リライトE 評価:奥脇

小論文講座 第2回


医学系」  解答者:「E」

 現在、臓器移植およびそれに関する医療技術は目覚しく発達している。その技術は生きている人から皮膚や肝臓の一部を提供してもらうといったものにとどまらず、心臓など生命に不可欠な臓器でさえ脳死状態の人からの提供を受けることによって移植することを可能としているのである。その結果、以前では救うことのできなかった多くの命を救えるようになったということは言うまでもないだろう。しかしその一方で脳死を人の死としてよいのか、まだ心臓の動いている人から臓器を摘出してもよいのかという倫理的な問題や、さらには臓器を目的とした人身売買へもつながりかねないといった問題が生じていることもまた現状である。
 こういった状況の中で移植技術の適応に対してどのような規制のあり方が望ましいのだろうか。もし規制をしなければ人間の尊厳を軽視した悲劇が起こることは十分に考えられる。しかし臓器移植の全面禁止といったあまりにも厳しい規制がなされれば救えるはずの命を救えないという悲劇もまた起こるのである。
 技術の適応に対して人類の自己規制は必要である。そして今そのあり方が問われている。大切なのは技術の適応における正の面と負の面を理解し自分の意見を持った上で、規制の議論・実行に関わっていくことなのではないだろうか。

(534字)

評価

読解力  3/4
具体性  2/4
主題設定 4/4
展開力  4/4
設問対応 4/4
計  17/20 評価: B+

コメント

 良い意味で無難,と感じた。
 あげてある例の中では,「臓器目的の人身売買」の可能性が,「科学技術が自ら生み出した不安」としては,やや弱いが,具体的に人の命が脅かされる例なので,とりあげるにはよいかもしれない。
 「臓器目的の人身売買」をいかに規制しつつ,臓器移植をみとめるのか,具体的な規制のアイディアをだせると,具体性が出てくる気がする。


要旨
1.臓器売買、移植ツーリズム、移植臓器の商業化等の内容を明確して、人道的、社会的、国際的に問題があるものに対し世界的に反対すること。
2. 死体(脳死、心停止)ドナーを自国で増やし、自国での臓器移植を増やすよう呼びかけること。そのために国際的協力をすること。
3. 生体ドナーは、ドナー保護を最優先し、選定や移植に関わる総合的な保障等の制度を国家的に取り組むよう呼びかけること。
最終更新:2009年02月02日 22:44
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