「お姉様…!」
か細い声で、呟く少女がいた。
見た目は中学生くらいの大人しい少女に見えるが、しかし彼女は見た目通りの少女ではない。
見た目は中学生くらいの大人しい少女に見えるが、しかし彼女は見た目通りの少女ではない。
「スネリお姉様…!ルナちゃん…!どこなの…!?」
「殺し合いなんて…!私一人じゃ、どうしようも…」
彼女の姉・スネリや、友人である半人半妖の少女・竜堂ルナは、世界を守るために人間界で戦った。
特にルナなどは、この前妖界に戻ってきた時には、死にかけの状態になっており、なんとか生き延びたものの、寿命が3年未満となってしまった。
特にルナなどは、この前妖界に戻ってきた時には、死にかけの状態になっており、なんとか生き延びたものの、寿命が3年未満となってしまった。
「私は…ルナちゃんみたいになれない。お姉様やもっけさん、ソラウやふうりみたいに強くない」
スネリやルナ、その仲間たち。
彼女たちと違って、サネルは命を懸けた戦場にほとんど縁がない。
つい最近、仮面舞踏会で敵に襲われた時も、ほとんど気絶していた。
自分がしてきたのは、後方でのサポートのみ。
そんな自分が、一人で戦いの場に巻き込まれるなんて…
彼女たちと違って、サネルは命を懸けた戦場にほとんど縁がない。
つい最近、仮面舞踏会で敵に襲われた時も、ほとんど気絶していた。
自分がしてきたのは、後方でのサポートのみ。
そんな自分が、一人で戦いの場に巻き込まれるなんて…
「……い。…おい」
そうして俯いていたサネルの耳に、届いた声。
どうやら、少し離れた場所に人がいるらしい。
サネルは少し迷ったが、スネリやルナがいるかもしれないと思い、声の方向へと歩き出した。
どうやら、少し離れた場所に人がいるらしい。
サネルは少し迷ったが、スネリやルナがいるかもしれないと思い、声の方向へと歩き出した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「雄一~!小夜子!朋美~!どこ~!どこにいるの~!」
サネルが駆け付けた先にいたのは、一人の少女だった。
見た所、人間の少女であり、年齢は自分やルナより少し下、人間の世界でいうところの小学生くらいといったところだろうか。
ここが殺し合いの舞台だと分かっているのかいないのか、とても大きな声で、叫んでいた。
そして、サネルの姿をとらえると、これまた無警戒にこちらに近づいてきた。
見た所、人間の少女であり、年齢は自分やルナより少し下、人間の世界でいうところの小学生くらいといったところだろうか。
ここが殺し合いの舞台だと分かっているのかいないのか、とても大きな声で、叫んでいた。
そして、サネルの姿をとらえると、これまた無警戒にこちらに近づいてきた。
「あの、すみません!うちの弟や妹、見ませんでしたか」
「え、えっと…」
「弟は雄一、妹は小夜子と朋美っていうんです!みんな私より小さいから、心配で…!」
「ご、ごめんなさい。ここで出会ったのは、あなたが初めてなんです」
「そうですか…」
「え、えっと…」
「弟は雄一、妹は小夜子と朋美っていうんです!みんな私より小さいから、心配で…!」
「ご、ごめんなさい。ここで出会ったのは、あなたが初めてなんです」
「そうですか…」
サネルの言葉に少女はがっくりと項垂れる。
しかし、すぐに顔をあげると、
しかし、すぐに顔をあげると、
「ありがとうございます、失礼します!雄一!小夜子!朋美~!」
サネルに礼を言い、再び弟や妹を大きな声で呼び始めるのだった。
「ま、待ってください!そんな大きな声で叫んだら、危ないですよ!」
そんな少女を、サネルは慌てて止める。
ここは殺し合いの舞台なのだ。
大声で叫ぶなど、自殺行為だ。
ここは殺し合いの舞台なのだ。
大声で叫ぶなど、自殺行為だ。
「だからこそよ!あんな小さい子たち、もしこの場にいたら生き残れるわけないもの!だから私が、早く見つけてあげないと…!」
サネルの制止に、少女は引かない。
そんな少女の姿に、サネルは何か嫌な気分になった。
どうしてこの子は、人間なのに。
人間の、子供なのに、どうして。
そんな少女の姿に、サネルは何か嫌な気分になった。
どうしてこの子は、人間なのに。
人間の、子供なのに、どうして。
「……………怖く、ないんですか?」
そう聞いた言葉には、いつものサネルらしくなく、少し棘があった。
サネルは少女に、嫉妬していたのだ。
妖怪の自分だって怖いのに、それなのに。
どうして目の前の彼女は、臆することなく進むことができるのか。
どうしてこんな、怖いもの知らずなのか。
自分の中に渦巻く黒い感情に戸惑いつつも、サネルは問うた。
サネルは少女に、嫉妬していたのだ。
妖怪の自分だって怖いのに、それなのに。
どうして目の前の彼女は、臆することなく進むことができるのか。
どうしてこんな、怖いもの知らずなのか。
自分の中に渦巻く黒い感情に戸惑いつつも、サネルは問うた。
「…怖いに、決まってるじゃないですか」
しかし、少女の口から紡がれた言葉は、サネルの予想していたものとは違っていて。
「弟が、妹が、いなくなるのが怖い!怖いから、心配だから、こうして探してるんじゃないですか!」
そういうと少女は、その場に泣き崩れた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
竜堂ルナ。
彼女は最愛の亡き兄、タイの遺言を彼の相棒であるカザンに伝えるべく、人間界へと再び戻った。
ソラウ、ふうり。
彼らは、それぞれの兄の手がかりを求めて、ルナの旅に同行した。
みんな、大事な家族の為に、命がけの旅へと出たのだ。
彼女は最愛の亡き兄、タイの遺言を彼の相棒であるカザンに伝えるべく、人間界へと再び戻った。
ソラウ、ふうり。
彼らは、それぞれの兄の手がかりを求めて、ルナの旅に同行した。
みんな、大事な家族の為に、命がけの旅へと出たのだ。
目の前の少女も同じだ。
大切な弟や妹の為に、死に物狂いで戦っている。
そこに、人間と妖怪の差などない。
目の前の少女は、例え人間でも、戦う力を持たない子供でも、強い。
妖怪の自分よりも、ずっと強い。
大切な弟や妹の為に、死に物狂いで戦っている。
そこに、人間と妖怪の差などない。
目の前の少女は、例え人間でも、戦う力を持たない子供でも、強い。
妖怪の自分よりも、ずっと強い。
(私、最低だわ)
大切な誰かの為に戦える強さ。
それを持った身近な知人たちの姿を見てきたというのに。
自分は、この殺し合いの場で、何をしていた?
