チリリリリ。
喧しく鳴り響く目覚ましを無造作に上から叩く。
パシッ、ガシッ、ガシャン…
……寝ているときの平行感覚ほど当てにならないものはないわね。
欠伸をしながら、上体を起こす。
上から叩いた筈の目覚ましは見事に机から落ちて、床に這いつくばっていた。
音は止まったものの、何処かのネジが一本、目覚ましの横に転がっている。
……こなたがいたら絶対、
「うわっ、やっぱりかがみは凶暴だよ。」
とか言うんだろうななんて思い浮かべて、自然と笑みが溢れた。
カーテンをパッと開いて、朝日を浴びる。
もう一度、体を伸ばしながら大きな欠伸をして、前髪を掻き分けようとした所で、昨日髪を切った事を思い出した。
切ったと言っても少し揃えた位だけど。
またこなたにからかわれるんだろうなって、ちょっと苦笑。
「絶対男だ!」
って、目を輝かせながら。
「ホント、馬鹿ね…」
そっと呟いて、床に落ちた目覚ましを拾い上げた。
とりあえず、着替えて、朝御飯を食べて。
約束迄結構時間はあるからゆっくり出来るわね。
…にしても、このネジ、どうしよう。
パシッ、ガシッ、ガシャン…
……寝ているときの平行感覚ほど当てにならないものはないわね。
欠伸をしながら、上体を起こす。
上から叩いた筈の目覚ましは見事に机から落ちて、床に這いつくばっていた。
音は止まったものの、何処かのネジが一本、目覚ましの横に転がっている。
……こなたがいたら絶対、
「うわっ、やっぱりかがみは凶暴だよ。」
とか言うんだろうななんて思い浮かべて、自然と笑みが溢れた。
カーテンをパッと開いて、朝日を浴びる。
もう一度、体を伸ばしながら大きな欠伸をして、前髪を掻き分けようとした所で、昨日髪を切った事を思い出した。
切ったと言っても少し揃えた位だけど。
またこなたにからかわれるんだろうなって、ちょっと苦笑。
「絶対男だ!」
って、目を輝かせながら。
「ホント、馬鹿ね…」
そっと呟いて、床に落ちた目覚ましを拾い上げた。
とりあえず、着替えて、朝御飯を食べて。
約束迄結構時間はあるからゆっくり出来るわね。
…にしても、このネジ、どうしよう。
「昼休みから兆候はあったし、五限ではポツポツ降ってたけど、まさかこんなどしゃ降りになるなんてね。」
「うぉぉ、天気予報嘘つきだよ……」
みゆきは委員会の仕事で、つかさはこの間仲良くなった峰岸と一緒に家庭科室に行ってしまった。
なんでもちょっと特殊な料理を家庭科部で作るらしく、顧問の先生一人だけだと教えきれないらしい。
というわけで、今はこなたと二人で帰っている。
「でもさ、教えられるレベルだなんて、峰岸さんもつかさも凄いよね。」
下駄箱から靴を取り出して、昇降口でこなたが言う。
「まあ、お菓子系らしいしね。つかさも峰岸も料理も得意だけど専門はお菓子系なのよ。つかさのクッキーとかプロ顔負けじゃない。峰岸も料理の腕前、つかさと同じ位だし。」
玄関口で、私は鞄の中から折り畳み傘を取り出した。
グラウンドは水溜まりと言うより、池に近い。
雨がコンクリートを叩く音が昇降口に響く。
折り畳み傘をほぐして、持つ部分を引っ張って長くした。
はぁ…、特に意味なんかないけど、やっぱり雨は少し憂鬱だ。
「むぅ。かがみの料理はあれなのになぁ。」
「あれってなんだ。あれって。」
私はこなたを睨み付けると、傘を開いて中に入った。
だけど、妙にせまい。
「なんであんたが私の傘の中に入ってんのよ」
理由は単純で、そもそもさして大きくない女性用の折り畳み傘に、こなたと私の二人で入ってるからだった。
いくらこなたが小さくても、折り畳み傘に二人はちょっと辛い。
「置き傘は、、あるわけないか…」
