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  • 燎原の火

児童文庫ロワ

燎原の火

最終更新:2025年01月29日 04:10

jidoubunko1

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だれでも歓迎! 編集
 磯崎凛はそれなりに不思議なことに首を突っ込んできたが、あくまでそれなりに、だ。
 彼の妹、蘭が能力者というのもあって何度か奇妙な冒険をしたことはあるが、彼自身は概ね一般人である。柔道の腕には自信があるが、それも高校生の部活の域を出るものではない。
 つまるところ、普通の人だ。言葉通りのモブと言ってもいい。
 いや美少女中学生からアプローチかけられてるわ、やっぱコイツ普通じゃねえわ。

「なんなんだよこの急展開、こりゃまいったなあ。」

 さて、自衛隊の基地ともなれば当然に医務室ぐらいはある。竜堂ルナ(の姿をした式神)の襲撃を受けて負傷した四宮かぐやと春野百合の両名を担ぎ込んで手当していたところに現れた一団に、凛があっけにとられたのは今から十数分前のことだった。

「9人は、どういう集まりなんだっけ?」
「いやオレらもわからねえ……」「なんか突然腹パン食らった……」

 全員腹部を抑えてよろめいていた少年少女たちだった。彼らは黒鬼(と自称している金谷章吾)の襲撃を受けた後、相原徹が見つけていた医務室に移動あるいは逃走していた。というのも、襲撃者である黒鬼は彼らを叩きのめしたあと大場大翔なる人間を探すように命じてきたからである。言いたいことだけ言った彼は銃を持って追い立て、強制的に9人はダウンから立ち直させられた。

「ていうかよぉ、なんか、ドラゴンいるんだけど。」

 おにぎり頭の少年──彼が小嶋元太という名前だとわかるほど、凛は情報交換できていない──の当然の疑問に、横の利発そうな眼鏡の少年──やはり彼が江戸川コナンという名前だと知る由もない──も、その横のきぐるみを見ながら言う。

「それに、あのマスコットも参加者なの?」
「ああ、そうなんだけど……その辺詳しく聞いてないっていうか、なんなのか聞きたいのはこっちだっていうか……」
「遊! やっぱりここに……」
「ああなんかあっちで話進んでる。」

 合計十四人もの人間がひしめき合っている医務室はもちろん混乱状態であった。
 それでも、彼ら2つのグループが共に襲撃を受けた直後であったにもかかわらず何事もなく同じ施設を使えているのは、どちらも軋轢だ警戒だなどとやっている余裕が無く、また互いに集団なのだからと心配も薄れたためだ。
 言ってしまえば、彼らは殺し合いということをあまりリアリティを持って受け止めていなかった。殺されずに追い立てられた9人も、もともとそういう気質ではない凛たちも(とはいえ、これはそんな気質を持つ人間がろくに会話できる状態でないことが主だが)、互いを災害に巻き込まれた被災者のようにみなしている。突然凶器を与えられて殺し合えと言われてもそんなことをする人間はいないだろうというバイアスが働いていた。

「■■■■■?!」
「とりあえずキツく縛っとくなっしな。」

 そしてなにより、キ・キーマとふなっしーの姿を見てとても殺し合いに乗っているとは誰も思わなかったのだ。ゲームから抜け出してきたようなリザードマンと、フラフープのような巨大な首輪が付けられたきぐるみっぽい地方のゆるキャラを見て、まともに殺し合いをさせる気だと考えるほど常識外れの想定をできる人間がいなかった。

「……とにかく、手当てが終わったら早くここを出よう。またアイツが戻ってくるかわからない。」

 痛みがいくらか引き、落ち着いてものを考え出せた相原は、傍らの元太とコナンを見ながら凛に言った。モンスターと怪我人の少女たちを除けば、消去法で凛がグループのリーダーと見越しての判断だ。そもそも互いに名前すら聞けていないので、判断材料が極端に少ない。
 一方話を振られた凛はなんのことだかわからない。彼らに何らかの事情があるらしいが、誰も黒鬼に襲撃されたことをこの時点まで伝えていなかったのである。そもそも9人のうちまともに意識があったのは数名で、その数名も銃撃されながら手近な動けぬ同行者を連れてくるので手一杯だった。そして彼自身もつい先程まで怪我人の手当てを手伝っていたので状況の把握ができていない。ようやく彼が落ち着いて話せるようになったのは、やけに応急処置が上手いと素人目に見ても明らかなキ・キーマなどの尽力と、もう一人のためである。

(撃たれたにしては止血が早すぎる。かすり傷だったのか?)

