「コミケが終った後もオンリーの原稿っスよ、ハハハ……」
「諦めちゃダメです、才能の最後の一滴が絞り尽くされるマデ全力全開で頑張るのデス、ひよりん!」
「あ……あいあいさー……ん? そろそろ時間だ」
「え? ああ、ホントですね。それじゃひよりん、出かけマショう。きっと二人とも、先に行って待ってマスよ」
「ええ、きっとそうでしょうよ……よよよ……原稿、ああ原稿……」
作っている方の二人が修羅場に差し掛かろうという頃、読むのに徹している方の二人はほのぼのと新年を迎えていた。
「諦めちゃダメです、才能の最後の一滴が絞り尽くされるマデ全力全開で頑張るのデス、ひよりん!」
「あ……あいあいさー……ん? そろそろ時間だ」
「え? ああ、ホントですね。それじゃひよりん、出かけマショう。きっと二人とも、先に行って待ってマスよ」
「ええ、きっとそうでしょうよ……よよよ……原稿、ああ原稿……」
作っている方の二人が修羅場に差し掛かろうという頃、読むのに徹している方の二人はほのぼのと新年を迎えていた。
みなみが元旦にゆたかの家を訪れたのは、まだ夜も明けぬ頃で、東の空がぼんやりと漆黒から藍色になろうとしていた。
「あけましておめでとう、ゆたか」
「あけましておめでとう、みなみちゃんっ」
二人で迎える、初めての正月。はにかみながら挨拶を簡単に済ませると、準備の既に整ったゆたかの手を引いて、
今歩いて来た道を、駅まで戻り始めた。
「ごめんねみなみちゃん、家まで来て貰って」
「ううん、構わないよ。それにゆたか、こういう時は『ごめんなさい』じゃなくて、『ありがとう』だよ」
「う、うん、そうだね。……ありがとう、みなみちゃん」
「どういたしまして」
二人が初詣の場所に選んだのは、鷲宮神社。そもそも始まりはこなたが言い出したことで、
「冬コミから帰る途中で鷲宮に寄って、その後家に戻るから」と意気揚々と出かけていき、そして満身創痍で帰って来たのが
夜中の一時、良い感じに『深夜』と呼ばれる時間帯だった。
「ゆ、ゆーちゃん……後は頼んだ。何としても、鷲宮に参拝を……」
そのままバタリと倒れて泥のように眠ってしまってから、早四時間。夢果たせずに都落ちしてきたのであろうこなたを見て、
ゆたかがある種の弔いを抱いたのだった。
「確か鷲宮神社には柊先輩とかがいるはずだし、田村さん達もそこに行くみたいだから、皆で一緒に行こう?」
「あけましておめでとう、ゆたか」
「あけましておめでとう、みなみちゃんっ」
二人で迎える、初めての正月。はにかみながら挨拶を簡単に済ませると、準備の既に整ったゆたかの手を引いて、
今歩いて来た道を、駅まで戻り始めた。
「ごめんねみなみちゃん、家まで来て貰って」
「ううん、構わないよ。それにゆたか、こういう時は『ごめんなさい』じゃなくて、『ありがとう』だよ」
「う、うん、そうだね。……ありがとう、みなみちゃん」
「どういたしまして」
二人が初詣の場所に選んだのは、鷲宮神社。そもそも始まりはこなたが言い出したことで、
「冬コミから帰る途中で鷲宮に寄って、その後家に戻るから」と意気揚々と出かけていき、そして満身創痍で帰って来たのが
夜中の一時、良い感じに『深夜』と呼ばれる時間帯だった。
「ゆ、ゆーちゃん……後は頼んだ。何としても、鷲宮に参拝を……」
そのままバタリと倒れて泥のように眠ってしまってから、早四時間。夢果たせずに都落ちしてきたのであろうこなたを見て、
ゆたかがある種の弔いを抱いたのだった。
「確か鷲宮神社には柊先輩とかがいるはずだし、田村さん達もそこに行くみたいだから、皆で一緒に行こう?」
しばらくガタゴトと揺られて着いたホームからもう、人、人、人の波。
みなみはゆたかを精一杯かばって、できるだけ人が少ない場所を選んで歩いていき、そして何度かぶつかった。
だが、ゆたかの為ならとみなみは必死にゆたかをエスコートして、やっとのことで待ち合わせ場所に着いたのだった。
「遅いデス、一体ドコで油売ってたんデスか!?」
実際は約束より大分早く来ていたひよりとパティが、約束の場所で二人を迎え入れる。
集合場所は神社の裏手、本来なら神主を初めとする神社関係者しか入れない、いわゆるところのスタッフルームだったが、
こなたを初めとする三年生メンバーによって、病弱なゆたかの為に、特別に中に入れて貰えたのだった。
「ごめ……あ、ありがとう、二人とも。私たちを待っててくれて」
「いえいえ、気にしないで下さい、私たちも今来たばかりですから」
「じゃあミンナ揃ったトコロで、行きマスか!」
先に来ていた二人と合流して、参道へと赴く四人。他の三人が私服なのに比べて、一人だけやたらハイテンションなパティが
振袖を着ているのは、端から見て妙な光景だった。私服の日本人三人に、振袖の外国人が一人。
後にこなたとかがみ両方から、『日本人は日本人らしい服装で神社に行きなさいよ!』とお互い少し意図のずれた説教を
受ける羽目になろうとは、この時点の日本人組は考えてもいなかった。
裏手は表に対して不思議なほど静かで、まだ日が昇りきっていないのも相まってかなり暗く、
新年の鷲宮神社とは思えないほどだった。
空にはうっすらと下限の月が真上に光り、星々もチカチカと瞬きを残している。
そんな中で四人の足元は段差が辛うじて見える程度で、細かい溝などは全く見えなかった──
「わ、わぁっ!」
やはりというか、ゆたかは小さな溝に足を突っかけてバランスを崩してしまった。
身体がゆっくりと前に倒れていって、だがそれでもゆたかは転ぶことはなかった。
みなみが身を挺してゆたかを肩から支えたから、何とかゆたかはまた起き上がることができたのだ。
「ありがとう、みなみちゃん。……みなみちゃんは、私がピンチになったらいつでも助けてくれるね」
満面の笑みで礼を言うゆたかに、みなみははにかんで横を向く。
「べ、別に私がしたいことをしてるだけだから……ゆたかには、元気でいて欲しいし」
封鎖領域完成。真赤な顔でお互いに見つめあう二人に、もはや外からの干渉は不可能に等しい。
「お二人さーん。早くしないとおいてっちゃうよー」
何を言っても、もう効き目はない。誰の声も届かない、一種のマヨイガ。
初日の出が東の空にほんのり明るく輝き出し、星たちがその姿を隠そうとも、ここの時間だけはかっきりと止まっていた。
「モウ、こういうのは実力行使でイクのデス!」
言うが早いか、パティはゆたかの背中に回り、笑顔で時を止めているその口に人差し指を突っ込んで、
ぐいと左右に引っ張り始めた。文字通りの『おしおき』。
「いはい、いはいよ……ひょ、はめへ……いはい……」
封鎖領域は解除され、ゆたかは再び日常の世界へと帰還した。かに見えた。
みなみは未だ、愛に満ちた空想世界の中でゆたかと向き合っていて、このままでは本当にどこかに逝ってしまいそうなほど
恍惚とした表情を浮かべていて、とてもではないが肩を揺らす位では還ってきそうにもなかった。
この現状を冷静に分析したひよりは、一つの結論を生み出した。
「そうだ! これだ、これしかない!!」
