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  • 探偵は藪の中にいる

児童文庫ロワ

探偵は藪の中にいる

最終更新:2023年12月24日 08:06

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だれでも歓迎! 編集
『あーあー聞こえるかー! オレ達は殺し合いに乗ってない! みんなも殺し合いなんてやめようよ! LOVE&PIECE! 愛だよ愛! てかさ、いきなり変な森に連れて来られて殺し合うヤツいねえよ! あんな変なウサギっぽいやつに殺し合えって言われてさ、殺し合うなんてさ、こんなんでいいのかよ! だから! 殺し合いなんてやら『お前放送ヘタすぎんだろ変われ!』ちょっと待てジャンケンで勝ったのオレじゃん!『爆弾のこと言わないと』それで! あの、この、灯台『展望台』展望台に、ちがう、展望台の、裏に、爆弾があんのよ! 仕掛けたの! で、あの展望台来るときはこの下の崖みたいな坂の下の方で、合図してほしいのよ! そしたらあの爆弾のスイッチオフにするから、あの、あれ、あれだ、『あのーあれだよ』あの『アレだね』おい全員ド忘れしてんじゃねえか!』
「なかなかのなごませ力だなあ。」
「なんなんだあのグダグダなメッセージは……」

 森の中を歩く探偵帽を被った一人と一匹。
 なごみ探偵のおそ松と名探偵のピカチュウは、出会ってから行動を共にしていた。というより、おそ松が無理矢理ピカチュウを抱きかかえていた。
 「マジかよ……」とシワシワになりながらも、さっき電気ショックを食らわせたという負い目もあるのでピカチュウはなすがままにさせている。さすがに頭を撫でさせるのはやめさせたが。

「ピカピバラ、行こうか。」
「そのピカピバラっていうのもやめてくれよ。俺のどこをどう見ればカピバラに見えるんだ。」

 バゴオォォン……!

「花火だね。」
「爆発だろ! 言葉通じないのになんでツッコませるんだ! そしてなんでツッコんでんだ!」

 ピカチュウは既に何度目かとなる頭を抱えるポーズで項垂れる。
 ピカチュウは短い間におそ松がかなり頼りにならないことを理解していた。それに加えて小ボケを挟みたがる。殺し合いの場だそ、とツッコみを入れたくなって、言葉通じないんだぞ、と思い直して自重する。
 この日系人、同じ探偵とは思えないほど探偵らしくない。どう考えても今まで事件とか解決している気がしない。
 だがこんなのでも今は唯一の同行者だ。バディには程遠いが、役に立ってくれることを祈るしかない。

「こんな場所じゃ、贅沢は言っていられないからな。とにかく、あの爆発を調べよう。さっきの放送の子供が巻き込まれている可能性が高い。」
「うん? 花火を見に行きたいの? よし、行こっか。」
「いや違うんだが、まあいいか。クソッ、中途半端にコミュニケーションがとれる。なんか逆にイライラするぞ。」

 どういうわけか、ピカチュウがここだけはしっかりしてほしいということに関してだけは、なぜかおそ松は勘が良い。それは良いことのはずだ。悪いことのはずではない。それでもストレスを感じないかは別の話だが。

「……ふぅ、冷静になろう。考えるべきは、あの爆発だ。」

 頭を切り替えようと、ピカチュウは二足歩行しながら帽子のつばに指をあてて考える。
 ピカチュウが気になったのは三点。
 一、子供たちは無事なのか。
 ニ、なぜ爆発物があったのか。
 三、なぜ日系人が多いのか。

 第一の疑問に関しては今考えられることは乏しい。あの爆発がなにかの操作を誤っての誤爆か、実際に爆発物を仕掛けてそれに誰かがかかったのか、あるいは彼らが仕掛けたのとは違う爆発物か。そもそも爆発物ではなくポケモンのわざによる可能性も否定できない。現時点でピカチュウの手元にある推理の材料は、先の放送と爆発音だけしかない。そこから推理できれば街を歩き回らずに安楽椅子探偵になれるだろう。ピカチュウはすぐにこれについて保留とすることを決めた。

