ノックの音がした。
机に向かい、ライトノベルを読んでいたかがみが返事をする。
「誰? 入ってきていいわよ」
「あ、お姉ちゃんまだ起きてるね。お誕生日おめでとう。今日でようやく18歳だね」
本にしおりをはさみ、つかさのそばへ寄るかがみ。
「それはつかさも同じでしょう。こっちからも、お誕生日おめでとう」
「うん! はい、これプレゼント。本当はケーキを作りたかったんだけど、それだと
隠しておけなかったから……新作のクッキーだよ。」
少し照れくさそうに、いっぱいの笑顔とクッキーをかがみに渡す。
「ありがとう。へぇ、ヒイラギの葉っぱの形してるんだ。ちゃんと実の形までつけて、
芸が細かいわね……つかさらしい」
「えへへ、いつもよりも張り切ってみました。だって、“特別なおくりもの”だもん」
「それじゃあ、私からも……」
クローゼットを開け、しまってあった紙袋を取り出す。
「はい、新しいエプロン。これからも、おいしいお菓子をおねがいね」
「わかった。明日の……じゃないね、今日のおやつのときに早速使ってみるね!」
机に向かい、ライトノベルを読んでいたかがみが返事をする。
「誰? 入ってきていいわよ」
「あ、お姉ちゃんまだ起きてるね。お誕生日おめでとう。今日でようやく18歳だね」
本にしおりをはさみ、つかさのそばへ寄るかがみ。
「それはつかさも同じでしょう。こっちからも、お誕生日おめでとう」
「うん! はい、これプレゼント。本当はケーキを作りたかったんだけど、それだと
隠しておけなかったから……新作のクッキーだよ。」
少し照れくさそうに、いっぱいの笑顔とクッキーをかがみに渡す。
「ありがとう。へぇ、ヒイラギの葉っぱの形してるんだ。ちゃんと実の形までつけて、
芸が細かいわね……つかさらしい」
「えへへ、いつもよりも張り切ってみました。だって、“特別なおくりもの”だもん」
「それじゃあ、私からも……」
クローゼットを開け、しまってあった紙袋を取り出す。
「はい、新しいエプロン。これからも、おいしいお菓子をおねがいね」
「わかった。明日の……じゃないね、今日のおやつのときに早速使ってみるね!」
教室で談笑していたかがみ・つかさ・みゆきの三人の輪に、こなたが入る。
「ふー、間にあった……。あ、おはよ。みんな」
「おはよ、こなた。今日もギリギリだけど、またネトゲでもしてたの?」
「ううん、ちょっと仕込みをしてたら時間かかっちゃって……まあそんなことはどう
でもいいの。今日は大事な日だもん」
「え、あんたもちゃんと覚えていてくれたんだ……」
「ん? だって今日はハルヒが校庭にメッセージを書いた日じゃん。忘れられないよ」
こころなしか、こなたを除く全員が凍りついたように見えた。
「…………」
「それに天下の京アニで二期決定したし、新聞にだってのったそうだよ! いや~~
一時は驚愕が発売延期で二期もどうなるかと思ってたけど、これでやっと――」
「あ、あの……泉さん、ちょっと」
あわててみゆきがフォローしようとするも、
「何? ああ、もうすぐ予鈴なっちゃうね。かがみは自分の教室に戻らなきゃ」
こなたは見当ちがいなことを言ってしまう。
「……はいはい、そうですか。では用のない私はこれで失礼させていただきます」
かがみはうつろな目をして、早足で去っていった。
同時に、チャイムがなり、教室内がさわがしくなる。
ワンテンポ遅れて元に戻ったつかさが、こなたを問いただす。
「こなちゃん、本当に忘れちゃったの? 今日が、何の日か……」
「……誕生日。ちょっとかがみんには嘘ついちゃったけど、ちゃんと覚えてる。あと、
つかさに手伝ってほしいんだ。このプレゼントを、夜までかがみに内緒で――」
「ふー、間にあった……。あ、おはよ。みんな」
「おはよ、こなた。今日もギリギリだけど、またネトゲでもしてたの?」
「ううん、ちょっと仕込みをしてたら時間かかっちゃって……まあそんなことはどう
でもいいの。今日は大事な日だもん」
「え、あんたもちゃんと覚えていてくれたんだ……」
「ん? だって今日はハルヒが校庭にメッセージを書いた日じゃん。忘れられないよ」
こころなしか、こなたを除く全員が凍りついたように見えた。
「…………」
「それに天下の京アニで二期決定したし、新聞にだってのったそうだよ! いや~~
一時は驚愕が発売延期で二期もどうなるかと思ってたけど、これでやっと――」
「あ、あの……泉さん、ちょっと」
あわててみゆきがフォローしようとするも、
「何? ああ、もうすぐ予鈴なっちゃうね。かがみは自分の教室に戻らなきゃ」
こなたは見当ちがいなことを言ってしまう。
「……はいはい、そうですか。では用のない私はこれで失礼させていただきます」
かがみはうつろな目をして、早足で去っていった。
同時に、チャイムがなり、教室内がさわがしくなる。
ワンテンポ遅れて元に戻ったつかさが、こなたを問いただす。
「こなちゃん、本当に忘れちゃったの? 今日が、何の日か……」
「……誕生日。ちょっとかがみんには嘘ついちゃったけど、ちゃんと覚えてる。あと、
つかさに手伝ってほしいんだ。このプレゼントを、夜までかがみに内緒で――」
かがみは机に突っ伏していた。
あの後、こなたとは一度も会わなかったのだ。
家に帰ってからもうわのそらで、つかさのエプロン姿も見ずに部屋へ直行した。
『こなたなら、誕生日にどんなことをしてくれるだろう』
心のすみで、そんなふうに考えていた自分がいまいましい。
「はぁ……こなた、やっぱりあんたはリアルよりヴァーチャル優先ですか……」
わかりきっていたことだったかもしれない。でも、今日ぐらいは……。
――と、そのとき、携帯電話がメールの受信完了を知らせた。
差出人は…………こなただ!!
