しているものでなければまず見えない。もちろん個人の視力によりだいぶ差はあるのだが、それでも1kmの限度があった。2つ、銃器が多い。基本的には建物の中に落ちていることの多い銃を目にした参加者は、それで撃たれることを必然的に想像して動きが鈍っていた。にもかかわらず動き回る参加者は、自分の大切な人が巻き込まれている確信があるか、銃撃をなんとかできる自信があるか、あるいは銃を目にしてないなどで危険性を軽視しているかだ。3つ、誰が参加者かわからない。参加者名簿は無く、オープニングで誰かを見かけても記憶は曖昧にされている。そのせいで積極的に動く動機が薄い。
しかしそれだけの理由があっても、舞は主張を引っ込めることはなかった。結論ありきで考えれば、霧が濃いなら自分たちが見つかる可能性は少ないし、よって銃で撃たれる可能性も少ないし、オープニングで知り合いを見かけた気がするということだ。なにより、彼女は元々拡声器で呼びかけるような真似をしている。そのせいで学校では無く近くのマンションをメインの拠点にすることになったのだが、不都合なことはふっ飛ばして捜索の重要性を強弁していた。
ちなみに仁も仁で同じように拡声器を使っていた。こちらも舞のような対抗意識からではないが、将来の明るさで「まあなんとなるだろ」と思って同調していた。彼としてはこういうグイグイ引っ張っていく人間は、無人島での経験からそんなに嫌いではない。舞も舞で仁のような目の離さない男子の世話を焼く癖があるので、この2人は喧嘩しながらも仲良く捜索を主張した。
現れたのは、ピンクのフリフリドレスの秋野真月、一人だけやけにサブマシンガンを持つ姿が様になっている北条沙都子、黒髪ロングでいかにも委員長という雰囲気を醸し出している一路舞の3名である。
彼女たち3人と仁も、幹太郎たちと同じような経過を辿っていた。すなわち、自己紹介をして、協力して通報などしようとし、駄目とわかると物資を集め、拾い食いで休憩し、武器を持って別の建物を調べるという具合だ。考えることはだいたい皆同じである。というか他にやることもできることも殆ど無い。無いからこそそれを認めてしまっては無力感に殺されるので、何かやることを見つけて動く参加者が多いのだ。
そうして他の参加者を探すことになったのだが、別にこれは全員乗り気というわけではなかった。というのも、4人で同じ行動をしている中で明らかに能力に差があったことがきっかけである。
旅館の跡取り娘として英才教育を受けている真月は、避難所に必要なものやそれを実際に作るノウハウまで持っていた。殺し合いで重要となるセキュリティは、トラップマスターの異名を持つ沙都子の手により落ちていた武器を用いたデストラップにより完成した。
そうなるとつまらないのは仁と舞である。行動力がトチ狂っている仁と根っからの仕切り屋である舞からすると、2人の指図で避難経路を確認したり防犯システムを確認したりワイヤーを張ったり穴を開けたりはつまらない。なんだかんだ楽しんでやってる仁はともかく、自分が2人より劣っているのを自覚してしまった舞は、意地とプライドにかけて2人に比する功績を浴びて委員長スゴイって言われたかった。
というわけで拠点もできたことだし次のフェイズである。舞が主導したのは、自分たちと同じように巻き込まれた人間を探すことであった。
この殺し合いでは、あまり参加者たちは動き回ろうとしない。その理由は3つある。1つ、赤い霧のせいで視界が効かない。まともに見えるのは100mほど。300mまでなら色や輪郭がぼやけるぐらいだが、500mほどまで行くとかなり見えにくくなり、1kmまで行けば発光しているものでなければまず見えない。もちろん個人の視力によりだいぶ差はあるのだが、それでも1kmの限度があった。2つ、銃器が多い。基本的には建物の中に落ちていることの多い銃を目にした参加者は、それで撃たれることを必然的に想像して動きが鈍っていた。にもかかわらず動き回る参加者は、自分の大切な人が巻き込まれている確信があるか、銃撃をなんとかできる自信があるか、あるいは銃を目にしてないなどで危険性を軽視しているかだ。3つ、誰が参加者かわからない。参加者名簿は無く、オープニングで誰かを見かけても記憶は曖昧にされている。そのせいで積極的に動く動機が薄い。