現実に帰還して尚パティに口を抓られているゆたかに小さく『それじゃ、お借りしまーす……』と
口先だけの許可を勝手に貰うと、徐にひよりはみなみの背中に周り、パティと同じく指を口に、持って行かなかった。
代りに手を伸ばした先は、胸。2007年が終ろうとも、相変わらず洗濯板よりもまだ平らなそこを、ひよりは大胆にも押さえた。
「あ、あれ? あれ!?」
悲しいかな、『流石に揉むだけの胸はあるだろう』と思って触ったひよりだったが、
まさか揉めない程どうしようもなかったとは想定の範囲外だった。
素肌ならまだ希望はあったような気がしないでもないが、それが許されるのは今度こそ封鎖領域の中に限られる。
ひよりはにっちもさっちも行かなくなって、仕方無しにその何も無き大平原をさわさわと撫でた。
すると効果はあったらしく、みなみの顔は耳まで首まで真紅に染まっていく。
「うひゃあぁぁぁ!?」
凡そ、長身でスレンダーな外見からは考えられない程の金切り声で、みなみは叫び声を上げた。
それにびっくり仰天して、慌ててひよりも手を離す。
「え、あ、こ、ここ、どこ……?」
遠くの世界から帰って来た我に帰ったみなみは、自分が夢遊病者であったかのように周りをキョロキョロと見回し、
そして暫く経った後惚けたように明け方の夜空を見上げた。
そこには、太陽に負けじと輝きを放つ、半分に欠けた月が見えた。その欠けた断面が自分の胸に重なって、
みなみはまたしても陰鬱な気分に沈んだ。
「それにシテも、みなみ、随分と大きナ悲鳴デシたネ?」
「あ、あー……うん、そうだったのかも、知れない……」
虚ろにしか答えず、視線を宙に彷徨わせているみなみに、パティの問い詰めが迫る。
「ゆたかとノロケるのもいいデスが、公共の場所では控えて下さいネ?」
「アンタが言っちゃあかんでしょう……」
ひよりの突っ込みは完全にスルーされ、みなみはポツポツと答える。
「ゆ、ゆたかと……」
「小早川さんと?」
「ゆたかと……その、こう、揉み方が違った……ゆたかはもっと優しくて、もっと……情熱的だから」
爆弾発言、否、核爆弾発言。ゆたかの顔は瞬く間に茹で上がり、正常な思考と歩行が不可能になってしまった。
「み、みな、みなみちゃん、そんなこと言っちゃ、恥ずかしいよ……ふにゅ~」
頭から湯気でも吹き上げそうな顔で、そのまま今度はパティの方へと倒れこんでしまった。
「Oh! 流石ゆたか、やっぱり軽いデスね」
みなみはゆたかを精一杯かばって、できるだけ人が少ない場所を選んで歩いていき、そして何度かぶつかった。
だが、ゆたかの為ならとみなみは必死にゆたかをエスコートして、やっとのことで待ち合わせ場所に着いたのだった。
「遅いデス、一体ドコで油売ってたんデスか!?」
実際は約束より大分早く来ていたひよりとパティが、約束の場所で二人を迎え入れる。
集合場所は神社の裏手、本来なら神主を初めとする神社関係者しか入れない、いわゆるところのスタッフルームだったが、
こなたを初めとする三年生メンバーによって、病弱なゆたかの為に、特別に中に入れて貰えたのだった。
「ごめ……あ、ありがとう、二人とも。私たちを待っててくれて」
「いえいえ、気にしないで下さい、私たちも今来たばかりですから」
「じゃあミンナ揃ったトコロで、行きマスか!」
先に来ていた二人と合流して、参道へと赴く四人。他の三人が私服なのに比べて、一人だけやたらハイテンションなパティが
振袖を着ているのは、端から見て妙な光景だった。私服の日本人三人に、振袖の外国人が一人。
後にこなたとかがみ両方から、『日本人は日本人らしい服装で神社に行きなさいよ!』とお互い少し意図のずれた説教を
受ける羽目になろうとは、この時点の日本人組は考えてもいなかった。
裏手は表に対して不思議なほど静かで、まだ日が昇りきっていないのも相まってかなり暗く、
新年の鷲宮神社とは思えないほどだった。
空にはうっすらと下限の月が真上に光り、星々もチカチカと瞬きを残している。
そんな中で四人の足元は段差が辛うじて見える程度で、細かい溝などは全く見えなかった──
「わ、わぁっ!」
やはりというか、ゆたかは小さな溝に足を突っかけてバランスを崩してしまった。
身体がゆっくりと前に倒れていって、だがそれでもゆたかは転ぶことはなかった。
みなみが身を挺してゆたかを肩から支えたから、何とかゆたかはまた起き上がることができたのだ。
「ありがとう、みなみちゃん。……みなみちゃんは、私がピンチになったらいつでも助けてくれるね」
満面の笑みで礼を言うゆたかに、みなみははにかんで横を向く。
「べ、別に私がしたいことをしてるだけだから……ゆたかには、元気でいて欲しいし」
封鎖領域完成。真赤な顔でお互いに見つめあう二人に、もはや外からの干渉は不可能に等しい。
「お二人さーん。早くしないとおいてっちゃうよー」
何を言っても、もう効き目はない。誰の声も届かない、一種のマヨイガ。
初日の出が東の空にほんのり明るく輝き出し、星たちがその姿を隠そうとも、ここの時間だけはかっきりと止まっていた。
「モウ、こういうのは実力行使でイクのデス!」
言うが早いか、パティはゆたかの背中に回り、笑顔で時を止めているその口に人差し指を突っ込んで、
ぐいと左右に引っ張り始めた。文字通りの『おしおき』。
「いはい、いはいよ……ひょ、はめへ……いはい……」
封鎖領域は解除され、ゆたかは再び日常の世界へと帰還した。かに見えた。
みなみは未だ、愛に満ちた空想世界の中でゆたかと向き合っていて、このままでは本当にどこかに逝ってしまいそうなほど
恍惚とした表情を浮かべていて、とてもではないが肩を揺らす位では還ってきそうにもなかった。
この現状を冷静に分析したひよりは、一つの結論を生み出した。
「そうだ! これだ、これしかない!!」
現実に帰還して尚パティに口を抓られているゆたかに小さく『それじゃ、お借りしまーす……』と
口先だけの許可を勝手に貰うと、徐にひよりはみなみの背中に周り、パティと同じく指を口に、持って行かなかった。
代りに手を伸ばした先は、胸。2007年が終ろうとも、相変わらず洗濯板よりもまだ平らなそこを、ひよりは大胆にも押さえた。
「あ、あれ? あれ!?」
悲しいかな、『流石に揉むだけの胸はあるだろう』と思って触ったひよりだったが、
まさか揉めない程どうしようもなかったとは想定の範囲外だった。
素肌ならまだ希望はあったような気がしないでもないが、それが許されるのは今度こそ封鎖領域の中に限られる。
ひよりはにっちもさっちも行かなくなって、仕方無しにその何も無き大平原をさわさわと撫でた。
すると効果はあったらしく、みなみの顔は耳まで首まで真紅に染まっていく。
「うひゃあぁぁぁ!?」
凡そ、長身でスレンダーな外見からは考えられない程の金切り声で、みなみは叫び声を上げた。
それにびっくり仰天して、慌ててひよりも手を離す。
「え、あ、こ、ここ、どこ……?」
遠くの世界から帰って来た我に帰ったみなみは、自分が夢遊病者であったかのように周りをキョロキョロと見回し、
