「…」
「…」
小さな身体。
青く長い髪。
小振りな唇。
それらとは相対的に、大きく円らなその瞳にオレは今にも吸い込まれそうだった。
「ねぇ~」
「…え?あ!ちょ、その…な、なに??」
「話ってなんだよー??早くしてくれなきゃ昼休みが終わってしまうじゃないかぁ!」
泉の唐突な先制攻撃により、オレはハッと正気に戻った。
陵桜学園に入学して以来、ずっと泉の事が好きだった。
1、2学年と泉とは違うクラスで、友達どころか話したこともなかったが、3年生でようやく同じクラスになれる事が出来、ついに今日オレは告白する事を決心したわけだ。
1、2学年と泉とは違うクラスで、友達どころか話したこともなかったが、3年生でようやく同じクラスになれる事が出来、ついに今日オレは告白する事を決心したわけだ。
…が、いざ泉を前にすると言葉が見つからない。
頭が真っ白になり、喉がカラカラだ。
頭が真っ白になり、喉がカラカラだ。
やばい…何か喋らなきゃ!このままじゃただの変なヤツじゃねぇか!!
いけ!いくんだオレ!!
いけ!いくんだオレ!!
「う~ん……無理!」
いつまで経っても口を開かないオレに嫌気が刺したのか、泉は唐突に口を開いた。
「…え?オレまだ何も言ってないんだけど…」
「んもぅ~大体分かるよ。君、私に告白しようとしたいんでしょ??」
「…な!何でそれを…!?」
「昼休みに女子を屋上に呼びだすなんてギャルゲーの基本だからね★」
泉が屈託のない笑顔でオレに親指を立てながら言う。
「な、なんかよく分かんねーけど…つ、つーか何で無理なんだよ!理由は何!?」
「だって…彼氏いたらネットやる時間とか減りそうだし、メールとか色々めんどうだし…」
「ちょ…おま…」
「そもそも告白すらマトモに出来ないへタレ主人公は興味ないっす!…あ、ほら次の授業始まっちゃうよ!?早く行かなきゃ!!」
そう言い残すと泉は屋上の階段を駆け降りて行った。
屋上にはチャイムが鳴り響き、オレはただタメ息をつきながら青空を見上げた。
告白もマトモに出来ない…かぁ…
好きだ!の一言も言えずにフラれちゃうなんて
ははは…笑える。
次の授業サボろ…。
とても授業に参加出来る気分じゃなかった。
席は遠いといえど、泉とは同じクラス。
席は遠いといえど、泉とは同じクラス。
フラれた直後だし今はなんとなく顔を合わせたくなかった。
…
…
…
…ん?
…
…
…ん?
頭がクラクラする。
どうやら屋上のベンチに横たわってそのまま眠ってしまったようだ。
ポケットから携帯を取り出して時間を確認すると、もう5時を過ぎている。
もう放課後じゃん…
あーあ。
…帰ろっと。
教室にカバンを取りに行く為、オレは目を擦りながら屋上の階段を降りて行った。
教室までの廊下を歩いてる中、オレの脳裏には何度も泉の言葉がリフレインしていた。
段々とフラれたという自覚が滲み出ていたが、まだ何処かその現実を受けとめれずにいた。
教室に入ると電気はついているが誰もいない。
皆帰ったようだ。
ちらっと泉の席を見る。
はぁ~と深いタメ息をついてカバンを取り、教科書を入れていると背後に人の気配がする。
「長い昼休みだったの~。私の授業をフケるとはええ度胸や」
振り返るとそこには薄気味悪い笑顔を浮かべた黒井先生がいた。
「あ…いやその…。あは、あはははははははは」
笑いながら教室を出ようとしたが背中を掴まれ、
「昼休みから何処に隠れとったんや!言わんと締め落とすで!?」
とスリーパーホールドをかけられてしまった。
「昼休みから何処に隠れとったんや!言わんと締め落とすで!?」
とスリーパーホールドをかけられてしまった。
「お…おえっ……せ…せんせ……チョーク入ってる…」
このままだと本当に締め落とされるのでギブアップをし、昼休みの事を全て黒井先生に話した。
「なんやなんやそういうことやったんかぁ!そんなやったら許すたる!!」
黒井先生は目を輝かせながらオレの肩をバンバン叩く。
「いや~しかしまさかアンタが泉にホの字やったとはねぇ」
人の気持ちも知らずに…
自分が独身だからって他人の恋愛事情に首突っ込んでくんなよ!と言おうとしたが、確実に死亡フラグなのでそれは自重しておく。
「まぁ…今となっちゃ笑い話ですけど」
力なく答えるオレを見て哀れに思ったのか黒井先生は「うーん泉はオタクやからなぁ。リアル男子に興味あるんやろか」と呟いた。
「先生あいつのこと詳しいっすね…」
「泉とはネトゲー仲間やからな!」
そう言えばいつも休み時間に泉、柊とかとそんな話してたな…。
「まぁとりあえず泉のことはもう忘れます…」
