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  • CO~~カミングアウト~~

児童文庫ロワ

CO~~カミングアウト~~

最終更新:2021年08月01日 19:09

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だれでも歓迎! 編集
「くそっ、間に合わなかったか。」

 一ノ瀬悠真は、小林聖司の死体を前に悔しげに言うと、マンションの廊下を中腰で走る。外に面しているとはいえ既に煙は廊下を黒く染め、容赦無く熱と一酸化炭素をその場にいるものに浴びせかけていた。
 火元に近いこともあってか、悠真が駆けつけた時には既に聖司はこと切れていた。彼が名も知らぬその男子は、窒息なのかそれとも爆発による怪我かは不明だが、血の気の無い顔をしていて息をしなくなっていた。心臓が止まってから数分以上は経っていることが悠真にも察せられる。弟が入院している都合、よく病院に行くからわかる。これが死相というものだろう。生きている人間には無い色をしている。実際に死体を見たことなどないけれど、救急車も警察も呼べない今、自分が彼を助けられないことはわかった。
 スプリンクラーが水を降り注がせるのを鬱陶しく思いながら、階段の前で止まる。このマンションの今までの階に逃げ遅れた人間はいなかった。火事が起きている部屋より下だから、逃げられたのだろう。なら残っているのはのここから上。

「……手遅れ、か。」

 同じ階でもこの煙だ。上階がどうなっているのかなど、文字通り火を見るより明らかだ。馬鹿と煙は高いところに登るということわざもあるが、防災訓練等でイメージするそれよりも何十倍もの速度と威力で、触れれば火傷は免れない黒い死が立ち昇っている。仮に負傷者を見つけたとして、助けられるかと言われれば、ノー。
 火にあぶられてどこかの部屋に置かれていた銃が暴発したのかけたましい爆音が響く。迷っている時間は無い。これだけの炎なら、自分も逃げられるうちに逃げておかないとまずい。
 結局、誰も助けられなかった。奥歯を一度強く噛みしめると、呪文を唱える。
 少しして悠真の姿は、マンションから消えていた。



 弱井トト子が引き金を引き、十名以上の人間が銃撃戦を繰り広げた住宅地の一画から、徒歩数分のところにあるやや大きめの雑居ビル。
 その一階部分は、地下への階段となっている。
 まさかそこが地下鉄への入り口などとはこの街を往く参加者も気づかないだろう。一応、付近には駅への案内があるし、当のビルには小さいが地下鉄の看板もあるのだが、土地勘のない街でいつ撃たれるかわからない中ろくに地下鉄に乗ったこともない人間も多々いるという事情を考えれば、そこに気づける参加者というのは僅かだ。
 そして地下へと降りると、広がっているのは地下街である。
 地下一階は一つの都市区画と言えるほどの広さで、モノレールや電車の駅ビルとそれぞれ繋がっている。それぞれに乗り換えるには端から端まで歩かねばならずその距離は都市部の路線の一駅分ほどもあるが、一応これで一つのターミナル駅だ。この街に住人がいればさぞ面倒な通勤通学だろう。
 地下二階は地下鉄の改札とホームがある。こちらは上階とは打って変わって没個性的な地下鉄だ。面白みのない作りに、後付されたようなバリアフリー、天井の一部からは雨漏りもしている。白線の内側の黄色い点字ブロックにこびりついたガムに視線を落としていた氷室カイは、傍らに歩み寄ってきたダイナマイトを手に持った幼女、大形桃に肩を叩かれて顔を上げた。つまらないデザインの時計は1時を指している。時刻表を見上げる。終電は1時数分前。どうやら地下鉄は動いていないようだ。もっとも、今が夜なのか朝なのか、あの空では判断がつかないのだが。

(赤い空、赤い霧、記憶の混濁、首輪――本の中の世界、か。)