 第二の疑問に関してはいくつかのケースから場合分けして考える。つまり、爆発物を拾ったのか、あるいは持っていたのか。拾ったのであればこの会場に武器として置かれていたことになる。こちらはまだ良い。悪いケースは、爆発物を持ち込んでいた場合。そのケースだと、この狂ったデスゲームを開いた誘拐犯は、爆発物を持つような子供を参加者にしたことになる。そんな子供がどんな子供か、想像の範疇に無いことは想像できた。そして最悪のケースは、会場に爆発物というか武器が落ちていて、かつ参加者が武器を持ち込んでいる場合だ。殺し合いの場に、武器を持った人間を参加させ、更に武器を拾えるようにする。推理などしなくてもわかる、チャチなノワール・フィルムよりろくなことにらない。今ピカチュウとおそ松がこうして曲がりなりにもバディになっているのも、どちらも丸腰だからだ。これがどちらも銃を持っていたら、探偵は探偵でもホームズからコンチネンタル・オプになってしまっていただろう。

 そして第三の疑問が、ピカチュウが一番に気になったことだ。すなわち、さっきの放送からもわかるように、明らかに日系人が多い。というかこれまでピカチュウが存在を知った参加者は4人とも日本語を話している。ということは日系人で無く、日本人ということもあり得る。なんならこの殺し合いの会場もアメリカではないこともあり得る。国外にまで拉致した挙句、銃社会でないあの治安の良い日本から何人も拉致して殺し合わせるというと、もう国家権力でも動かないと実現できるものではない。政府が主催者だとは思わないが、公的な助けは期待できないだろう。そしてもう一つ気になるのは、なぜ日系人に拘るのかだ。日系人を中心に集めたとなればそこから主催者の動機を推理できるかもしれないし、単にたまたま日系人と会う機会が多いだけで世界中から人を拉致しているのなら、相当な人数が巻き込まれていることになるだろう。人種的な思想によるものか、あるいは地理的な制約か。推理の糸口にはなるかもしれないと、頭の片隅に留めておく。

「だが……推理するには、パズルのピースが少なすぎるか……」

 腕を組み、ごちる。今のところ結局、どの疑問にも解決の糸口は見えない。考えられることを整理したが、これ以上は現場に向かって考えざるをえないだろう。

「……ん、この音は。おい! 誰か来るぞ!」

 ひねっていた頭をリラックスさせると、ピカチュウの耳に足音が聴こえた。割と近くから聴こえることから、自分が思っていたよりも考え込んでいたことを察する。

「気が抜けていたな。隠れるぞ。」
「なになに? えっと、人が来た?」
「本当になんでこういうのはコミュニケーションできるんだ?」

 なぜか意思疎通ができるおそ松を先導して、藪の中へと身を潜める。少しして二人の前に小さな人影が見えた。不安そうに後ろを振り返りながら息を切って小走りする男児だ。

「子供か。エレメンタリースクールにも入らないような。あの様子、何かに追われているのか?」
「迷子だね、助けよう。おーい!」
「不警戒だが……まあいい。」

 せっかく隠れたのに即行で出るおそ松に愚痴りながら、ピカチュウも藪の中から出た。
 さっきの放送の子供たちとは違うだろうが、保護しなくてはならない。あの子供たちは声の感じからティーンエイジャーにギリギリならないぐらいだと推測している都合、武器を持っている可能性も薄いだろう。
 「ヒィッ!」と悲鳴をあげて丸刈りの子供が飛び上がる。手を繋いでいた子供がバランスを崩してワタワタするのを見て、ピカチュウの顔が曇った。

「5・6歳ってところか……こんな小さな子供に殺し合えだって? 正気じゃないな。」

 正気だったらそもそもこんなことをしないだろうがな、と言外に付け足して、ピカチュウはおそ松が子供たちに話しかけるのを見守った。
 円谷光彦と佐藤マサオと名乗った二人は、まだ警戒心をありありと見せてはいるものの、おそ松の間抜けさに呆れたのか会話が落ち着いてできるぐらいには冷静になっている。そのことに関してだけはおそ松を評価しながら、ピカチュウは彼らを参加者とした主催者の意図を想像した。ほぼ100%、彼らは殺されることを目的として巻き込まれた、そう見ていいだろう。おそ松のような成人男性がいるなら、子供が殺せる可能性は、通常は低い。『殺し合う』ための参加者ではなく『殺される』ための参加者とピカチュウは見た。

