「良かったわ、変化して首輪を取ろうとか考えて死んでなくて。」
「お前……オイラはそこまでバカじゃねえ。」
「お前……オイラはそこまでバカじゃねえ。」
住宅地にある低層のビルの屋上、白い霧のような半透明のなにかの言葉に、光る影のようななにかが抗議の声を上げた。しかしその声を聞くことができる常人はいない。超音波の声を聞くことができるのは、特殊な聴覚を持つものか、可聴域の広い動物か、あるいは彼らと同じ妖怪か、だろう。
白い霧はスネリ、光る影はもっけ。彼らは伝説の子であり陰陽師であり妖界ナビゲーターである、竜堂ルナの仲間だ。多くの参加者が知り合いとの接触を試みて成果を挙げられない中、彼らはゲーム開始から100分という比較的に短い時間で経って合流することに成功していた。
白い霧はスネリ、光る影はもっけ。彼らは伝説の子であり陰陽師であり妖界ナビゲーターである、竜堂ルナの仲間だ。多くの参加者が知り合いとの接触を試みて成果を挙げられない中、彼らはゲーム開始から100分という比較的に短い時間で経って合流することに成功していた。
「にしても、この赤い霧かなりヤバイぜ。少し高く飛ぶだけで地面がなんにも見えなくなる。しかもこのイヤな感じ、めちゃくちゃな妖力が練り込んである。」
「ええ。思っていたよりもずっと歩きづらかったわ。そのせいであなたとの合流がこんなにも遅れるし、こんなことならもっと目印を残しておくんだったわね……あなた、向こうの方で亡くなった女の子たちの近くにいたわね? 落ちていた羽根のおかげであなたがいることに気づけたわ。」
「やっぱり気づいたか。残しといて良かったぜ。しっかし……ひどい死に方だったな……」
「ええ……もしここに、ルナもいるかも知れないって思うと、背筋が寒くなるわね。」
「ええ。思っていたよりもずっと歩きづらかったわ。そのせいであなたとの合流がこんなにも遅れるし、こんなことならもっと目印を残しておくんだったわね……あなた、向こうの方で亡くなった女の子たちの近くにいたわね? 落ちていた羽根のおかげであなたがいることに気づけたわ。」
「やっぱり気づいたか。残しといて良かったぜ。しっかし……ひどい死に方だったな……」
「ええ……もしここに、ルナもいるかも知れないって思うと、背筋が寒くなるわね。」
ふくろうのような顔をしかめて言うもっけに、スネリも声をひそめて言う。彼らはルナの力で人間界から妖界へと戻るタイミング(妖界ナビ・ルナ完結時)でこの殺し合いへと参加させられた。となると当然、ルナも巻き込まれていると心配せずにはいられない。なにせ伝説の子という様々な妖怪に狙われる身の上だ、二人はツノウサギに面識など当然ないが、彼を妖怪だと判断して今回の事件も刺客の罠であると判断していた。
同時に二人が心配するのは、オープニングで見た人間たちだ。既に二人はこの場で紫苑メグと須々木凛音の死体を目撃していた。凛音はまだ死亡してから時間が経っていないのかほとんど血が渇いていなかった。そしてその頭には明らかな銃痕があった。二人は銃についてはとんと詳しくはないが、それでもそれが妖怪ではなく人間にできる殺し方だとはわかった。つまり、銃を使えて殺し合いに乗っている人間がいるということである。またもう一つのメグの死体は、二人がオープニングで見た黒服の剣士が首輪が作動したことで殺されそうになった時のものに近いと見ていた。そしてその死体を見て否応なく二人が思い出したのは、その剣士を助けた奇妙な服の青年や、剣士と同じ服を着た人間たちのことだ。
二人は朱雀の時のもえぎや青龍の時の朝香のように、人間でも特殊な力を持つ者がいることは知っているし出会ってきた。だがスタンドという存在は二人の想像を超えていた。二人が支えるルナは、自前の妖力とスネリの回復能力によりたいていの傷は一晩寝れば動ける程度には回復する。だが剣士を助けた青年――東方仗助のスタンド《クレイジー・ダイヤモンド》――は、死に行く剣士を猛烈な勢いで治し、数秒で完治させた。更に剣士と同じ服の剣士たち――鬼殺隊――は、妖力などが感じられないのに妖怪に匹敵するほどの身体能力でツノウサギへと切り込んだ。どちらも、二人の常識では考えられなかった存在であった。