今日二度目の溜め息をつく。
こなたがそんな気の利く事をする筈がない。
「かがみ何気酷いこと考えてるでしょ。」
こなたがむーっと唸る。
そういうところは可愛いけど、調子に乗るから絶対に口に出してやらない。
「さっきのお返しよ。どーせ置き傘なんかしてないんでしょ?まあ今日は天気予報も晴れの筈だったし、しょうがないわね。」
「仕方ないなぁかがみんは、しょうがないなら入ってあげよう!」
…色々と間違ってる気がするけど、きっと一番間違ってるのは私の感情だ。
こなたが発した言葉と一緒に、笑った顔を見て、私はドキッとしちゃったから。
今まで意識したことも無い感情が、私の胸の中で激しく音をたてたのが聞こえた。
「うぉぉ、天気予報嘘つきだよ……」
みゆきは委員会の仕事で、つかさはこの間仲良くなった峰岸と一緒に家庭科室に行ってしまった。
なんでもちょっと特殊な料理を家庭科部で作るらしく、顧問の先生一人だけだと教えきれないらしい。
というわけで、今はこなたと二人で帰っている。
「でもさ、教えられるレベルだなんて、峰岸さんもつかさも凄いよね。」
下駄箱から靴を取り出して、昇降口でこなたが言う。
「まあ、お菓子系らしいしね。つかさも峰岸も料理も得意だけど専門はお菓子系なのよ。つかさのクッキーとかプロ顔負けじゃない。峰岸も料理の腕前、つかさと同じ位だし。」
玄関口で、私は鞄の中から折り畳み傘を取り出した。
グラウンドは水溜まりと言うより、池に近い。
雨がコンクリートを叩く音が昇降口に響く。
折り畳み傘をほぐして、持つ部分を引っ張って長くした。
はぁ…、特に意味なんかないけど、やっぱり雨は少し憂鬱だ。
「むぅ。かがみの料理はあれなのになぁ。」
「あれってなんだ。あれって。」
私はこなたを睨み付けると、傘を開いて中に入った。
だけど、妙にせまい。
「なんであんたが私の傘の中に入ってんのよ」
理由は単純で、そもそもさして大きくない女性用の折り畳み傘に、こなたと私の二人で入ってるからだった。
いくらこなたが小さくても、折り畳み傘に二人はちょっと辛い。
「置き傘は、、あるわけないか…」
今日二度目の溜め息をつく。
こなたがそんな気の利く事をする筈がない。
「かがみ何気酷いこと考えてるでしょ。」
こなたがむーっと唸る。
そういうところは可愛いけど、調子に乗るから絶対に口に出してやらない。
「さっきのお返しよ。どーせ置き傘なんかしてないんでしょ?まあ今日は天気予報も晴れの筈だったし、しょうがないわね。」
「仕方ないなぁかがみんは、しょうがないなら入ってあげよう!」
…色々と間違ってる気がするけど、きっと一番間違ってるのは私の感情だ。
こなたが発した言葉と一緒に、笑った顔を見て、私はドキッとしちゃったから。
今まで意識したことも無い感情が、私の胸の中で激しく音をたてたのが聞こえた。
朝食も取り終わって、鏡の前で最終チェック。
11時集合で、今はまだ9時30分だから、後30分位は時間がある。
青系をベースにした上着に、薄桃色のスカートで合わせる。
派手に見えなくもないけど、これくらいなら大丈夫だろう。
今迷ってるのは、髪飾り。
小さい花が2つ付いてる小物。
ゆたかちゃんとかがつけたら似合いそうだけど、私のイメージとは微妙に違う。
でも……、今日は可愛くいこうって決めたから。
覚悟を決めて、頭の左側に髪飾りをそっと差して、鏡を見る。
昨日美容院に行って少し短くした髪は優しそうな印象で、青と薄桃色の上下も決まってるし、髪飾りもちゃんと似合ってる。
このつり目だけはどうにかして欲しかったけど、これだけはどうにもならないし。
それにしても、気合い入れすぎたかな?