 気弱な外見とは裏腹に、その脳細胞は猛回転をしている。
 氷室カイ。世界的に大人気なクイズゲームアプリ『Qube』のトップ50プレイヤーの彼は、掌の拳銃を一瞥して考える。
 今まで自分が味わったことの無い謎、それが目の前にある。これに興奮せずにはいられない。2週間前のフューチャーワールドでの100億円と十万人の命を巡った戦いよりも更に上を行く恐ろしさ。
 自然と笑みが溢れるのを堪えながら、カイは桃の後へと続いた。



「……ン~~……よし、戻った。」
「あ、悠真さんの意識が戻りました。」
「すごいね、確実に気絶していたのに、時間通りに起きた。」

 地下街にある喫茶店のベンチシートで覚醒した悠真に、渡辺イオリとエンムが声をかける。
 現在時刻は1時過ぎ。予め悠真が意識を取り戻すと宣言していた時間である。
 彼が確実に気絶していたことは、イオリが確認している。目を開き瞳孔にライトを当てたところ瞳孔が小さくはなれど、正常ならば起こるような反射的な瞳の動きが無かった。それは自身を医者と言うエンムも確認するところで、にもかかわらず時間通りに目覚めるというのは通常では考えられない。
 そのことが、イオリにこれまでの考察の確からしさを実感させる。

「戻りましたぜ。」
「はう~~、ステファニーちゃん、変な人ばっかだね~~。」
「……」

 次いで三人の人物が喫茶店に現れる。
 黒ずくめの男に、甘ロリの少女に、古代中国人っぽい男。
 更にその後から桃とカイが店内に入ってきた。
 都合8名。バトロワ開始より1時間で集まった人数としては多いと言えるだろう。この内、新顔である中国人以外はそれぞれ情報交換を済ませていた。その成果が店のテーブルに広げられたポスターの裏紙に書かれている。
 イオリは全員を見渡すと言った。

「では、悠真さん、もう一度お願いします。」
「ああ。カイさんが手に持ってたのはリボルバーとか、ピストルとか、なんかレンコンみたいな部品のある銃。桃が持ってたのがダイナマイト。イオリが持ってたのが工具箱か? で、エンムさんが持ってたのがなんか挟むやつ。魚塚さんが持ってたのがショットガンで、宮野が持ってたのがうさぎのぬいぐるみ。カイさんと桃は地下鉄がちゃんと来るかの話をしてて、イオリとエンムさんは俺の体をいじってた。スネをあんなに強く叩くなよ、なんかまだ痛いんだけど。で、えーっと、魚塚さんと宮野が喋る内容思いつかなくてしりとりしてた。宮野がり攻めしてたな。その後、煙が上がってることに魚塚さんが気づいて、俺は火事が起きてるマンションに行ったんだ。火元の近くで、男子が一人死んでた……」
「……私たちのバディは合っています。」「と言っても、俺達はずっと一ノ瀬の近くにいたから当たっていてもおかしくはない。君たちは?」
「あ、当たっています……」「すっごーい! 手品みたい!」
「……オイオイマジかよ。どんなトリックだ……?」「と、盗聴器、それとも、ドッキリ?」「……?」
「これで証明できたな。俺が死神だって。」
「死神かどうかはさておき、貴方が幽体離脱できることは信じる以外なさそうですね。さて、今なら私の話も信じてもらえると思うのですが。」


 イオリはそう言ってポスターの裏紙に書かれた文の一つにデカデカと赤い丸をマジックペンでつけた。

『並行世界から集められた参加者』

「この状況は異常だということは皆さんもうおわかりですね。これからは守秘義務のあることでも話し合うことが重要だと思います。」
「今までおれしか秘密を話してないけど、嘘じゃないってわかったんなら、協力してくれ。死神のカンだけど、みんな隠してることがあるんだろ。」

 今のはたぶんハッタリですね。心の中で悠真へとツッコミを入れながらも、イオリは否定はしない。死神という現実離れした力を証明してみせた彼は、今この場で最も発言力が強い。
 悠真が火災現場に向かったのも、元はと言えば彼が死神としての能力である幽体化を証明することのついでだった。
 今から三十分ほど前、悠真・カイ・ここあ・イオリのグループと、桃・魚塚・エンムのグループの二つが地下街の大通りで出会って情報交換をした。その時、彼は自分が死神であると告げた。そしてその言葉が真実であると証明し皆に協力を求めるために、彼はイオリ達から実験を求められた。