しかしそれだけの理由があっても、舞は主張を引っ込めることはなかった。結論ありきで考えれば、霧が濃いなら自分たちが見つかる可能性は少ないし、よって銃で撃たれる可能性も少ないし、オープニングで知り合いを見かけた気がするということだ。なにより、彼女は元々拡声器で呼びかけるような真似をしている。そのせいで学校では無く近くのマンションをメインの拠点にすることになったのだが、不都合なことはふっ飛ばして捜索の重要性を強弁していた。
ちなみに仁も仁で同じように拡声器を使っていた。こちらも舞のような対抗意識からではないが、将来の明るさで「まあなんとなるだろ」と思って同調していた。彼としてはこういうグイグイ引っ張っていく人間は、無人島での経験からそんなに嫌いではない。舞も舞で仁のような目の離さない男子の世話を焼く癖があるので、この2人は喧嘩しながらも仲良く捜索を主張した。
「──というわけで、お二人にも『殺し合いからみんなで脱出する委員会』に入っていただきたいと思います。」
マンションの一室に通された2人は、目の前に茶菓子を置かれつつ舞にそう切り出された。結局舞に押し切られた彼女たちが最初に見つけたのが、幹太郎たちだったというわけである。ちなみに想志が最初に仁だけ見つけたのは、仁が一人で突っ走ったからだけではない。彼を囮にして反応を見て危なくなったら援護しようと沙都子が言ったためである。あまりにもあんまりな案だが、当の仁本人がノリノリだった上に舞まで賛成に回ったのでまたも真月は押し切られた。
ちなみに言い出した沙都子は、何かあれば仁に流れ弾が行くのも仕方ないと言外に思いつつ言ったことを彼は知らない。
ちなみに言い出した沙都子は、何かあれば仁に流れ弾が行くのも仕方ないと言外に思いつつ言ったことを彼は知らない。
「協力するのは、いいんだけれども……」
そう口ごもる想志の視線の先にあるのは速射砲。
「男手が欲しいんです。」
「なるほどな。」
「なるほどな。」
想志とは別の意味で言葉重く、幹太郎は納得した。
さすがに小学生4人ではあんな大砲はどうにもできなかったのだろう。だが大砲に驚く想志をよそに、幹太郎はこの殺し合いにいる参加者のレベルに表情を渋くした。
妖怪の自分以外は全員人間の子供としか出会っていない。そのことに違和感があった。たとえ銃があろうと、妖怪にはそうそう致命傷にはならない。まして相手が子供ならなおさら。だが大砲は違う。さすがにこれを向けられれば迎撃も防御も回復力任せの突破も無謀だ。確実に死ぬ。
つまりは幹太郎のような一握りの強者と、それをジャイアントキリングすることを期待された多数の弱者という構図。それがこの殺し合いの参加者の間にあるのではと。
さすがに小学生4人ではあんな大砲はどうにもできなかったのだろう。だが大砲に驚く想志をよそに、幹太郎はこの殺し合いにいる参加者のレベルに表情を渋くした。
妖怪の自分以外は全員人間の子供としか出会っていない。そのことに違和感があった。たとえ銃があろうと、妖怪にはそうそう致命傷にはならない。まして相手が子供ならなおさら。だが大砲は違う。さすがにこれを向けられれば迎撃も防御も回復力任せの突破も無謀だ。確実に死ぬ。
つまりは幹太郎のような一握りの強者と、それをジャイアントキリングすることを期待された多数の弱者という構図。それがこの殺し合いの参加者の間にあるのではと。
「かまわないよ、なあ?」
「はい、みんなで協力したら、なにか変わるかもしれませんしね。」
「ありがとうございます。それではお二人の入会を──」
「はい、みんなで協力したら、なにか変わるかもしれませんしね。」
「ありがとうございます。それではお二人の入会を──」
舞の声を遮るように、突如爆発音が響いた。
「──ちょっと待ってくださいね。」
「大変だ! トラップゾーンに車突っ込んできた!」
「本原くん! 人が話している途中に──」
