深淵なる悲哀

ジョナサンは重い足取りで、レストラントラサルディーへと駆けていた。
彼は億泰を追わずに、レミリア達と合流することを選んだ。
それは、ジョナサンなりの考えができてしまったからだ。
もしあそこで億泰を追い、彼を止めてしまえば彼の信念…つまりは誇りをけなす事と同じと考えてしまい、億泰を追うことはできなかった。
そしてこの殺し合いで、できた掛け替えのない友、レミリアという友をジョナサンは選んだのだ。
しばらく走ると向こうから、ブチャラティとレミィがこちらへと歩いてくるのが見えた。
二人の姿が見えると、ジョナサンの足は一層に速くなり二人の元へと駆けた。
ジョナサンがレミリアとブチャラティと合流すると、まず億泰のことを二人から聞かれ
ジョナサンは億泰のことを二人に話した。

「すまない…僕があそこで億泰を引き留めていたら…」

「…いや、君が自分を責めることはない。そんな状況は誰だって選ぼうにも選べない」

そしてジョナサンは、香霖堂の大半が焼かれたことを話し
一旦レストラントラサルディーにて、ブチャラティの傷を治すために三人はレストラントラサルディーへと向かった。


【レストラントラサルディー 一階】
ジョナサンとブチャラティが互いに自己紹介をすると、ジョナサンはブチャラティを椅子に座らせ治療を行った。
ブチャラティを治療している途中、ブチャラティはジョナサンが自分を治療している不思議な力に興味を持ち、
ジョナサンに波紋についていろいろと教えて貰った。


「…さて治療はこれで済んだよ」

「ああ、ありがとうジョナサン」


ブチャラティの治療を終え三人は相談した結果
放送を聞き終えた後、億泰を追うことにした。
一階に用意されていた丸テーブルに備えてあった椅子に、三人は腰掛けた。
ブチャラティとジョナサンは椅子のサイズが、それなりにあっていたが、
レミリアだけは椅子に座っても頭だけが出てしまう形になってしまった。

「レミィ…その…子供用の椅子持ってこようか?」

「別に…これでいいわよ…」

顔を真っ赤にしながらレミリアは答えた。
だが更に、ブチャラティの追撃が入った。

「なんなら、ジョナサンの膝に座ったらどうだ?親子みたいに見えるからいいかもしれないぞ」

それを聞いた途端、レミリアの顔は茹でダコのように真っ赤になりブチャラティに殴りかかろうとし、ジョナサンがそれを止めた。

「止めないでジョジョ!!一発!!一発でいいから!!」

「落ち着くんだレミィ!!いいから落ち着いて!!」

発言主のブチャラティはきょとんとしており頭上には、はてなマークが浮かんでそうな表情であった。


なんとかジョナサンはレミリアを落ち着かせ、ブチャラティが口を開いた

「すまなかったレミリア、不用意な発言を許してくれ」

「まったく…次言ったら承知しないわよ」

ジョナサンはただ苦笑いをしており、レミリアはジョナサンの膝の上で不満そうな顔で答えた。
放送が始まるまでしばらく時間があったので、3人はそれぞれが持っている情報を出そうと話し始めた。
まずサンタナとの戦いでブチャラティが操っていた式神のような物にレミリアは興味を持ちブチャラティに質問を投げかけ
そしてブチャラティがスタンドについての説明を2人に話した。

流れからかブチャラティは危険視する人物を話した。
まずディアボロについて話し、次にレミリアと共闘し追い払った謎の男、サンタナ
そして…

「最後に気をつけるべき者は、DIO、やつはそう名乗った」

この名を聞いた瞬間ジョナサンは血相を変えてブチャラティに質問を投げかけた。
もうすでに誰か殺していたか、自分の事を何か言っていたか、
だがブチャラティはどの質問も返すことができなかった。

