時は流れ、小学校五年生の冬。
ある日、こなたはクラスの男子と些細なことで喧嘩した。
ある日、こなたはクラスの男子と些細なことで喧嘩した。
「んだよ!これのどこが悪いってんだよ!
これ以外考えられないだろうがよ!」
「君もわからないねぇ!
その方法だと詰めの手順の時にここが余っちゃうんだよー!
ほら、実際に試してみるとわかるでしょー?」
これ以外考えられないだろうがよ!」
「君もわからないねぇ!
その方法だと詰めの手順の時にここが余っちゃうんだよー!
ほら、実際に試してみるとわかるでしょー?」
何のことは無い、ゲームの攻略法でもめているだけだ。
とはいえ、腕や戦略で言えばこなたの方が断然上。
周りにいたクラスメイト達も『また泉さんが論破しそう』と、こっそり笑いながら様子を見ていた。
反論ができなくなった男子は、全く関係ない事を引き合いに出して言葉攻めを始めた。
とはいえ、腕や戦略で言えばこなたの方が断然上。
周りにいたクラスメイト達も『また泉さんが論破しそう』と、こっそり笑いながら様子を見ていた。
反論ができなくなった男子は、全く関係ない事を引き合いに出して言葉攻めを始めた。
「う…うるっせぇな!
お前は親が一人しかいないから、親の目を盗んでそこまでゲームをやりこめてるんだろ!?
そんなゲームバカの相手なんかしてられっかよ!」
「あれあれ、逃げるのかネ?
自分が間違っていたことを棚に上げて、そんな今と関係ない言葉を発するのは良くないなー
しかも、そっちだって私に負けない位やりこんでるよね?
ほれ、自分が間違っていたと認めんかい!」
お前は親が一人しかいないから、親の目を盗んでそこまでゲームをやりこめてるんだろ!?
そんなゲームバカの相手なんかしてられっかよ!」
「あれあれ、逃げるのかネ?
自分が間違っていたことを棚に上げて、そんな今と関係ない言葉を発するのは良くないなー
しかも、そっちだって私に負けない位やりこんでるよね?
ほれ、自分が間違っていたと認めんかい!」
ここぞとばかりに攻め返すこなた。
そんな時、相手の男子からこんな言葉をぶつけられた。
そんな時、相手の男子からこんな言葉をぶつけられた。
「うるせー、うるせー!
お前みたいな片親の可哀想な奴なんかにあれこれ言われたくねーや!
バーカバーカ!」
お前みたいな片親の可哀想な奴なんかにあれこれ言われたくねーや!
バーカバーカ!」
その言葉を聞いた瞬間だった。
こなたの中で何かが壊れた。
こなたの中で何かが壊れた。
それと同時に、抑えきれない感情が一気にこなたに押し寄せ、体が勝手に動き始める。
ゆっくりと男子に近付くこなた。
その表情は冷たいものとなり、しっかりと握った手は震えていた。
ゆっくりと男子に近付くこなた。
その表情は冷たいものとなり、しっかりと握った手は震えていた。
「…ん、んだよ。
怒ったのかよ、いっちょまえに!」
怒ったのかよ、いっちょまえに!」
普段と違う様子のこなたにたじろぐ男子。
その言葉が聞こえていないのか、こなたは何かをつぶやきながらゆっくりと男子に近付く。
その言葉が聞こえていないのか、こなたは何かをつぶやきながらゆっくりと男子に近付く。
「……たしは……い…」
「…はぁ?」
「…はぁ?」
その直後だった。
こなたはすぐ近くにあった椅子を持ち上げ、思い切り男子に投げつけた。
こなたはすぐ近くにあった椅子を持ち上げ、思い切り男子に投げつけた。
教室中に、凄まじい打撃音が響く。
椅子を顔面にぶつけられた男子は、そのまま床へと倒れこんだ。
教室は騒然となった。
椅子を顔面にぶつけられた男子は、そのまま床へと倒れこんだ。
教室は騒然となった。
「わ、悪かったよ泉!
