きっと。

稗田阿求
【夕方】D-4 レストラン・トラサルディー 


 そういえば、と誠に今更めいてではあったが。


「……私、人前で筆をふるうってあまり無かったなあ」


 よく磨かれた洋風の食卓を借りて、白い紙へと一心に文字を並べ立てていく少女・稗田阿求はふと思い、筆を止めた。自分では声に出したつもりなどなかったが、虚空に打ち出された独白は、店内のもう一人の人物の鼓膜にはしっかりと届いていたようで。

「あら。私としたことが、先生の気を散らせてしまったかしら?」

 阿求とは別の、お店にもう一つだけ備えられた食卓に座る西行寺幽々子は、暖房器具の熱に手をかざしながら首だけこちらに向けて言った。この暖房器具(ストーブ)は、いよいよ肌寒くなってきたからと、八意永琳が店奥からわざわざ用意してくれた有難いものだった。それきり彼女は店を出た。もう戻って来ないかもと、漠然とした予感が阿求の頭を過ぎる。
 一抹の寂しさを覚えるのは、永琳がここを去った事とは関係ない。いや、起因にはなっているのだろうか。なにせ、今やこのレストランに居る人物は阿求と幽々子の二人のみ。ジャイロと文は迷子の捜索に出掛け、輝夜とリンゴォも先程ここを発った。

 ふたりぼっち。加えて彼女らの間で会話はあまり無い。紙の上を走る鉛筆の僅かな音と、暖房器具の上に乗せられたやかんが、シュウシュウと小さな湯気を噴き出しているだけ。
 この会場が血飛沫飛び交う戦場である事など忘れかねないほどの静寂。今のみを切り抜けば、午後のティータイムをまったり寛ぐ冬の休日と称して問題なかった。
 そのしじまな空気に耐えかねてか、阿求は無意識に声を零してしまったのかもしれない。

「あ……私、声出てました?」
「ふふ。お邪魔なら少し席を外そうかしら?」

 気品を隠せない所作の一つ一つは、すっかり成熟した大人の女性。けれどもその表情は、まるで子供のように悪戯っぽい笑顔を浮かべて。
 腰を浮かしかけた幽々子を慌てて宥めるように、阿求は身振り手振りでその行為を取り下げた。

「いえいえ! お邪魔なんてそんな! これは私が勝手にやってることですし、幽々子さんが気を利かせる必要なんて……」
「ジョーダンよ。外、雪降ってるし」

 左様で。呆れる阿求を横目に、幽々子もくすりと微笑んで再び椅子に腰掛けた。こんな時にもマイペースなお嬢様だと、どこか安堵の気持ちも自覚しながら阿求も再び仕事に戻る。
 仕事、とは言うが、この手記に日記のような項目を書き連ねていく恒例事は、どちらかと言えば半分は自己満足に近いような行為だった。これも稗田の血というべきか、やはりペンを握っていると心が落ち着くのだ。
 仕事は今までのように一枚のメモ用紙をただ重ねていく簡素なスタイルから脱出した。お店からメモ帳を拝借して、見た目だけは完全な『手記』へとグレードアップしている。この手記に未だ名前が付けられていない怠惰に目を瞑れば、およそ満足の行く体には近付いた。

「律儀なのね」

 テーブルに肘をつき、やや姿勢を楽にした幽々子がまた口を開く。流石にこの風景にも飽きてきたという彼女の心情が、弛緩した雰囲気から阿求にも伝播した。

「この手記のことですか?」
「ええ。わざわざ今の状況で書くまでもなく、『貴方』なら全てが終わった後にでもゆっくり書き留められるでしょうから」
「確かに、私の記憶力なら全く問題ありません。何時、どこで、誰とどんな会話を交わしたか。一字一句間違わずに思い出せますから」

 では何故、こんな非常時にも筆を執るか? 次に浮かんだ疑問を考えた途端、阿求の腕はピタリと止まった。

 〝全てが終わった後〟と、幽々子は今述べた。

 それは果たして、いつ?
 時間にして半日か。一日掛かるだろうか。少なくとも数時間の内に終了するヤワな行程ではないだろう。
 そして自分は、この終わりの見えないトンネルの出口に辿り着けるのか? 真っ暗で薄ら寒く、砂利を踏み締める音のみが木霊するような、この訳の分からぬ細道を踏破できる力の持ち主なのか? 出口の光は未だ見えず、来た道を戻る術すら皆無だと言うのに。
 志半ば。中途にて倒れる可能性を予感した時、阿求の身に染みるルーティンが自然に選んだ行動が、この『手記』なのだった。
 人は自身の絶命を予期すると、途端の生殖本能に囚われるという話を聞いた事がある。科学的な証明はともかく、あながち与太話とも言い切れなかった。後世に何か己の証明を遺すという欲求が、阿求にとっては今やってる様な行為なのだろうから。