普段は付けないルージュまで薄く唇に引かれているのは、友達と遊びに行くにしてはやりすぎじゃないかしら…
「大丈夫!今日の私はカワイイんだから!」
半ば自分に思い込ませるように言って、時計を見ると、時刻は丁度10時。
ぴったりと家を出る時間になっていた。
バックを掴んで、財布、携帯、小物と確認をしてから、まだ眠っているつかさの部屋の前で、小さく、行ってくるねって言って、家を出た。
玄関を開けると太陽が猛烈な自己主張中。
駅に行くために、私は明るい境内を歩いた。
高鳴る胸と、ちょっぴりの不安を持って。
11時集合で、今はまだ9時30分だから、後30分位は時間がある。
青系をベースにした上着に、薄桃色のスカートで合わせる。
派手に見えなくもないけど、これくらいなら大丈夫だろう。
今迷ってるのは、髪飾り。
小さい花が2つ付いてる小物。
ゆたかちゃんとかがつけたら似合いそうだけど、私のイメージとは微妙に違う。
でも……、今日は可愛くいこうって決めたから。
覚悟を決めて、頭の左側に髪飾りをそっと差して、鏡を見る。
昨日美容院に行って少し短くした髪は優しそうな印象で、青と薄桃色の上下も決まってるし、髪飾りもちゃんと似合ってる。
このつり目だけはどうにかして欲しかったけど、これだけはどうにもならないし。
それにしても、気合い入れすぎたかな?
普段は付けないルージュまで薄く唇に引かれているのは、友達と遊びに行くにしてはやりすぎじゃないかしら…
「大丈夫!今日の私はカワイイんだから!」
半ば自分に思い込ませるように言って、時計を見ると、時刻は丁度10時。
ぴったりと家を出る時間になっていた。
バックを掴んで、財布、携帯、小物と確認をしてから、まだ眠っているつかさの部屋の前で、小さく、行ってくるねって言って、家を出た。
玄関を開けると太陽が猛烈な自己主張中。
駅に行くために、私は明るい境内を歩いた。
高鳴る胸と、ちょっぴりの不安を持って。
今まで感じた事の無い感情が、急激に自分の中に溶け込んでいく。
それと同時に、物凄く戸惑っている自分に気付く。
……いや、それは仕方が無いのかも知れない。
だって今の今まで親友だと思ってたこなたに感じた感情。
それはきっと……
「……か……がみ、かがみ!」
そこで私の思考は一端中断された。
突然近付いて来たこなたの顔に、どぎまぎしてしまって。
「そ、そんなに大声出さなくたって、聞こえるわよ。」
思わず後ずさる。
その渦中の人物が自分のすぐそばに居ることをすっかり忘れていた自分が恥ずかしい。
大体こなたの顔を見ながら考えてた筈なのに、なんで忘れられるかな。
「ほら、早く行こうよ。待っててもやむ気配がある雲じゃないってば。」
後ずさったと言ってもこなたは私の傘の中にいるわけで。
ついさっきまで気にもしなかったのに、今では言葉が発せられる唇に気を取られて。
その紅色の唇の艶かしさに、つい唾をのんでしまう。
「そ、そうね。行きましょう。」
そういって、小さな傘の中に上手く二人で入り込むと、紺色の繊維は景気よく雨粒を弾きだした。
「ねぇかがみ。」
歩きながら、こなたが話しかけてくる。
世界が、雨と傘の境界線で切り取られて、私達しかいないんじゃないかって錯覚しそうだ。
「何?」
「さっき、ぼーっとしてたけど大丈夫?」
なんでこの子はこういう所にだけは鋭いのかしら。 靴下に入り込んでくる雨水が、靴の中の感覚を無くしてしまうほどに冷たい。
こなたの方を見ると、私の傘を持つ右手がこなたの肩と接触していることに気が付いた。
そして、今までどこか浮遊感のあった頭の中が、急速に醒める。
そうか、今私はこなたと二人きりなんだ……。
胸が高鳴る。傘を持った右手は少し震えて、息が苦しい位の緊張感が私を襲った。