「悪趣味だな。リザードンやカメックスやフシギバナがいるバトルにトランセルやコクーンを出すようなものだぞ。勝ち目なんてわるあがきしたってない。」
「あ、それでこっちがピガビパラ。」
「おいちょっとさっきと名前変わってるぞ。ピカピバラだ。いやピカピパラじゃなくてピカチュウだ。いやピカチュウでもなくて、ああ! ややこしいな!」
「なんかすごい嫌そうな顔してますよ、えっと、ピカピパラ?」
「……ああ、もうそれでいい……」

 光彦と名乗った子供にピカピパラ呼びされて、ピカチュウは疲れた顔で「ピカッ」と返事をする。
 目下一番の問題は、殺し合い云々よりも話が通じないことだなと痛感させられた。名前一つとってもどうにもできないとなると、せっかく推理しても意味が無い。

「ティム、これは一人じゃ扱うには手に余る事件だ。巻き込まれていてほしくはないが、正直力を借りたい。」

 どうせ鳴き声にしか聞こえないのもあって、カッコ悪い独り言も気にせず言える。そのことだけが今の心の慰めだった。


 それが最後のチャンスだったと、後にピカチュウは思うことになる。
 結果論だが、ピカチュウは判断を誤った。彼がすべきことは自分の相棒に思いを馳せることでも、光彦たちから話を聞き出すことでもなく、彼らを見捨てて逃げるべきであったのだ。光彦たちが息を整えるのを待つだけでも、彼らを追う追跡者の毒牙から逃れられなくなることを、ピカチュウは知らなかった。理解すべきだったのだ。法も秩序もない殺し合いの場では、ホームズのような探偵ではなく、コンチネンタル・オプのような探偵でなければ生き残れないのだと。東部の『スマート』な紳士では無く、西部の『タフ』な漢でなければならなかったのだと。

(なんだ、この臭いは?)
「それで、爆発があった展望台から三人組の少年が崖を駆け下りて来て、慌てた様子で逃げてきたんです。それでぼくたちも、あそこに行くのをやめて逃げていました。」

 流れてくる悪臭に違和感を覚え曼派も、おそ松から借りたハンカチで顔の汗を拭いながら、光彦が落ち着いて受け答えるのを、ピカチュウはこれまでの情報と照らし合わせながら聞いていた。
 どうやらあの放送をしていた三人は何者かの接触を受けパニックを起こしたらしい。伝聞の伝聞ではわからないが、襲われた、と見るべきか。
 そう今後について考えることは、すぐに無駄なことになる。
 光彦とマサオと出会って数分で、おそ松は二人からあらかた事情聴取を終えた。それは円滑なコミュニケーションと呼べるものだが、致命的な隙だった。

「おい、なんか臭くないか? いや、聞こえないのはわかる……」

 光彦が話し終えたのを見計らって、ピカチュウが呼びかけるも、彼の言葉は届かない。それでも心は通じたのだろうか、彼へと振り返ったおそ松の驚いたような顔と目が合った。
 なんでそんな顔を、と思うより早く、ピカチュウの首すじに激痛が走った。

「……んだがッ!?」
「うわぁ! 人面蜘蛛!」

 ぞわりという感覚が、ピカチュウの背中を走った。それはすぐに再び激痛へと取って代わられた。
 驚きの声を上げたおそ松の顔に何かが高速で飛びかかり、張り付く。壮絶な悲鳴を上げて倒れるおそ松からそれは剥がれると、既に悲鳴を上げていた光彦が、喉を砕くような叫び声を上げた。

「なんだ、何が起こった!? グッ……!」
(ポケモンに奇襲されたのかっ! 人面蜘蛛、イトマルか? ならまずい、毒があるぞ!)

 困惑の言葉を言いながらも、ピカチュウは直ぐに襲撃されたことを察する。元々警戒はしていたが、レベルが違ったようだ。自分たちはかなりの手練に襲われている!