 訝しむコナンの視線の先にいるのは、彼とともに腹パンされたサネルという少女だ。キ・キーマほど洗練された動きには見えないが、彼女が手当てしてからかぐやと百合の調子が良くなったように見える。
 どんなトリックなんだとは思うが、それよりもこれから先どうするか、だ。
 コナンとしては相原の言うとおりに基地から出ていくというのは避けるべきだと考えている。あてのない森を往くのも、あんな危険人物を武器が山積している基地に放置するのもリスクが大きすぎる。もちろんまた襲われるリスクはあるのだが、あの時殺せたのに殺さなかったことから交渉は可能だと読んでいた。
 殺し合えと言われても殺し合いに乗らず、人を探すように命じてくるだけというのは、暴力的でこそあったが理性を感じさせるものだ。
 さてどう相原を子どもらしく説得するか、そう考えたところで、コナンは凛の言葉に素に戻った。

「よくわからないが、そうだな。こっちもいつどっから襲われるかわからないし、こんな所にはいられない、早く逃げないと。」
「……あれれ? お兄さんたちもあの鬼みたいな人に襲われたの?」
「鬼? いや、たしか小学生の女の子だったはず……なんだけど、あの子が撃ったってのも変なんだよなぁ。」
(おいおい、てっきりアイツに別のところで襲われたのかと思ってたら違うのかよ。)

 ここに来てコナンはようやく認識のズレに気がついた。隣の元太はともかく、相原も合点がいったという顔をする。
 これまでコナンたちは当然のように凛たちも黒鬼に襲われたものだと思っていた。同じ基地にいたから同じタイミングで襲われたのだろうと。銃撃されたという2人がいることもそれに拍車をかけた。撃たれてはいるが命に別状がない程度の怪我というのは、アイツが狙ってやったのだろうと。
 だが容疑者像がまるで違うとなればその前提は無くなる。なぜ凛たちは女子小学生に襲われたのか? 知り合いのような口ぶりなのか? 襲われたタイミングが同じなのは単なる偶然か? その女子小学生と黒鬼はなにか関係があるのか? 凛が嘘をついている可能性、勘違いしている可能性、あるいはさらに別の可能性は?

(手がかりが少なすぎる。推理するにはやっぱり、最低限の自己紹介から──)

 ジリリリリリ。

「うおっ!? なんだなんだ火事か?」

 思考の海に入り込みそうになるコナンを引き上げたのは、突然鳴り響いたベルだった。素っ頓狂な声を上げる元太に、己の視野が狭くなりかけていたことを悟る。

(誤報、いやまさか!)

 探偵としての勘など使わなくても嫌な予感を、コナンは感じずにはいられなかった。


「おいおいおいおい、次から次からなんなんだよ!」

 一方こちらはリザードマンことキ・キーマ。一人だけ言葉の通じない彼は、突然響いた聞きなれない火災報知器の音に驚きながらもしっかりと包帯を巻きつけ終えた。
 キ・キーマは幻界と呼ばれる世界の住人だ。まるでファンタジーRPGのような世界で、現代日本から異世界転移してきた三谷ワタルという少年と共に冒険してきた。
 水人族という種族に250cm超という長身を活かして前衛を務めるが、運送業者という独り旅の職柄から応急処置にも心得はある。ゆえに、彼と共に怪我人の手当てをしたサネルの手際に舌を巻き終わる間もなく、異常な音に敵襲を警戒した。
 キ・キーマは銃創というものに詳しくはないが、少なくとも包帯をキツく巻いたぐらいでは止血は難しいと見ていた。しかし彼女が手当をすると不思議に傷が小さく見えたのである。思わず魔法を疑うが、そこに響くのは火災報知器のブザー。冷静に考察などさせてくれない。