謎の妖怪ツノウサギに、強力な背後霊を操る青年、黒服の超人剣士たち。そしてはじまった殺し合い。考えなくてはならないことは山のようにある。その中でまず、スネリが優先したことは。
同時に二人が心配するのは、オープニングで見た人間たちだ。既に二人はこの場で紫苑メグと須々木凛音の死体を目撃していた。凛音はまだ死亡してから時間が経っていないのかほとんど血が渇いていなかった。そしてその頭には明らかな銃痕があった。二人は銃についてはとんと詳しくはないが、それでもそれが妖怪ではなく人間にできる殺し方だとはわかった。つまり、銃を使えて殺し合いに乗っている人間がいるということである。またもう一つのメグの死体は、二人がオープニングで見た黒服の剣士が首輪が作動したことで殺されそうになった時のものに近いと見ていた。そしてその死体を見て否応なく二人が思い出したのは、その剣士を助けた奇妙な服の青年や、剣士と同じ服を着た人間たちのことだ。
二人は朱雀の時のもえぎや青龍の時の朝香のように、人間でも特殊な力を持つ者がいることは知っているし出会ってきた。だがスタンドという存在は二人の想像を超えていた。二人が支えるルナは、自前の妖力とスネリの回復能力によりたいていの傷は一晩寝れば動ける程度には回復する。だが剣士を助けた青年――東方仗助のスタンド《クレイジー・ダイヤモンド》――は、死に行く剣士を猛烈な勢いで治し、数秒で完治させた。更に剣士と同じ服の剣士たち――鬼殺隊――は、妖力などが感じられないのに妖怪に匹敵するほどの身体能力でツノウサギへと切り込んだ。どちらも、二人の常識では考えられなかった存在であった。
謎の妖怪ツノウサギに、強力な背後霊を操る青年、黒服の超人剣士たち。そしてはじまった殺し合い。考えなくてはならないことは山のようにある。その中でまず、スネリが優先したことは。
「ねえもっけ、あの子たちをとむらえないかしら。さっきはあなたと合流することを優先したけれど、あのまま野ざらしはかわいそうよ。」
「とむらうっていっても、今のオイラじゃ手伝えないぜ。人間に変化したら首の大きさが変わって首輪を動かしちまうかもしれない。」
「かけれる布を持ってきてくれるだけでいいわ。下手に動かすわけにもいかないし、埋葬する時間もないしね。あなたは固まっちゃってる方の子をおねがい。」
「しょうがねえな、わかった。でも、動くなら二人いっしょでだ。ふだんみたいに手分けしてたら合流できそうにないからな。」
「とむらうっていっても、今のオイラじゃ手伝えないぜ。人間に変化したら首の大きさが変わって首輪を動かしちまうかもしれない。」
「かけれる布を持ってきてくれるだけでいいわ。下手に動かすわけにもいかないし、埋葬する時間もないしね。あなたは固まっちゃってる方の子をおねがい。」
「しょうがねえな、わかった。でも、動くなら二人いっしょでだ。ふだんみたいに手分けしてたら合流できそうにないからな。」
弔いたいと言ったのはスネリであることと、もっけの言っていることにも一理あるため、スネリはしばし考えたあと、「そうね」と言った。
それから数分して二人は民家からシーツを拝借すると、メグと凛音に被せた。白いシーツは直ぐに赤く染まり、あるいは彫像に被せたように不自然な形になるが、他にやりようもないので二人はそれでその場を後にする。クンクンと地面を嗅ぐスネリを先頭に二人は住宅地から山中へと向かう。さっきの殺人現場に残っていた銃撃の臭いを追っているのだ。妖怪ではないかもしれないが、とにかくこんなことをする以上は放ってはおけない。そう思い辿り着いた、住宅地からほど近いペンションからは、新鮮な血の臭いがした。
「マジかよ……まだ2時間もたってないのに……」後ろで呟いたもっけの声に首肯するだけで、スネリは警戒心を強くしてペンションへと近づく。窓の下まで来ると、もっけを振り返る。互いに頷くと一斉に別々の窓から中に突入した。
それから数分して二人は民家からシーツを拝借すると、メグと凛音に被せた。白いシーツは直ぐに赤く染まり、あるいは彫像に被せたように不自然な形になるが、他にやりようもないので二人はそれでその場を後にする。クンクンと地面を嗅ぐスネリを先頭に二人は住宅地から山中へと向かう。さっきの殺人現場に残っていた銃撃の臭いを追っているのだ。妖怪ではないかもしれないが、とにかくこんなことをする以上は放ってはおけない。そう思い辿り着いた、住宅地からほど近いペンションからは、新鮮な血の臭いがした。