「ちょい待ち!諦めるのはまだ早いで!!」
「いや、もうフラれたんだし…。それに先生も現実の男子に興味あるか分からないって言ってたじゃないですか…」
「アホ!!逆に考えたらこれはチャンスなんやで!!!」
「…え?」
「泉のことや。高校はおろか中学んときすらマトモな恋愛したことないはず。言うなればアイツは恋愛については真っ白なんや」
オレは黙って先生の話に耳を傾ける。
「つまり、これから何色に染まるのかもアンタ次第やねん!本当の意味での萌えを教えたれ!!!」
そう叫ぶと先生は教壇を叩き、「泉こなた攻略作戦開始や!」と叫んだ。
「…いや、そんなこと言ったって具体的に何をすればいいのか…」
「ちゃんと考えてるっちゅーねん!ええか!?目には目を、ネットにはネットや!」
熱くそう語ると先生はその作戦内容を黒板に書き、結局その日オレが家に着いたのは9時過ぎだった。
翌日、教室へ入ると泉はいつものように柊達と談笑をしている。
机にカバンを下ろした際、ふと泉と目が合い、「おはよー!」と声をかけてきた。
昨日のこと、アイツは別に気にしてないみたいだな…
安堵した気持ちの中に少しの複雑な心境が入り交じり、オレは愛想笑いをしながら泉に応じた。
安堵した気持ちの中に少しの複雑な心境が入り交じり、オレは愛想笑いをしながら泉に応じた。
「さてHR始めるでー」
朝から大きな声で黒井先生は出席確認をとり、HRが終わるとすぐに授業を始めた。
はぁ…。
なんか大変なことになっちゃったなぁ…。
なんか大変なことになっちゃったなぁ…。
昨日の放課後、黒井先生から説明された泉こなた攻略作戦の概略はこういったものであった。
普段からよくネットサーフィンをする黒井先生によれば、最近、某巨大掲示板の地域BBSのスレッドで祭になっているコッペパンがあるという。
そのコッペパンを意中の異性に食べさせると、その子との間に恋が生まれるという話。
実際にそのスレッドのレスに「うはwww彼女できたwwwwww」、「あのコッペパンだけはガチ」等といった書き込みがあり、賛否両論になってるという。
そして偶然なことにそのコッペパンを製造している店が隣町にあるとのこと。
信憑性もへったくれもなく、オカルト過ぎて最初は呆れていたが黒井先生の説得もあり、善は急げとのことで放課後に買いに行くことになった。
そして放課後、オレは近くのバス停から隣町へと行き、黒井先生がくれた地図を頼りに店がある商店街へと歩いた。
なにやら商店街の奥に長い行列が出来ている。
どうやらそこが例のコッペパンの店らしい。
どうやらそこが例のコッペパンの店らしい。
オレは行列の最後尾についた。
ふぅーと一息つきながら順番を待っていると、急に並んでいた人達がぞろぞろと帰りだした。
ふぅーと一息つきながら順番を待っていると、急に並んでいた人達がぞろぞろと帰りだした。
首をかしげながら店内に入ると『本日売り切れ』の札を出しながら店主であろう眼鏡をかけたおじさんが「悪いねぇ。今日はもう売り切れちゃったんだ」と申し訳なさそうに言う。
「そ、そうですか…」
落胆を隠しきれずに俯きながら答える。
「…君もコッペパンを買いにきたのだろう?」
そんなオレの姿を見て気がかりに思ったのか、おじさんは優しい口調で問いかけてきた。
「えぇ…まぁ…」
「誰にコッペパンを食べさせようと?」
「好きな子に…。フラれたんですけど…やっぱまだ諦めつかなくて」
「誰にコッペパンを食べさせようと?」
「好きな子に…。フラれたんですけど…やっぱまだ諦めつかなくて」
しばしの沈黙の後、おじさんは「ちょっと待ってて」と一言残し、一度厨房へ行くと数分後に小さな袋を持って戻ってきた。
「サービスだぞ?」
おじさんはニンヤリ微笑むとオレにその袋を差し出した。
中を見るとそこにはコッペパンが入っている。
「ただしな…若者」
視線をコッペパンからおじさんに移す。
「このコッペパンは出来損ないで店頭に出せなかった商品なんだ」
「…え?」
「だからこれを食べさせても好きな子との間に恋は生まれないぞ」
「そ…そんなぁ…」
「話は最後まで聞け!確かにこのコッペパンは出来損ないだ。だが、だからこそ君の気持ち次第で色々な形や味に変化する」
「んなアホな…そんなオカルトみたいな話が…」
「真っ白で純粋な気持ちはいつか愛に届く」
「…え?」
「だからこれを食べさせても好きな子との間に恋は生まれないぞ」
「そ…そんなぁ…」
「話は最後まで聞け!確かにこのコッペパンは出来損ないだ。だが、だからこそ君の気持ち次第で色々な形や味に変化する」