手を伸ばす所じゃなく、顔を近づければキスだってできる距離だってことを強く自覚する。
「別に、な、何でも無いわよ」
それだけを絞り出すように言うと、こなたが突然ニマーっと嫌な笑みを浮かべた。
「なんて顔してんの。」
「んー、さっきからかがみん、私の顔を見る度にぼーっとしてるからさ。もしかして惚れちゃった?」
ボッと、一瞬本当に音が出たんじゃないかと思う位、私の顔は一瞬で真っ赤になった。
「な、な、な、なな、何いっへっんのよあんたは!」
いや、自分でも突っ込みたい位、綺麗に見事に超動揺しつつ噛みまくってしまった。
こなたがすこし間の抜けた顔でこっちを見つめる。
「いや、あの、冗談だよ?かがみん?」
「あ、当たり前じゃない。あんたがあまりにも変な事言うから驚いたのよ!」
気付いたのはついさっきでも、好きだったのはずっと前からだ。
だからって、こんな場所でいきなり告白なんて出来るわけがない。
だから今は祈るだけにしよう。
この思いが、いつかきっとこなたに届きますようにって!
それと同時に、物凄く戸惑っている自分に気付く。
……いや、それは仕方が無いのかも知れない。
だって今の今まで親友だと思ってたこなたに感じた感情。
それはきっと……
「……か……がみ、かがみ!」
そこで私の思考は一端中断された。
突然近付いて来たこなたの顔に、どぎまぎしてしまって。
「そ、そんなに大声出さなくたって、聞こえるわよ。」
思わず後ずさる。
その渦中の人物が自分のすぐそばに居ることをすっかり忘れていた自分が恥ずかしい。
大体こなたの顔を見ながら考えてた筈なのに、なんで忘れられるかな。
「ほら、早く行こうよ。待っててもやむ気配がある雲じゃないってば。」
後ずさったと言ってもこなたは私の傘の中にいるわけで。
ついさっきまで気にもしなかったのに、今では言葉が発せられる唇に気を取られて。
その紅色の唇の艶かしさに、つい唾をのんでしまう。
「そ、そうね。行きましょう。」
そういって、小さな傘の中に上手く二人で入り込むと、紺色の繊維は景気よく雨粒を弾きだした。
「ねぇかがみ。」
歩きながら、こなたが話しかけてくる。
世界が、雨と傘の境界線で切り取られて、私達しかいないんじゃないかって錯覚しそうだ。
「何?」
「さっき、ぼーっとしてたけど大丈夫?」
なんでこの子はこういう所にだけは鋭いのかしら。 靴下に入り込んでくる雨水が、靴の中の感覚を無くしてしまうほどに冷たい。
こなたの方を見ると、私の傘を持つ右手がこなたの肩と接触していることに気が付いた。
そして、今までどこか浮遊感のあった頭の中が、急速に醒める。
そうか、今私はこなたと二人きりなんだ……。
胸が高鳴る。傘を持った右手は少し震えて、息が苦しい位の緊張感が私を襲った。
手を伸ばす所じゃなく、顔を近づければキスだってできる距離だってことを強く自覚する。
「別に、な、何でも無いわよ」
それだけを絞り出すように言うと、こなたが突然ニマーっと嫌な笑みを浮かべた。
「なんて顔してんの。」
「んー、さっきからかがみん、私の顔を見る度にぼーっとしてるからさ。もしかして惚れちゃった?」
ボッと、一瞬本当に音が出たんじゃないかと思う位、私の顔は一瞬で真っ赤になった。
「な、な、な、なな、何いっへっんのよあんたは!」
いや、自分でも突っ込みたい位、綺麗に見事に超動揺しつつ噛みまくってしまった。
こなたがすこし間の抜けた顔でこっちを見つめる。
「いや、あの、冗談だよ?かがみん?」
「あ、当たり前じゃない。あんたがあまりにも変な事言うから驚いたのよ!」
気付いたのはついさっきでも、好きだったのはずっと前からだ。
だからって、こんな場所でいきなり告白なんて出来るわけがない。
だから今は祈るだけにしよう。
この思いが、いつかきっとこなたに届きますようにって!