「マジかよ……まだ2時間もたってないのに……」後ろで呟いたもっけの声に首肯するだけで、スネリは警戒心を強くしてペンションへと近づく。窓の下まで来ると、もっけを振り返る。互いに頷くと一斉に別々の窓から中に突入した。
「ひ、ひどい……また2人も殺されてる……」
「なに? こっちにも1人死んでるんだぞ。くそっ、5人も殺されてるのか。」
「みんな銃で撃たれてるから、たぶんさっきの子と同じ犯人だわ。あの固まっちゃってた子はわからないけれど、危険な相手なのは間違いないわね。」
「なに? こっちにも1人死んでるんだぞ。くそっ、5人も殺されてるのか。」
「みんな銃で撃たれてるから、たぶんさっきの子と同じ犯人だわ。あの固まっちゃってた子はわからないけれど、危険な相手なのは間違いないわね。」
実際は犯人である山尾が殺したのは3人で、固まっちゃってた子ことメグは首輪を外そうとしての事故死、もっけが見つけた死体の哲也はスネリが見つけた死体の相川捺奈による射殺なのだが、銃殺の知識が無い二人は単純に同一犯による怪物のような精神性の人間による連続殺人と考えた。
「オイラでもわかるぐらいにニオイが新しいな。どうする、先に追うか?」
「そうしましょう。この襲い方を見るに、会う人みんな襲うつもりよ。すぐに捕まえないと。」
「よし、なら行こうぜ。で、どっちだ?」
「匂いは森の中に続いてるわ。見て、あそこに足跡もある。けっこう大きいから大人の男性かしら。」
「そうしましょう。この襲い方を見るに、会う人みんな襲うつもりよ。すぐに捕まえないと。」
「よし、なら行こうぜ。で、どっちだ?」
「匂いは森の中に続いてるわ。見て、あそこに足跡もある。けっこう大きいから大人の男性かしら。」
スネリはペンションの窓枠からひらりと降りて地面を前足で示した。
「殺し合えって言われて子供を殺して回る男か……どんなやつなのか、考えたくもねえな。」
「もしかしたら、主催者の仲間なのかもね。でないとそんなことをする理由がわからないもの。他に思いつく?」
「最初っから、殺人鬼を参加者にしたとか? 悪いやつをそそのかして利用するって、もっと悪いやつがやりそうだろ。」
「もしかしたら、主催者の仲間なのかもね。でないとそんなことをする理由がわからないもの。他に思いつく?」
「最初っから、殺人鬼を参加者にしたとか? 悪いやつをそそのかして利用するって、もっと悪いやつがやりそうだろ。」
もっけは自分で言ってまたぶるりと身を震わせた。思い出したのは、この殺し合いに巻き込まれる直前のこと、タイを利用してルナへの復讐を図った透門沙李だ。竜堂家への復讐の為に人間を半ば辞めて、ルナとタイの姉弟で殺し合うように仕組んだ。あの悪魔のような女の為にどれだけの人が振り回されたかわかったものではない。そして、もっと恐ろしいのは沙李すらも誰かに利用されていた可能性があるのだ。そのこともあってもっけたちは妖界へと行くことになったところをこの殺し合いに巻き込まれたために、より策謀と主催者の悪意を感じずにはいられなかった。
もっけとスネリは森を急ぐ。二人が山尾を見つけるのにそう時間はかからなかった。
もっけとスネリは森を急ぐ。二人が山尾を見つけるのにそう時間はかからなかった。
「よっしゃぁあぁ! ようやく人見つけたぜぇ!」
一方、ところ変わって。
吉永双葉は獰猛な笑みを浮かべて森の中を駆けていた。
かれこれ軽く2時間近くは森の中で迷子になっていた彼女。そんなところで聞きつけた物音を頼りに歩くこと数分、ようやく第一参加者発見と相成った。
が、男の肩から覗くものに目が止まった。足も止まった。
吉永双葉は獰猛な笑みを浮かべて森の中を駆けていた。
かれこれ軽く2時間近くは森の中で迷子になっていた彼女。そんなところで聞きつけた物音を頼りに歩くこと数分、ようやく第一参加者発見と相成った。
が、男の肩から覗くものに目が止まった。足も止まった。
「あれ、銃だよな? カッコも猟師っぽいし。」
殺し合いの場で銃を持っているオッサン。どう考えても怪しい。変な首輪付けてるし。
「って、首輪は一緒か。てことは参加者だよな。おーい!」
超速で納得すると、双葉は再び駆け出し大声で呼びかけながら男に近づいた。
ズガン!