「ヒイイイィッ!」
「これで四人目ぇっ!」
(男の声だ。ポケモンに指示を出している人間がすぐ近くにいるのか! なら一匹しか出していないうちに、そこを止めれ、ば……)

 マサオの悲鳴と同じ方向から聞こえてきた人間の声に、ピカチュウはなんとか力を振り絞って、でんきショックをおみまいしようと向く。ぶっつけ本番だがちゃんと出てくれよと祈りながら敵を探して、絶句した。
 それは人面蜘蛛だった。イトマルのように人の顔のような模様をしているのではない。蜘蛛の頭があるべき部分が人間の顔になっていた。マサオの頭に張り付いて地面に引き倒したそれは、下卑た笑いを浮かべながら大口を開いて齧り付こうとしていた。

 ギロリ。目が合った。

(あぁ、死んだな。)
「ピッ、ピ——」
「まだ動けたか。」

 せめてこの襲撃者に一矢報いようとしたのか。それとも最後の力でおそ松たちに逃げろと言いたかったのか。あるいはここにはいないが近くにいる参加者に聞きを伝えたかったのか。

「——カパァ……」

 ピカチュウが最期に発しようとした声は鳴き声にもならずに森へと消えた。


 襲撃者の正体は、蜘蛛の鬼(兄)。
 彼は関本和也たち展望台組の三人にクレイモアで吹き飛ばされた後、身体の再生が終わり次第追跡していたが、展望台組に追い抜かれたマサオと光彦を見つけてそちらにターゲットを移していた。
 蜘蛛の鬼(兄)からすれば正直どうでもいい連中ではあるが、ちょうど身体の再生で消耗して腹が減っていたところであるし、彼の血鬼術からしても襲うことになんの逡巡もなかった。彼は毒を流し込むことで、自分と同じような人面蜘蛛へと人間を変えることができる。そうして生み出した人面蜘蛛は、知性もろくになく彼の命令に機械的に従う鬼と化すのだ。その鬼たちを操り、人間を待ち伏せして食い殺すのが蜘蛛の鬼(兄)の基本戦法である。ゆえに、いつものように戦うには、まずは何人か蜘蛛へと変えたかった。
 そこに現れたのが、おそ松とピカチュウだった。いきなり三人の獲物と出会えたことに幸先の良さを感じながら、まずは自分の気配に気づいたらしき珍獣の首すじに噛みつき、次に大人の男の目を潰しい、大きい方の子供の足の肉を削った。食いでのあるおそ松を食い殺すことを決めて、マサオと光彦のどちらかを鬼へと変えようと思った。

「あっ、足があっ! ぼくの足、足がああっ!!」
「ひいいいいいいっ!?」
「ひいひいウルセエんだよ餓鬼共がぁ!」
「うわあああんごめんなさあああいっ!!」
「ウルセエっつってんだろ! 殺すぞ!」
「こ、殺さないで! なんでもするから殺さないでええ……」

「ん? 今何でもするって言ったよな?」

 だが、考えが変わった。
 つい今しがたのように、子供が歩いていれば大人は保護しようとするだろう。ならこの二人は、格好の餌になるのではないか?

「でも足削っちまったからなぁ。この血じゃすぐ死ぬし……いや、待てよ。」

 なにも二人も餌はいらない。光彦の方は足を怪我しているので動けないし、傷が深くてすぐに死ぬだろう。なら有効活用できないか?
 蜘蛛の鬼(兄)はニヤリと笑うと、先の尖った木の枝を見つけてマサオの足元に投げつけた。

「お前に選ばせてやる。蜘蛛になるか、食われるか。」
「どっちも嫌だよおおお!」
「なにぃ? なんつったもう一回言ってみろ?」
「どっ、どっちもイヤですうう!」
「そうか……わかった。」
「イヤで……ひいっ!?」

 蜘蛛の鬼(兄)は木の枝をマサオに握らせた。怖くなりすぎて、目を閉じていられなくなったのだろう。怖いものを見ることより何をされるかわからない怖さが勝り、マサオは目を開く。
 そしてマサオは見た。自分の手に握られた尖った枝と、目の前で血をダラダラ流しながら横たわる光彦と、その上に乗り光彦を押さえつける蜘蛛の鬼(兄)を。

「腹が減ったからお前かこいつのどっちかを食う。片方は俺の奴隷になって人間を俺のところまで持ってこい。まあ、こいつはちょっと痛めつけ過ぎちまって死にそうだから、お前が奴隷な。」
「ど、奴隷……」
「でよお、奴隷ならご主人様には忠誠を示さねえとなあ……お前、こいつはを殺せ。」
「こ、殺すって、え、ええっ、えええぇぇっ!?」
「ええっ!? ま、待って、助けて! お願いします!」