だから許してくれよ、な!な!お願いだ!」
だから許してくれよ、な!な!お願いだ!」
必死に許しを請う男子。
だが、その言葉はこなたの耳に全く届いていなかった。
だが、その言葉はこなたの耳に全く届いていなかった。
「私は…私……は……!」
再びこなたは近くにあった椅子を掴んだかと思うと、すぐにまた目の前に倒れている男子に投げつけた。
教室に二回目の打撃音が鳴り響く。
同じ箇所に椅子をぶつけられた男子の顔からは、血が流れ始めていた。
教室に二回目の打撃音が鳴り響く。
同じ箇所に椅子をぶつけられた男子の顔からは、血が流れ始めていた。
「やめて泉さん!それ以上はまずいよ!」
「泉やめろ!いくらなんでも、それはやりすぎだぞ!」
「泉やめろ!いくらなんでも、それはやりすぎだぞ!」
その修羅場を見た周りのクラスメイトは、何とかこなたを止めようとする。
しかしその剣幕に押されてか、皆こなたに近付く事ができず、行動を制止する者は現れなかった。
こなたは、さらに暴走を続けた。
しかしその剣幕に押されてか、皆こなたに近付く事ができず、行動を制止する者は現れなかった。
こなたは、さらに暴走を続けた。
「私は……可哀想なんかじゃない!
お母さんがいないことを、寂しいなんて思ってない!!」
お母さんがいないことを、寂しいなんて思ってない!!」
周りにあった椅子・机・ランドセルに筆記用具…
とにかく、手近にあったありとあらゆる物を、感情に任せて男子に投げつけた。
泣きじゃくって許しを請い続ける男子。
何度も物をぶつけられた男子の頭部からは、ますます流血が多くなっていた。
…しかし、こなたの感情は収まる様子が無かった。
近くの物を殆ど投げた後、そのままこなたは男子の近くへと移動し、胸ぐらを掴む。
とにかく、手近にあったありとあらゆる物を、感情に任せて男子に投げつけた。
泣きじゃくって許しを請い続ける男子。
何度も物をぶつけられた男子の頭部からは、ますます流血が多くなっていた。
…しかし、こなたの感情は収まる様子が無かった。
近くの物を殆ど投げた後、そのままこなたは男子の近くへと移動し、胸ぐらを掴む。
…と、そこでこなたの動きが止まった。
同時に、嗚咽交じりの声が聞こえてくる。
こなたは男子の服を掴んだまま、下を向いて震えていた。
同時に、嗚咽交じりの声が聞こえてくる。
こなたは男子の服を掴んだまま、下を向いて震えていた。
「寂しいなんて……私は…寂しい…なん……て……」
その瞬間だった。
こなたがその場に崩れ落ち、大声で泣き出したのだ。
こなたがその場に崩れ落ち、大声で泣き出したのだ。
「寂……し………ぁ……ぅぁ……あ……ぅぁあああああああああぁぁぁあああっ!!!!!」
それは、今まで心の底に封印していたものが、一気に流れ出た事が原因だった。
今まで押し殺していた、母親がいないことへの寂しさ。
その事について、何度かからかわれた時の見えない怒り。
それらの感情を塞き止めていたものが、先程の男子の言葉によって決壊したのだった。
今まで押し殺していた、母親がいないことへの寂しさ。
その事について、何度かからかわれた時の見えない怒り。
それらの感情を塞き止めていたものが、先程の男子の言葉によって決壊したのだった。
その様子を見て、クラスメイトは何も言葉を発することができなかった。
こなたを止めようとしていた者、ただ見ていただけの者、そしてやられていた男子…
誰一人例外なく、こなたの泣き叫ぶ姿を無言で見つめていた。
その姿を見て、クラスメイト達の心にはどのような思いがあったのだろうか。
担任の先生が戻ってくるまで、クラス内の時が止まったような状態は続いた…
こなたを止めようとしていた者、ただ見ていただけの者、そしてやられていた男子…
誰一人例外なく、こなたの泣き叫ぶ姿を無言で見つめていた。
その姿を見て、クラスメイト達の心にはどのような思いがあったのだろうか。
担任の先生が戻ってくるまで、クラス内の時が止まったような状態は続いた…
この事がきっかけで、こなたの友達は大きく減った。
事情を昔から知っている友人以外、殆どが離れてしまったのだ。
こなたはクラスで半孤立状態となってしまい、それに伴うかのように性格も暗くなっていった。