 いつ死んだっていいように。
 少女がこの状況で文を綴る根源たる所以は、そんな悲観が心のどこかに巣食っているからかもしれない。

「……気の回せない、短慮な失言だったわ。ごめんなさい」

 陰りを帯びた逡巡を覗かせる阿求。そんなひ弱な少女を気遣うように、幽々子はすぐさま謝罪の姿勢を見せてくれた。弱者の心象にも寄り添えられる、立場と実力を兼ねた亡霊嬢。
 本当に、よく出来た女性だ。こんな御方がもうずっと傍に居続けてくれていることを思い返せば、それだけで誇らしくもなる。

「幽々子さんが謝る必要なんて、ありません。寧ろ私は、貴方へと本当に感謝しているのですよ」
「……ありがとう。私も阿求には感謝しているわ」

 カタカタと、やかんの蓋が湯気を漏らしながら揺れる。一抹に訪れた静寂が、なんだか気恥しい空気へと変えた。
 どうにも話題を変えたい衝動に駆られ、阿求は今この場に居ない身内たちへと思いを馳せる。

「ジャイロさん……それに文さんは大丈夫でしょうか」
「強い男性よ、彼は。貴方だってそれを見てきたでしょう? 新聞屋さんだって付いてるし」

 思い出されるはあの───男たちの決闘。
 正直な話、あの決闘が何処に着地したのか、まだまだ未熟な阿求では完全には悟れない。阿求よりも幾分以上に〝女〟に磨きをかけているであろう幽々子にだって、彼ら三雄の本意を察せているかどうか。結局それは、いわゆる〝女には分からない〟という領域なのだろう。
 それでもジャイロ・ツェペリという男が逞しい人間だという事ぐらいは阿求にも感じ取れる。そんな頼れる男が、強力な烏天狗という仲間を引き連れているというのだ。そこに何の憂慮があるというのか。
 気掛かりなのは寧ろ、山の巫女とスタンド使いの少年。それに別行動中のポルナレフの方だ。こうまで音沙汰がないのでは、嫌でも最悪の想像を浮かべてしまう。
 ジャイロ達がこの店を出る前、阿求は手持ちにあった『生命探知機』を彼に貸していた。元々はポルナレフへと支給されたそれだが、迷子の子猫を捜すならとお節介を焼いたのだ。当然ながらその結果、今の阿求の手元には外敵の接近を容易に察知してくれるアイテムは無い。

 ジャイロはいない。
射命丸文もいない。
 永遠亭の薬師も早々に出て行った。
 戦力として密かに期待していた月の姫とお付きのガンマンも、彼女らなりにやるべき事があったのか、ここを離れて行った。

 考えてみれば、このレストランのガードは現在かなり手薄だ。死を操る亡霊姫が居座る以上、そこらの賊程度であれば大した問題にもならないが。
 しかし幽々子がこの場に居なければ、阿求には泥棒ひとりだって撃退出来ないだろう。強大な生命線を常時視界に入れていなければ、こうして書のひとつも嗜めやしない。情けなくも、此処でのやり過ごし方をこれ以外に持ち得ていないのも事実。

 頼みの綱だと形容できる相手は、幽々子以外にもう一つあった。
 持ち主の不安を読み取る機能でも備わっているのか。阿求が〝それ〟へ対し思考を移らせた間際を狙ったかの如く、懐に忍ばせた道具は甲高い音を店内中に響かせた。
 それは阿求らが待ち望んでいた一報を知らせる合図に間違いなかったが、思いのほか軽快かつ大音量で知らしめる電子音ゆえ、阿求も幽々子も堪らず驚きの声を上げた。

「きゃっ!? な、何何!?」
「わわ! え、え!? ……あぁ! もしかして、この『すまほ』が鳴ったんですか!?」

 あわや椅子から転げ落ちる寸前で、阿求は突如として鳴り響いた『コール音』の正体に辿り着く。
 両名が大袈裟に驚くのも無理からぬことである。阿求が懐に持っていた『スマートフォン』───広義でいう『電話』は、幻想郷では普及していない。淡とした説明用紙によって僅かな知見を得た情報によれば、携帯型の連絡端末なのだと前知識にあるにはあったが、実際の起動を目の当たりにすれば予想以上にやかましい代物である。
 兎にも角にも、この突然の連絡には心当たりがある。後に連絡するから大人しく待っていろ、と面と向かって言い放ったのは永琳その人だ。