約束の駅に着いたのは、10時50分。
こなたの事だから、まだ来てないだろうなって思ってたけど、たまには早起きする事だってあるらしい。
いつも待ち合わせの場所にしてる柱時計のそばで、青い髪を揺らしながらこちらに手を振っていた。
「おはようかがみ。」
「おはようこなた。今日は珍しく早いのね。どうしたの?」
「一言多いよ。私だって春の陽気を楽しみたいことがあるのさ。」
いくらなんでもそんなことがあるはずがない。
私は怪訝な目でこなたを見下ろした。
暖かい天気のせいか、普段よりも少し薄着のこなたは、茶系のシャツにパーカーを一枚羽織っているだけの薄着だ。
そして目に入るピンク色のポッチ。
…ポッチ?思わず、じっと見つめてしまった。
「どしたの、かがみ?」 と、そこにドアップで入ってくるこなたの顔。
まさか、上から乳首を覗いてましたなんて言えるはずもない。
「い、いや、なんでも無いわよ。あんたの嘘が判りやすすぎて、ちょっと呆れただけ。何が春の陽気よ。どうせエロゲしてて徹夜したとか、そんなんでしょ。」
女が女に恋してるってだけで問題あるのに、これじゃ私変態よ。
ふぅっと、溜め息をつく。
「いやぁそれが、昨日はメンテでネトゲが出来なくてさ。エロゲも一昨日鬱ゲーやり終わったばっかで、あんまりやる気しなかったんだよね。」
「やっぱそんな理由か。」
額に手をやって、頭を少し振る。
やれやれという感じを出しながら、気付かれなかったことに内心ホッとした。
「でもね。」
それに続いて、こなたは真顔で言う。
少しだけ頬が赤みがかっていた。
「かがみと二人だけで遊びに行くなんて久しぶりだから、ち、ちゃんと朝起きようって思ったんらよ!ほ、本当だよ。」
言い終わった時にはこなたの顔は真っ赤で。
あんな不埒な事をしていた自分が恥ずかしすぎて、こなたとまともに目を合わせられなかった。
きっと私の顔も茹で蛸みたいだ。
大体、私の事はいつもツンデレツンデレ言ってからかうし、およそ女の子って感じの羞恥心が無いくせに、なんでこういう時だけ恥ずかしがるのよ。
絶っ対卑怯だ。
「それで、どこ行くの?映画までは時間あるし、どっか寄りたいって言ってたじゃない。」
なるべく平静に、冷静に言う。
目線がこなたじゃなく、駅の売店とか、道行く人の間を泳いでいるのは仕方が無いと思う。
「そ、そうだね、まずアニメイトとメロブ行って色々と買いたいものがあるんだ。まずアニメイトから行こう。」
そう言うと、まだ顔が赤いこなたは照れ隠しに私の手を掴んで歩き出す。
だから私も思わず、パシッとこなたの手を握り返してしまった。
ビクッとこなたの肩が震える。
こなたは前を向いていて、歩は止まったが、こっちに振り向く様子は無い。
ただ、耳まで完全に紅色になったのはよくわかる。
一瞬の沈黙の後に、こなたは黙々と歩き出した。
私と手を繋ぎながら。
こなたの事だから、まだ来てないだろうなって思ってたけど、たまには早起きする事だってあるらしい。
いつも待ち合わせの場所にしてる柱時計のそばで、青い髪を揺らしながらこちらに手を振っていた。
「おはようかがみ。」
「おはようこなた。今日は珍しく早いのね。どうしたの?」
「一言多いよ。私だって春の陽気を楽しみたいことがあるのさ。」
いくらなんでもそんなことがあるはずがない。
私は怪訝な目でこなたを見下ろした。
暖かい天気のせいか、普段よりも少し薄着のこなたは、茶系のシャツにパーカーを一枚羽織っているだけの薄着だ。
そして目に入るピンク色のポッチ。
…ポッチ?思わず、じっと見つめてしまった。
「どしたの、かがみ?」 と、そこにドアップで入ってくるこなたの顔。