そのまま周りとのコミュニケーションも殆ど取らなくなり、友人を殆ど無くした状態で小学校を卒業したのだった。
事情を昔から知っている友人以外、殆どが離れてしまったのだ。
こなたはクラスで半孤立状態となってしまい、それに伴うかのように性格も暗くなっていった。
そのまま周りとのコミュニケーションも殆ど取らなくなり、友人を殆ど無くした状態で小学校を卒業したのだった。
その後、こなたは地元の中学校に入学する。
…そこには、こなたを闇から救い出す一筋の光があった。
…そこには、こなたを闇から救い出す一筋の光があった。
◆
中学校に入り、新しい学生生活が始まった。
しかし小学校に入学した時の様な、明るいこなたはいなかった。
クラスの中の誰かに話しかけるという事もなく、ただ自分の机でじっとしている毎日。
暇な時は鉛筆をいじりながら、窓の外をぼんやりと見ているといった具合だ。
しかし小学校に入学した時の様な、明るいこなたはいなかった。
クラスの中の誰かに話しかけるという事もなく、ただ自分の机でじっとしている毎日。
暇な時は鉛筆をいじりながら、窓の外をぼんやりと見ているといった具合だ。
四月も終わりが近付いたある日、いつものようにぼんやりと外を見ながら席に座っていたこなた。
そんなこなたに、クラスメイトである一人の女の子が話しかけてきた。
そんなこなたに、クラスメイトである一人の女の子が話しかけてきた。
「ねえ、これFメタの下敷きでしょ?
あなたもFメタ好きなんだー」
「…え?」
あなたもFメタ好きなんだー」
「…え?」
急に声を掛けられて驚くこなた。
どうやら、机の上に出しっぱなしだったFメタの下敷きを見て声を掛けてきたらしい。
予想外の方向から話題を振られたので、頭の整理がつかない。
仕方が無いので、そのまま適当に返答をした。
どうやら、机の上に出しっぱなしだったFメタの下敷きを見て声を掛けてきたらしい。
予想外の方向から話題を振られたので、頭の整理がつかない。
仕方が無いので、そのまま適当に返答をした。
「あ…うん。
といっても、アニメしか見てないけどね」
「え、ということはあなたの家って衛星放送入るんだ!?
いいなー、私の家は入らないから、いつも友達に録画してもらってるんだよー」
といっても、アニメしか見てないけどね」
「え、ということはあなたの家って衛星放送入るんだ!?
いいなー、私の家は入らないから、いつも友達に録画してもらってるんだよー」
自己紹介も無しに、いきなりアニメの話題に走る彼女。
こなたは、そんな彼女の行動に戸惑いを隠せなかった。
こなたは、そんな彼女の行動に戸惑いを隠せなかった。
(一体何なの、この人…)
不思議な人だなと思いつつも、こなたは一応会話を続けていく。
この話題なら、十分に話すことができるからだ。
この話題なら、十分に話すことができるからだ。
「いや、私の家も入らないんだよ。
あなたと同じで、知り合いに録画してもらったのを見てるんだ」
あなたと同じで、知り合いに録画してもらったのを見てるんだ」
無論、録画を頼んでいる先は小早川家だ。
従姉妹が結構な頻度で家に遊びに来るので、その都度ビデオを持ってきてもらっている。
ある意味、従姉妹にとって迷惑だとは思うが…
従姉妹が結構な頻度で家に遊びに来るので、その都度ビデオを持ってきてもらっている。
ある意味、従姉妹にとって迷惑だとは思うが…
「あ、そうなんだ。
あれ、衛星放送だけなんてひどいよねー
普通のチャンネルでも放送してくれればいいのにねえ」
「そ、そうだね…って、ちょっと待って…あなた、一体誰なの?」
「え、入学式の次の日に皆で自己紹介したじゃないー
私の名前、覚えてないの?」
あれ、衛星放送だけなんてひどいよねー
普通のチャンネルでも放送してくれればいいのにねえ」
「そ、そうだね…って、ちょっと待って…あなた、一体誰なの?」
「え、入学式の次の日に皆で自己紹介したじゃないー
私の名前、覚えてないの?」
覚えている筈が無い。
他人とのコミュニケーションを自ら絶ってきたこなたにとって、他人の名前などどうでもよかったのだ。
自己紹介の時も手短に話し、その後はただ机の上で筆記用具をいじっていただけだった。