「…すまない、俺は逃げることしかできなかった…」

「…ディオは何を企んでいるんだ…まさかまたゾンビを増やしているのか…」

そしたどこからか声が聞こえてき、放送が始まった。
「マイクテスト、マイクテスト……」


放送から1分とたったこの状況は異端であった、空気は重くジョナサンとブチャラティはそれぞれ違うテーブルに座っていて
レミリアの姿は見えなかった。
ジョナサンは頭を抱えて、ブチャラティは目元を手で覆い、調理場からは誰かのすすり泣く声が聞こえていた。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

レミリアは安心していた…いや安心しようとしていた。
自分の部下…友が死んでいるはずがないと

ジョナサンは心配していた。
自分の友と師が無事であるかと

ブチャラティは祈っていた。
自分の部下、そしてトリッシュが無事であることを

3人は互いに心配をかけないようにポーカーフェイスで放送を聞こうとした。
だが現実は非情であった。
荒木の声が部屋に響く中、ついに犠牲者の発表が始まった。

「…ではゲーム開始からこの放送までの脱落者は、グイード・ミスタ」

この瞬間からだろうか、少しずつ崩壊が始まった。
まずブチャラティは歯をかみしめた。
だが荒木の声はやまない

「萃香…紅美鈴…十六夜咲夜…」

レミリアは息を飲み、頭の中が真っ白になったかと思うと
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだうそだうそだうそだうそだウソダウソダウソダウソダウソダウソダ…と頭の中で繰り返した。

「マミゾウ…ロバート・E・O・スピードワゴン…」

ジョナサンは拳を握りしめた。
だが彼の悲劇は終わらない

「プロシュート…ウィル・A・ツェペリ…」

ジョナサンはただ1滴涙を流した。



「…次の放送は昼の12時だ。それまで諸君の健闘を祈る。」

3人のポーカーフェイスは放送が終わる頃には崩れ去っていた。
レミリアはジョナサンの膝から降りて、ふらふらと調理場に向かおうとした。
ジョナサンは席を立ち、レミリアの肩に手を置いたが振り払われてしまった。

「レミィ、悲しい気持ちは分かる。だが急いで出発しよう」

レミリアは何も言わずに調理場へと歩いた。

「レミィ!!悲しんでいる時間はない!!こうしている間にもディオは…!!」

「近寄らないで!!!!」

大きな動物が咆吼を叫ぶかのような勢いにジョナサンは圧倒されてしまった。

「しばらく…しばらく1人にさせて」

レミリアは振り返らずに調理場へと入っていった。

「ジョナサン、心の整理も大事だ。しばらくは…しばらくはそっとしておこう」

「…ああ」

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

まだ調理場からすすり泣く声が聞こえる中ブチャラティが口を開いた。

「…なあジョナサン、君の信じられる道ってなんだい」

急な話題にジョナサンは戸惑った。

「いきなりなんだい…自分の信じられる道?」

「ああ少し聞かせてもらいたい」

「僕か…僕の信じられる道は…ディオを倒すことだ」

「DIOをか…」

「じゃあブチャラティ、君の信じられる道はなんだい?」

「俺はさっき言ったディアボロ…やつを倒すことだ」

「そのディアボロと何かあったのかい?」

「俺はディアボロを…組織を裏切ったんだ」

「組織?」

ブチャラティはヴェネチアのサン・ジョルジョ・マジョーレ島で自分の身に起こったことを手短に話した。


「後悔は…してるのかい?」

「後悔なんかしていない、俺は自分の道を歩みたいと思っただけだからな」

「自分の道か…」

「今俺たちの身に起こっている殺し合いでもだ、誰もが時間とともに死んでいく、自分の友が、家族が…
そんな中で自分の信じられる道を歩めることができる者が勝てるとは思っていない…だがそんな状況だからこそ、俺は自分の道を歩みたい」