「あ、阿求? それ、多分永琳からの連絡じゃない? 早く応対しないと……」
「わ、分かっていますが……これ、操作が難しくって」

 わたわたと基盤をあれやこれやと弄る阿求。一応永琳からも基本的な初期動作を教わってはいたが、いざとなると手元がおぼつかない。記憶力が優れている事とそつの無さとは、どうやらイコールでは結ばれないらしい。
 そもそもスマートフォンとは、現代人が触っても備わる機能を万全まで引き出すのは難儀とされる。技術革新に疎い世界で育まれた阿求では荷が重いのも当たり前と言えた。あれこれ苦戦している間も、端末から鳴り響くコールは絶えず流れ続けている。
 格闘が始まって実に十数秒たっぷりは経った頃。ようやく阿求の指が画面の通話パネルに触った。本人の目には涙が浮かび始める頃合である。

「わ! 音……止んじゃった……」
「壊した?」
「いえ、向こう側へ繋がったのではないかと……たぶん。きっと」

 我が希望的観測が誤りでないものと信じて、阿求は恐る恐る端末を耳に近付けた。いまいちピンとは来ないが、成功していれば遠く離れた永琳ともこれで会話出来るらしい。
 こんな場合、誰もが口上を立てる定型文が存在すると聞く。阿求の幅広い知識としては一応頭にはあった為、例に漏れず、また失礼のないように電話口の向こうへと語り始めた。何故か、緊張を伴った声色で。


「も……申します、申します」


 なにせ電話など初めての体験である。一際に声が上擦っていた気がするのは、多分に浮き立つ心持ちから来たものだろう。
 通話の向こうからは予想通りの人物が、波長フィルターの上から阿求の名を読み上げた。

『……阿求ね。なにか変わりはないかしら?』

 冒頭の「……」という僅かな間には、いかにも「とっとと出ろよ機械音痴め」といった無言の批判が包含されていた、と感じるのは阿求の邪推だろうか。
 どこか肌触りが冷たい永琳の声色に内心恐れを抱きつつも、阿求は努めて平静に受け答えを続行させた。

「あっ、永琳さんもご無事のようで。こっちは……変わりないと言えば変わりはありません」
『含んだ言い方ね』
「いえ、まあ。率直に申しますと、輝夜さんとリンゴォさんが此処を発ちました」

 彼女の主である蓬莱山輝夜は既にレストランを出ている。ジャイロや文はいずれ戻るとして、輝夜らの独立は阿求にとって多少予定外であったのだから、少なからず困惑の色を隠せない。リンゴォはともかく輝夜の方は自分らに味方する側だと、特に根拠もなく思い込んでいたのだから尚更である。
 店を出る直前に彼女が残した言葉は「友達(ばか)を迎えに行くわ」だった。なるほど、一刻も早く発つに足る立派な理由に違いない。当然、これを無下に出来ない阿求も、深くは語らぬ彼女の離脱を承諾するしかない。
 一方で、同じく単独行動の永琳が主の動向を聞いた反応はと言えば、極めて短い台詞で終わった。


『そう、でしょうね』


 と、だけ。

 まるで主がそう行動することを予期していたように。
 そして次に主が何処へ向かうのかも。
 更には向かったその場所で『何』が起こるのかすら、月の天才は見据えていたのかもしれない。
 間違いなく、永琳は輝夜の行動を快く思っていない。その上で、ある種の諦観すら覚えているようにも感じた。

 主従間の問題だ。
 或いは、これはそんなに単純な問題でもないのかもしれなかった。
 いずれにせよ、部外者が立ち入るべきではない。ここは早くに本題へ移ろうと、阿求は話を急かした。

「それで……あの、永琳さん」
『分かってるわ。メリーと八雲紫の居場所ね』
「は、はい! あ、あと、早苗さんと花京院さん、ポルナレフさんの安否も出来れば……」
『そっちは知らないわ。残念ながらね』

 軽やかに一蹴された三名の気持ちを思えば憂鬱にもなるが、それはさておき今の発言は阿求らにとって吉報と言えた。

「で、では……!」
『ええ。メリーというのはマエリベリー・ハーンの愛称だったわね? それならば彼女と八雲紫の二名。その数時間前時点での位置なら割り出せた』

 流石の賢者と誉めるべきか。予想より遥かに早く、かの天才は二人の位置を突き止めたという。〝数時間前〟というのが気に掛かる但し書きではあるが、阿求と幽々子にとって最も欲していた人物の情報が今から開示される。必然、鼓動は高まろうものだ。

 唾を飲む音が聞こえた。
 それは阿求のものか。傍で耳を立てる幽々子のものか。


『地図で言う所の〝C-3〟に二人は居る。念を押すけど、あくまでこれは数時間前での話。正確には、今日の午後2時前時点よ』


 阿求と幽々子は同時に顔合わせる。このレストランはD-4……広大な魔法の森を挟むものの、直線距離にすればかなり近い。
 まさしく値千金の情報であった。

「え…永琳さん! メリーと紫さんの二人共が同じ場所に居るのですか!? それにC-3といえば『ジョースター邸』と『紅魔館』の二つの施設があるみたいですが……」
『阿求。私が入手した、貴方たちにとって有益な情報とは今述べた通りの内容よ。〝午後2時頃、メリーと八雲紫はC-3に居た〟……それ以上でもそれ以下でもありません』