正直、今こうして彼女が絡んでくる事すらうっとおしい。
しかし、何故か邪魔だと追い返す気にならない。
一体何故こんな気持ちになっているのか、こなたにはわからなかった。
他人とのコミュニケーションを自ら絶ってきたこなたにとって、他人の名前などどうでもよかったのだ。
自己紹介の時も手短に話し、その後はただ机の上で筆記用具をいじっていただけだった。
正直、今こうして彼女が絡んでくる事すらうっとおしい。
しかし、何故か邪魔だと追い返す気にならない。
一体何故こんな気持ちになっているのか、こなたにはわからなかった。
「だって、これだけ人いるから一々覚えきれないし…
漫画のキャラ名とかなら、すぐ頭に入るんだけどね…」
漫画のキャラ名とかなら、すぐ頭に入るんだけどね…」
…何を見ず知らずの人に言ってるんだ、私は。
そんな考えがこなたの頭に浮かぶ。
だが、その直後に目の前の女の子から思いがけない言葉が出てきた。
そんな考えがこなたの頭に浮かぶ。
だが、その直後に目の前の女の子から思いがけない言葉が出てきた。
「あ、私もそうなんだよー
何で漫画とかゲームのキャラって、すんなり頭の中に入るんだろうね」
何で漫画とかゲームのキャラって、すんなり頭の中に入るんだろうね」
この言葉には、こなたも驚いた。
…もしかしてこの人、私と同じようなタイプの人間なんじゃないだろうか。
そんな事を考えていた矢先に、更に彼女から言葉をかけられる。
…もしかしてこの人、私と同じようなタイプの人間なんじゃないだろうか。
そんな事を考えていた矢先に、更に彼女から言葉をかけられる。
「でも、あなたの名前は覚えてるよ。
泉こなたさん、だよね?」
「…!」
泉こなたさん、だよね?」
「…!」
笑顔でこなたに語りかける少女。
その瞬間だった。
何だか懐かしいような感覚。
それでいて、長く忘れていた暖かい気持ち…
こなたの心に、その二つが流れ込んできたのだ。
その瞬間だった。
何だか懐かしいような感覚。
それでいて、長く忘れていた暖かい気持ち…
こなたの心に、その二つが流れ込んできたのだ。
小学校五年のあの日以来、こなたは同年代の人間から、こういった言葉を掛けられる事が無くなった。
あいつは危険だ、関わらない方がいい、喋りづらい奴だ…
そんな態度を取られ続け、厳しい目で見つめられてきた。
その対処法として、こなたは自分自身を押さえ込んだのだった。
あいつは危険だ、関わらない方がいい、喋りづらい奴だ…
そんな態度を取られ続け、厳しい目で見つめられてきた。
その対処法として、こなたは自分自身を押さえ込んだのだった。
じっとしていればいい。
動かなければ、嫌な思いをする事も無いし、させる事も無い。
たとえ、周りから誰にも声を掛けられなくなったとしても…
私は『皆と違う』んだから、と。
その固まった心、そして思い込みを抱えたまま中学に上がったこなたは、新しい環境をも拒絶していた。
その結果、気軽に声を掛けられる筈だった皆からも避けられるようになってしまった。
…だが、この女の子は違った。
動かなければ、嫌な思いをする事も無いし、させる事も無い。
たとえ、周りから誰にも声を掛けられなくなったとしても…
私は『皆と違う』んだから、と。
その固まった心、そして思い込みを抱えたまま中学に上がったこなたは、新しい環境をも拒絶していた。
その結果、気軽に声を掛けられる筈だった皆からも避けられるようになってしまった。
…だが、この女の子は違った。
「…何で、私の名前は覚えててくれたの?」
「え、だって長くて綺麗な髪だし、てっぺんに可愛い毛がちょこんと立ってるし、
泣き黒子も良い感じだし、ちまっとしてて何だか萌えるしー」
「へ?」
「え、だって長くて綺麗な髪だし、てっぺんに可愛い毛がちょこんと立ってるし、
泣き黒子も良い感じだし、ちまっとしてて何だか萌えるしー」
「へ?」
想像した斜め上からの答えが返ってきて、こなたは少しだけ固まった。
が、すぐに後から笑いが込み上げてきた。
が、すぐに後から笑いが込み上げてきた。
「ぷっ……あははは!何それー!どういう覚え方してるの?」
「だってちんまりした長髪っ娘って萌えるんだもんー
一番最初に名前覚えちゃったんだよ?
