小論文講座 第2回
(人類全体としての自己規制が必要な技術には、例えば原子爆弾などの科学兵器が含まれる。科学兵器などは、人間の安全を脅かすものとして、決して使用することの無いように求められている。しかし、)自己規制が必要な技術は、過去に作られたものばかりではない。効率の良いエネルギーの生産法、人間の生活を豊かにし、様々なことを楽に出来るようにする画期的な技術。そういったものを追い求めるあまり、もし悪用してしまえば大変なことになり得る物を人間が作り出してしまう可能性もある。
例えば、体の一部が無い障害者の補助をさせる等のために、人間の神経を流れる電気信号を読み取って機械を動かす研究が進められているが、もし悪用すれば、戦争などで、自分は傷つかずに遠隔操作であたかも自分が戦地にいるような感覚で兵器やロボットを操作できる技術になり得る。障害者を助けるはずの技術が戦争を助ける可能性があるのである。
現代の科学が新しい技術を作り出すことを目的としている以上、悪用され得る技術を生んでしまうのを防ぐことは出来ない。だからこそ、そのような危険な技術が生まれてしまったときの対応に関する倫理的問題が大切になってくる。科学技術を悪用しないという国際的な合意が必要となり、悪用可能な技術は極力民間の手に渡らないように、厳しい法律が作られることも求められてくるのである。私たち自身も、先代が人間の幸せのために残してくれたもので人間を不幸にしないことを意識し、人間の不幸のために科学を利用しないことが求められる。
(635字)
評価
読解力 3/4
具体性 3/4
主題設定 4/4
展開力 3/4
設問対応 4/4
計 17/20 評価: A
コメント
第1段落の導入が長いのでもっと削ってもよい。
1行目を削れば,600字におさまる。
第2段落
人のQOLを向上させるための技術が,戦争にも悪用されうるという論理展開は,具体例を伴っているので,説得力をもって読めました。
「人類の自己規制」の必要性のある技術でもあり,設問とも対応していると思います。
第3段落
「国際的な合意や,国の規制,法律を監視するのも,一市民の働きかけなのだ」といった観点が入ってくるとよりよくなったと思います。
最終更新:2009年02月01日 09:27