 予想以上に『目標』が伸ばせば届く近い距離にあった事実を伝えられ、否が応にも阿求の焦りは加速する。それと反比例するように、永琳のトーンは冷淡で落ち着いたものだった。
 逆に、何故そうまで落ち着いてられるんだと抗議の声を上げたいくらいだ。それすらも相手は許してくれなさそうな程に、両者の狭間には深い温度差が混在していた。

「感謝してますが……一体そんな情報何処で……?」
『ちょっとした〝縁〟を結んでね。姫海棠はたてとの友好の証、とでも言っておくわ。それより、貴方たちは貴方たちのやるべき事を優先させなさい。ウチのお姫様がそうした様に、ね』
「姫海棠……? あの烏天狗と接触したのですか? 永琳さん、今どちらにおられ───」
『最後に、隣で聞き耳を立てている幽々子さん。八雲紫と会えたなら、彼女の〝魂〟に以前迄との変容が無いかの確認……お願いするわね。重要な事ですので』


 それでは。
 永琳は短くそう言い残し、通話は途切れた。
 最後まで一方的で、どこか拒絶的な感情すら感じ取れるやり取りに終始していた。

 何かを隠している。
 彼女には元々そのような空気が纏われていたが、今回の秘匿は殊更に顕著であった。
 渡された情報の真贋を吟味するには手段と時間が足りないが、この点に限れば永琳の言葉に虚言は無かった様にも思える。
 本人が述べた通り、それ以上でも以下でもない手堅い情報は、今後の目処にすべき指針に据えるには十分以上。阿求の中にある八意永琳の人物像には、それくらいの人徳はあった。

「……メリー」

 やがて行き着くは、友人となってくれた少女の安否。訳の分からぬ内に邪仙から拉致された、外の世界の少女。

「……阿求。言わずもがなだけど、メリーの居場所が分かったとて、簡単には近寄れないわ」

 念を押すように幽々子が警告する。全くもって言わずもがな。メリーを取り戻そうとする行為はそのまま邪仙一派との戦闘を意味すると考えてよい。
 無論、いずれはぶつかり合う。それを想定してジャイロと文は今、戦力増強の為にこの場を離れているのだから。

 だがここで予期しない新情報が寄越されている。どちらかと問われれば、朗報になるのだろう。

「幽々子さん。貴方の御友人も、すぐ近くに居られます」

 警告を警告で返すようにして、阿求と幽々子の視線は交差した。両者の距離は近い。
 あのメリーと容姿を酷似させた八雲紫も近場に居るという。この複雑化した情報を正確に精査するには、些か判断材料が欠けすぎている。欠けすぎているが、幾つかの予想は組み立てられる。

「紫の安否を言ってるのなら、彼女は大丈夫」
「果たしてそうでしょうか」
「比類なき、大妖怪よ。人間の童に心配される謂れはないと、彼女がここに居たらそう一蹴するでしょうね」
「疑問を挟む余地はありません。しかし、天狗の新聞記事を忘れたわけではないでしょう」

 阿求の言葉からは、どこか勢いを感じた。逆に幽々子の方が、彼女の言葉に押されそうになる。

 思い出したくもない。
 けれども記憶から消すにはあまりにショッキングな悲劇が、天狗の新聞には悠然と載っていた。

 幽々子にとっても。
 紫にとっても、だ。

「幽々子さん。貴方は一刻も早く、八雲紫と接触しなければならない。違いますか」

 違うものか。記事の真偽がどちらであれ、我が唯一の友人が魂魄妖夢の死に如何なる形かで関わっている。
 この大事件を野放しに出来るほど、妖夢という人物は軽々しい存在ではなかった筈だ。

 幽々子にとっても。
 紫にとっても、だ。

「メリーが連れ去られてから、もう相当の時間が経過してます。そんな中で、やっと光明が降りてきたんです」

 端的に言って、これ以上の時間は掛けられない。鋭く細められた阿求の視線は、それを如実に語っていた。
 授かった情報とはただでさえ最新のものでなく、数時間前のデータだという。尚のこと火急の事態という状況下において、今まで態度には出さずにあろうとした阿求も、流石に痺れを切らす限界だった。

「幽々子、さん。私……もう、待てません。無理です。そうこうしてる内に、メリーが殺されないという保証なんか、無いじゃないですか……っ」
「あの薬師の言う通り、もしメリーの隣に紫が居るのならば。ただの人間ならともかく、あの子を紫は放っておかないわ。迫り来る邪から、きっとメリーを護ろうとする筈」
「物事が万事如意に進む保証が、無いと言ってるのです。実際にメリーと紫さんが互いに手の届く範囲に居ることも、紫さんがメリーを護ろうと動くことも、紫さん自身が危機に陥っていないことも、何処にもそんな保証はありません」