だからこそ、是非とも友達になりたかったしね」
「あはは………何だか変だけど、ありがと」
「だってちんまりした長髪っ娘って萌えるんだもんー
一番最初に名前覚えちゃったんだよ?
だからこそ、是非とも友達になりたかったしね」
「あはは………何だか変だけど、ありがと」
笑いながら、こなたは言葉を返す。
そうか、本当にこの人は私と同じタイプの人だったんだ…
そんな事を思った矢先に、彼女からある言葉を投げかけられた。
そうか、本当にこの人は私と同じタイプの人だったんだ…
そんな事を思った矢先に、彼女からある言葉を投げかけられた。
「…やっと笑ったね、泉さん」
「あっ…!?」
「あっ…!?」
その言葉を言われて、こなた自身も気がついた。
あの日以来、今日までこうやって『人と話して』笑う事は殆ど無かった。
もちろん中学に上がってからも、どちらかというと無愛想な態度を通していた。
あの日以来、今日までこうやって『人と話して』笑う事は殆ど無かった。
もちろん中学に上がってからも、どちらかというと無愛想な態度を通していた。
しかし今…こうして、同級生と話して自然な笑いが出た。
しばらく忘れていた表情、そして感情。
それは、こなたが今まで篭っていた殻の皮が一枚剥がれた証拠でもあった。
しばらく忘れていた表情、そして感情。
それは、こなたが今まで篭っていた殻の皮が一枚剥がれた証拠でもあった。
改めて彼女の顔を見るこなた。
「…ありがとう、これからよろしくね。
えーと……?」
「あ、そういえば私の名前覚えていないんだったね。
私の名前は――――――」
えーと……?」
「あ、そういえば私の名前覚えていないんだったね。
私の名前は――――――」
…そしてこなたは、中学での一番の友を見つけた。
そしてその後、更にその友情は深いものとなる。
そしてその後、更にその友情は深いものとなる。
◆
彼女と親密になって二ヵ月後、こなたは彼女と一緒に下校していた。
歩きながら話す内容は、相変わらず趣味関係の事ばかりだが。
歩きながら話す内容は、相変わらず趣味関係の事ばかりだが。
「何だかんだ言って、原作はどうも手が出なくってねぇ」
「ライトノベルとは言っても、やっぱり文字ばかりだと読み辛いよねー」
「ライトノベルとは言っても、やっぱり文字ばかりだと読み辛いよねー」
大分明るさを取り戻してきたこなた。
クラスメイトとも少しずつ打ち解けてきて、以前のような楽しい学生生活を取り戻しつつあった。
自分から出す話題がディープ系寄りな為、常に行動を共にする友人はあまりできなかったが…
それでも、小学校高学年の時と比べれば別人の言って良いほどの変化をしていた。
クラスメイトとも少しずつ打ち解けてきて、以前のような楽しい学生生活を取り戻しつつあった。
自分から出す話題がディープ系寄りな為、常に行動を共にする友人はあまりできなかったが…
それでも、小学校高学年の時と比べれば別人の言って良いほどの変化をしていた。
ライトノベルの話題が終わりそうになった時、こなたが彼女にある提案を出した。
「ねえ、今度家の方に遊びに行ってもいい?」
「え、私の家?
構わないけど…多分泉さんと私だけになるよ?
静かだし、きちんとおもてなしできるかわからないけど…それでもいいなら」
「あ、親はどっちもお昼いないの?共働き?」
「え、私の家?
構わないけど…多分泉さんと私だけになるよ?