頭に強い衝撃が走る。
駆けるスピードのまま膝が崩れ、プラトーンの姿勢で仰向けに倒れる。
左前頭部の当たりに亜音速の銃弾が突き刺さり、頭蓋骨に沿って抜けていった。
駆けるスピードのまま膝が崩れ、プラトーンの姿勢で仰向けに倒れる。
左前頭部の当たりに亜音速の銃弾が突き刺さり、頭蓋骨に沿って抜けていった。
【脱落】
【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル@角川つばさ文庫】
【残り参加者
「しゃあっ弾丸滑り! あっぶねぇなオイゴラァ!!!!」
「なにっ!?」
「なにっ!?」
膝を折って仰向けに倒れた状態から腹筋で身体を起こす。勢いのまま立ち上がる。駆け出して慌てた様子で銃を構えたオッサン――山尾渓介に飛びつき腕十字をかけた。
山尾の誤算は三つ。
一つ目は彼の持つVSSは威力が低いこと。消音性に優れ暗殺に特化したスナイパーライフルだが、その代償として特殊な銃弾により普通の拳銃と同程度の威力となっている。
二つ目は狙いの甘さ。先の殺人を目撃されて「おい!」と声をかけられたと考えた、撃ち慣れない銃だった、銃自体が通常のライフルよりも命中精度が低かった。要因は様々だが、咄嗟に相手の眉間を撃ち抜けなかった。
そして三つ目が。
山尾の誤算は三つ。
一つ目は彼の持つVSSは威力が低いこと。消音性に優れ暗殺に特化したスナイパーライフルだが、その代償として特殊な銃弾により普通の拳銃と同程度の威力となっている。
二つ目は狙いの甘さ。先の殺人を目撃されて「おい!」と声をかけられたと考えた、撃ち慣れない銃だった、銃自体が通常のライフルよりも命中精度が低かった。要因は様々だが、咄嗟に相手の眉間を撃ち抜けなかった。
そして三つ目が。
「死ぬだと思っただろ! 死ぬだと思っただろぉ!!」
「またメスガキキきききだだだだ!?」
「またメスガキキきききだだだだ!?」
即座に極め、子供の体重とはいえ上半身に食らいつくことで地面へと押し倒す。その勢いのまま、双葉は山尾の手首を折った。
山尾の三つ目の誤算は、彼が狙った相手が吉永双葉だったことだ。
児童文庫の主人公にあるまじき闘争心と喧嘩の経験を持つ双葉は、自分に銃口が向くのを見て、即座に身体ごと躱しにかかった。その結果、頭の回転するベクトルが銃弾を滑らせる動きになった。それでも眉間に向けて撃たれていれば即死は免れなかっただろうが、幸運にも弾丸が向かったのは左の額。回避の運動と丸く硬い骨による避弾経始で、弾丸は双葉の頭蓋骨を滑って行った。
そして、殺されかれたということを即座に理解し、容赦無く半殺しに行くことを決意する双葉のバトル・センス。角川つばさ文庫で一番PTAからクレームが来そうなヒロインは双葉だと考えられる。
山尾の三つ目の誤算は、彼が狙った相手が吉永双葉だったことだ。
児童文庫の主人公にあるまじき闘争心と喧嘩の経験を持つ双葉は、自分に銃口が向くのを見て、即座に身体ごと躱しにかかった。その結果、頭の回転するベクトルが銃弾を滑らせる動きになった。それでも眉間に向けて撃たれていれば即死は免れなかっただろうが、幸運にも弾丸が向かったのは左の額。回避の運動と丸く硬い骨による避弾経始で、弾丸は双葉の頭蓋骨を滑って行った。
そして、殺されかれたということを即座に理解し、容赦無く半殺しに行くことを決意する双葉のバトル・センス。角川つばさ文庫で一番PTAからクレームが来そうなヒロインは双葉だと考えられる。
「お前マジで覚悟しろよおいゴラァ! いきなり撃ってくるっておかしいだろそれよぉオイ!」