まさか、上から乳首を覗いてましたなんて言えるはずもない。
「い、いや、なんでも無いわよ。あんたの嘘が判りやすすぎて、ちょっと呆れただけ。何が春の陽気よ。どうせエロゲしてて徹夜したとか、そんなんでしょ。」
女が女に恋してるってだけで問題あるのに、これじゃ私変態よ。
ふぅっと、溜め息をつく。
「いやぁそれが、昨日はメンテでネトゲが出来なくてさ。エロゲも一昨日鬱ゲーやり終わったばっかで、あんまりやる気しなかったんだよね。」
「やっぱそんな理由か。」
額に手をやって、頭を少し振る。
やれやれという感じを出しながら、気付かれなかったことに内心ホッとした。
「でもね。」
それに続いて、こなたは真顔で言う。
少しだけ頬が赤みがかっていた。
「かがみと二人だけで遊びに行くなんて久しぶりだから、ち、ちゃんと朝起きようって思ったんらよ!ほ、本当だよ。」
言い終わった時にはこなたの顔は真っ赤で。
あんな不埒な事をしていた自分が恥ずかしすぎて、こなたとまともに目を合わせられなかった。
きっと私の顔も茹で蛸みたいだ。
大体、私の事はいつもツンデレツンデレ言ってからかうし、およそ女の子って感じの羞恥心が無いくせに、なんでこういう時だけ恥ずかしがるのよ。
絶っ対卑怯だ。
「それで、どこ行くの?映画までは時間あるし、どっか寄りたいって言ってたじゃない。」
なるべく平静に、冷静に言う。
目線がこなたじゃなく、駅の売店とか、道行く人の間を泳いでいるのは仕方が無いと思う。
「そ、そうだね、まずアニメイトとメロブ行って色々と買いたいものがあるんだ。まずアニメイトから行こう。」
そう言うと、まだ顔が赤いこなたは照れ隠しに私の手を掴んで歩き出す。
だから私も思わず、パシッとこなたの手を握り返してしまった。
ビクッとこなたの肩が震える。
こなたは前を向いていて、歩は止まったが、こっちに振り向く様子は無い。
ただ、耳まで完全に紅色になったのはよくわかる。
一瞬の沈黙の後に、こなたは黙々と歩き出した。
私と手を繋ぎながら。
こなたと過ごしたその日は余りにも楽しすぎて。
ふと、このなんでもない瞬間に泣きそうな程の嬉しさと幸せを感じた。
何回か、このまま時間が止まらないかな?なんて願いながら。
それでも、終わりの時がやってくるのは、この物理法則に支配された中で生きるなら仕方が無い事で。
映画館を出た頃には、綺麗な夕陽が顔を覗かせていた。
「中々だったね。ちょっと甘味が強かったけど。」
「まあ原作自体恋愛関係が濃い内容だったし、私はあの位ロマンティックでも好きよ?」
帰り道を歩きながら、さっき見た映画の批評をする。
小説が原作のその映画はその筋の人には結構な人気の作品。
逆に「表側」の人にはあまり知られてなくて、つかさに題名を言ったら
「何それ?」
と言われてしまった。
それがこなたと二人で来た理由でもある。
「普段は何かと現実主義なのに、こんな時だけ女の子ぶるかがみん萌え。」
「女の子ぶるってなんだ、ぶるって。」
というかこなたにだけは言われたくない。
映画館は駅からそう遠くなくて、後一、二分も歩けばこの時間も終わりになってしまう。
…なんか、寂しいな。
確かに電話をすれば声は聞けるし、最近はメールもちゃんと返すようになったけど、やっぱり、実際に会うのとは違うから。
…だから、最後くらいは。
ふと、このなんでもない瞬間に泣きそうな程の嬉しさと幸せを感じた。
何回か、このまま時間が止まらないかな?なんて願いながら。
それでも、終わりの時がやってくるのは、この物理法則に支配された中で生きるなら仕方が無い事で。