ヒンジが壊れんばかりの勢いで開き、内容を確認する。
『件名:HB 添付ファイルあり:BTTF.txt
本文:開けてみて』
「なにこれ、HB? 鉛筆……じゃないわよね。テキストは、っと」
本文通りにファイルをあけてみる。
あの後、こなたとは一度も会わなかったのだ。
家に帰ってからもうわのそらで、つかさのエプロン姿も見ずに部屋へ直行した。
『こなたなら、誕生日にどんなことをしてくれるだろう』
心のすみで、そんなふうに考えていた自分がいまいましい。
「はぁ……こなた、やっぱりあんたはリアルよりヴァーチャル優先ですか……」
わかりきっていたことだったかもしれない。でも、今日ぐらいは……。
――と、そのとき、携帯電話がメールの受信完了を知らせた。
差出人は…………こなただ!!
ヒンジが壊れんばかりの勢いで開き、内容を確認する。
『件名:HB 添付ファイルあり:BTTF.txt
本文:開けてみて』
「なにこれ、HB? 鉛筆……じゃないわよね。テキストは、っと」
本文通りにファイルをあけてみる。
やあマーティー……じゃなくてかがみん
私の計算通りなら 君は11時58分にこれを受け取るはずだ
心配していないと思うが私は元気だ
1989年に生まれて18年 ここで楽しく過ごしている
お父さんの影響により 私のヲタク属性に過度の負担がかかり
乱れた生活の働きで 私は電脳世界に飛ばされたのだ
この過度の負担により 私とお父さんも破壊され
二度と一般ピープルに戻ることは出来ないだろう――
私の計算通りなら 君は11時58分にこれを受け取るはずだ
心配していないと思うが私は元気だ
1989年に生まれて18年 ここで楽しく過ごしている
お父さんの影響により 私のヲタク属性に過度の負担がかかり
乱れた生活の働きで 私は電脳世界に飛ばされたのだ
この過度の負担により 私とお父さんも破壊され
二度と一般ピープルに戻ることは出来ないだろう――
「これはBack to the Futureの手紙? にしてもなんで……」
テキストの中身は改変された文章だった。
長いので、スクロールしながらななめ読みをする。
最後の段落にさしかかったところで、かがみは手をとめた。
テキストの中身は改変された文章だった。
長いので、スクロールしながらななめ読みをする。
最後の段落にさしかかったところで、かがみは手をとめた。
――ではかがみん とうとう君に言う時が来たようだ
君は常に誠実でやさしい友達で私の人生を大きく変えた 君との友情は小生の宝だ
数々の楽しい思い出をいつまでも大切にこの胸にしまっておこう
今日は嘘ついてごめんね
真実の友であり、“貴女の恋人” 泉こなたより 2007年7月7日
君は常に誠実でやさしい友達で私の人生を大きく変えた 君との友情は小生の宝だ
数々の楽しい思い出をいつまでも大切にこの胸にしまっておこう
今日は嘘ついてごめんね
真実の友であり、“貴女の恋人” 泉こなたより 2007年7月7日
「あの馬っ鹿……貴女の恋人だなんて、て、照れるじゃない」
そう呟くと、かがみは携帯電話を閉じて、つかさの部屋へ行った。
「……つかさー、入るわよ。今日はエプロン姿見れなくてごめんね」
「あ、お姉ちゃん。こなちゃんからの誕生日プレゼント預かってるよ。これを渡すに、
試しに一回は着てみてね。ってこなちゃんが言ってた」
「うん、わかった。明日は日曜日だし、これを持ってこなたの家まで行ってやるか!