(ヤバい、指があああいってぇ!!」
(ヤバい、指があああいってぇ!!」
なんとか引き剥がそうと拳銃を引き抜いた山尾の耳に、ペキン、と小枝を踏み折った時のような音が響く。瞬間、激痛。今度は山尾の小指が折られた。
「お前まだヤル気かおいお前おい! お前アレだからな! アレだからなお前とい!」
「グアアアッ、や、やめろおお!!」
「ヤ・メ・ル・ワ・ケ・ネ・エ・ダ・ロ・ゴ・ラ・ァ!!!!!」
「グアアアッ、や、やめろおお!!」
「ヤ・メ・ル・ワ・ケ・ネ・エ・ダ・ロ・ゴ・ラ・ァ!!!!!」
命を失いかけた結果、流れる血と共に乏しい語彙力も倫理観も双葉から消えて、「おい」と「お前」と「ゴラァ」を繰り返しながら双葉はまた山尾の骨を折る。今度は薬指が逆向きに曲げられた。山尾の右手はもうボロボロどころかボドボド、殺人鬼の末路だ。
それでもなんとか全身を無茶苦茶に動かし左手で双葉の服を掴み引き剥がそうとするが、右手の痛みのせいで全く握力が入らない。むしろ半端に抵抗することが双葉の怒りの火に油を注ぐ。その代償は更なる右手の骨折という形で支払うハメになった。
ミチリ、嫌な音が聞こえた。同時に山尾の右腕から別の種類の激痛が走った。思わず悲鳴にもならない悲鳴を上げるが、双葉はお構いなしに中指に続き人差し指を折り始める。たとえ相手が女子小学生とはいえ、完全に関節を極められている状態で、知識も無く力任せの脱出を試みた結果は肘関節の破損と筋の断裂という至極当然の回答だ。間もなく人差し指も折られ、いよいよ山尾の右腕は親指以外ゴミになった。
その右腕が突然、解放される。なにが、と思う間もなく。親指に激痛。動かなくなった右腕の手のひらが広げられ、親指の関節に全体重をかけて踵落としが放たれた。その踵落としを重心に、膝蹴りが鼻っ面へと放たれる。頭の中で星が舞う。更に膝が首に巻き付き、凄まじい勢いで後ろへと引き倒される。三角絞めだ。しかも頸動脈を絞めて落とすのではなく、踵を喉仏へと食い込ませる掟破りの、だ。同時に左腕も極めにかかる。ふだんなかなかかけられないで持て余しているプロレス技が次々と放たれる。後は双葉のおもちゃだ。
それでもなんとか全身を無茶苦茶に動かし左手で双葉の服を掴み引き剥がそうとするが、右手の痛みのせいで全く握力が入らない。むしろ半端に抵抗することが双葉の怒りの火に油を注ぐ。その代償は更なる右手の骨折という形で支払うハメになった。
ミチリ、嫌な音が聞こえた。同時に山尾の右腕から別の種類の激痛が走った。思わず悲鳴にもならない悲鳴を上げるが、双葉はお構いなしに中指に続き人差し指を折り始める。たとえ相手が女子小学生とはいえ、完全に関節を極められている状態で、知識も無く力任せの脱出を試みた結果は肘関節の破損と筋の断裂という至極当然の回答だ。間もなく人差し指も折られ、いよいよ山尾の右腕は親指以外ゴミになった。
その右腕が突然、解放される。なにが、と思う間もなく。親指に激痛。動かなくなった右腕の手のひらが広げられ、親指の関節に全体重をかけて踵落としが放たれた。その踵落としを重心に、膝蹴りが鼻っ面へと放たれる。頭の中で星が舞う。更に膝が首に巻き付き、凄まじい勢いで後ろへと引き倒される。三角絞めだ。しかも頸動脈を絞めて落とすのではなく、踵を喉仏へと食い込ませる掟破りの、だ。同時に左腕も極めにかかる。ふだんなかなかかけられないで持て余しているプロレス技が次々と放たれる。後は双葉のおもちゃだ。
「なにっ!?」「なんだぁっ!?」