 ぐうの音も出ない、至極真っ当な反論だ。阿求の言は感情に寄ってはいるが、事態の視点を正しい高さで見据えられている。
 一方の幽々子の意見は、不動であるべき態度を貫かんとするものだった。事実としてメリーが敵の牙城に囚われている現実。門を攻め立てるには、あまりに不確定要素が多すぎる。
 ましてや目の前の少女は、戦力に換算するにも至らぬ一般人側の人間だ。幽々子の立場としては言うまでもなく迂闊な行動は控えるべきであり、少なくとも今は堪え忍ぶ時間だった。

 そんなことは、分かっている。



「そんなこと…………分かってるわよッ!!」



 間近で受けた、幽々子の怒鳴り。
 普段の温厚な彼女を知るなら、似つかわしくない振る舞いだった。

「……誰に諭されずとも、紫のことは私が一番よく知ってるわ。彼女の今が、抜き差しならない状況に陥っている事ぐらい」

 空気が萎むように、幽々子の調子は急落していく。無理やりに抑え込んでいた焦燥が、永琳からの一報でついには限界を迎えた。
 何よりも紫の身を案じ、憂慮していた彼女だ。妖夢との一件……その真相はさておき、支えるべき友人という認識は未だ捨てられる訳もなく。凡その居場所が知れた今、即座に飛び出て接したい衝動は募るばかり。
 それでも彼女は自身の立場を弁えた、ひとりの大人。全てを顧みず自分勝手な暴走を始めた結果は、目の前の阿求に刻まれた負傷が全て物語っている。

 もうこれ以上、誰かを失うのは御免で。
 そう判断した結果、今度は紫とメリーの命が危ぶまれている。

 可能性に過ぎない話。そして、終わってしまえば「ああすれば良かった」と後悔する堂々巡り。
 結局、何が正しいかなど誰にも分かりはしない。
 分からないからこうして不安に襲われ、揺蕩し、己を見失う。
 我が従者も同じように志半ばに斃れたのかもしれない。あの子は精神的にはまだまだ未熟なのだから。
 そしてひょっとすれば、紫も同様なのかもしれなかった。彼女のイメージにはそぐわないが、誰であれ『落ち目』という時期は唐突にやって来るものだ。

 率直に言って、幽々子は迷っている。
 阿求を護るべきという立場を踏まえながら、これからの身の振る舞いを。
 時間が許してくれるかすらも、正答は出ない。辺りはもうすぐ闇の支配する時間帯へ突入する。


「幽々子さん」


 阿求の手が、いつの間にかテーブルに突っ伏しかけていた幽々子の両肩に添えられる。

「私は貴方の判断に従います。この期に及んで私一人だけでも向かう、なんて馬鹿な選択は選べません」

 それを選べるほど、阿求は子供ではない。
 けれどもジャイロらの帰還を待ってられるほど、冷静な大人でもない。
 どこまでも半端な自分を押し留めるように、最終的に阿求は幽々子の意志に委ねた。

 ズルい、と思う。
 子供だから、とか。大人だから、とか。
 強いから、とか。弱いから、とか。
 こんな血生臭い戦場では何の言い訳にもならない、逃げ道とも取れる屁理屈を抱く自分。

 それでも。阿求の掛けた言葉の中に詭弁や保身の類は欠片もない。
 自分と同じように苦心する幽々子を案じた、真摯な信頼が含まれていた。そしてそれは、阿求という人間が根差すひとつの優しさだと幽々子は受け取った。


 小さな溜息と同時に、幽々子の表情が柔らかく灯った。


「……深入りはしないわ。あくまで様子見。危険を感じたら、すぐさま此処に戻ってくる。私から譲れるラインはここまで。それで良ければ」

 結局の所、ここが妥協点だろう。自らが提示したこの絶対条件を幽々子自身、守れるかも怪しい。その地に足を運んだ結果、紫やメリーの状況如何によっては素直に引き下がれるとは断言出来ないからだ。

「……! あ、ありがとうございます!!」

 律儀に礼を述べる阿求は破顔する。ここまで偉そうな説を垂れたものの、所詮は負ぶわれる弱者の我儘に過ぎない。そう自覚していたからこそ、幽々子へと強くは出れなかった。
 結果的に阿求も、幽々子のウィークポイント───紫の存在へとつけ込む様な形をとった。そこに至る過程がどういう形であれ、この『選択』を最善のものにまで持っていくのは阿求と幽々子、これからの二人の行動次第でしかない。
 もしもこの選択を上から覗き見る無礼者たちが居たならば、野次を投げて呆れ返るかもしれない。危険度の高いエリアに、この矮小な戦力で自ら臨もうとしているのだから。
 気持ちは分かるが落ち着け、と。せめて仲間の帰還を待って、それから向かうべきだろう、と。当事者の溜め込む不安などお構い無しに。
 全くの正論だ。小説家の側面も隠し持つアガサクリスQもとい阿求には、そんな無責任な野次を上から投げ掛けてくる読み手の声が投げ石の如く聞こえてくるようだった。