ジョナサンは満を持して椅子から立ち上がり、調理場へと向かった。
ブチャラティは立ち上がったジョナサンを一目見ると安心した表情でジョナサンを見送った。



【レストラントラサルディー 一階 調理場】
レミリアはすみっこでうずくまって泣いていた。

レミリアは今二つの気持ちがあった。
一つは咲夜と美鈴が死んだことによる悲しみ、そしてもう一つは恐怖だった。
なぜ咲夜と美鈴のような強き者が死んでしまったのか…咲夜と美鈴は強い、それはレミリア自身がよく知っている。
咲夜を超える時間能力能力者がいるのか、美鈴を超える体術を扱える者がいるのか…
この殺し合いには自分が知っている能力者を超える能力を持つ者が何人いるのか…
そしてDIOという吸血鬼…こいつも自分より強い吸血鬼だったりするのだろうか…
考えれば考えるほど、レミリアの流す涙の量は増えていく。

二人の敵を取りたい、だけど家族の死を知り理解した死の恐怖
死んだらどうなるのだ、残された者はどうなるのだろうか…考えたくないことも考えてしまう



気高き吸血鬼は今、家族の死を悲しみ死という恐怖におびえる少女へとなっていた。

止まらない涙を流していると、一人誰かの足跡が聞こえた。
しっかりとした足の歩み、だが優しさを感じさせる足音にレミリアは誰が来たかすぐに分かった。

「レミィ…」

ジョナサンが来ても、レミリアはジョナサンを見ようとはせずただうずくまって泣いていた。
レミリアは無視をすると決め込んだ、無視していればそのうちどこかに行くだろうと
しかし…レミリアが予想もしない行動をジョナサンはとった。
なんと急にジョナサンがレミリアを優しく、その大きな体で抱きしめたのだ。

「ジョジョ…?」

急な行動にレミリアは一瞬泣くのをやめてしまった。

「レミィすまなかった…君の気持ちを理解せずに…」

「ジョジョ…」

「レミィ…今は泣いてくれても構わない…だけど進まなければならないんだ僕たちは…」

レミリアは何も言えずにいた。

「レミィ…僕の方を向いてくれ」

ジョナサンは一旦レミリアから離れた。
レミリアは何も言わずにジョナサンの方を向きジョナサンの顔を見た瞬間、またジョナサンはレミリアを抱きしめた。

「レミィ…生きてる者には死んだ者の声は聞こえないし…話せもしない…
 だけど亡くなった者の魂は消えない…戦士の魂は常に君と共にあるんだ。」

「だから君に誓いたい…君は僕達が支える」

レミリアはジョナサンの胸の中でゆっくりと涙をまた流した。


【D-4 レストラン・トラサルディー内/朝】
【レミリア・スカーレット@東方紅魔郷】
[状態]:疲労(小)、体力消耗(小)、妖力消費(中)、右腕欠損、頭部及び顔面に打撲(小)、胴体に裂傷(小)、再生中
[装備]:なし
[道具]:「ピンクダークの少年」1部~3部全巻@ジョジョ第4部、ウォークマン@現実、
    制御棒、命蓮寺で回収した食糧品や役立ちそうな道具、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:誇り高き吸血鬼としてこの殺し合いを打破する。
1:億泰をジョナサン、ブチャラティと共に追う
2:ジョジョ(ジョナサン)と対等の友人として認めて行動する。
3:自分の部下や霊夢たち、及びジョナサンの仲間を捜す。
4:殺し合いに乗った参加者は倒す。危険と判断すれば完全に再起不能にする。
5:ジョナサンと吸血鬼ディオに興味。
6:ウォークマンの曲に興味、暇があれば聞いてみるかも。
7:最悪、日中はあのダサい傘を使って移動する。
8:咲夜と美鈴の敵をとりたい。
[備考]
※参戦時期は少なくとも非想天則以降です。
※波紋及び日光によるダメージで受けた傷は通常の傷よりも治癒が遅いようです。
※「ピンクダークの少年」の第1部を半分以上読みました。
※ジョナサンとレミリアは互いに参加者内の知り合いや危険人物の情報を交換しました。
 どこまで詳しく情報を教えているかは未定です。
※ウォークマンに入っている自身のテーマ曲を聞きました。何故か聞いたことのある懐かしさを感じたようです。
※右腕が欠損していますが、十分な妖力が回復すれば再生出来るかもしれません。
※スタンドについての情報を得ました。