「そんな場合じゃねえだろ沙都子が作ったトラップがドーンて!」
「確認してくる。」
「一緒に行きます。」
「大変だ! トラップゾーンに車突っ込んできた!」
「本原くん! 人が話している途中に──」
「そんな場合じゃねえだろ沙都子が作ったトラップがドーンて!」
「確認してくる。」
「一緒に行きます。」
仁ともめる舞を置いて、2人はマンションの出口へと急ごうとした。途中で床に貼られたテープからそれてショートカットしようとしてワイヤートラップを踏みそうになったり、ショートカットしようとして天井に吊り下げられたモップを寸前で躱したり、ショートカットしようとして謎の水風船により幹太郎の腕が洗剤まみれになったりしつつ、結局テープ通りに歩いてマンションを出る。さっきの交差点に出れば、軽トラが1台横転していて、2人の後ろから沙都子と真月も駆けてきた。
「さっきの手榴弾の罠に引っかかったのか?」
「幹太郎さん、その腕は……順路から外れましたね? テープの貼られている床以外は危険だと教えましたのに。」
「君のトラップをあまく見てたよ……」
「でもあれはやりすぎなんじゃ……」
「あら想志さん、ちゃんとテープをはっていたのに無視されたのはそちらでしてよ。」
「そっちじゃなくて、あの軽トラの……」
「あっちだってちゃんとテープをはっていますでしょう。」
「この霧じゃ見えなくないかな?」
「見えてから気づいても、車って止められないんじゃないか?」
「……失念してましたわ。」
「──はっ! それよりみなさん! 車の人を救助に行かないと!」
「幹太郎さん、その腕は……順路から外れましたね? テープの貼られている床以外は危険だと教えましたのに。」
「君のトラップをあまく見てたよ……」
「でもあれはやりすぎなんじゃ……」
「あら想志さん、ちゃんとテープをはっていたのに無視されたのはそちらでしてよ。」
「そっちじゃなくて、あの軽トラの……」
「あっちだってちゃんとテープをはっていますでしょう。」
「この霧じゃ見えなくないかな?」
「見えてから気づいても、車って止められないんじゃないか?」
「……失念してましたわ。」
「──はっ! それよりみなさん! 車の人を救助に行かないと!」
ヤッベという顔をする沙都子にドン引きしていた真月は、ふと思い出したように言った。急いで6人全員で向かおうとして、一番最後に来たのに先頭を走っていた仁がくくり罠に引っかかり電信柱に吊り上げられる。
「ぬおおおおおおお!?」
「テープの貼ってあるところを歩いてっていいましでしょうに!」
「テープが張ってあるの向こうだろぉ!」
「貼ってある地面を見なさい!」
「空中に張ってあるのに!?」
「こっちは私たちでやっておくので、真月さんたちは軽トラのほうを!」
「テープの貼ってあるところを歩いてっていいましでしょうに!」
「テープが張ってあるの向こうだろぉ!」
「貼ってある地面を見なさい!」
「空中に張ってあるのに!?」
「こっちは私たちでやっておくので、真月さんたちは軽トラのほうを!」
そう言い舞も、仁の救助をしている沙都子の手伝いに向かい、6人があっという間に3人になり、慎重に一歩一歩近づく。途中で想志が立ち入り禁止テープの陰に張られたワイヤーを踏みかけて危うく全員手榴弾で爆死しそうになったものの、なんとか幹太郎たちは無傷で軽トラへと近づけた。
「陰にかくれてる上につや消しのグレーまで塗ってあったぞ……あの子確実に殺しに来てないか?」
「幹太郎さん! 中に人が! ううん、人かなあ……」
「これは……着ぐるみ?」
「幹太郎さん! 中に人が! ううん、人かなあ……」
「これは……着ぐるみ?」
愚痴る間もなく呼ばれて近づいた幹太郎が目にしたのは、グッタリした梨だった。
「なんなんだ次から次からもう!」
キャラを崩壊させながらも、幹太郎は呆然とする2人に代わって、横転した軽トラに登ると、助手席のドアを開ける。木の妖怪である彼からすれば、謎の梨の匂いのする着ぐるみだか妖怪だかには人間よりも抵抗が薄い。
「うぅ……生きてる……生きてる?」
「ほら、手を伸ばせ。」