「ジャイロ達には書き置きを残しましょう。多分怒るだろうけど、その時は二人で……いえ、四人で絞られましょう」
「はい! すぐに支度します!」


 分かりはしない。
 これから起こる未来のことなど、誰にも。

 分からないからこそ足掻くのだと、人はよく言う。
 阿求はしかし、それとは少し異なる考えを持っていた。
 たとえこれから起こる未来が酷いものだと知っていれば。
 そしてそれが、どうあっても避けられない不可避の未来だと認識していれば。
 人は、その未来を容易に受け入れられる生物なのだろうか。足掻こうとはしないのだろうか。

 そして。
 幻想郷の人妖たちは、この課題にどう向き合うものなのだろうか。
 終末を畏怖し。囲いに閉じ篭り。規律に生かされ。そうして自ら創り上げたサイクルに殉じる。
 幻想郷にいずれは訪れる〝本当の終末〟を我々が知った時。此処に住む者たちは果たして、結束し足掻こうとするだろうか。

 或いは。今がその〝本当の終末〟なのかもしれない。
 阿求個人が答えを出すには、まだまだ重い。
 重たすぎる、課題であった。

 けれども。
 阿求に言えることが一つだけ、ある。
 刻一刻と迫る酷い未来が、決して回避できない災厄なのだと知ったとしても。
 少なくとも阿求であれば、やっぱり足掻こうとするだろう。

 御阿礼の子『九代目のサヴァン』───稗田阿求
 極端に短命である宿命を受け継ぎ、此度の『第九代目』も後十年も生きられるかというところ。今更自身の境遇に不満など、さほど抱いてはいない。
 しかし先代、先々代といった、かつての〝自分〟はどうだったろう。この理不尽な環境を変えてやろうと、足掻こうとはしなかったのだろうか。
 短命という、確定された未来。人生。
 そこに疑問を覚えぬほど、阿求は強い人間ではなかった。

 そしてその環境に対する疑問と使命は、まるで水と砂糖が融け合うように混じり。
 いつしか甘ったるい同情心へと姿を変えて、同じ囲いに住まう数多の同類たちへと向けるようになっていた。


 自分はきっと。
 幻想郷のことが大嫌いなのかもしれない。


 口には出さず。
 或いは深層下に湧いた感情も表には拾わず。
 阿求は書きかけだった手記を閉じて、早々と支度し始めた。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【D-4 レストラン・トラサルディー/夕方】

稗田阿求@東方求聞史紀】
[状態]:顔がパンパン(治療済み)
[装備]:なし
[道具]:スマートフォン、エイジャの残りカス、稗田阿求の手記、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いはしたくない。
1:C-3を探る。
2:主催に抗えるかは解らないが、それでも自分が出来る限りやれることを頑張りたい。
3:手記に名前を付けたい。
[備考]
※参戦時期は『東方求聞口授』の三者会談以降です。
※はたての新聞を読みました。
※今の自分の在り方に自信を持ちました。
八意永琳の『電話番号』を知りました。


西行寺幽々子@東方妖々夢】
[状態]:健康
[装備]:白楼剣
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:妖夢が誇れる主である為に異変を解決する。
1:C-3を探る。
2:紫に会う。その際、彼女の『魂』に変容がないかも調べる。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※『死を操る程度の能力』について彼女なりに調べていました。
※波紋の力が継承されたかどうかは後の書き手の方に任せます。
※左腕に負った傷は治りましたが、何らかの後遺症が残るかもしれません。
稗田阿求が自らの友達であることを認めました。
※友達を信じることに、微塵の迷いもありません。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
蓬莱山輝夜
【夕方】E-3 川の畔


 奇跡、などという安易な単語を扱うのは個人的に不満はあったが、恐らくこれは奇跡に近い確率なのだろう。
 世には奇跡を操る巫女なども居るらしいし、身内には幸運の白兎も居る。どちらかと言えば後者が持つ天運とやらが、共に住まう内に自分の握り拳に移っていたのかもしれない。


「───なんてね。こんな物拾ったからと言って、どうこうするものでもないからねぇ」


 紙片に纏わり付いた雪をパタパタと削ぎ落とし、だいぶ細苦しくなってきた陽光に照らし合わせる。
 地上の撮影機による『写真』だった。本来のサイズより半分程に縮小……というより破かれている。つまりは『半分だけの写真』を輝夜は偶然にも発見出来たのだ。