 一、幽体化の証明のために気絶とそれからの回復を時間通りに行うこと。
 二、悠真以外の六人はその間に周囲の偵察も兼ねて地下街を移動又は悠真を監視兼護衛。悠真はそれを幽体で確認して、それぞれの様子を気絶から覚醒後に話すこと。

 時間は0時半から1時まで。三つのグループに別れてそれぞれ行動する。
 そして結果は、先程のとおりだ。
 持っていたものに話していた内容など、悠真は正確に言い当ててみせた。更には、幽体であることを活かして火災現場に向かい様子も見てきたという。これは地上階に赴いた魚塚とここあ以外には今この瞬間にも未確認の情報である。もちろん、地下の喫茶店で寝ていた悠真には把握のしようがない情報だ。自分たちの言動を言い当てられたことで誰も主張しないが、地下街を出て確認すればなおのこと悠真の言葉の信憑性が増すだろう。

「新しい人がいるから改めて言うけれど、おれは一ノ瀬悠真。中一。死神をやってる。死神っていうのは、この世に留まっている死者の魂をあの世に送るのが仕事だ。死ぬとパニックになって逃げ出したりするから、そういう人を見つけ出して説得して成仏してもらう。じゃないと、悪霊になって周りの人間を襲うようになるんだ。」

 そして信憑性が増した人物から出てくるのがこの言葉である。
 思わずイオリはこれマジ?と言ってしまいたくなるが、既に喋るウサギや赤い霧と空などの非現実的な物を多々見ているのだ、否定する材料が無い。
 なにより、彼女も一般人からすればだいぶ『そちら側』であることの自覚はあった。

「改めて聞きたいこともありますが、まずは私も話します。地球防衛軍日本支部第3師団K部隊の渡辺イオリです。我々は『黒喰』と呼ばれる存在と戦うために存在しています。いわゆるクラスのみんなにはナイショだよって感じの正義の味方です。今まで秘密にしてましたがよろしくお願いします。ペコリ。」

 自分の口で擬音を言いながら頭を下げる。思いっきり何らかの組織に属する制服を着ながら、イオリはこれまですっとぼけ続けていたが、悠真というファンタジーな存在を目にした以上、自分が守るべき守秘義務をある程度無視しても問題は無いと判断した。
 地球防衛軍、EDFと略されるそれは黒喰と呼ばれる地球外生命体と戦うための秘密組織だ。
 黒喰は日光により活性化し、有機物無機物問わず食い漁り、水に触れると容易に溶ける。今から一年前に月を喰いはじめ、ついには食い尽くして月と同サイズにまで成長し、情報統制で誤魔化していたが一部がとうとう日本にも現れた。日光が無ければ動かない代わりに倒すこともできず、一部には高度な知性を持つ個体もいる、不可解な存在である。
 それと戦うなどというのは言ってしまえばSFであり、現代ファンタジーな悠真の発言とどっこいどっこいの信憑性だ。別に信じてもらわなくても黒喰がいないのなら構わないが、制服のこともあるし他の人間から話を聞きたいというのもある。ゆえにイオリはケロリとした顔で素直に話した。

「魚塚三郎。さっきは通訳って言いましたが、実は麻薬取締官ですぜ。麻薬取締官っていうのは、名前通り覚せい剤などの取締が専門の、警察みたいなもんですぜ。」

 黒の組織の幹部、ウオッカはそう偽った。
 実は彼は謎の犯罪結社でかなりの高位の幹部の右腕なのだが、もちろんそんなことは言わない。ただ、自分の服装や身に纏う雰囲気でカタギと言い張るのは無理があるのでこう言っておく。麻薬取締官と言っておけば警察官というほどには、本職やその関係者に怪しまれてボロが出る可能性も、なんだかんだと頼られる可能性も減り、なおかつ銃や諸々の扱いに長けていてもさほど不自然ではないという魂胆だ。