「おいリン! こっちは終わったが、こりゃなんなんだ?」
「■■!? ■■■、■■■■。」

 得物である斧を片手に百合たちを指差し、次に手を広げ回す。言葉が通じないのでなんとかボディランゲージを使うと、もとからキ・キーマが慣れているからか凛の察しがいいからか、武器を置くようなジェスチャーを返してきた。
 この建物のことは自分より凛たち言葉が通じない者たちのほうが詳しいようなので素直に従う。おそらく敵襲ではないのだろう。だがその割に凛と話していた子どもたちの顔は険しい。特に大柄で丸刈りの子ども──もちろん、言葉の通じないキ・キーマに、彼の名前が元太などとわかるはずもなかった──など、傍らの子どもに慌てた様子で話しかけている。

「なあコナン、これって火事のときのベルだよな?」
「誤報というのは都合が良すぎる、やられたか?」
「ああ元太、火災報知器のベルだ。さっきのことを考えるなら、相原さんの言うとおり──」
「俺たちを追い立てるためか。」

 相原の言葉にコナンは頷いた。
 まさかとは思ったが、先の体験から考えられることは一つだ。あの黒鬼と名乗った少年が、自分たちをこの基地から追い出すために火を点けたと。
 黒鬼は人を探させようとしていた。殺せるはずだったのにそうせず手加減して追い立てたということは、よほどその人物を見つけたいといったところか。少なくとも、こうして一室に10人も20人も集まって動かずにいるのは好ましくないのだろう。
だからといって放火までやるのかとは思うが、それならそれでこの基地から危険なものがいっそ燃えてくれればと思うことにした。
 コナンが襲われたにもかかわらずこの基地から立ち去ることを好としなかった理由はいくつがあるが、その中でも最も大きいものは、危険人物に自衛隊の兵器を確保されることだ。いかに探偵といえども軍隊の武器を持つ相手など手におえるものではない。ましてや生身であれだけ強い相手に武装されればまさしく鬼に金棒だ。

(探偵が放火を喜ぶなんてな。)

 自嘲するが、警察も何もないこの場で、コナンにできることなどたかが知れている。そのためにみすみす犯行を見逃すなど忸怩たるものはある。
 本音を言えば、黒鬼の狙い通りに動くことの危機感も問題も、無視しがたい。
 だがそれで元太を始めとした人間を危険に晒すことなどできないのも、また探偵として当然だった。

「相原さん、とにかく火事か調べようよ。」

 いま自分にできることをしない理由など何もない。まずは目の前のことを一つずつ解決しようと動き出した。


「遊! やっぱりここに……」
「明莉! いたた……」

 次元遊がその声を聞いた時に覚えたのは、安堵7割に焦り2割、そして怒り1割だった。
 遊と明莉は幼なじみだ。そしてついこの間は命がけの状況に追い込まれたりもした。あんな経験はもう二度とゴメンだと思ったのだが、どうやらそうはいかないらしい。二度あることは三度あるというが、目をつけられてデスゲームにぶち込まれるようになったようだ。

「大丈夫なっしか?」
「はい、ちょっと殴られたところが……」

 心配そうに声をかけてきたふなっしーに返事をしながら、この人もきぐるみを着たまま大変だな、あれ脱いだら首輪が作動するんだろうな、などと妙に冷静に考えてしまう。ふなっしーに中の人なんていませんよ?

「明莉、ヒカルは?」
「わからない、でも、私たちがいるってことはあの時みたいにまた巻き込まれてるかもしれない。」
「だよね。それにクラスのみんなも……」

 さすがに幼なじみだけあって、考えることは同じだ。ここにはいないもう1人の幼なじみのことがまず2人の頭に浮かぶ。この前の迷宮教室と同じ人間が巻き込まれているとしたら、一番に心配になるのは彼だ。