「んなアホな…そんなオカルトみたいな話が…」
「真っ白で純粋な気持ちはいつか愛に届く」
そう呟くとおじさんは店のシャッターを閉めた。
「疲れたあああ」
家に戻るとオレは勢いよく自室のベットに倒れこむ。
天井を見つめながら、おじさんが言っていたことを思い返す。
「オレの気持ち次第……か」
やがて視界が虚ろになり、半分眠りかかっていた時に携帯の着信が勢いよく鳴り響いた。
着信相手は黒井先生からだ。
「もしも」
「おー!どないやった!?ちゃんとコッペパン買うたか!?」
「まぁ…なんつーか一応…」
「よーしよくやった!後は明日そのパンを泉に食べさせるだけやな!!」
「そうですけど…どうやってその状況にすればいいのか…」
「アホー!!そんなもん気合やろ!!」
「そんな無責任な…」
「ヘタレやなぁ…ホンマに。そもそもアンタは泉のどこに惚れたんや?」
「え?うーん…いつも明るくて…空気読めないけど…笑顔が可愛い所とかかな…あんま理由になってないけど…」
「ちゃんと言えてるやん!後はその想いをパンと一緒にぶつけるだけやないか!男みせてみぃ!!」
「…は、はい!」
「おー!どないやった!?ちゃんとコッペパン買うたか!?」
「まぁ…なんつーか一応…」
「よーしよくやった!後は明日そのパンを泉に食べさせるだけやな!!」
「そうですけど…どうやってその状況にすればいいのか…」
「アホー!!そんなもん気合やろ!!」
「そんな無責任な…」
「ヘタレやなぁ…ホンマに。そもそもアンタは泉のどこに惚れたんや?」
「え?うーん…いつも明るくて…空気読めないけど…笑顔が可愛い所とかかな…あんま理由になってないけど…」
「ちゃんと言えてるやん!後はその想いをパンと一緒にぶつけるだけやないか!男みせてみぃ!!」
「…は、はい!」
…よし。
明日コッペパンを泉に渡してもう一度告白しよう!
明日コッペパンを泉に渡してもう一度告白しよう!
翌日、授業中にどうやって泉にコッペパンを渡そうか模索していた。
休み時間は基本的に泉の周りに柊や高良がいる。
そんな状況でいきなりコッペパンを渡すのはあまりにも不自然だ。
そんな状況でいきなりコッペパンを渡すのはあまりにも不自然だ。
チャンスは泉が1人になった時か…。
しかし、昼休みも移動教室の合間も柊達が泉をガードしている。
結局渡せずじまいで帰りのHRの時間になってしまった。
「最近、連日でウチの学校の女生徒が他校の男子生徒からナンパの被害にあってるっていう報告があるからなー。気をつけて帰るようにー」
黒井先生が何か言っているみたいだがまったく耳に入らず、頭の中は泉とコッペパンでいっぱいだった。
廊下から泉達とはある程度の距離を保ちながらそのまま玄関に向かおうとしていたとき、黒井先生が話しかけてきた。
「なんや!渡すのこれからかいな!?」
「は、はい!」
「まぁええ。チャンスは1回っきりや!逆転ホームラン打ったれ!!」
「うっす!」
思いっきり背中を叩かれ、喝を入れられたオレは泉達を追いながら学校を出た。
「なんや!渡すのこれからかいな!?」
「は、はい!」
「まぁええ。チャンスは1回っきりや!逆転ホームラン打ったれ!!」
「うっす!」
思いっきり背中を叩かれ、喝を入れられたオレは泉達を追いながら学校を出た。
はぁ…オレまるでストーカーじゃねぇか…
罪悪感に苛まれながら、泉達の後をつけて行くとゲームセンターに入って行った。
遊んでいくの!?
あぁもうますます渡せなくなるじゃん…。
あぁもうますます渡せなくなるじゃん…。
外で泉達が出てくるのを待っていたが、なかなか出てこないので恐る恐る中に入ると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
柊かがみの声だ。
柊かがみの声だ。
「やめてください!」
「なんだよーお茶くらいいいじゃん」
「これどこの制服だっけ??」
「陵桜だよ陵桜」
「なんだよーお茶くらいいいじゃん」
「これどこの制服だっけ??」
「陵桜だよ陵桜」
どうやら泉達は他校の生徒数人にナンパされているようだった。
おいおいおい…
「ううぅ…こなちゃん怖いよぉ…」
「えらい人は言いました。これはストーリーの分岐に関わる重大イベントだと★」
「ちょっと、こなた!こんなときにふざけてるんじゃないわよ!」
「えらい人は言いました。これはストーリーの分岐に関わる重大イベントだと★」
「ちょっと、こなた!こんなときにふざけてるんじゃないわよ!」
泉達は男子生徒に囲まれているせいで身動きが出来ないでいた。
どうする?