「宮野ここあで~す。え~っと……さっきは言わなかったんですけど~、サンドウィッチ食べたら、苦しくなって、気がついたらここにいました~……」

 宮野ここあは正直に言った。
 そして彼女にこれ以上の情報はほぼない。彼女は出てきたと思ったらサンドウィッチ食って死んだロリである。彼女は1億円を子ども10人で奪い合う命懸けのギャンブルで、真っ先に脱落した、ようするに見せしめ枠だ。そのくせ甘ロリで手にはウサギのぬいぐるみを抱いているなどものすごいキャラが濃い。龍騎のシザースや未来日記の3rdのように濃い。じゃあ次のキャラに行きます。

「俺はエンム。元医者で、今はご覧の通り、奇病に侵されていてて視覚に障害がある。ここまではさっき言ったけれど、実は、この病は健康な人間の血を経口摂取しないと症状が悪化するんだ。そのせいで鬼だなんて呼ばれていてね。俺は医者の頃の仲間や患者に助けられてなんとかやっているけれど、同じ病気の人が何人も鬼殺隊っていう幕府の残党に殺されてきた……彼らは、この病気が伝染ると思っているんだ。だから、ごめん。もう君たちも、彼らに狙われかねない……」

 エンムこと下弦の壱・魘夢はそう偽った。
 自分の容姿は鬼舞辻無惨の血によって人間として振る舞うには困難な変貌を遂げている。ならここはそういう病気だとして、鬼殺隊を偏見から殺しに来る組織だとすることにした。たとえば結核、たとえばらい病、流行り病の知識の無い人間はわかりやすい病気を恐怖し、その患者を憎悪する。それを鬼になる前から医者のふりをして人を絶望へと追いやってきた彼はよく理解している。この自分の容姿ならば殺しに来る人間がいても不自然ではないだろうし、なんなら同じように殺しに来さえするだろう。だからこそ、彼は今までそれを恐れて言い出せなかった、と言い訳も用意しつつ周囲を伺う。さすがにめくらと鬼殺隊幕府残党説はやり過ぎたかとも思ったが、いつでも殺せる相手たちなのだとデカい嘘をつくことにした。

「ひ、氷室カイ、です……その、実は、『Qube』のSSランクプレイヤーです。あ、Qubeっていうのは、クイズゲームアプリで、SSランクプレイヤーは上位50人のプレイヤーで、その、自慢みたいになってすみません……」

 氷室カイは正直に言った。
 彼はQubeで一年に渡って50位になり続けた万年50位男であり、その気弱そうなヒョロ眼鏡通り、ナヨナヨした性格である。ちなみに彼はこのバトロワの主催者の一人でジョーカーである。彼の特徴として、嘘を言わないが本当の事も隠すということがある。彼は真実の一端を目の前にぶら下げて彼が戦うに足る主人公との頭脳戦を求めているのだ。特に魘夢は彼のお気に入りで、彼がチートを使わずともギリギリで殺せるラインであり、それが参加者の一つの基準にもなっている。だがこんなにアホみたいに銃火器が会場にばら撒かれていたら流れ弾とかで死にそうなもんだがそのへんどうするつもりなのだろうか。

「はい! あたし、大形桃! 小学2年生! やっぱりみんな物語の主人公みたい! だから言ったでしょ、物語の中に入り込む魔法があるって! あたしを助けてくれた魔女さんが言ってたんだ!」