静かだし、きちんとおもてなしできるかわからないけど…それでもいいなら」
「あ、親はどっちもお昼いないの?共働き?」
こなたがそう聞くと、彼女は少しだけ下を向いた。
そして、ゆっくりとした口調で返事をした。
そして、ゆっくりとした口調で返事をした。
「あのね…うち、お父さんしかいないんだ。
お母さんが…私が小さい頃に死んじゃって……その……」
「あ……」
お母さんが…私が小さい頃に死んじゃって……その……」
「あ……」
こなたは何も言えなくなった。
まさか、彼女も自分と同じ境遇だったなんて…
まずい事を聞いてしまったかな、と思ったのだが…
まさか、彼女も自分と同じ境遇だったなんて…
まずい事を聞いてしまったかな、と思ったのだが…
「…あはは、何だか湿っぽくなっちゃってごめん。
来るのは歓迎だから、是非来てよ!」
「う、うん…」
来るのは歓迎だから、是非来てよ!」
「う、うん…」
そんな心配は必要なかったかのように、彼女は笑顔で言葉を返してきた。
この彼女の明るさを見て、こなたはある事を彼女に聞きたくなった。
彼女の境遇は、自分と同じだったはず。
なのに、自分と違ってこんなにも明るい。
心が強い。
この彼女の明るさを見て、こなたはある事を彼女に聞きたくなった。
彼女の境遇は、自分と同じだったはず。
なのに、自分と違ってこんなにも明るい。
心が強い。
どうして、そんなに心が強く持てるんだろう。
気がついたら、こなたはそれを彼女に聞いていた。
気がついたら、こなたはそれを彼女に聞いていた。
「…実はね、私もお母さんがいないんだ。
私が一歳位の時に死んじゃって…今はお父さんと二人暮らしなんだよ」
私が一歳位の時に死んじゃって…今はお父さんと二人暮らしなんだよ」
この言葉に、彼女は驚いたように反応する。
「…え、泉さんもなの!?
そうか…私達、同じ境遇なんだね。」
「…いや、私と違うところが一つあるよ」
「…え?」
そうか…私達、同じ境遇なんだね。」
「…いや、私と違うところが一つあるよ」
「…え?」
こなたは、意を決して話し始めた。
自分のこれまでの事、そして自分の思いを。
そして…
自分のこれまでの事、そして自分の思いを。
そして…
「四月の時、私かなり暗かったでしょ?
あれ、お母さんがいない寂しさや、それをからかわれた事が積み重なって、あんな感じになっちゃったんだ。
でも…あなたは違う。
どこから見ても、そんな事を微塵も感じさせなかった…」
あれ、お母さんがいない寂しさや、それをからかわれた事が積み重なって、あんな感じになっちゃったんだ。
でも…あなたは違う。
どこから見ても、そんな事を微塵も感じさせなかった…」
こなたは彼女の顔を真剣な眼差しで見つめ、一番聞きたかった事を一気にぶつけた。
「どうしてそんなに心が強いの?
同い年で、全く同じ境遇で、なのにどうしてそんなに笑顔を保ち続けられるの?
あの状況に押し潰されそうだった自分が…何だか……」
同い年で、全く同じ境遇で、なのにどうしてそんなに笑顔を保ち続けられるの?
あの状況に押し潰されそうだった自分が…何だか……」
少し顔を下側に向けつつ、彼女に向かって話し続けるこなた。
その言葉には、彼女に対する羨望の気持ちも混ざっていた。
自分には無い強さを持っている彼女が、正直羨ましいと思っていたのだ。
ところが、彼女からの返答は意外なものだった。
その言葉には、彼女に対する羨望の気持ちも混ざっていた。
自分には無い強さを持っている彼女が、正直羨ましいと思っていたのだ。
ところが、彼女からの返答は意外なものだった。
「…私の心は、強くなんかないよ」
「…え……?」
「…え……?」
こなたにとって、全く予想外な言葉が返ってきた。
さらに彼女は、言葉を続ける。
さらに彼女は、言葉を続ける。
「むしろ弱い方だと思うな。
お母さんがいない事は凄く寂しかったし、お母さんがいない事をからかわれた事もあった。
辛くなった時は、家で思い切り泣いてたんだよ」
「じゃあ…どうして…」
「…お父さんとお母さんに励ましてもらったり、優しく包み込んでもらったからかも。」
「…え…え?」
お母さんがいない事は凄く寂しかったし、お母さんがいない事をからかわれた事もあった。
辛くなった時は、家で思い切り泣いてたんだよ」
「じゃあ…どうして…」
「…お父さんとお母さんに励ましてもらったり、優しく包み込んでもらったからかも。」
「…え…え?」
こなたは、その言葉の意味がわからなかった。
死んでいるはずのお母さんに励ましてもらったり、包み込んでもらった…?