ジリリリリリ。

「うおっ!? なんだなんだ火事か?」

 だがそんなことをゆっくりと考えさせぬと言わんばかりに、火災報知器が鳴り響いた。次から次からと思うが、もうそういうものだと割り切る。経験が2人を素早く動かさせた。

「まずいなっしな……誰か車椅子とか見てないなっし! この子たち運べるようにしないとなっし!」
「私は大丈夫です……」
「動くと傷が開くなっし、安静にするなっし。」
「うう……灯子ちゃん、いたいよ……」
「百合ちゃん、しっかり!」
「ありました!」

 ふなっしーの呼びかけに、明莉は事前に見つけておいた車椅子を転がしていく。これを探していたので遊に気づくのが遅れたが、そのかいあって手当の終わった四宮かぐやと春野百合に足を用意できた。「ありがとうございます!」と百合に灯子ちゃんと呼ばれた少女、宮瀬灯子が半泣きで頭を下げるのを、遊は半ば呆気にとられつつ見ていた。
 幼なじみながら、明莉の気配りや目はしの効きかたは自分にはないものだ。この場でも冷静に2手3手先を読んで、何が必要になるかを先読みして行動している。頭の良さというのもあるが、大人よりも先に動けているその姿は遊からするとなんか超能力とか持ってるんじゃないかと思うぐらいずば抜けている。

「やっぱり頼りになるな……ようし! あの、何かできることありますか!」
「え? あ、じゃあ灯子ちゃんと一緒に百合ちゃんを運んで。えっと……」
「次元遊です。」
「遊くんね。私はサネル。それじゃあお願い。」

 サネルと名乗った手当をしていた少女は、そう言うと黒鬼に襲われた人の方を診に行く。痛むのか、自分と同じように腹部を抑えながらも他人を助けに行く姿が、明莉と重なった。
 自分がなぜ襲われたのか、黒鬼の目的は何なのか、また襲ってくるのではと考えている間に彼女は怪我人を癒やしていた。またも自分の想像を超える働きをしている人に圧倒される思いをする。

(明莉にサネルさんにふなっしー、すごい人がこんなに。これなら、今回だって絶対なんとかできる。そうだろ、ヒカル。)

 心の中でここにはいない幼なじみに呼びかけると、遊は百合の車椅子をしっかり掴んだ。


「うっ……ここは……」
「起きたか。星乃さん、動かないほうがいい。」
「君は……そうだ、殺し合えってウサギに言われて……小狼くんに会って……いたた!」

 そしてこの場で最後まで気絶していた少女、星乃美紅は火災報知器の騒音で目覚めた。心配そうに声をかけてくる李小狼がはじめ誰だかわからず、ついで己が今置かれている状況を思い出し、黒鬼に殴られたことを痛みと共に理解した。

「そう……だった……あれ、でもなんで無事なんだろ……?」
「アイツは……黒鬼は俺たちを見逃したんです。『オオバヒロト』を探させるために。」
「『オオバヒロト』……そういえば、そんなこと言ってたかも……」

 この場で最も長く黒鬼と交戦したのは美紅である。そのせいで意識を失うまで殴られたので記憶は曖昧だが、言われてみればそんなことを言ってた気もするししない気もする。

「男の子の名前だよね。家族とか、友達なのかな。」
「探させるために脅して襲ってきたんだ、敵なのかもしれない。」
「それだけ必死だったんじゃないかな。どんなことをしてでも見つけたいぐらい。もう一度会えれば──」
「大丈夫──そうかな。よかった、意識が戻ったみたいで。骨は折れてないみたいだけれど、傷が深かったかもしれない。」
「サネルさん。俺たちに手当してくれた人です。」
「あ、どうも、いてて。」
「まだ動かないで。えっと、遊くん! 車椅子?ってまだある?」
「はい!」

 頭を下げようとして腹筋の痛みに悶絶する。痛みを堪えながら素肌を見ると、青あざができていた。
 思わず悲しげに小狼へと言う。

「あと残ったりしないかな? 夏服着るときどうしよう?」
「……すみません。俺、こういう時なんて言えばいいか。」

 姉が何人もいるのに、年上の女性にこんなことを聞かれると気の利いた言葉が出てこない。恥ずかしさもあって視線をそらすと、車椅子を持ってくる明莉と目が合った。

「車椅子持ってきました。体起こしますね。」
「大丈夫、自分で立て……イテテ。」
「無理しないでくださいね、美紅さん。」
「助かる君野。」
「小狼くんもだよ。みんなと違って頭を殴られたんだから。私を庇ってくれたって。」
「いや、お前なら何もしなくてもあの時はかわせてた。それに一時的な脳震盪だ。」
「脳震盪は一番重症だよ!」
「平気だ、このぐらいならな。」