つかさも、今日食べられなかったクッキー持って一緒に行こう」
「いいよー。こなちゃんに直接ありがとうも言えるし、仲直りもできるね」
「仲直りはするけど……ちょっと懲らしめてからね。これでも少し傷ついたんだから。
……そうね、おもいっきり甘えてイチャついてあげようかしら」
「お姉ちゃん、それ、懲らしめてることにならないと思うよ……」
そう呟くと、かがみは携帯電話を閉じて、つかさの部屋へ行った。
「……つかさー、入るわよ。今日はエプロン姿見れなくてごめんね」
「あ、お姉ちゃん。こなちゃんからの誕生日プレゼント預かってるよ。これを渡すに、
試しに一回は着てみてね。ってこなちゃんが言ってた」
「うん、わかった。明日は日曜日だし、これを持ってこなたの家まで行ってやるか!
つかさも、今日食べられなかったクッキー持って一緒に行こう」
「いいよー。こなちゃんに直接ありがとうも言えるし、仲直りもできるね」
「仲直りはするけど……ちょっと懲らしめてからね。これでも少し傷ついたんだから。
……そうね、おもいっきり甘えてイチャついてあげようかしら」
「お姉ちゃん、それ、懲らしめてることにならないと思うよ……」
こうして、18回目の誕生日は過ぎていった。 了
おまけ『BTTF.txt 完全版』
やあマーティー……じゃなくてかがみん
私の計算通りなら 君は11時58分にこれを受け取るはずだ
心配していないと思うが私は元気だ 1989年に生まれて18年 ここで楽しく過ごしている
お父さんの影響により 私のヲタク属性に過度の負担がかかり
乱れた生活の働きで 私は電脳世界に飛ばされたのだ この過度の負担により
私とお父さんも破壊され 二度と一般ピープルに戻ることは出来ないだろう
私の計算通りなら 君は11時58分にこれを受け取るはずだ
心配していないと思うが私は元気だ 1989年に生まれて18年 ここで楽しく過ごしている
お父さんの影響により 私のヲタク属性に過度の負担がかかり
乱れた生活の働きで 私は電脳世界に飛ばされたのだ この過度の負担により
私とお父さんも破壊され 二度と一般ピープルに戻ることは出来ないだろう
私は今 鍛治屋を開業している(ネトゲで) 来た当初レバ剣を直そうと始めた仕事だが
残念ながら交換すべきポイントが足りていなかったので 修理は不可能とわかった
しかし 剣や盾に関してはスペシャリストだ
残念ながら交換すべきポイントが足りていなかったので 修理は不可能とわかった
しかし 剣や盾に関してはスペシャリストだ
誕生日プレゼントは、学校でつかさに託した
君が読み終わってつかさを呼ぶまで かがみに触れられず現状のまま保存されることを期待している
箱の中にコスプレ衣装と使用法の指示書を入れておいた
18歳のかがみならば法には引っかからない 君はそれを着て有明へ行けるだろう
コスプレしたら 直ちに写メを送ってほしい
君が読み終わってつかさを呼ぶまで かがみに触れられず現状のまま保存されることを期待している
箱の中にコスプレ衣装と使用法の指示書を入れておいた
18歳のかがみならば法には引っかからない 君はそれを着て有明へ行けるだろう
コスプレしたら 直ちに写メを送ってほしい
最後に重ねて言うが私はかがみんの親友だ 澄んだ精神と広々とした心が小生大いに気にいっている
思うに不必要なツンデレいじりはアイデンティティが断絶する危険を招くだけだ
ただ気になるのはドジっ娘属性のつかさの事 どうか良く面倒を見てやってくれ
ミスは週2回 メイド服でお茶をひっくり返すのが好ましい
私の誕生日プレゼントと思ってすべてこの手紙の通りにして欲しい
思うに不必要なツンデレいじりはアイデンティティが断絶する危険を招くだけだ
ただ気になるのはドジっ娘属性のつかさの事 どうか良く面倒を見てやってくれ
ミスは週2回 メイド服でお茶をひっくり返すのが好ましい
私の誕生日プレゼントと思ってすべてこの手紙の通りにして欲しい
ではかがみん とうとう君に言う時が来たようだ
君は常に誠実でやさしい友達で私の人生を大きく変えた 君との友情は小生の宝だ
数々の楽しい思い出をいつまでも大切にこの胸にしまっておこう
今日は嘘ついてごめんね
君は常に誠実でやさしい友達で私の人生を大きく変えた 君との友情は小生の宝だ
数々の楽しい思い出をいつまでも大切にこの胸にしまっておこう
今日は嘘ついてごめんね
真実の友であり、“貴女の恋人” 泉こなた 2007年7月7日
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- 仕込みって、これだったのね。
このテキスト、テンプレとかあるのかな? -- 名無しさん (2011-04-13 02:51:47)