それは一体、どういう事なのだろうか…?
死んでいるはずのお母さんに励ましてもらったり、包み込んでもらった…?
それは一体、どういう事なのだろうか…?
「…え、お母さんはもう死んじゃってるんだよね?
お母さんにも励ましてもらったとか…どういう事なの?」
「…生き物ってさ、死んじゃったら自然に還るんだよね。
もちろん、私達も例外じゃないと思うんだ」
お母さんにも励ましてもらったとか…どういう事なの?」
「…生き物ってさ、死んじゃったら自然に還るんだよね。
もちろん、私達も例外じゃないと思うんだ」
彼女がふと空を見上げる。
その目は先程とは違い、どこか遠くを見つめるような眼差しをしていた。
その目は先程とは違い、どこか遠くを見つめるような眼差しをしていた。
「自然に還ったなら、お母さんはこの自然の中から私を見守ってくれているはず。
木になって、風になって、土になって…
どこかで、私を優しく見てくれていると思うんだ」
木になって、風になって、土になって…
どこかで、私を優しく見てくれていると思うんだ」
それを聞いて、こなたはふと言葉を漏らす。
「…でも、それってさ…」
「非科学的、空想の世界じゃないかって? …確かにそうかもしれないね」
「非科学的、空想の世界じゃないかって? …確かにそうかもしれないね」
彼女が視線を下ろし、再びこなたの方へ振り向く。
先程遠くを見ていた時とは違い、大切な人を見るような優しい眼差しになっていた。
先程遠くを見ていた時とは違い、大切な人を見るような優しい眼差しになっていた。
「でも、目を閉じて感じてみて。
日の光を、木の音を、風を…
何だか不思議だけど、そうしていると大きな安心感が来るんだよ。
まるで…お母さんがすぐそばにいるみたいに」
「………」
日の光を、木の音を、風を…
何だか不思議だけど、そうしていると大きな安心感が来るんだよ。
まるで…お母さんがすぐそばにいるみたいに」
「………」
こなたは、言われた通りに目を閉じて身を任せてみた。
暖かい日の光。
優しい木々の音。
体を包む柔らかな風。
そして、体全体に感じる…
優しい木々の音。
体を包む柔らかな風。
そして、体全体に感じる…
「あ…」
気のせいだったかもしれない。
でも、こなたは感じた。
とても優しい、体全体を包み込むようなぬくもりを。
でも、こなたは感じた。
とても優しい、体全体を包み込むようなぬくもりを。
「…泉さん、ぬくもり…感じた?」
「…うん、感じたよ…確かに…」
「…うん、感じたよ…確かに…」
気付けば、こなたの目からは少し涙が出ていた。
こなたも彼女と同じように、ゆっくりと空を見上げる。
こなたも彼女と同じように、ゆっくりと空を見上げる。
「確かに…私たちの事、見守ってくれてるのかもね」
「うん、きっと…そうだよ」
「うん、きっと…そうだよ」
どこまでも広がる青い空。
そこには小さな雲が二つ、微笑みかけるように浮かんでいた。
そこには小さな雲が二つ、微笑みかけるように浮かんでいた。
いつの間にかこなたの心は、澄んだ青空のように晴れ晴れとしていた。
こなたを深い闇から助け出してくれた『かけがえのない存在』の彼女。
その彼女の心はとても繊細で、とても強いものだった…
こなたを深い闇から助け出してくれた『かけがえのない存在』の彼女。
その彼女の心はとても繊細で、とても強いものだった…
◆
「…そんな事があったのですか」
こなたの話を聞き終え、みゆきが声を掛ける。
同時に、かがみとつかさもこなたの方へと姿勢を向けなおす。
同時に、かがみとつかさもこなたの方へと姿勢を向けなおす。
「そういえばあんた去年、『中学の時に仲の良い友達がいた』って言ってたわよね。
将来の夢が魔法使いとか言ってた…それが…その人なの?」
「うん、そうだよ」
「最近連絡してないとか言ってたけど…いいの?しなくて」
将来の夢が魔法使いとか言ってた…それが…その人なの?」
「うん、そうだよ」
「最近連絡してないとか言ってたけど…いいの?しなくて」
こなたはその言葉を受け、少し間を置いてから話し始める。
「あの後、携帯に電話をかけてみたんだ。
今は引っ越して大阪にいるんだって。
また近いうちに会いたいねって話になって終わったよ」