 マサオの悲鳴と光彦の驚愕の声が同時に上がる。それを蜘蛛の鬼(兄)は、光彦の尻の肉を食いちぎることで黙らせた。声にならない声は余計に上がることになったが。

「嫌なら、お前を食う。死にたくないんだろ? 何でもするんだろ? なら、仲間を殺せ。」
「そ、そんなこと……」
「ほら? 急いでやれよ。このまま苦しい思いさせるのか?」

 もはや言葉も出せない光彦の肉を噛りながら、蜘蛛の鬼(兄)はマサオへとそう告げる。ハッ、ハッ、と短い息をしながら、マサオはゆっくりと枝を胸の前へと上げ始めて、ニヤリと笑みを深くした。

「そうだ、それでいい。早く仲間を楽にしてやれよ。」
「ハァ……ハァ……」
「お前はこうなりたくないだろ? 死にたくないんだろ? 食われたくないんだろう?」
「ハァ……! ハァ……! ヒィッ!? ぼ、ぼくは、ぼくは……!」
「早く助けてやれよ。こんなに苦しんでるじゃねえか……なぁ?」
「ぼ、ぼく、ぼくは! ど、どうすれば……」
「マサオ……くん……」

 逡巡するマサオに、蜘蛛の鬼(兄)の下から声がかかる。見下ろせば、光彦が鬼の形相で言葉を紡いでいた。

「……ボクは……もう、ダメです……もう、目が見えないんです……耳もだんだん聞こえなくなっていて……失血によるショック症状です……」
「だから……このままじゃ二人とも死んじゃいます……ううっ!」
「だ、だから……マサオくん! 覚えててください! 灰原哀さん、吉田歩美ちゃん、江戸川コナンくん、小嶋元太くん、少年探偵団のみんな! たぶん、彼らもここにいます! だから会ったら、ボクは、勇敢に、勇敢、で、ごぽっ!?」
「ぼ、ボク……灰原さん……探偵、団……マサオ、くん……」
「なんで……こんなことに……」
「う、うわあああうわあああん!!!」

 気がつけば、マサオは枝を振り下ろしていた。
 光彦の虚ろに開いた口から喉、脳幹へと突き刺さる。
 蜘蛛の鬼(兄)が口笛を吹く。
 と同時に、身体が真っ二つになった。

「へ?」
「間に合ったな。」

 その声が、蜘蛛の鬼(兄)が首輪を破壊されたことで毒殺される最後の言葉だった。



(チッ、持ち歩けるようなもんじゃねえな。ブービートラップ仕掛けて他を当たるか。)

 桃地再不斬は森の中で見つけた建物から出ると再び走り出した。
 彼、再不斬は忍者だ。そして死んだ身だ。
 ある国で用心棒として雇われ、大国の忍と戦い、最後には雇い主に裏切られ、その裏切りの代償を道連れという形で払わせてこの世を去った。
 が、どういうわけか生きている。
 これは一体どういうことか。
 普通なら大いに悩む問題も、彼は僅かに困惑するだけであっさりと受け入れた。
 彼の世界には、生きた人間を生け贄に死んだ人間を不死身のゾンビとして生き返らせ、洗脳して故郷に返し自爆させるという、卑劣極まりない忍術がある。
 実際に目にしたことはないが大方自分もそれをやられたのだろうと納得した。
 本来ならそういうことが無いように忍の死体は痕跡一つ残さぬよう処理されるが、抜け忍である自分にそれは当てはまらない。何より、彼が戦っていたのはその忍術を開発した者がかつて長を務めていた隠れ里である。
 おおかた自分の死体を回収して悪用した――つまりこの殺し合いも木の葉が主催するものだと彼は考えていた。
 彼が忍になった里では、忍者の学校を卒業するにあたり同級生と殺し合うという因習があったが、これはそれを思わせるものだ。自分が生徒を皆殺しにしたことでなくなってしまったそれを、自分を負かした連中の犬としてやるハメになったのは思うところがあるが、殺し自体に喜びはあっても抵抗は無い。これが身体の自由を奪われてのものであったらもちろん反抗しただろうが、自分の殺意で殺人をするというのならやぶさかではなかった。
 目下の目的地として、いつの間にかポケットに入っていた紙片からこの建物にあった大砲を目指したが、さして使い物になりそうにないので罠だけ張って道なき道を往く。再不斬にとってこの程度の霧や森は、自身の無音殺人術を活かすための環境にほかならない。生き返り地の利もあるとなれば、まずは腕鳴らしに一戦をと考えるも、なかなか他の参加者の痕跡には巡り合わずにいる。いっそ山にでも登ってこのキルゾーンの地形を把握しておくかと方向を定めて駆けていると、放送が聞こえてきた。