そして暫く経った後惚けたように明け方の夜空を見上げた。
そこには、太陽に負けじと輝きを放つ、半分に欠けた月が見えた。その欠けた断面が自分の胸に重なって、
みなみはまたしても陰鬱な気分に沈んだ。
「それにシテも、みなみ、随分と大きナ悲鳴デシたネ?」
「あ、あー……うん、そうだったのかも、知れない……」
虚ろにしか答えず、視線を宙に彷徨わせているみなみに、パティの問い詰めが迫る。
「ゆたかとノロケるのもいいデスが、公共の場所では控えて下さいネ?」
「アンタが言っちゃあかんでしょう……」
ひよりの突っ込みは完全にスルーされ、みなみはポツポツと答える。
「ゆ、ゆたかと……」
「小早川さんと?」
「ゆたかと……その、こう、揉み方が違った……ゆたかはもっと優しくて、もっと……情熱的だから」
爆弾発言、否、核爆弾発言。ゆたかの顔は瞬く間に茹で上がり、正常な思考と歩行が不可能になってしまった。
「み、みな、みなみちゃん、そんなこと言っちゃ、恥ずかしいよ……ふにゅ~」
頭から湯気でも吹き上げそうな顔で、そのまま今度はパティの方へと倒れこんでしまった。
「Oh! 流石ゆたか、やっぱり軽いデスね」
むにゅ。
「あれ? みなみちゃん、じゃない? あれ、パトリシアさん? 何で!?」
どうやら完全には現実に戻りきれていなかったらしい。ゆたかは混乱してあちらこちらを見回し、そして全てを理解したのか、
急に風船がしぼむように身体を小さく丸め込んでいった。
「えっと、もしかして私、恥ずかしいことしてた?」
今度はひよりが、親指を真っ直ぐ天に向けて答える。
「もちろん! 色んな意味でごちそうさまッス! これでネタ切れの修羅場を乗り越えられそうです!!」
「うわあああああぁぁぁ……」
紅くなったり蒼くなったり、まったく忙しいゆたか。対するみなみも、別な意味で蒼くなっていた。
「ああ、パトリシアさんの胸……ああ、胸……」
そこに、ひよりの更なる追撃が掛かる。
「そういえば、何で小早川さん、パティと岩崎さんの違いが分かったんですか?」
「ああ、あれはパトリシアさんの胸が『むにゅっ』って……あ」
時、既に遅し。みなみは地面に蹲り「の」の字を書き始めた。
「どうせ私は……ぺったんこ……貧乳……いや、無乳……ぺったんこ……無乳……むにゅう……」
このままでは負の感情が爆発しかねない。ゆたかは急いでみなみの元へ寄り添っていって、耳元で優しく囁く。
「大丈夫、私はみなみちゃんの胸、ちっとも気にしてないよ。それにほら、」
ゆたかは一層声を落として、誰にも聞こえないような小さな声でみなみに教える。
「『小さい方が感度が良い』っていうじゃない?」
どうやら完全には現実に戻りきれていなかったらしい。ゆたかは混乱してあちらこちらを見回し、そして全てを理解したのか、
急に風船がしぼむように身体を小さく丸め込んでいった。
「えっと、もしかして私、恥ずかしいことしてた?」
今度はひよりが、親指を真っ直ぐ天に向けて答える。
「もちろん! 色んな意味でごちそうさまッス! これでネタ切れの修羅場を乗り越えられそうです!!」
「うわあああああぁぁぁ……」
紅くなったり蒼くなったり、まったく忙しいゆたか。対するみなみも、別な意味で蒼くなっていた。
「ああ、パトリシアさんの胸……ああ、胸……」
そこに、ひよりの更なる追撃が掛かる。
「そういえば、何で小早川さん、パティと岩崎さんの違いが分かったんですか?」
「ああ、あれはパトリシアさんの胸が『むにゅっ』って……あ」
時、既に遅し。みなみは地面に蹲り「の」の字を書き始めた。
「どうせ私は……ぺったんこ……貧乳……いや、無乳……ぺったんこ……無乳……むにゅう……」
このままでは負の感情が爆発しかねない。ゆたかは急いでみなみの元へ寄り添っていって、耳元で優しく囁く。
「大丈夫、私はみなみちゃんの胸、ちっとも気にしてないよ。それにほら、」
ゆたかは一層声を落として、誰にも聞こえないような小さな声でみなみに教える。
「『小さい方が感度が良い』っていうじゃない?」
数秒後、今度はみなみが茹で上がり、パティがその肩を担いで参拝の道を歩く羽目になった。
表参道に出ると、今度は打って変って賑やかな神社。明らかにひよりと同類の連中がいる一方で、
敬虔なる人々、気軽に来た地元の人、そして緊張した面持ちの、受験を間近に控えた人たちがあちらこちらに犇いている。
「流石、関東最古の神社ってだけはありますねー……さ、早いところ参拝しましょう」
『気軽に来た人』をあくまで装って提案したひよりだったが、それは簡単にパティの一言で蹴られた。
「何を甘っちょろいコトを言ってるんデスか!? 神社といえば巫女サン、巫女サンといえば神社でショウ?
おみくじを買って、巫女サンと握手シテ、新しい一年の始まりヲ占って貰うんデス!」
「いやパティ、今日はそこまで拘る体力もないから……いたっ、痛ッ! パティやめて──」
「そんなコトを言うのハこの口デスか? 萌えなくしてニッポンは語れないのデス!!」
「パティ、はから、それはへんへんはっへ……いはい、いはい!」
「パトリシアさん、いくらなんでも巫女さんは占いできないと思うよ……」
ゆたかの冷静な突込みにもめげず、パティは一人ハイテンションでおみくじを引きに、とにかく巫女のいる方へと
駆けていった。
「あ、パティ、おみくじはそっちじゃ……あーあ」
あっという間にパティは『その他大勢』の一人となり、群衆に紛れて見えなくなってしまった。
ひよりは追いかけようとする努力を諦めて、みなみとゆたかと、三人で一緒に参拝することに決めた。
「なんにせよ、まずは手水舎で手を洗いましょう」
そうは言ったものの、封鎖領域が展開されて時間を食い、相変わらずどころかますます人の増えた空間を
はぐれずに移動するのは中々難しい。三人で手を繋いで──ゆたかを真ん中に挟んで──、何としても離れないように、
じりじりと賽銭箱の前までにじり寄って行った。
「はぁ、はぁ……やっと着いた」
元旦から早くもやたらと疲れて、三人は賽銭箱に五円玉を投げ入れていった。そして鈴をガラガラと鳴らし、
二回手を叩いて、それぞれ心の中で新年の礼を捧げる。
『今年こそは大きくなりますように』
『今年こそは大きくなりますように』
『今年こそは大きくなりますように』
心中での祈り文句こそ同じだったが、誰かは背の話で、誰かは胸の話で、誰かはサークル規模の話だった。
それをどこの神様が聞き入れていたのかは定かではないが、一人だけ夢が早速叶うこととなったのは、また別の話。
勿論彼女らはそれを知ることはない。天上で全てを知る者でさえも。
敬虔なる人々、気軽に来た地元の人、そして緊張した面持ちの、受験を間近に控えた人たちがあちらこちらに犇いている。
「流石、関東最古の神社ってだけはありますねー……さ、早いところ参拝しましょう」
『気軽に来た人』をあくまで装って提案したひよりだったが、それは簡単にパティの一言で蹴られた。
「何を甘っちょろいコトを言ってるんデスか!? 神社といえば巫女サン、巫女サンといえば神社でショウ?