【ジョナサン・ジョースター@第1部 ファントムブラッド】
[状態]:腹部に打撲(小)、肋骨損傷(小)、疲労(小)、半乾き、波紋の呼吸により回復中
[装備]:シーザーの手袋@ジョジョ第2部(右手部分は焼け落ちて使用不能)
[道具]:河童の秘薬(半分消費)@東方茨歌仙、妖怪『からかさ小僧』風の傘@現地調達、
    命蓮寺で回収した食糧品や役立ちそうな道具、基本支給品、香霖堂で回収した物資
[思考・状況]
基本行動方針:荒木と太田を撃破し、殺し合いを止める。ディオは必ず倒す。
1:億泰をみんなで追いかける
2:レミィ(レミリア)を対等の友人として信頼し行動する。
3:レミリアの知り合いを捜す。
4:打倒主催の為、信頼出来る人物と協力したい。無力な者、弱者は護る。
5:名簿に疑問。死んだはずのツェペリさん、ブラフォードとタルカスの名が何故記載されている?
 『ジョースター』や『ツェペリ』の姓を持つ人物は何者なのか?
6:スピードワゴン、ウィル・A・ツェペリ、二人の敵をとる
[備考]
※参戦時期はタルカス撃破後、ウィンドナイツ・ロットへ向かっている途中です。
※今のところシャボン玉を使って出来ることは「波紋を流し込んで飛ばすこと」のみです。
 コツを覚えればシーザーのように多彩に活用することが出来るかもしれません。
※幻想郷、異変や妖怪についてより詳しく知りました。
※ジョセフ・ジョースター、空条承太郎、東方仗助について大まかに知りました。
4部の時間軸での人物情報です。それ以外に億泰が情報を話したかは不明です。
※スタンドについての情報を得ました。




【ブローノ・ブチャラティ@第5部 黄金の風】
[状態]:疲労(小)、体力消耗(小)、左腕に裂傷・腹部に刺傷複数(小)、胴体や両足に補食痕複数
    内臓損傷(小)、腹部に打撲(小)、幸運(?)
[装備]:閃光手榴弾×1@現実
[道具]:聖人の遺体(両目、心臓)@スティールボールラン、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを破壊し、主催者を倒す。
1:億泰を追いかける
2:ジョルノ達護衛チームと合流。その他殺し合いに乗っていない参加者と協力し、会場からの脱出方法を捜す。
3:殺し合いに乗っている参加者は無力化。場合によっては殺害も辞さない。
4:DIO、サンタナ(名前は知らない)を危険視。いつか必ず倒す。
5:ミスタ…
[備考]
※参戦時期はローマ到着直前です。
※制限の度合いは後の書き手さんにお任せします。
※幻想郷についての情報を得ました。
※てゐの『人間を幸運にする程度の能力』の効果や時間がどの程度かは、後の書き手さんにお任せします
※波紋についての情報を得ました。
※ジョナサンの波紋で左腕の裂傷・腹部に刺傷複数、胴体や両足に補食痕複数、内臓損傷を回復しました

097:進むべき道 投下順 099:幻葬事変/竹取幻葬
097:進むべき道 時系列順 099:幻葬事変/竹取幻葬
065:Roundabout -Into The Night ジョナサン・ジョースター 100:嘆きの森
065:Roundabout -Into The Night レミリア・スカーレット 100:嘆きの森
065:Roundabout -Into The Night ブローノ・ブチャラティ 100:嘆きの森

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最終更新:2014年08月31日 20:48