 脳震盪の重さは身体でわかる。格闘技の経験に加えてクロウカードの封印の為に積んできた冒険の経験値から小狼はそう言うと、立ち上がってフラついた。

「小狼くん、やっぱやめといたほうがいいと思うよ。」
「平気だ。ほら、俺が押す。」
「私がやるよ。」
「お前だって殴られただろ。」
「私は小狼くんみたいに気絶してないもん。」
「ぐ……」

 本当は明莉も一時気絶していたが、小狼が気を失ってから目覚めるまでの間なので、小狼には反論することができない。
 それでも言い返そうとして、慌てた様子で戻ってくる少年たちの声で遮られた。

「火事だ!」



「──お前が火を点けたな?」
「ほう……鬼か。いや、もどきか。」
「おいおい会話のキャッチボールをしろよ。」

 黒鬼、そう名乗る金谷章吾は、言い終わるやいなや飛びかかる。それを危なげなく躱すと、透門沙李は印を結び、式神が飛ぶ。章吾が手刀でそれを破けば、はらはらと元の紙へと戻った。

 基地での火災は、章吾によるものではない。それは襲った連中を追い立てていた章吾が一番わかっていた。彼が適当に銃撃していると、突然離れた位置で火の手が上がるのを目撃し、それはしばらくすると基地の建物へと延焼した。
 はじめは基地内に他の人間がいるのかと思ったが、その人間である凛たちを捕捉して、違和感を覚える。怪我人を担ぎ込んでいるのに放火は考えにくい。なら、彼らを襲った者がいるも考えるのは自然な流れだった。

「下の上、あたりか。」
「たく……こういう力を使える奴ってろくなのがいないな。」
「少し遊んでみるか。」

 沙李に章吾と会話する気は無い。ただコイツは竜堂ルナへの嫌がらせにどの程度使えるかを試してみたくなった。
 再びの陰陽術により式神が飛ぶ。舌打ちしながら章吾は自分の体の周囲を飛ぶそれを払い落としにかかるが、今度は腕のリーチ外のためまとわりつく式神に届かない。そうこうするうちに死角となる脳天から銃剣が真っ直ぐに自由落下する。術は感覚で探知することができても重力による物理攻撃はかわせまいと考えたが。

「いいな、これなら届く。」
「ふうむ、中の下、あたりか。」

 勘が鋭い。払い落とすために視線を動かす中で視界の端に捉えたのだろう、わずかな危機を逃さずに頭に刺さる寸前で銃剣を掴むと、それで式神を打ち払う。
 沙李ば評価を改めながらまた後方へと飛んだ。

「鬼ごっこが好きなのか? 俺は今年嫌いになった。」
(疾いな。)

 追い縋る章吾の刺突を、空中に飛び上がり躱す。翼を拡げ羽ばたこうとするところに式神を纏わりつかせる。

「ちっ。」

 章吾が顔を上げたときには、既に沙李はいなかった。


「遊びが過ぎたな。まあいい。竜堂ルナの当て馬にしよう。」

 空を舞う沙李はひっそりと基地の隊長のソファへと戻る。
 彼女が火を点けた理由は至極簡単にして章吾とも被る。参加車を広範囲に動かしたいからだ。
 章吾は大場大翔を探すため、沙李は竜堂ルナの悪評を流すため、こんな安全な場所に大集団で固まられると困るのだ。
 だから燃やすことにした。戦車や装甲車など沙李には使えないし、だったら他の誰かにも使えないよう燃やしてやろうと。
 彼女の根底にあるのは竜堂への呪詛である。そのために百を越す年月を生きた100年の魔女、それが彼女だ。
 それは死んでも治らない。否、死してなお呪いは強くなる。竜堂ルナをぶっ殺す。苦しみ抜かせて殺す。そのためならルナの弟を無理やり操り闘わせることも厭わない縦横無尽の外道である。