警察を呼んでくるか??
警察を呼んでくるか??
いやそれじゃ間に合わないよな…。
くそ…
くそったれがああああああああああああああ
くそったれがああああああああああああああ
「うーんギャルゲーだったらここで主人公が助けに来るんだけどねぇ」
「おいお前ら!!」
男子生徒達が振り返る。
「オレの学校の女子に手を出すな!!」
「…え?」
「あ、あんた確か…こなたやつかさと同じクラスの…」
「ヘ…へタレ主人公が何故ここに…??」
「あ、あんた確か…こなたやつかさと同じクラスの…」
「ヘ…へタレ主人公が何故ここに…??」
泉達がポカーンとしながらオレを見つめている。
そこまでは記憶があったのだが、そこから先がまったく覚えていない。
次からの記憶は学校近くの公園からだった。
「…痛っ」
目を開けると身体中の至るところから痛みが生じる。
そっか…オレゲームセンターで……
ん?
ここって学校近くの公園だよな??
ここって学校近くの公園だよな??
あれ?泉達は??
「あ!起きたー!」
声のする方向に振り向くとそこには泉がいた。
「よかったー。もう目を開けないかと思ったよ」
「…あの、状況が見えないんですけど」
「君ねー。いくらなんでも無理しすぎ。もうホント大変だったんだから」
「…どういうこと??」
「勢いよく突進したのはいいけど、その後ボコボコにされたの。つかさが警察の人呼んできてくれたから助かったんだよー?」
「そうだったんだ…」
「ねぇ?なんであのゲーセンにいたの??」
「え!?いや…その…たまたま通りすがって…」
「ふふふ…素直じゃないなぁ」
「…うっさい」
「でも凄いドキドキしたよ。あんなギャルゲーみたいな展開リアルで初めてだし。何より君の気持ちが私にも伝わったしね」
「泉…」
「泣きそうな顔もまた萌えるね~」
「う、うっさい!」
体中が熱い。多分顔も火照っいるだろう。
マトモに泉と視線を合わすことが出来ない。
マトモに泉と視線を合わすことが出来ない。
その時、オレのお腹がグ~と鳴った。
「悪ぃ…お腹すいちゃって…。あ、そーいや…」
オレはカバンの中にコッペパンがあることを思い出した。
さっそくカバンから取り出すと、それを見た泉が
「私にもちょうだい」
と言い出した。
さっそくカバンから取り出すと、それを見た泉が
「私にもちょうだい」
と言い出した。
「いいでしょ?コッペパン大好きだし私もお腹すいてるからさ」
そう言ってコッペパンを半分ちぎると食べてしまった。
そう言ってコッペパンを半分ちぎると食べてしまった。
それを飲みこむと、
「ごちそうさま」
と呟きながら、
「知ってるんだよ私。このコッペパンの秘密。食べたら恋しちゃうんでしょ??ネットで有名だからね」
と、いたずらっぽく笑ってみせた。
「ごちそうさま」
と呟きながら、
「知ってるんだよ私。このコッペパンの秘密。食べたら恋しちゃうんでしょ??ネットで有名だからね」
と、いたずらっぽく笑ってみせた。
「なんだよ…知ってたのか…」
オレはガクッと肩を落とす。
「そのせいなのかな?」
「…え?」
「なんだか君のことがとても好き」
オレは泉の言葉が理解できない。
泉はオレに顔を近づけると頬に優しくキスをした。
終
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- チョットコッペパン買ってくる
-- 名無しさん (2010-03-08 23:22:58) - ↓第3者が勝手にコピペったんじゃないの? -- 名無しさん (2008-04-20 19:32:42)
- http://love6.2ch.net/test/read.cgi/entrance/1208464233/414
ここにわいてるキチガイが作者だと思うと泣けるな -- 名無しさん (2008-04-18 13:29:11) - コッペパンを要求する!!大人しくコッペパンを渡せ!さもなくば…… -- 名無しさん (2008-04-10 23:01:36)
- コッペパンか・・・買ってこよ。 -- 有拳 (2008-04-10 04:56:18)
- らららコッペパン♪
この作品好きだぜ! -- 名無しさん (2008-04-09 10:17:23) - もっと評価されるべき -- 名無しさん (2008-04-04 07:09:30)
- これ好きだわwww
俺もコッペパン食うか。 -- 名無しさん (2008-04-01 23:40:29)