自分は無力だからと、姉や友にすがって。
自分以上に無力な人間の少女が、戦おうとしているのに。
それを持った身近な知人たちの姿を見てきたというのに。
自分は、この殺し合いの場で、何をしていた?
自分は無力だからと、姉や友にすがって。
自分以上に無力な人間の少女が、戦おうとしているのに。
「ねえあなた…名前はなんていうの?」
サネルは、泣きじゃくる少女に、声をかける。
その声色はいつものサネルのように優しげで、先ほどまであった黒い感情は消えていた。
そしてそんなサネルの様子に灯子も落ち着いたのか、泣きじゃくるのをやめて顔をあげる。
その声色はいつものサネルのように優しげで、先ほどまであった黒い感情は消えていた。
そしてそんなサネルの様子に灯子も落ち着いたのか、泣きじゃくるのをやめて顔をあげる。
「あ…ごめんなさい。名前も名乗らず。私は宮瀬灯子。第一小学校の5年生です」
「そう…灯子ちゃん。あなたの弟や妹探し、私にも手伝わせて」
「え…いいんですか!?」
「ええ…あなたが弟や妹を守るなら、私があなたを守るわ」
「そう…灯子ちゃん。あなたの弟や妹探し、私にも手伝わせて」
「え…いいんですか!?」
「ええ…あなたが弟や妹を守るなら、私があなたを守るわ」
決意の瞳を輝かせ、サネルはそう宣言する。
殺し合いへの恐怖は、ある。
しかし、それを乗り越えて、戦わなければならない。
ルナやふうり、ソラウが大切な人の為に戦ってきたように、自分も戦うのだ。
目の前の、か細い…だけども強い命を守るために。
殺し合いへの恐怖は、ある。
しかし、それを乗り越えて、戦わなければならない。
ルナやふうり、ソラウが大切な人の為に戦ってきたように、自分も戦うのだ。
目の前の、か細い…だけども強い命を守るために。
「えっと…あなたの名前は」
「あ、ごめんなさい。こっちも名乗ってなかったわね。私の名前はサネルよ」
「そうですか…じゃあ、よろしくお願いします、サネルお姉ちゃん!」
「お、お姉ちゃん!?」
「あ、ごめんなさい。こっちも名乗ってなかったわね。私の名前はサネルよ」
「そうですか…じゃあ、よろしくお願いします、サネルお姉ちゃん!」
「お、お姉ちゃん!?」
灯子の発言に、サネルはキョトンとする。
対する灯子は、「あっ」と言って口を抑えた。
対する灯子は、「あっ」と言って口を抑えた。
「ご、ごめんなさい変なこと言って!その…私が弟や妹を守って、その私をサネルさんが守るなら、サネルさんはお姉さん?って、なんか変な考えが頭に浮かんじゃって」
「サネルお姉ちゃん…」
「わ、私、下の兄弟はたくさんいるけど、お兄ちゃんとかお姉ちゃんとかいなかったから、つい…」
「……………」
「サネルお姉ちゃん…」
「わ、私、下の兄弟はたくさんいるけど、お兄ちゃんとかお姉ちゃんとかいなかったから、つい…」
「……………」
サネルは、灯子とは逆で姉はいるが、下の兄弟はいない。
そんなサネルは、顔を赤くしながら弁明する灯子を見て思った。
そんなサネルは、顔を赤くしながら弁明する灯子を見て思った。
(お姉ちゃんって響き…悪くないかも。お姉様やルナちゃんも、こういう気持ちだったのかな)
【0130 森】
【サネル@新妖界ナビ・ルナ(5)刻まれた記憶(妖界ナビ・ルナシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
ルナや姉のように自分も戦い、殺し合いを止める
●小目標
灯子の家族を探す
【目標】
●大目標
ルナや姉のように自分も戦い、殺し合いを止める
●小目標
灯子の家族を探す
【宮瀬灯子@黒魔女さんが通る!! PART3 ライバルあらわる!?の巻(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
弟や妹を見つけ出し、この殺し合いの場から脱出する
【目標】
●大目標
弟や妹を見つけ出し、この殺し合いの場から脱出する