 少し前から悪天候は加速の一途を辿っており、視界は悪いわ、行進が滞るわ、何より寒いわで三拍子の災難が輝夜を襲っていた。
 このような非道い環境を愛車マジックミラー号で何とかゴリ押すという状況。屋根にも当然雪が降り積もり、自慢の隠密性も形無しであった。
 そんな折、車のガラスに異物が突如張り付いた。なんぞやと車を降りて確かめた所、この半分だけの写真だったというわけだ。周囲の悪環境を顧みれば、この写真が輝夜の元に降って湧いたのは奇跡と称しても違和感なく、普通であれば気付くことなくスルーしていたろう。

「ねえ、リンゴォ? この写真に写ってる不細工に笑う女……『誰』に見える?」

 すっかり冷たくなった着物の袖をしゃらんと翻し、雪の冠を頭に乗せながら輝夜は後方から付いてくる男へと声を掛けた。
 視界の雪が邪魔なのか、はたまた輝夜本人の存在が邪魔なのか。とにかく鬱陶しそうに目を細めて、男は翳された写真を覗く。輝夜と違って薄着である自身の恰好を意にも介さず、リンゴォと呼ばれた男はひたすら平坦な口調で以て答えた。

「件の『藤原妹紅』に見えるな」
「私にもそう見えるわね。アナタが殺した、藤原妹紅の姿に」

 随分と皮肉たっぷりに言い放った様に見える輝夜の台詞は、事実リンゴォへの皮肉だった。偶然拾った半分だけの写真に収まる女は、いつ撮ったかは定かではないが確かに藤原妹紅本人の姿である。
 そして、このぎこちない笑顔を垂らした妹紅を〝妹紅でなくした〟原因とも言える男こそ、輝夜が長くお供に連れるリンゴォその人である。それが発覚した当初こそ輝夜も怒りを顕にしていたが、こうして後腐れない程まで同行するに至れた経緯とは、当人の間のみで理解出来ていれば良い話であった。(リンゴォはそう思っていない可能性が高いが)
 というわけで輝夜のリンゴォに対する恨み辛みという類の感情は、遥か彼方の過去に置いてきた今更な毒気でしかない。にもかかわらず妹紅の名を出して皮肉を綴るというのは、輝夜がねちっこいとかではなく、単に彼女元来の持つ悪戯心であった。

「……オレを非難しているつもりであれば」
「あ、あ〜〜もういいわ。アナタがジョークも通じない人間だって事を忘れてた」

 その独風な人間性ゆえに、からかい甲斐など微塵もない。男への評価を今一度改めた輝夜は、ここには居ない鈴仙の姿を夢想し焦がれた。誰よりもからかい甲斐のあるペットなのだ。

「その女の所に向かうのだろう。……居場所は分かるのか?」
「アテはある。無ければこうして雪の中、意味もなく彷徨わないわよ」

 リンゴォの問いかけに輝夜は、いかにも当然といった風に即答で返す。ここで「アテなんかない」などとぬかせば、この気難しい男は今度こそ呆れ果てて躊躇せず去り行くだろう。
 そんな事態を防ぐため、輝夜は根拠の無い台詞をどの風吹かしながら言い放ったのである。ここでリンゴォに抜けてもらっては、この後来るであろう『ひと仕事』を任せられる適任が居なくなってしまうから気を遣うものだ。

「繰り返すが、オレが動くのは『一度きり』だ。恩はないが借りのあるお前だから、こうしていつ訪れるかも分からん『ひと仕事』の為だけに同行している」
「借りも恩も一緒でしょう? その辺りは私も感謝しているわ」
「感謝なぞしている暇があれば、せめて何処に向かっているかぐらいは示すべきだと思うがな」

 男からの催促に、輝夜は一応は答えの用意をしている。「アテはある」という先程の台詞は、根拠こそ無いものの全くの出鱈目でもなかった。
 含むような微笑とともに、輝夜は首のみを回して視線を促した。その射線の終着点……輝夜の『目的地』となる景色は、この悪天候の中でもシルエットだけは映し出されている。

 北。地図で言うところの北を目指し、輝夜はレストランを出てから一心に進んで来た。
 二人が向けた目線の先。ぼんやりと、しかし悠然と聳え立つそのシルエットは───巨大な自然物。

「……山?」
「妖怪の山。この会場だと唯一の山林地帯。最北東地点に根を張るあの大きな山こそが、私たちの目的地」

 E-1、或いはF-1。いずれにしろ地図上ではかなり遠くに位置する。
 距離は勿論のこと、広大な山となればそこからたった一人の猛獣を捜索するというのはかなりの骨だ。到着して「やっぱり居ませんでした」では済まされない。