おみくじを買って、巫女サンと握手シテ、新しい一年の始まりヲ占って貰うんデス!」
「いやパティ、今日はそこまで拘る体力もないから……いたっ、痛ッ! パティやめて──」
「そんなコトを言うのハこの口デスか? 萌えなくしてニッポンは語れないのデス!!」
「パティ、はから、それはへんへんはっへ……いはい、いはい!」
「パトリシアさん、いくらなんでも巫女さんは占いできないと思うよ……」
ゆたかの冷静な突込みにもめげず、パティは一人ハイテンションでおみくじを引きに、とにかく巫女のいる方へと
駆けていった。
「あ、パティ、おみくじはそっちじゃ……あーあ」
あっという間にパティは『その他大勢』の一人となり、群衆に紛れて見えなくなってしまった。
ひよりは追いかけようとする努力を諦めて、みなみとゆたかと、三人で一緒に参拝することに決めた。
「なんにせよ、まずは手水舎で手を洗いましょう」
そうは言ったものの、封鎖領域が展開されて時間を食い、相変わらずどころかますます人の増えた空間を
はぐれずに移動するのは中々難しい。三人で手を繋いで──ゆたかを真ん中に挟んで──、何としても離れないように、
じりじりと賽銭箱の前までにじり寄って行った。
「はぁ、はぁ……やっと着いた」
元旦から早くもやたらと疲れて、三人は賽銭箱に五円玉を投げ入れていった。そして鈴をガラガラと鳴らし、
二回手を叩いて、それぞれ心の中で新年の礼を捧げる。
『今年こそは大きくなりますように』
『今年こそは大きくなりますように』
『今年こそは大きくなりますように』
心中での祈り文句こそ同じだったが、誰かは背の話で、誰かは胸の話で、誰かはサークル規模の話だった。
それをどこの神様が聞き入れていたのかは定かではないが、一人だけ夢が早速叶うこととなったのは、また別の話。
勿論彼女らはそれを知ることはない。天上で全てを知る者でさえも。
「くちゅんっ」
「あれ、泉さんどうしたんですか、くしゃみなんかして。どなたが噂してるんでしょうね?」
「ええ、多分私の娘と、そうく……夫の姪っ子さんの辺りでしょうね。夫の噂でいちいちくしゃみをしていたら、
私風邪を引いちゃいますから」
「はは、羨ましいですね、私はもう下界に知り合いなんていませんから」
「ふふ、でもやっぱりちょっと寂しいんですよ。……それでも、皆さんにはもう少し下界にいて欲しいですけどね」
「それはごもっとも。さ、行きましょう、泉さん。天上のおせち料理も待ってますよ」
「そうですね。行きましょうか、後藤さん。……ばいばい、そう君」
「あれ、泉さんどうしたんですか、くしゃみなんかして。どなたが噂してるんでしょうね?」
「ええ、多分私の娘と、そうく……夫の姪っ子さんの辺りでしょうね。夫の噂でいちいちくしゃみをしていたら、
私風邪を引いちゃいますから」
「はは、羨ましいですね、私はもう下界に知り合いなんていませんから」
「ふふ、でもやっぱりちょっと寂しいんですよ。……それでも、皆さんにはもう少し下界にいて欲しいですけどね」
「それはごもっとも。さ、行きましょう、泉さん。天上のおせち料理も待ってますよ」
「そうですね。行きましょうか、後藤さん。……ばいばい、そう君」
おみくじ売り場に三人が行くと、ちょうと柊の双子が売り子をしているところだった。
「あ、ゆたかちゃん。岩崎さんも田村さんも、明けましておめでとう」
「明けましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます、先輩。……それにしても、ツインテールの巫女さんってのはやっぱりポイント高いですね」
「う、うるさいうるさいうるさい! おみくじ買っていくなら早くしてよね、時間ないんだから!! その、後ろもつっかえてるし」
明らかにどこぞのラノベに影響を受けた口調で会話を展開するかがみだが、それが全く違和感なくマッチしているのは、
本人の才能もある程度寄与しているからなのだろう。
「はい、おみくじ。良い結果だといいわね」
「ありがとうございます。……あ、大吉だ!」
ゆたかのは高校生活最大の山場を感じさせるおみくじ。
『恋愛:大いなる発展あり。時を違わぬべし』
「私のは……小吉か」
みなみのは、これからの戒めが書かれている。
『学問:事に溺れ怠らぬべし』
そしてひよりは……
「ぐはっ!」
凶だった。
『商売:下り坂。引き締めた財政管理をすべし』
「そ、そんな……神様、仏様……」
「だ、大丈夫だよ、悪いおみくじは木に結べば……」
大吉のゆたかに励まされても、一向に元気のでないひよりであった。
「あ、ゆたかちゃん。岩崎さんも田村さんも、明けましておめでとう」
「明けましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます、先輩。……それにしても、ツインテールの巫女さんってのはやっぱりポイント高いですね」
「う、うるさいうるさいうるさい! おみくじ買っていくなら早くしてよね、時間ないんだから!! その、後ろもつっかえてるし」
明らかにどこぞのラノベに影響を受けた口調で会話を展開するかがみだが、それが全く違和感なくマッチしているのは、
本人の才能もある程度寄与しているからなのだろう。
「はい、おみくじ。良い結果だといいわね」
「ありがとうございます。……あ、大吉だ!」
ゆたかのは高校生活最大の山場を感じさせるおみくじ。
『恋愛:大いなる発展あり。時を違わぬべし』
「私のは……小吉か」
みなみのは、これからの戒めが書かれている。
『学問:事に溺れ怠らぬべし』
そしてひよりは……
「ぐはっ!」
凶だった。
『商売:下り坂。引き締めた財政管理をすべし』
「そ、そんな……神様、仏様……」
「だ、大丈夫だよ、悪いおみくじは木に結べば……」
大吉のゆたかに励まされても、一向に元気のでないひよりであった。
結局パティは最後まで見つからず、仕方なく帰ろうとしていた所で、団子茶屋で色々頬張りつつ、
巫女装束を纏った妙齢の女性と話し込んでいるのを発見された。
「最近はライトなオタクが多すぎるんデス、情熱のカケラもなく、只タダ『萌えー』とか叫んでるだけの人には、
ぶぶ漬けでも食べサセてさっさと帰らせるのデス!!」
「は、はぁ……」
前言撤回、どうやらパティは一方的にオタク談義を吹っかけているだけであった。
「はいはいパティ、私たちと同じ感覚で一般人に話しかけないの」
笑顔のままひよりはパティの耳を引っ張って連行していく。
「ひよりんは悔しくないんデスかぁ? 聖地がオタクに蹂躙されてイクのを見るのは悔しくないんデスかぁ!?」