数分後、匂いを辿って追いついたスネリともっけが見つけたのは、悪魔のような連続殺人鬼だと思っていたオッサンがルナと同い年ぐらいの少女に次々関節技をかけられている光景だった。
「話しかけなくて正解だったな。」
そして、その一部始終を見ていた少年が1人。
うちはサスケは目の前で行われた蛮行にドン引きしていた。
忍者であるためむしろそっち側の世界の人間ではあるのだが、やはり自分より3歳は年下の少女が般若のような迫真の表情でオッサンをギタギタのメタメタにしている光景は衝撃的ではあった。別に殺すことそのものには大して驚きもないが、絵面的な意味で。
うちはサスケは目の前で行われた蛮行にドン引きしていた。
忍者であるためむしろそっち側の世界の人間ではあるのだが、やはり自分より3歳は年下の少女が般若のような迫真の表情でオッサンをギタギタのメタメタにしている光景は衝撃的ではあった。別に殺すことそのものには大して驚きもないが、絵面的な意味で。
「それに、アレは口寄せ動物か?」
そして霧のような小動物と、光る影のような鳥。人語を話すことから、師であるはたけカカシが口寄せする忍犬を思い出す。忍者が使う動物の中には人と会話できるものもいるのでその類だと考えた。まず見た目からして普通の動物ではないし、なんかチャクラっぽいのも感じるし。
(感知される前に離れた方がいいな。)
相手の実力もわからず、数でも感知能力でも負けている以上、長居は無用だ。
サスケはなんとか双葉を山尾から引き離そうと試みるスネリともっけを後ろ目に住宅地へと向かった。
サスケはなんとか双葉を山尾から引き離そうと試みるスネリともっけを後ろ目に住宅地へと向かった。
【0200頃 住宅地近くの森】
【スネリ@妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
ルナを守り、殺し合いを止める
●中目標
ルナと合流する
●小目標
とりあえず女の子(双葉)が殺人鬼(山尾)を殺さないようにする
【目標】
●大目標
ルナを守り、殺し合いを止める
●中目標
ルナと合流する
●小目標
とりあえず女の子(双葉)が殺人鬼(山尾)を殺さないようにする
【もっけ@妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
ルナを守り、殺し合いを止める
●中目標
ルナと合流する
●小目標
とりあえず女の子(双葉)が殺人鬼(山尾)を殺さないようにする
【目標】
●大目標
ルナを守り、殺し合いを止める
●中目標
ルナと合流する
●小目標
とりあえず女の子(双葉)が殺人鬼(山尾)を殺さないようにする
【山尾渓介@名探偵コナン 沈黙の15分(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
さっさと優勝するなり脱出するなりする
●小目標
???(オチてる)
【目標】
●大目標
さっさと優勝するなり脱出するなりする
●小目標
???(オチてる)
【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
こんなことしでかした奴をぶっ飛ばす!
●小目標
???(オッサンしばく)
【目標】
●大目標
こんなことしでかした奴をぶっ飛ばす!
●小目標
???(オッサンしばく)
【うちはサスケ@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
幻術を解く
●小目標
見つけた子供(双葉)たちから離れる
【目標】
●大目標
幻術を解く
●小目標
見つけた子供(双葉)たちから離れる