「何故そこを目指す?」

 飛んで来て当然の疑問がリンゴォの口から吐き出される。

「〝あの〟妹紅が目指すとしたら、そこ以外に無いからよ。というより、そこじゃなければもうお手上げ。ヒント0から地図をしらみ潰し作戦に出るしかなくなる」
「あの女は記憶が決壊していると聞いた。そんな有耶無耶な状態で、尚も行き先が『山』だと断定できるのか?」
「断定は出来ないけどね。でも例えば、私が妹紅だったら多分『標高』を求めるわ。即ち、地図にひとつしかない妖怪の山よ」

 求めるは『標高』。何とかと煙は高い所を目指すではないが、輝夜が自分に出来得る限りの創造性で己の思考を〝藤原妹紅〟のそれへと近付けた時、浮かんだ場所のイメージが『高所』であった。

 山。その土地が持つ魔性こそ、妹紅という人間の始まりの地とも言えた。
 彼女の来歴、その全てを輝夜は把握している訳では無い。だが少なからず輝夜は妹紅の理解者である自覚もあった。
 考えた。考えるという行為はおよそ自分には似つかわしくなく、それ故に容易な行いではない。それでも必死に考えたのは、やはり妹紅の事であった。

 記憶を失った妹紅。
 愚かにも蓬莱の薬を求めて彷徨うという妹紅。
 そんな彼女がもしも『目的地』を定めるとしたなら……。

(候補は、幾つも挙がらないわね)

 輝夜の考える妹紅という人間。己の要素を限りなく排他し、究極にまで妹紅に成りきれるよう考えた。
 輝夜と妹紅。二人の思考を限りなく限りなく擦り合わせ、一つへと重ね合わせた瞬間に。
 瞼の裏に浮上した光景は、壮大な高さを持つ標高。

 と来れば、行き着く先など一つだ。

(確信ではない。単なる直感とも言える。しかし少なくとも、妹紅は『山』という地に縁がある事を私は知っている)

 それも今や記憶が無いとなれば、無意味な予想でしかないかもしれない。だが輝夜は、説明のできない胸の昂りを感じていた。

 あの山に妹紅が居るのなら、登ろう。
 居ないなら、来るまで待っていよう。
 邪魔はさせない。例え誰であっても。

「戦うのだな? あの妹紅と」

 いつまでも大きな影を仰ぐ少女の姿に何かを感じたのか。
 リンゴォは結論を急かすように、輝夜の真意を確かめた。

「そうなるでしょうね。もう慣れたもんよ」

 そうならない事を出来れば願いたいが、その祈りはきっと届かない。それ程に今の妹紅は、遠い所にまで行ってしまっている。

「それはお前自身のステージを高める為の戦いなのか?」

 見当違いな内容を問う男へと、輝夜は心の中でくすりと笑った。彼といえば彼らしい、寧ろ微笑ましい台詞にも聞こえる。

「アナタにはきっと、理解の出来ない戦いになる。『決闘』でも『殺し合い』でもない……誰が為の戦い、ってやつよ」

 手の中に収まる半切れの写真。中に独り写る少女のぎこちない笑顔を、もう一度取り戻してやる戦いだ。

「いいだろう。お前〝達〟には興味が出てきた。許されるならば立ち会わせて貰おうか」

 頼もしいことだ。苦労を掛けてしまうが、輝夜にとってリンゴォはいずれ必要となる。
 役者は揃った、というわけだ。


「───妖怪の山に、アイツは来る。……きっと。」


 もしアイツと逢えたら……掛ける第一声は何にしようか。
 懐に忍ばせた蓬莱の薬を握り締め、輝夜はそんな事を考えながら再び動き始めた。

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【E-3 川の畔/夕方】

蓬莱山輝夜@東方永夜抄】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:A.FのM.M号、蓬莱の薬、妹紅の写真、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:皆と協力して異変を解決する。妹紅を救う。
1:妖怪の山へ向かう。
2:勝者の権限一回分余ったけど、どうしよう?
3:全てが終わったら、家へと帰る。
[備考]
※A.FのM.M号の鏡の部分にヒビが入っています。
※支給された少年ジャンプは全て読破しました。
※干渉できる時間は、現実時間に換算して5秒前後です。
※生きることとは、足掻くことだという考えに到達しました。


リンゴォ・ロードアゲイン@第7部 スティール・ボール・ラン】
[状態]:左腕に銃創(処置済み)、胴体に打撲
[装備]:一八七四年製コルト(5/6)
[道具]:コルトの予備弾薬(13発)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:『生長』するために生きる。
1:自身の生長の範囲内で輝夜に協力する。
[備考]
※幻想郷について大まかに知りました。
※男の世界の呪いから脱しました。それに応じてスタンドや銃の扱いにマイナスを受けるかもしれません。


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最終更新:2020年11月05日 18:11