「殺し合いの蠱毒で見逃してやるのだ、犬は働けよ。」

 沙李はそう言いながら基地から出ていく戦車やジープを見送る。まさかあれを動かせる人間がいるとは、ハワイで親父に習った人間がいるとは予想外だが、まあ乗り物に乗っている方が足は速いので良いだろうと思いなおす。
 全ては竜堂ルナを殺すため。いるかどうかもわからない相手を貶めるために血道を上げる。
 憎悪の化身の奸計が燎原の火の如く拡がり始めた。



【0208 自衛隊駐屯地】


【磯崎凛@宇宙からの訪問者 テレパシー少女「蘭」事件ノート9(テレパシー少女「蘭」事件ノートシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
 何が起こっているか調べて、みんながいたら一緒に家に帰る。
●中目標
 蘭たちを探す。
●小目標
 基地から脱出する。

【小嶋元太@名探偵コナン 紺青の拳(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 何が起こっているか調べて、脱出する。
●中目標
 コナンについていく。
●小目標
 腹痛え……

【相原徹@ぼくらのデスゲーム(ぼくらシリーズ)@角川つばさ文庫】
●大目標
 殺し合いから脱出する。
●中目標
 仲間を探す。
●小目標
 基地から脱出する。

【江戸川コナン@名探偵コナン 紺青の拳(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 何が起こっているか調べて、脱出する。
●中目標
 元太のような知り合いを探す。
●小目標
 基地から脱出する。

【君野明莉@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
 ヒカルとかが巻き込まれてたら合流して脱出する。
●中目標
 オオバヒロトについて調べる。
●小目標
 基地から脱出する。

【キ・キーマ@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
 もしかしてこれが『旅人』か? 言葉通じないのは厳しすぎるだろ!?
●中目標
 ワタルたちは巻き込まれちゃいないだろうな?
●小目標
 なんだぁこの乗りもんは!?

【ふなっしー@ふなっしーの大冒険@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 これドッキリじゃないなっしな……
●中目標
 こんなんバラエティじゃないなっし!
●小目標
 火はシャレにならないっし。

【次元遊@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
 みんなで脱出する。
●中目標
 オオバヒロトって誰?
●小目標
 基地から脱出する。

【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
 何が起こっているか調べて、脱出する。
●中目標
 基地から脱出する。
●小目標
 傷の治りがやけに早いような……

【春野百合@黒魔女さんが通る!! PART 6 この学校、呪われてません?の巻(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
 なにこれ、ドッキリじゃないの?
●中目標
 なんで百合がこんな目に……
●小目標
 基地から脱出する。

【宮瀬灯子@黒魔女さんが通る!! PART3 ライバルあらわる!?の巻(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
 弟や妹を見つけ出し、この殺し合いの場から脱出する。
●中目標
 基地から脱出する。
●小目標
 百合ちゃん……

【サネル@新妖界ナビ・ルナ(5)刻まれた記憶(妖界ナビ・ルナシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
 ルナや姉のように自分も戦い、殺し合いを止める。
●中目標
 灯子の家族を探す。
●小目標
 基地から脱出する。

【星乃美紅@小説 魔女怪盗LIP☆S(1) 六代目夜の魔女!?@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
 とりあえず何が起こってるか調べる?
●中目標
 みんなが巻き込まれてないか調べる。
●小目標
 おなか痛い……

【李小狼@小説 アニメ カードキャプターさくら さくらカード編 下(カードキャプターさくらシリーズ)@講談社KK文庫】
【目標】
●大目標
 殺し合いを止める。
●中目標
 さくらや他の大切な人が巻き込まれていたら守る。
●小目標
 基地から脱出する。

【金谷章吾@絶望鬼ごっこ 決着の地獄小学校(絶望鬼ごっこシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●小目標
 大翔と決着をつける。

【透門沙李@妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
 竜堂ルナに復讐する。
●中目標
 優勝する。
●小目標
 竜堂ルナに悪評を向けさせるためになんでもする。

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