映画館を出た頃には、綺麗な夕陽が顔を覗かせていた。
「中々だったね。ちょっと甘味が強かったけど。」
「まあ原作自体恋愛関係が濃い内容だったし、私はあの位ロマンティックでも好きよ?」
帰り道を歩きながら、さっき見た映画の批評をする。
小説が原作のその映画はその筋の人には結構な人気の作品。
逆に「表側」の人にはあまり知られてなくて、つかさに題名を言ったら
「何それ?」
と言われてしまった。
それがこなたと二人で来た理由でもある。
「普段は何かと現実主義なのに、こんな時だけ女の子ぶるかがみん萌え。」
「女の子ぶるってなんだ、ぶるって。」
というかこなたにだけは言われたくない。
映画館は駅からそう遠くなくて、後一、二分も歩けばこの時間も終わりになってしまう。
…なんか、寂しいな。
確かに電話をすれば声は聞けるし、最近はメールもちゃんと返すようになったけど、やっぱり、実際に会うのとは違うから。
…だから、最後くらいは。
こなたは、足を止めた私にすぐに気付いた。
「ん?どったのかがみん?」
普段の顔で、普通に聞いてくるこなたに、私はちょっとだけ意地悪をする。
思い付いたのは、たった今だ。
「ねえ、泉ちゃん。私、このまま帰るの、寂しいな。」
そう言って、自分の手をこなたの前に差し出した。
「手……繋いで欲しい。」
さっきの映画の中のワンシーンをそのまま真似る。
もしかしたらおちょくられるかな?とも思ったけど、こなたの反応は私の思った通りだった。
「お、俺でイいなラ!」
作中と同じ言葉、同じ動作で私の手を取った。
でも声は裏返ってるし、手は震えてる。
来るときは不可抗力に近かったから慌てたけど、自分からやるならどうにかなる。
これは演技だと思い込ませて。
……心拍数は上がりっぱなしで、さっきから耳元でドクドクと煩いけど、まあそれくらいは仕方ない。
こなたはずっと私の方を見ないで、街路側に目を泳がせていた。
沈黙を守ったまま、駅前に出る。
夕陽に染まった空は眩しくて、茜色の中にはキラリと輝く一番星。
ここからは、映画じゃない。
私のオリジナルだ。
「ねえこなた。」
空いている手でこなたの肩に手をかける。
ビクッとしたこなたは、それでもこちらに顔を向けた。
その顔が紅潮しているのは、夕焼けのせいだけじゃないはず。
「な、なに?かがみ。」 私はこなたの耳元に口を近づけて、はっきりと言った。
「私、こなたの事、大好き。」
「え?!」
驚嘆の声を上げて私の顔を見上げる。
普段の私だったら、こんな人の多い駅前で、冗談ですらこんなことは言えないけど。
きっと私はこなたに溶けている。
「お願い、抱きしめて。」
こなたの目を見ながら、はっきりと言い切った。狼狽の仕方が楽しい。
あぅ、とか、えと、とかいいながら、目は泳ぎまくってるし、顔は絵の具より赤い。
何か言おうとして私をじっと見つめたかと思うと、うぅ、とか言って俯いたりしている。
そろそろ頃合いか。
「……なんてね。」
「え?」
「ふっ、ふははははっ、ば、馬鹿ね、すっかり騙されちゃって。」
私は、出来る限り抑えて笑うけど、あんまり抑制できそうもない。
でも流石にこんな場所で本気で笑いこけたら、白い目どころか黄色い救急車を呼ばれかねない。
「え?え?どういうこと?」
こなたはもうすっかり混乱してて、それが一層可笑しかった。
「ひっく、馬鹿ね、冗談に決まってるでしよ。」
私がこういうと、こなたはようやく頭の整理がついたらしい。
腕をブンブン振り上げて抗議してきた。
「ひ、酷いよかがみ!私、どうしようか真剣に悩んだのに!」
それは嬉しいわね。
「この間のお返しよ。大体こんなベタに引っ掛かるのが悪い。」