 大形桃こと桃花・ブロッサムはそう偽った。
 彼女は黒魔女だ。年齢は非公表だが、だいたいカイと同じぐらいである。それが黒魔法で小2になって、黒魔法で暗示をかけてある一家に潜り込んでいるのだ。元が美少女とはいえ20歳近くの人間が女児服を着て8歳児の真似をするというのは正気の沙汰ではないが、彼女はそれが仕事である。桃花が存在しないはずの妹として監視しているのは、兄にあたる大形京。彼は極めて強力な黒魔法の使い手であり、そして黒魔女への復讐心を持っている。ゆえに彼に知能や感覚を鈍麻させるとしか思えないぬいぐるみを常に手を付けさせて暴走を抑えているのだ。元はと言えばどっかの黒魔女がおかしな教育をしたせいなのだが、さりとて放置しておけば世界を破滅に導きかねないし、かと言って殺すわけにもいかないのでこのような沙汰となっている。
 そして彼女が伝えた物語の中に入り込む魔法、それがこの場の人間の頭を悩ませていたのだが――それは最後の一人の話が終わってからにしよう。

「■■■■■■■■■■■■■■■。」
「――随分訛の強い中国語だな……名前が袁�岡ですかい?」

 袁�岡は正直に言った。だが、彼の言葉がわかる人間はおらず、なんとかウオッカが名前を理解しただけだった。
 袁�岡は山月記に出てくる虎じゃない方だ。唐の監察御史で、ようするに役人である。ちなみに唐があったのは現在より軽く1000年は前だ。そんな1000年前の人間が話す中国語を断片的でも理解できたウオッカは十分凄いのだが、残念ながら袁�岡が求めるレベルのコミュニケーションには程遠かった。彼からすれば東夷っぽい人間ばかりなので外国だとはわかるのだが、なんで知人が虎になるわ殺し合いに巻き込まれるわと訳のわからないことばかりだ。そしてこのバトロワの場で唐代の中国語を理解できるのは、女神の加護によりあらゆる言語を理解できる幻界の旅人たる、ワタルとミツルくらいのものである。言葉が通じない299人相手に殺し合えなどもう少し主催者は手心を加えてやっても良かったのではないか。ちなみに困惑する袁�岡を見て彼を巻き込んだ張本人であるカイはずっと笑いをこらえていた。これがやりたくて彼は自分の近くに袁�岡を配置させたのだ。カイってやつは結構鬼畜だな。

 さて、これで8人の自己紹介は改めて終わった。ある者は真実を話し、ある者は虚偽を述べ、ある者は真相を告げず、ある者は名前しか言えない。次は、袁�岡以外の7人で考察の時間だ。

「桃さんが言う物語の中に入り込む魔法、SF的に言い換えれば『並行世界の創作という形での観測と干渉』というのは極めて重要な視点だと思います。そうであれば、この駅の説明もつきます。」
「さっき地下鉄を見てきたけれど、見たことのない路線だったよ。」
「電車もモノレールもですぜ。駅まで行っちゃあいませんが、路線の名前が明らかに実在しないものでしたぜ。」
「ごめん、モノレールってなんだい?」
「……エンムさん、もしかして、令和の人じゃありませんか?」
「令和? それって、どこ?」
「なるほど、並行世界なのは場所だけでなく時間もですか。令和は元号です。その前が平成で、昭和、大正、明治と遡ります。」
「……つまり、君たちは未来の人なのか。俺は大正だよ。」
「私達から見ると過去の人ですね。どうりで幕府の残党なんて変な組織がいるわけです。こくこく。」
「なあ、宮野。こいつらの言ってることわかるか?」
「え~、う~ん、本の中に入っちゃったってこと?」
「そういうことです。悠真さんが話についていけてないようなので論点を整理します。私達は別々の並行世界の人間です。互いが互いの読んでいる本のキャラクターの関係だと考えると、別々の本の登場人物だとも言えます。そして本の中のあるページから、別の本の中に移動させられた。たぶんこの本は、殺し合うことがテーマの本です。」
「マジかよ超悪趣味じゃん。」
「本当にそう言い切れますか?」
「……怖いこと言うなよ。」

 一歩、悠真は後退った。

「……考えたくはないことですが、私も、悠真さんも、魚塚さんも、エンムさんも、命の危険があるという共通点があります。そして、ここあさんはさっきサンドウィッチを食べて気がついたらここにいた、そう言いました。ここあさん。」
「っ……!」
「ここあさん、本当にサンドウィッチを食べてここに来ましたか? 桃さんもです。もしかしたら、何か危険なことに合いませんでしたか?」
「おい、なにを――まさか。」
「俺達は、全員死んだってことですかい?」