「あのねパティ、世の中には『類は友を呼ぶ』って言葉があってだね……」
オタクがオタクに何を言っても通じないんだよ、と半ば涙目で留学生を説得しにかかったひよりだった。
「あはは、パトリシアさんらしいね……ううっ」
そのやり取りが面白く、笑いながら見守っていたゆたかだったが、人波に酔ったのか、またフラリと身体を傾けた。
「あっ、危ない!」
本日三度目、またもゆたかは支えられて、そして立ち上がろうとして、その場にくず折れた。
「ゆっ、ゆたか!?」
「はは、ごめんね、みなみちゃん。ちょっと、今、歩けそうにないや……少し待てば治ると思うけど……うぅっ」
心なしか、ゆたかの呼吸は浅く速く、顔も紅潮して、熱があるのではとみなみを大いに心配させた。念の為と、
「熱、計らないと」
みなみが額をゆたかのそれにくっつけて、
「ん……熱はないみたい。大丈夫、私が負ぶっていくから」
「え、そんな、悪いよ、みなみちゃん」
「気にしないで。それに、ゆたかは早く暖かい場所に戻った方が良い」
手厚く背中に負ぶって、帰り道を颯爽と歩き出したのまでは良かった。良かった……が。
「い、岩崎さん、もうこれ以上私をどうにかしないで……」
今度はひよりが鼻血を噴き出して、パティに背負われて搬送される羽目になった。
「まったく、ひよりんはダメダメですネ」
「面目ない……」
四人の足音が二人ぶんに減って、神社を後にする。
駅前はまだまだ混んでいたけれど、電車に乗った後は比較的楽で、倒れた一名とぶっ倒れた一名は、
なんとか気力を取り戻して立ち上がることができた。
「ありがとう、もう大丈夫だよ、みなみちゃん」
「本当? 私はゆたかを家まで送っていっても良いんだよ?」
「ううん、ホントに大丈夫だから。今日はありがとね」
「凶!?」
ひよりはショックから立ち直れていないのか、単語の一つに過剰反応していた。
「小早川さん……流石に『凶』は辛いっス……」
「いや、田村さん、『凶』じゃなくて『今日』だから」
完全に燃え尽きている。恐らく二三日は復活しないだろうその身体をゆらりと起こして、不気味に微笑む。
「『商売:下り坂』っスか。それならそれで結構、何だろうとネタにして、いずれはシャッターを目指すっス……」
唇は釣り上がり、目は虚ろで、『たかが占いで何を』とも言いたくなるが、そこはそれ、一過性のショックである。
コミケと打ち上げで疲れ切った上での徹夜明け、信憑性の濃い薄いもあったものではない。
「ふはは……ははははは……」
だが残念なことに、それを理解する程回りの人間は彼女の私生活を知らない。
気が付いた時には、ひよりの周囲は微妙にぽっかりと穴が開いていた。
巫女装束を纏った妙齢の女性と話し込んでいるのを発見された。
「最近はライトなオタクが多すぎるんデス、情熱のカケラもなく、只タダ『萌えー』とか叫んでるだけの人には、
ぶぶ漬けでも食べサセてさっさと帰らせるのデス!!」
「は、はぁ……」
前言撤回、どうやらパティは一方的にオタク談義を吹っかけているだけであった。
「はいはいパティ、私たちと同じ感覚で一般人に話しかけないの」
笑顔のままひよりはパティの耳を引っ張って連行していく。
「ひよりんは悔しくないんデスかぁ? 聖地がオタクに蹂躙されてイクのを見るのは悔しくないんデスかぁ!?」
「あのねパティ、世の中には『類は友を呼ぶ』って言葉があってだね……」
オタクがオタクに何を言っても通じないんだよ、と半ば涙目で留学生を説得しにかかったひよりだった。
「あはは、パトリシアさんらしいね……ううっ」
そのやり取りが面白く、笑いながら見守っていたゆたかだったが、人波に酔ったのか、またフラリと身体を傾けた。
「あっ、危ない!」
本日三度目、またもゆたかは支えられて、そして立ち上がろうとして、その場にくず折れた。
「ゆっ、ゆたか!?」
「はは、ごめんね、みなみちゃん。ちょっと、今、歩けそうにないや……少し待てば治ると思うけど……うぅっ」
心なしか、ゆたかの呼吸は浅く速く、顔も紅潮して、熱があるのではとみなみを大いに心配させた。念の為と、
「熱、計らないと」
みなみが額をゆたかのそれにくっつけて、
「ん……熱はないみたい。大丈夫、私が負ぶっていくから」
「え、そんな、悪いよ、みなみちゃん」
「気にしないで。それに、ゆたかは早く暖かい場所に戻った方が良い」
手厚く背中に負ぶって、帰り道を颯爽と歩き出したのまでは良かった。良かった……が。
「い、岩崎さん、もうこれ以上私をどうにかしないで……」
今度はひよりが鼻血を噴き出して、パティに背負われて搬送される羽目になった。
「まったく、ひよりんはダメダメですネ」
「面目ない……」
四人の足音が二人ぶんに減って、神社を後にする。
駅前はまだまだ混んでいたけれど、電車に乗った後は比較的楽で、倒れた一名とぶっ倒れた一名は、
なんとか気力を取り戻して立ち上がることができた。
「ありがとう、もう大丈夫だよ、みなみちゃん」
「本当? 私はゆたかを家まで送っていっても良いんだよ?」
「ううん、ホントに大丈夫だから。今日はありがとね」
「凶!?」
ひよりはショックから立ち直れていないのか、単語の一つに過剰反応していた。
「小早川さん……流石に『凶』は辛いっス……」
「いや、田村さん、『凶』じゃなくて『今日』だから」
完全に燃え尽きている。恐らく二三日は復活しないだろうその身体をゆらりと起こして、不気味に微笑む。
「『商売:下り坂』っスか。それならそれで結構、何だろうとネタにして、いずれはシャッターを目指すっス……」
唇は釣り上がり、目は虚ろで、『たかが占いで何を』とも言いたくなるが、そこはそれ、一過性のショックである。
コミケと打ち上げで疲れ切った上での徹夜明け、信憑性の濃い薄いもあったものではない。
「ふはは……ははははは……」
だが残念なことに、それを理解する程回りの人間は彼女の私生活を知らない。
気が付いた時には、ひよりの周囲は微妙にぽっかりと穴が開いていた。
「そ、それじゃ田村さん、原稿頑張ってね」
「あいあいさー……」
幾つか駅過ぎた頃、パティとひよりは降りていった。一方は肩を担ぎ、一方は白い煙を吐き出していた。
すぐ先の駅でゆたかも降りて、みなみ一人になった。
「本当に大丈夫?」
「ホントのホントに大丈夫だよ。もう、みなみちゃんは心配性なんだから」
みなみはホームから出て行く電車を、これ程までに恨めしいと思ったことはなかった。
「はぁ……」
溜息一つ、みなみは空を見上げた。小さな雲が低い空にぽっかりと浮かんで、静かに流れていく。
だが電車の動きは速く、あっという間に遠ざかって見えなくなっていく。手を伸ばしても、届かない。