「ほら、手を伸ばせ。」
意識がある運転席の梨に、幹太郎は手を伸ばした。
2人の手が繋がれる。
ぬるり。
幹太郎の腕にかかった洗剤によって、滑って手が離れた。
2人の手が繋がれる。
ぬるり。
幹太郎の腕にかかった洗剤によって、滑って手が離れた。
「さっきの罠のやつ!」
「代わります!」
「代わります!」
なんとか梨を引っ張り上げる想志。いまさらながら木の妖怪だけあって普通の人間よりも洗剤への抵抗が弱くなんか体調が悪くなっていく幹太郎。いまだ目の前の梨に困惑する真月。
(誰か……誰かミーを……助けてちょ……)
そして軽トラの陰で、縛られたまま荷台に載せられていた男、イヤミはしめやかに気絶した。
【0300 『南部』小学校近くのマンション】
【幹太郎@妖界ナビ・ルナ(3) 黒い森の迷路(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
脱出する。
●中目標
この世界は地獄じゃないのか?
●小目標
なんか気持ち悪いな……
【目標】
●大目標
脱出する。
●中目標
この世界は地獄じゃないのか?
●小目標
なんか気持ち悪いな……
【本原仁@そんなに仲良くない小学生4人は無人島から脱出できるのか!?@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
脱出する。
●小目標
おろしてくれえええ……
【目標】
●大目標
脱出する。
●小目標
おろしてくれえええ……
【北条沙都子@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第三話 祟殺し編 下(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●中目標
部活メンバーと合流する。
●小目標
じっとしなさい!
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●中目標
部活メンバーと合流する。
●小目標
じっとしなさい!
【一路舞@黒魔女さんが通る!! PART 6 この学校、呪われてません?の巻(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
自分がリーダーになって脱出する。
●中目標
いないとは思うが真月や沙都子だけに活躍されるのは悔しいので、巻き込まれている知り合いがいないかいちおう探す。
●小目標
暴れたらおろせないでしょう!
【目標】
●大目標
自分がリーダーになって脱出する。
●中目標
いないとは思うが真月や沙都子だけに活躍されるのは悔しいので、巻き込まれている知り合いがいないかいちおう探す。
●小目標
暴れたらおろせないでしょう!
【秋野真月@若おかみは小学生! 映画ノベライズ(若おかみは小学生!シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
脱出する。
●中目標
知り合いが巻き込まれていないか探せる体制を作る。
●小目標
この梨は……?
【目標】
●大目標
脱出する。
●中目標
知り合いが巻き込まれていないか探せる体制を作る。
●小目標
この梨は……?
【ラ・フランシス@ふなっしーの大冒険 きょうだい集結! 梨汁ブシャーッに気をつけろ!!(ふなっしーの大冒険シリーズ)@小学館ジュニア文庫】
●大目標
殺し合いからの脱出。
●小目標
なんだ……なんで突然爆発した……?
●大目標
殺し合いからの脱出。
●小目標
なんだ……なんで突然爆発した……?
【イヤミ@おそ松さん 六つ子とエジプトとセミ@小学館ジュニア文庫】
●大目標
優勝を目指す。
●中目標
拘束から脱出する。
●小目標
ちょっと待つザンス! ミーの今回の出番これだけザンスか!? せめて存在気づくところまでやってh
●大目標
優勝を目指す。
●中目標
拘束から脱出する。
●小目標
ちょっと待つザンス! ミーの今回の出番これだけザンスか!? せめて存在気づくところまでやってh