「そっか…元気そうでよかったじゃない」
「うん、そうだねー」
今は引っ越して大阪にいるんだって。
また近いうちに会いたいねって話になって終わったよ」
「そっか…元気そうでよかったじゃない」
「うん、そうだねー」
少しの間沈黙が流れる。
しばらくして、その沈黙を破ってつかさが話し始めた。
しばらくして、その沈黙を破ってつかさが話し始めた。
「それにしても、フラッシュバックって怖いね。
完全に立ち直ったと思っても、ふとした事でトラウマを掘り返されちゃうんだから…」
「…そうですね、でも…」
「ええ、もしまた今日みたいな事になっても大丈夫よ、こなた。
私達がいるから…ね」
完全に立ち直ったと思っても、ふとした事でトラウマを掘り返されちゃうんだから…」
「…そうですね、でも…」
「ええ、もしまた今日みたいな事になっても大丈夫よ、こなた。
私達がいるから…ね」
笑顔でこなたを見つめる三人。
それを見てこなたが少し嬉しそうに、それでいて恥ずかしそうな表情になる。
それを見てこなたが少し嬉しそうに、それでいて恥ずかしそうな表情になる。
「あ…ありがとう、みんな…」
「当たり前でしょ。
全てをひっくるめて、私達はこなたの事を気に入ってるんだから。
だからこその友達じゃない」
「そうですよ、だから…」
「これからもよろしくね、こなちゃん」
「当たり前でしょ。
全てをひっくるめて、私達はこなたの事を気に入ってるんだから。
だからこその友達じゃない」
「そうですよ、だから…」
「これからもよろしくね、こなちゃん」
三人共に優しく、暖かい笑顔をこなたに向ける。
その表情を見て、先程まで恥ずかしがっていたこなたも笑顔になった。
今も昔も、自分にはこんなに素晴らしい友人がいる。
こなたはそれが、たまらなく嬉しかったのだ。
その表情を見て、先程まで恥ずかしがっていたこなたも笑顔になった。
今も昔も、自分にはこんなに素晴らしい友人がいる。
こなたはそれが、たまらなく嬉しかったのだ。
「…うん、よろしく!」
その時、柔らかい風が吹き、四人を包み込んだ。
その風は優しくて、暖かくて…
まるで四人の友情を祝福しているかのようだった。
その風は優しくて、暖かくて…
まるで四人の友情を祝福しているかのようだった。
もしかしたら、その風は…
こなたの母、かなたが起こした風だったのかもしれない。
こなたの母、かなたが起こした風だったのかもしれない。
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- サカサカサカサカハカサカサカハカ -- サカはからあなた馬鹿馬鹿しくさかさかさ (2012-08-29 18:01:52)
- 素晴らしい名作ですね。原作の
スピンオフのような完成度!! -- チャムチロ (2012-08-29 15:35:57) - こんな俺でも今は一生懸命『親』やってます。
幼年期こなたと同じ境遇にあった俺には何とコメントして良いやら・・・
素晴らしい、そしてこの作品に出逢えた事を感謝します。GJ!! -- kk (2010-04-15 13:05:07) - ↓ORANGE RANGEのおしゃれ番長聞きながら見ると… -- 名無しさん (2008-11-16 21:19:22)
- ↓に同感。後この作品超GJ!!感動しました、こkなたはこなた
なりに苦労して頑張ってるんだろうなぁと思いました
-- 九重龍太 (2008-06-15 09:03:40) - ↓のように千の風になって
聞きながら読んだが感動しないよ?
アルトの声が耳に響いてきてすんげームカついた(´ω`) -- 名無しさん (2008-05-12 14:30:28) - 推奨BGM:千の風になって
これ聞きながら読んだらガチで泣ける -- 名無しさん (2008-02-19 00:47:52) - 泣けるなァ…
再開の約束をした後、魔法使いちゃん用の着メロに
千の風になってを登録するこなたとか勝手に想像しました。
-- 名無しさん (2007-12-21 15:18:56) - 全米が泣いた。魔法使いちゃん(仮)最高すぎる。 -- 名無しさん (2007-12-12 09:05:20)