「ゆたか、ちゃんと家に帰れたかな?」
心配するなと言われても、心配してしまうのはみなみの性というよりは人とのしての人情であろう。
電車から降りたらメールの一つでも送ってみようと心に決めて、みなみは座席に深く座った。
空では相変わらず小さな雲が幾つか、浮かんでは流れていった。
「あいあいさー……」
幾つか駅過ぎた頃、パティとひよりは降りていった。一方は肩を担ぎ、一方は白い煙を吐き出していた。
すぐ先の駅でゆたかも降りて、みなみ一人になった。
「本当に大丈夫?」
「ホントのホントに大丈夫だよ。もう、みなみちゃんは心配性なんだから」
みなみはホームから出て行く電車を、これ程までに恨めしいと思ったことはなかった。
「はぁ……」
溜息一つ、みなみは空を見上げた。小さな雲が低い空にぽっかりと浮かんで、静かに流れていく。
だが電車の動きは速く、あっという間に遠ざかって見えなくなっていく。手を伸ばしても、届かない。
「ゆたか、ちゃんと家に帰れたかな?」
心配するなと言われても、心配してしまうのはみなみの性というよりは人とのしての人情であろう。
電車から降りたらメールの一つでも送ってみようと心に決めて、みなみは座席に深く座った。
空では相変わらず小さな雲が幾つか、浮かんでは流れていった。
『ゆたか、ちゃんと家に着いた? モチとかで喉詰まらせないでね。
新学期に会うのを楽しみにしています』
家に着き、メールも送り終って、暇になったみなみは急に眠気を催してきた。
いつもより大幅に早起きしたのが利いてきたのだろう、パジャマに着替えるのももどかしく、
みなみは上着だけを脱いで、ベッドにコロンと横になった。
「……?」
ベッドの感触がおかしい。なんというかモコモコしている。そう不審がってみなみが布団を引き剥がすと、
「ワン♪」
「チェリーか……ダメだよ、こんなとこで寝てちゃ」
だが愛すべきバカ(?)犬はそんなことを歯牙にもかけずゴロゴロとみなみのベッドを転がり続けている。
困り果てたみなみはしばらく腕を組んで考え、そして結論を得た。
「よし、チェリーがそんなことするんなら、私も……」
みなみは手早く服を脱いで下着姿になると、ベッドにダイヴしてそのまま布団を頭から被った。
「ほら、逃げられないよ、チェリー」
モフモフとした毛皮は柔らかく、ちょっとくすぐったかったが、その温かさにいつか眠ってしまっていた。
寝ている最中に高良母の手によって恥ずかしい写真がみゆき→こなた→ひよりと流れていったのは、
この時のみなみは知る由もなかった。
新学期に会うのを楽しみにしています』
家に着き、メールも送り終って、暇になったみなみは急に眠気を催してきた。
いつもより大幅に早起きしたのが利いてきたのだろう、パジャマに着替えるのももどかしく、
みなみは上着だけを脱いで、ベッドにコロンと横になった。
「……?」
ベッドの感触がおかしい。なんというかモコモコしている。そう不審がってみなみが布団を引き剥がすと、
「ワン♪」
「チェリーか……ダメだよ、こんなとこで寝てちゃ」
だが愛すべきバカ(?)犬はそんなことを歯牙にもかけずゴロゴロとみなみのベッドを転がり続けている。
困り果てたみなみはしばらく腕を組んで考え、そして結論を得た。
「よし、チェリーがそんなことするんなら、私も……」
みなみは手早く服を脱いで下着姿になると、ベッドにダイヴしてそのまま布団を頭から被った。
「ほら、逃げられないよ、チェリー」
モフモフとした毛皮は柔らかく、ちょっとくすぐったかったが、その温かさにいつか眠ってしまっていた。
寝ている最中に高良母の手によって恥ずかしい写真がみゆき→こなた→ひよりと流れていったのは、
この時のみなみは知る由もなかった。
その時は余りの激写っぷりに何が何だか分からなくって錯乱し、夢なぞ覚えていなかったのだが、
夜になると、みなみは夢をはっきりと見た。だがそれでも、起きた時には奇妙な感覚だけが残っていて、
それが何だったのか、忘れてしまっていた。それでも一つだけ、覚えていたことがある。
「私、幸せだったんだなぁ、きっと……」
夜になると、みなみは夢をはっきりと見た。だがそれでも、起きた時には奇妙な感覚だけが残っていて、
それが何だったのか、忘れてしまっていた。それでも一つだけ、覚えていたことがある。
「私、幸せだったんだなぁ、きっと……」
起き抜けに計る、バストサイズ。いつもの習慣。だが、今日はいつもよりちょっと違った習慣になりそうだった。
「え? あれ?」
トップとアンダーの差が、いつもより伸びている。目を凝らして、もう一度確かめてみる。
「お、おかしいな……あれ?」
念のため、もう一度計る。間違いない、今度こそ。
「バストサイズが、上がった……」
AAAから、AAに。トップ─アンダー差は、昨日までは自分でも考える必要さえないくらい、
0に等しい値を指し続けていたというのに、いよいよ以って、ミクロな差はマクロな形となってメジャーに現れてきたのだった。
「な、何かの間違いかな? ……でも、もし夢でも、できるなら覚めて欲しくない」
取り敢えず起き上がってみる。そこから自分の胸を見下ろしてみると、今までは綺麗な流線型だったのが、
僅かな凹凸が付いているのが見えた。
「ああ、やっぱりちょっと大きくなってる」
念の為、頬を抓ってみる。痛い。試しに胸も揉んでみる。偽物じゃない。
「た、大変だ、ゆたかにちゃんと言わなきゃ……」
高がバストサイズ、されどバストサイズ。みなみにとっては一大事なこのことを、早くゆたかに知らせたくて、
矢も盾もたまらず、みなみは速攻で着替えて走り出した。
「ゆた、か! ゆたか!!」
まだ午前も早く、泉家まで駆け込んだみなみは、ゆたかの奇妙奇天烈な顔に出迎えられた。
「どうしたの、急に?」
「た、大変なの!!」
寡黙なみなみにしては珍しく、息せき切って矢継ぎ早に事情を説明し始めるものだから、
ゆたかは何事かと思い、まずはみなみに深呼吸させて落ち着かせ、自分の部屋へと案内した。
次に温かいお茶を持って行き、みなみに飲ませると、やっと無乳改め貧乳の少女は一息ついた。
「えっと……実は、かくかくしかじかで、胸が大きくなったの」
「え!?」
そう叫んでから、ゆたかはしまったという顔で固まった。
「ゆたか、ひどらなんでもその驚き方は酷い」
「あ、ご、ごめん。にゃはは……」
世紀の大ニュースを事細かに、とても嬉しそうに話すみなみは活き活きとしていて、
とてもいつもの『岩崎みなみ』とは思えなかった。
「で、朝に計ったら、ちょっとだけ大きくなってたの!」
「おめでとう、みなみちゃん」