『あーあー聞こえるかー! オレ達は殺し合いに乗ってない! みんなも殺し合いなんてやめようよ! LOVE&PIECE! 愛だよ愛! てかさ、いきなり変な森に連れて来られて殺し合うヤツいねえよ! あんな変なウサギっぽいやつに殺し合えって言われてさ、殺し合うなんてさ、こんなんでいいのかよ! だから! 殺し合いなんてやら『お前放送ヘタすぎんだろ変われ!』ちょっと待てジャンケンで勝ったのオレじゃん!『爆弾のこと言わないと』それで! あの、この、灯台『展望台』展望台に、ちがう、展望台の、裏に、爆弾があんのよ! 仕掛けたの! で、あの展望台来るときはこの下の崖みたいな坂の下の方で、合図してほしいのよ! そしたらあの爆弾のスイッチオフにするから、あの、あれ、あれだ、『あのーあれだよ』あの『アレだね』おい全員ド忘れしてんじゃねえか!』
「ようやくか……ガキだが、まあいいか。」

 頭の悪そうな放送だと思いながら、再不斬は小休止を止めると先よりも速く駆けた。途中で聴こえた爆発音で一気に速度を上げれば、感じたのは強烈な臭い。
 鼻を刺す臭いに再不斬は慎重に森の木々の枝を飛ぶ。足音をさせずに駆けること数分、彼の耳には子供の泣き声が、鼻に嗅ぎなれた臭いがしてきた。

「だ、だから……マサオくん! 覚えててください! 灰原哀さん、吉田歩美ちゃん、江戸川コナンくん、小嶋元太くん、少年探偵団のみんな! たぶん、彼らもここにいます! だから会ったら、ボクは、勇敢に、勇敢、で、ごぽっ!?」
「ぼ、ボク……灰原さん……探偵、団……マサオ、くん……」
「なんで……こんなことに……」
「う、うわあああうわあああん!!!」
(なにやってんだアイツら……)

 そして目撃したのが、蜘蛛の鬼(兄)がマサオに殺人を強要している場面であった。初めて見るその異様な姿にこそ驚きはしたが、やっていることは何ということはない。戦場ではありふれた光景だった。周囲に謎の生き物や男の死体も見つけると、あの蜘蛛が子供にもう一人の子供を殺すようにとでも言っているのだろうと察しをつける。
 あとは隙だらけの蜘蛛の鬼(兄)を唐竹割りにして終わりだった。どうせろくなやつではなさそうだし、試し斬りするには子供よりは手応えがありそうだ。その程度の理由である。そして実際、容易に奇襲は成功した。本当は再不斬の刀ではなく、刀が首輪を破壊したことで首輪の中の毒が注入されたからなのだが、そんなことは再不斬は知らず、思ったより斬り応えがないなと鼻白む。
 だが今斬らなければ移動されていただろう。それだと腕試しの機会が遠のいていたかもしれないので、特に思うところはない。

「間に合ったな。」

 転がる死体も気にせずそう言うと、再不斬はマサオへと目を向けた。いちおう助ける形になったが、別にそんな気は全く無い。さてどうしようかと思い。

「はぅ……」
「おいおい、気ぃ失くすなよ。」

 目の前で次々に起こった異常事態への衝撃でついに気絶したマサオに、再不斬は呆れた声を上げた。



【0115 『北部』山岳部裾野の森】

【佐藤マサオ@双葉社ジュニア文庫 映画ノベライズ クレヨンしんちゃん
ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 帰りたい
●小目標
 ???

【桃地再不斬@NARUTO-ナルト-白の童子、血風の鬼人(NARUTOシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
 生き残る
●小目標
 ガキ(マサオ)から話でも聞き出そうと思ったが……


【脱落】
【ピカチュウ@名探偵ピカチュウ(小学館ジュニア文庫)】
【なごみ探偵のおそ松@おそ松さん~番外編~(集英社みらい文庫)】
【円谷光彦@名探偵コナン 紺青の拳(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【蜘蛛の鬼(兄)@鬼滅の刃 ノベライズ~きょうだいの絆と鬼殺隊編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】

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