 イオリの言いたい事を即座に悠真とウオッカは理解した。そして同時に互いに驚いた。その発想はかなり突飛なもので、死神としての経験や黒の組織としての死生観が無ければそんなにすぐに思いつくものではないと思ったからだ。

「実は、私の部隊はここに来る少し前に実戦に投入されました。前よりも危険な任務が増えそうだったところです。」
「おれも、かも。この間なんだけどさ、悪霊との戦いで死にかけたことがあって。でもそれからは危ないことなんてなかったんだ。」
「ほんとうは、サンドウィッチに毒が入ってたみたいで……凄く苦しくて、気が遠くなって、それで……」
「……俺もだよ。信じられなかったけれど、悪い夢を見たんだ。鬼殺隊に仲間を殺されて、俺も首を撥ねられる夢だ。まさか、あれが実際にあったことだなんて信じたくはないけれど……」
「……守秘義務があるんで。」
「うーん、わかんないや! あのね、なんかね、高いところから落っこちてね、気がついたらここにいたんだ。」

 適当に話を合わせる者、死の瞬間を思い出す者、態度はそれぞれだ。だがそれでも、彼らの中に一つの仮説が出来上がっていく。この殺し合いは死んだキャラを色んな本から集めたものなのではないか、と。

(まあ違うんだけどね。)

 なんか上手く行きかけた考察が変な方向に行きだしたのを内心ニヤニヤしながらカイは深刻そうな顔を作る。
 別に死んだキャラやこれから死ぬキャラを集めたとかそういうのではなく、単に命の危機があるようなスリリングな人生を歩んでいる参加者の方が倒し甲斐があるし、なんならそういう参加者ばかりというわけでもなくて普通に学校に行き普通に恋をして普通に青春をする、そんな王道を征く青春小説みたいな参加者もそこそこいるのだが、カイが趣味で自分の周りに配置する参加者を選んだ結果こんなふうになったようだ。
 そんなカイは、爆風で吹き飛ばされた。

(……は?)

 この展開、予想はしていた。
 会場内には大量の銃火器を配置している。ゆえに突然の攻撃はよくありえる。
 だが今いる喫茶店は射線が通り難い立地にあるし、だからこそウオッカなどその筋の者がここから移動しようなどとは言わなかったし、そのウオッカや魘夢がいればこんな奇襲も予期出来たはずだ。
 そもそも、初期配置を思い出せばカイはこの近くにこんな攻撃ができる参加者を配置していない。最も近場の無差別マーダーは前原圭一であり、彼に異能のたぐいは無い。ならなぜ。

(いや、これだけ考えられているのなら爆発の威力は大したことはない。耳鳴りはするし平衡感覚が崩れているが、たぶん立てる。爆心地は遠い。)

 カイは冷静に油断無く店内に目を走らせる。姿が無いのは、やはりウオッカ。大方奇襲に気づき逃げたのだろう。もしくはいち早く立ち直り避難したか。端の方で倒れているのは、ここあだ。倒れた際に頭をテーブルで強打したのだろう。かなりの出血をしている。あれはもう助からないだろう。カイは警戒してベンチ席に座っていたが、やはり彼女は警戒心が薄いようだ。死んでも治らなかったらしい。そして立ち上がり悠真とイオリの意識を確かめているのが袁�岡だ。え、お前かよ、と言いたくなるが声も簡単には出ないので黙っておく。思いの外タフらしい。
 更に視線を巡らせる。大形桃こと桃花・ブロッサムが横たわりながら唖然とした顔で店の奥の方を見ていた。さすがに黒魔女だけある。身体能力は人間と変わらないはずな上に子供に化けているとはいえ、自分よりもダメージは小さそうだ。油断ならない敵である。そして魘夢。カイが定めたターゲットは。

「悪夢、だ……!」
(死んでんじゃねえか!)