「もう嬉しくって……ゆたかに見せたくて、飛んできたの」
「あはは、みなみちゃんらしいっていうか、その気持ち分かるよ」
一頻りマシンガントークを繰り広げた後、みなみは顔を赤らめてもじもじと言った。
「それでね、ゆたか……確かめて、欲しい」
「え?」
言うが早いか、みなみは服を大胆にも脱いで、下着だけの姿になった。
「ね? いつもみたいに、また揉んでみて……大きくなってるはずだから」
否、恥ずかしくて一思いにやってしまったというべきか、いつもとは違う胸を曝け出したみなみの横顔は、
ぷるぷると震えていた。
「い、良いの?」
ゆたかが反復して確認すると、みなみはゆっくりと微笑んだ。
「ゆたかだから、頼めるの。だから、ね? お願い」
はにかみながら言い切ったみなみに、ゆたかはもう野暮なことは言わなかった。
ようやくその意味を帯び始めた前線最後の砦、ブラジャーの上から、ゆたかはみなみの胸に触れた。
「あ、ふにふにする……」
「そ、そう? きゃぅっ」
未知の感覚。ゆたかにとって胸とは『撫でる』存在であり、『揉む』とは形容であって有名無実な行為であった。
それはみなみも同じ事で、お互い初めての感覚に、戸惑いは隠せなかった。
「い、行くよ?」
「うん」
だがそれでも、一歩一歩確実に進んでいく。
ゆたかはブラジャーのホックを外し、露になったその双丘へと進撃していった。
「気持ち良い、みなみちゃん?」
「うん……なんだかいつもと違って、暖かい感じ」
一層柔らかくなったその場所を、僅かな膨らみを、ゆたかは思うがままに征服していく。
時々に頂上の蕾に触れると、みなみは次第に甘い声と甘い吐息を繰り返し始めた。
「新鮮だね。それに、ホントに柔らかい……みなみちゃん」
「ゆたか……」
二人はどちらともなく唇を重ねた。ちゅぷちゅぷと水音が響き渡り、重ねる舌は深く、
どこまでも互いを貪るように絡めていく。
「ちゅむ…んちゅ……ぷはぁ、みなみちゃん、キス、上手くなったね」
「そ、そんな上手くなっただなんて……ひゃぁっ」
みなみが言葉を紡ぐよりも早く、ゆたかはみなみの蕾に舌を這わせた。紅く開花したみなみの乳首を、
まるで飴玉でも舐めるかのようにコロコロと転がしていく。舌先が敏感な先端に触れる度に、
みなみはあられもない嬌声を上げる。
「ゆた、かぁ……もう、我慢できない……その、し、下の方も……」
「下の方?」
悪戯っぽく笑うとゆたかは、胸で踊らせていた舌を徐々に下半身に移動させていった。
玉の汗を舐め取りながら、へそ、下腹部へと進み、遂に最後の本拠地へと辿り着いた。
「下の方ってどこかなぁ?」
意地悪い質問をぶつけるゆたかに、みなみはふるふると首を振った。
「は、ずかしい、よ……もう、これ以上……お願い、ゆたかぁ……」
もちろん、潤んだ目で頼まれて無下に断るほどゆたかは鬼畜でもない──聖人君子でもないが。
ゆたかは軽く頷くとみなみの濡れぼそったショーツを一気に引き下げて、輝くばかりにテラテラと滑り光る、
みなみの最大の弱点、神秘の場所へと行軍を開始した。
だがゆたかは中々『ピンポイント』へと辿り着かない。秘所の周りを撫で回したり、蜜泉の入り口に軽く指を入れる程度で、
高まるみなみの官能に対し、ゆたかはじっくりとしか責めていかない──今日が秘め初めであることを加味しなければ。
「みなみちゃん、今日は特別だよ? 今年初めての、私たちのえっちなことだから」
ゆたかは一気にみなみの淫豆へと指を伸ばし、既に愛液でぬるぬるになった柔突起を激しく扱き始めた。
同時に秘所の奥深く、Gスポットから子宮口まで指を二本三本と突き上げ、みなみを完全に蹂躙し始めた。
みなみは大きな声で喘ぐが、そんなことなど歯牙にもかけず、今度は秘豆を口に含んで強烈に吸引した。
すると、みなみの秘所は痙攣してビクビクと波打ち、そして一際大きい声を上げたかと思うと一気に脱力して、
みなみは息も絶え絶え、息を何度も吸っては吐き、虚空を彷徨う目の焦点を何とか合わせようと全身を落ち着けようとした。
「みなみちゃん、ホント良いイき方するね。……大好きだよ、みなみちゃん」
「ゆた、ゆたか……私も、私も大好きだよ、ゆたか……」
最後に軽いキスを交わしたのを最後に、みなみの意識は深い闇へと転落して行った。
温い大洋を彷徨うかのような不可思議な浮遊感がみなみの身体を占めて、そして夢からも世界は乖離されていった。
「え? あれ?」
トップとアンダーの差が、いつもより伸びている。目を凝らして、もう一度確かめてみる。
「お、おかしいな……あれ?」
念のため、もう一度計る。間違いない、今度こそ。
「バストサイズが、上がった……」
AAAから、AAに。トップ─アンダー差は、昨日までは自分でも考える必要さえないくらい、
0に等しい値を指し続けていたというのに、いよいよ以って、ミクロな差はマクロな形となってメジャーに現れてきたのだった。
「な、何かの間違いかな? ……でも、もし夢でも、できるなら覚めて欲しくない」
取り敢えず起き上がってみる。そこから自分の胸を見下ろしてみると、今までは綺麗な流線型だったのが、
僅かな凹凸が付いているのが見えた。
「ああ、やっぱりちょっと大きくなってる」
念の為、頬を抓ってみる。痛い。試しに胸も揉んでみる。偽物じゃない。
「た、大変だ、ゆたかにちゃんと言わなきゃ……」
高がバストサイズ、されどバストサイズ。みなみにとっては一大事なこのことを、早くゆたかに知らせたくて、
矢も盾もたまらず、みなみは速攻で着替えて走り出した。
「ゆた、か! ゆたか!!」
まだ午前も早く、泉家まで駆け込んだみなみは、ゆたかの奇妙奇天烈な顔に出迎えられた。
「どうしたの、急に?」
「た、大変なの!!」
寡黙なみなみにしては珍しく、息せき切って矢継ぎ早に事情を説明し始めるものだから、
ゆたかは何事かと思い、まずはみなみに深呼吸させて落ち着かせ、自分の部屋へと案内した。
次に温かいお茶を持って行き、みなみに飲ませると、やっと無乳改め貧乳の少女は一息ついた。
「えっと……実は、かくかくしかじかで、胸が大きくなったの」
「え!?」
そう叫んでから、ゆたかはしまったという顔で固まった。
「ゆたか、ひどらなんでもその驚き方は酷い」
「あ、ご、ごめん。にゃはは……」
世紀の大ニュースを事細かに、とても嬉しそうに話すみなみは活き活きとしていて、
とてもいつもの『岩崎みなみ』とは思えなかった。
「で、朝に計ったら、ちょっとだけ大きくなってたの!」
「おめでとう、みなみちゃん」
「もう嬉しくって……ゆたかに見せたくて、飛んできたの」