怒った声で当たってくるこなたをいなす。
でも、あの雨の日以来、ずっとこなたの事を思ってきたんだから。
これ位の悪戯、許されて当然よね。
「ん?どったのかがみん?」
普段の顔で、普通に聞いてくるこなたに、私はちょっとだけ意地悪をする。
思い付いたのは、たった今だ。
「ねえ、泉ちゃん。私、このまま帰るの、寂しいな。」
そう言って、自分の手をこなたの前に差し出した。
「手……繋いで欲しい。」
さっきの映画の中のワンシーンをそのまま真似る。
もしかしたらおちょくられるかな?とも思ったけど、こなたの反応は私の思った通りだった。
「お、俺でイいなラ!」
作中と同じ言葉、同じ動作で私の手を取った。
でも声は裏返ってるし、手は震えてる。
来るときは不可抗力に近かったから慌てたけど、自分からやるならどうにかなる。
これは演技だと思い込ませて。
……心拍数は上がりっぱなしで、さっきから耳元でドクドクと煩いけど、まあそれくらいは仕方ない。
こなたはずっと私の方を見ないで、街路側に目を泳がせていた。
沈黙を守ったまま、駅前に出る。
夕陽に染まった空は眩しくて、茜色の中にはキラリと輝く一番星。
ここからは、映画じゃない。
私のオリジナルだ。
「ねえこなた。」
空いている手でこなたの肩に手をかける。
ビクッとしたこなたは、それでもこちらに顔を向けた。
その顔が紅潮しているのは、夕焼けのせいだけじゃないはず。
「な、なに?かがみ。」 私はこなたの耳元に口を近づけて、はっきりと言った。
「私、こなたの事、大好き。」
「え?!」
驚嘆の声を上げて私の顔を見上げる。
普段の私だったら、こんな人の多い駅前で、冗談ですらこんなことは言えないけど。
きっと私はこなたに溶けている。
「お願い、抱きしめて。」
こなたの目を見ながら、はっきりと言い切った。狼狽の仕方が楽しい。
あぅ、とか、えと、とかいいながら、目は泳ぎまくってるし、顔は絵の具より赤い。
何か言おうとして私をじっと見つめたかと思うと、うぅ、とか言って俯いたりしている。
そろそろ頃合いか。
「……なんてね。」
「え?」
「ふっ、ふははははっ、ば、馬鹿ね、すっかり騙されちゃって。」
私は、出来る限り抑えて笑うけど、あんまり抑制できそうもない。
でも流石にこんな場所で本気で笑いこけたら、白い目どころか黄色い救急車を呼ばれかねない。
「え?え?どういうこと?」
こなたはもうすっかり混乱してて、それが一層可笑しかった。
「ひっく、馬鹿ね、冗談に決まってるでしよ。」
私がこういうと、こなたはようやく頭の整理がついたらしい。
腕をブンブン振り上げて抗議してきた。
「ひ、酷いよかがみ!私、どうしようか真剣に悩んだのに!」
それは嬉しいわね。
「この間のお返しよ。大体こんなベタに引っ掛かるのが悪い。」
怒った声で当たってくるこなたをいなす。
でも、あの雨の日以来、ずっとこなたの事を思ってきたんだから。
これ位の悪戯、許されて当然よね。
fin.
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- ピンク色のポッチって、こなたさん、あなたノーブラですか? -- 名無しさん (2008-07-05 15:46:12)
- メルトってやっぱりこっちの方か。 -- 名無しさん (2008-01-22 13:59:38)
- ミクのメルトですね?その選曲にGJ -- 名無しさん (2008-01-16 15:39:04)
- 前編の分も入っている気が。 -- 名無しさん (2008-01-15 17:56:12)