小論文講座 第2回
確かに、現代において科学技術は不可欠である。医療をはじめとして人類は大いに科学技術の恩恵を受けている。だがその一方で、原子爆弾による被爆など科学技術によって生み出された悲劇も数多く存在する。このため科学技術に対して何らかの規制を加える必要がある。
具体的に科学技術をどう規制するかは難しい問題である。厳しすぎる規制は人類の進歩を妨げるし、緩すぎる規制は何の意味も持たない。またすべての技術に対して一律に規制の度合いを決められるものでも無い。そのため、規制を考えるに当たって、なぜ科学技術による悲劇が起こったかを考えるべきである。
悲劇の起こる何よりの理由として当事者たちの認識が甘かったことがあげられる。広島への原子爆弾投下を例にとると、投下直前にアメリカの見積もった予想死者数は、実際の半数程度であったと言われている。被爆の後遺症で後々亡くなった人たちのことを考えれば、アメリカが原子爆弾という科学技術を完全に見誤っていたことがわかる。
このことから規制には科学技術に対しての正確な知識が必要である。核兵器の脅威の中何とか人類が存続しているのも、広島への原爆投下等を通して多くの人が核兵器の生み出し得る悲劇を理解しているからに他ならない。実際にそのような世論の後押しが 例えば日本の「非核三原則」などの核兵器に対するある種の規制を生み出している。
科学技術に対する適切な規制の度合いはそれぞれの技術によって違うであろうが、各々の技術に対して正確な知識を持つことは、どの技術を規制するにしても必要なことである。
(650字)
評価
読解力 2/4
具体性 3/4
主題設定 3/4
展開力 3/4
設問対応 3/4
計 14/20 評価: B
コメント
第1段落をカットしてしまって,第2段落に,もうすこし具体的な例を取り上げるほうがよかったのではないか。厳しすぎる規制が人類の進歩を妨げる具体例が,一例欲しかった。
第3段落は,科学技術の引き起こす危険性を過小評価していたことから,科学技術への正確な知識が必要という論理展開は,具体性がある程度あってよい。
広島の核爆弾の使用の場合には,「原子爆弾を使用してしまってから規制を生み出した」のであるが,「使用する前に,どのようにしたら規制できるか」という観点が書けたらさらによくなる。
最終更新:2009年02月01日 22:42