「あはは、みなみちゃんらしいっていうか、その気持ち分かるよ」
一頻りマシンガントークを繰り広げた後、みなみは顔を赤らめてもじもじと言った。
「それでね、ゆたか……確かめて、欲しい」
「え?」
言うが早いか、みなみは服を大胆にも脱いで、下着だけの姿になった。
「ね? いつもみたいに、また揉んでみて……大きくなってるはずだから」
否、恥ずかしくて一思いにやってしまったというべきか、いつもとは違う胸を曝け出したみなみの横顔は、
ぷるぷると震えていた。
「い、良いの?」
ゆたかが反復して確認すると、みなみはゆっくりと微笑んだ。
「ゆたかだから、頼めるの。だから、ね? お願い」
はにかみながら言い切ったみなみに、ゆたかはもう野暮なことは言わなかった。
ようやくその意味を帯び始めた前線最後の砦、ブラジャーの上から、ゆたかはみなみの胸に触れた。
「あ、ふにふにする……」
「そ、そう? きゃぅっ」
未知の感覚。ゆたかにとって胸とは『撫でる』存在であり、『揉む』とは形容であって有名無実な行為であった。
それはみなみも同じ事で、お互い初めての感覚に、戸惑いは隠せなかった。
「い、行くよ?」
「うん」
だがそれでも、一歩一歩確実に進んでいく。
ゆたかはブラジャーのホックを外し、露になったその双丘へと進撃していった。
「気持ち良い、みなみちゃん?」
「うん……なんだかいつもと違って、暖かい感じ」
一層柔らかくなったその場所を、僅かな膨らみを、ゆたかは思うがままに征服していく。
時々に頂上の蕾に触れると、みなみは次第に甘い声と甘い吐息を繰り返し始めた。
「新鮮だね。それに、ホントに柔らかい……みなみちゃん」
「ゆたか……」
二人はどちらともなく唇を重ねた。ちゅぷちゅぷと水音が響き渡り、重ねる舌は深く、
どこまでも互いを貪るように絡めていく。
「ちゅむ…んちゅ……ぷはぁ、みなみちゃん、キス、上手くなったね」
「そ、そんな上手くなっただなんて……ひゃぁっ」
みなみが言葉を紡ぐよりも早く、ゆたかはみなみの蕾に舌を這わせた。紅く開花したみなみの乳首を、
まるで飴玉でも舐めるかのようにコロコロと転がしていく。舌先が敏感な先端に触れる度に、
みなみはあられもない嬌声を上げる。
「ゆた、かぁ……もう、我慢できない……その、し、下の方も……」
「下の方?」
悪戯っぽく笑うとゆたかは、胸で踊らせていた舌を徐々に下半身に移動させていった。
玉の汗を舐め取りながら、へそ、下腹部へと進み、遂に最後の本拠地へと辿り着いた。
「下の方ってどこかなぁ?」
意地悪い質問をぶつけるゆたかに、みなみはふるふると首を振った。
「は、ずかしい、よ……もう、これ以上……お願い、ゆたかぁ……」
もちろん、潤んだ目で頼まれて無下に断るほどゆたかは鬼畜でもない──聖人君子でもないが。
ゆたかは軽く頷くとみなみの濡れぼそったショーツを一気に引き下げて、輝くばかりにテラテラと滑り光る、
みなみの最大の弱点、神秘の場所へと行軍を開始した。
だがゆたかは中々『ピンポイント』へと辿り着かない。秘所の周りを撫で回したり、蜜泉の入り口に軽く指を入れる程度で、
高まるみなみの官能に対し、ゆたかはじっくりとしか責めていかない──今日が秘め初めであることを加味しなければ。
「みなみちゃん、今日は特別だよ? 今年初めての、私たちのえっちなことだから」
ゆたかは一気にみなみの淫豆へと指を伸ばし、既に愛液でぬるぬるになった柔突起を激しく扱き始めた。
同時に秘所の奥深く、Gスポットから子宮口まで指を二本三本と突き上げ、みなみを完全に蹂躙し始めた。
みなみは大きな声で喘ぐが、そんなことなど歯牙にもかけず、今度は秘豆を口に含んで強烈に吸引した。
すると、みなみの秘所は痙攣してビクビクと波打ち、そして一際大きい声を上げたかと思うと一気に脱力して、
みなみは息も絶え絶え、息を何度も吸っては吐き、虚空を彷徨う目の焦点を何とか合わせようと全身を落ち着けようとした。
「みなみちゃん、ホント良いイき方するね。……大好きだよ、みなみちゃん」
「ゆた、ゆたか……私も、私も大好きだよ、ゆたか……」
最後に軽いキスを交わしたのを最後に、みなみの意識は深い闇へと転落して行った。
温い大洋を彷徨うかのような不可思議な浮遊感がみなみの身体を占めて、そして夢からも世界は乖離されていった。
「……ん?」
みなみが次に目覚めた時、ご丁寧に自分の体に毛布が掛かっているのが分かった。
だがそれ以上に不思議だったのは、頭の感覚。どうも、自分がいつも使っている枕の感触で、ゆたかの家にあるそれとは……
「ん? ん?」
目覚めたベッドは、見紛う事なき岩崎家の、自分のベッド。着ていたパジャマは、昨日のまま。
『まさかゆたかがここまで運んでくる訳は……』と思い、そして遂にみなみは冷酷な宣言に気が付いた。
「ま、まさか!」
哀れむべきは何か。みなみが現実世界で図った胸囲は、見事に洗濯板以下だった。
「ウソ、でしょ? ウソだ……ウソだ、ウソだぁっ!!」
みなみが八つ当たりと投げた枕は、飼い主の声を聞いて丁度部屋に入ってきたチェリーに当たり、
余りに突然の衝撃で愛犬はひっくり返って気絶した。
「チェリー? チェリー!?」
みなみの一月二日に、安息は許されそうになかった。
みなみが次に目覚めた時、ご丁寧に自分の体に毛布が掛かっているのが分かった。
だがそれ以上に不思議だったのは、頭の感覚。どうも、自分がいつも使っている枕の感触で、ゆたかの家にあるそれとは……
「ん? ん?」
目覚めたベッドは、見紛う事なき岩崎家の、自分のベッド。着ていたパジャマは、昨日のまま。
『まさかゆたかがここまで運んでくる訳は……』と思い、そして遂にみなみは冷酷な宣言に気が付いた。
「ま、まさか!」
哀れむべきは何か。みなみが現実世界で図った胸囲は、見事に洗濯板以下だった。
「ウソ、でしょ? ウソだ……ウソだ、ウソだぁっ!!」
みなみが八つ当たりと投げた枕は、飼い主の声を聞いて丁度部屋に入ってきたチェリーに当たり、
余りに突然の衝撃で愛犬はひっくり返って気絶した。
「チェリー? チェリー!?」
みなみの一月二日に、安息は許されそうになかった。
新学期、ガックリと肩を落として登校するみなみの姿が目撃されたが、誰も彼もその真理を知る者はいなかった。
そう、例えそれが夢の中で愛してくれた人でさえも。
そう、例えそれが夢の中で愛してくれた人でさえも。
コメントフォーム
- にやにやしながら読んだ! -- 名無しさん (2008-09-25 22:29:20)
- せつないのう、せつないのう -- 名無しさん (2008-01-10 11:08:38)