小論文講座 第2回
現在、臓器移植およびそれに関する医療技術は目覚しく発達している。その技術は生きている人から皮膚や肝臓の一部を提供してもらうといったものにとどまらず、心臓など生命に不可欠な臓器でさえ脳死状態の人からの提供を受けることによって移植することを可能としているのである。その結果、以前では救うことのできなかった多くの命を救えるようになったということは言うまでもないだろう。しかしその一方で脳死を人の死としてよいのか、まだ心臓の動いている人から臓器を摘出してもよいのかという倫理的な問題や、さらには臓器を目的とした人身売買へもつながりかねないといった問題が生じていることもまた現状である。
こういった状況の中で移植技術の適応に対してどのような規制のあり方が望ましいのだろうか。もし規制をしなければ人間の尊厳を軽視した悲劇が起こることは十分に考えられる。しかし臓器移植の全面禁止といったあまりにも厳しい規制がなされれば救えるはずの命を救えないという悲劇もまた起こるのである。
技術の適応に対して人類の自己規制は必要である。そして今そのあり方が問われている。大切なのは技術の適応における正の面と負の面を理解し自分の意見を持った上で、規制の議論・実行に関わっていくことなのではないだろうか。
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最終更新:2009年01月30日 20:54