 藤の毒を打ち込まれたのだろう。身体がグズグズに崩れていき死んだ。残された首輪には、イオリが手に持っていたはずのサインペンが突き刺さっている。倒れた拍子に魘夢の首輪を強打し、作動させたのだろう。
 それにしてもまさかこんなに首輪が脆いとは!

「クソっ、宮野! おれは幽体化して敵を探してくる。渡辺、宮野と大形と氷室さんを頼めるか!?」
「うっ……動けるのは、私だけみたいですね……わかりました、なんとか袁�岡さんと頑張ります。」
「頼んだ! それにしても魚塚さんとエンムさんはどこ行ったんだ。まさか……」

 あ、これウオッカがやったと誤解してるかも、と思いながら、カイは下手人について考える。ウオッカと魘夢は違う。その二人にはずっと目を配っていた。

(だったら誰が……)

 主催者でありながらマーダーの宛がない。カイは己の頭をフル回転させて攻撃の正体を探る。それは本人が狙ってか否か、とても対主催らしい行為だった。



「よし、やれた……!」

 荒い息を何度もしながら、駅ビルのエレベーターの中で深海恭也は拳を握りしめていた。
 最初に出会った子供――ルーミィと野原しんのすけは殺せなかった。動揺があってその後に出会った宮美二鳥、花丸円、黒鳥千代子からも逃げ出した。
 紛れ込める対主催を探して、途中でモノレールの線路を目印に駅ビルを目的地とし、地下街に気づいてそちらに行った。
 そして彼は喫茶店にRPGを撃ち込んだ。
 冷静になれば、ステルスマーダーとしては矛盾した行動だ。わざわざ対主催を見つけたのにそれを殺しにかかるのは。だがそれでも、この対主催は潰しておきたいと撃ってから言語化した。
 既に出来上がっているグループ、大人の男性、どちらもやりにくい。可能ならば同年代の女子数名のグループがいい。その方が自分の才色兼備を活かせる。それに、子供相手にビビッて安全策を取ったことへの代償を求める心があった。

「……す、少ししたら駅ビルに向かおう。生き残ってる人と合流すれば……!」

 努めて冷静に、そう意識して恭也は今後の算段を練る。既に自分の意識が冷静とは程遠いことに、彼はまだ気づいていない。



【0115 駅ビル】

【一ノ瀬悠真@死神デッドライン(1) さまよう魂を救え!(死神デッドラインシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
 事件を解決する
●小目標
 幽体化して敵と魚塚(ウオッカ)・エンム(魘夢)を探す

【桃花・ブロッサム@黒魔女さんのハロウィーン 黒魔女さんが通る!! PART 7(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
 生き残る
●小目標
 エンムさんが、灰に……!?

【氷室カイ@天才謎解きバトラーズQ vs.大脱出! 超巨大遊園地(天才謎解きバトラーズQシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
 主催者兼ジョーカーとしてゲームを楽しむ
●中目標
 対主催に紛れ込み、ステルスマーダーする
●小目標
 状況を把握する

【ウオッカ@名探偵コナン 純黒の悪夢(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 生き残る
●小目標
 奇襲から逃れたんで喫茶店に戻るor……?

【袁�岡@山月記・李陵 中島敦 名作選@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
 生き残る
●小目標
 状況はよくわからないがとにかく襲われているらしいので子供を助ける

【深海恭哉@ギルティゲーム(ギルティゲームシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 生き残る
●中目標
 対主催に紛れ込み、自分の信頼を上げる
●小目標
 ほとぼりが冷めたら駅ビルに向かう



【脱落】

【魘夢@劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 ノベライズ みらい文庫版(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【宮野ここあ@絶体絶命ゲーム 1億円争奪サバイバル(絶体絶命シリーズ)@角川つばさ文庫】


【残り参加者 256/300】

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【051〜100】
【101〜150】
【151〜200】

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1ループ目ネタバレ参加者名簿
1ループ目死亡者リスト
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