かっとビング

彼の心に燃えるのは不滅のチャレンジスピリット・かっとビング!
かっとビング、それは勇気をもって一歩踏み出す事。
かっとビング、それはどんなピンチでも決して諦めない事。
かっとビング、それはあらゆる困難にチャレンジする事。
(公式動画より)


遊馬が度々言い放つセリフで、主に自分や他人を鼓舞するために使われる。
幼い頃に一馬から教わった。

語源は「かっとぶ」+「ing」か。
ゼアルのデュエルで毎度お馴染みとなっているダメージ後の無駄な吹っ飛びとは無関係だと思われるが、その無駄な吹っ飛びの多さへの皮肉として使われることもある。

また、ゼアル放送開始当初は、「ちんぽビンビング!」*1なる低俗かつおもしろくない下ネタも飛び交っていた。
彼らの実年齢が小学校低学年の範囲であったことを願うばかりである。

おっさんが提唱し中学生が使う言葉とは思えないが、こんな言葉でも遊馬の精神に多大な影響を与えているようで、の盤外戦術でこの言葉の存在*2を抹消された時の遊馬は、何もかもに脅えどうせ上手くいかないと逃げてばかりのヘタレと化した上に、一人称まで「僕」に変わっていた。
何故か過去の記憶までその遊馬に合わせたものに書き換わっており、幼馴染の小鳥まで遊馬のことを「遊馬君」と呼ぶ存在になっていたりしたが、気にしたら負けである。



ゼアルでは矛盾やダブスタでしかないセリフが多いのだが、例によってこのセリフにも多大な問題があり、登場頻度の多さも相俟ってツッコミ出したらキリがない。
以下にはその主な問題点を挙げる。



まず根本的な問題として、九十九遊馬という人物が綺麗事に依存する口先だけの人物でしかないという点が挙げられる。
というのも、遊馬はチャレンジこそするものの結果を得るための努力は一切しないため、ただこの言葉を使って「頑張っている自分」に陶酔しているようにしか見えないのである。

例えば、遊馬は「デュエルチャンピオンになる!」と度々言っている*3のだが、そのために努力しているシーンは一切なく、目指す対象である極東デュエルチャンピオンののことも全く知らなかったりする。
「鉄男に50連敗」という初心者とは言い難い記録を持ちながらデュエルの基本的なルールすら理解していないというのも、努力を全くしてこなかったことの証拠と言えるだろう。
カードを持つ手を酷く痛めるほどの猛特訓を毎日続けている某プロデュエリストは、この口先だけの男のことをどう思うのだろうか?*4

また、他人に対して説教することも度々あるのだが、その発言に中身が伴ったことは1度もなく、ただ自分が依存する綺麗事を他人に押し付けているだけであったりする。
悪役の説得にチャレンジする場合も相手の事情を理解しようとする努力は一切しないため、発言の是非以前に会話がかみ合っていないことも多々ある。
そして、Mr.ハートランド*5ドン・サウザンド*6を相手にした時に至っては、説得にチャレンジすらせずに倒してしまった。*7

当然このような一方的な物言いで相手の心が動く筈もないどころか、むしろ遊馬が白い目で見られるだけで終わりそうなものだが、何故かゼアルでは急に手の平を反す悪役ばかりが遊馬の前に並ぶため、登場人物が脚本という名の糸で吊られた人形にしか見えなくなってしまっている。
前述した書き換えられた記憶が正史であった方が、自分の理想を押し付ける口先だけの人間の末路としてリアリティがあるとすら言える有様である。



そしてこの押しつけがましい精神性は、当然「かっとビング」の使い方にも含まれている。

この言葉に重きを置くこと自体は個人の自由でしかないのだが、遊馬はこの言葉を他人に押し付けて自分と同じ姿勢を強要することが度々あり、そして何故か相手もこの言葉にあっさり感化されるという珍現象が起きている。
この時点で既におかしいが、更に異常なのが、造語でしかないこの言葉の意味を知らない筈の相手まで感化されるという点。
さっき会ったばかりの人間から急に「かっとビングだ!」とかいう造語を投げかけられても、反応に困るだけだと思うのだが。

ただ、視聴者の常識はゼアルの世界では通用しないようで、結果としてかっとビングの感染が収まることはなく、キャットビング、ドッグキング、カシコマビング、カイトビング、トドロキング、終わったビングといった様々な派生形が誕生している。
アストラル曰く、「世界中に広まる日もそう遠くない」とのことだが、なんか怖い。

幸いこちらの世界ではこんな言葉など全く広まっていないが、少なくともゼアルの世界では広まってしまったようで、1話のサブタイトルが「かっとビングだぜ、オレ!」なのに対し、最終話のサブタイトルは「絆よ永遠に…かっとビングだぜ、オレたち!!」となっている。
絆の描写も何もなく打ち切りにしか見えない最終回ではあったが、遊馬先生の洗脳物語は無事大団円を迎えていたようである。
遊馬先生に鉄男と小鳥しか友達がいなかったことはの暴露から判明しているため、オトモダチが増えてさぞ感無量なことだろう。

遊馬先生の次回作に御期待しないで下さい。



なお、これだけ押し付けまくっている言葉なのだが、何故か1話での遊馬は小鳥に対して「かっとビング」がなんたるかを説明している。
クラスメイトからも耳タコな言葉として知られており、そもそも幼馴染の小鳥が知らない筈もないため、不自然な発言という他ないが、これは視聴者への説明セリフを無理なく用意するだけの力量がなかっただけだと思われる。

そしてこういった「知っている筈の情報を知らない」描写や「知らない筈の情報を知っている」描写は、その後のゼアルでも度々見られる現象となっていくのである。



次に、この言葉が矛盾やダブスタを生じさせているという点。

「かっとビング」の意味は前述した通りなのだが、何故かこの言葉を信条としている遊馬自身がその意味に反した使い方をすることも多いのである。

例えば、デュエルで追い詰められた状態でこの言葉を使い自分を鼓舞するのであれば、意味通りの使い方ができていると言える。
しかし遊馬は、自分の勝利を確信してから「かっとビングだぁ!」と言うこともあり、これではまるで相手を威嚇する言葉であるかのようである。

そして遊馬先生がしつこく使うエースモンスターの《No.39 希望皇ホープ》が持つ相手モンスターと向き合うことから逃げる効果も、かっとビングの姿勢に反していると言える。
その点で露骨なのが《ダブル・アップ・チャンス》を用いたコンボであり、勇気を持って一歩踏み出したホープの攻撃を自ら無効にし、再度攻撃する際に「かっとビングだぁ!」とか言い出すので、わけが分からないことになっている。
これは「チャレンジ」ではなく「マッチポンプ」というやつではなかろうか?


これら以外にも疑問点は山ほどあるのだが、細かいところまで挙げだしたらキリがないため、ここでは省くことにする。
省くわけにもいかない致命的な問題に関してはこちらを参照されたし。


余談


ここまで読んできて気付いた読者もそれなりにいると思われるが、「かっとビング」を信条とする遊馬と「エンタメデュエル」を信条とする後続作ARC-Vの主人公である遊矢には、共通点が悪い意味で多い。
特に父親関連のことはわざと同じにしたのかと思うほどで、ゼアル信者が遊矢に向けた非難の多くは、物の見事に遊馬にも刺さってしまっているのである。
まぁ遊馬と遊矢に共通点が多いからこそ、彼らは遊矢を叩かずにはいられないわけなのだが。*8

そして同じ事は、遊戯王ZEXAL遊戯王ARC-Vという作品を比べた場合にも言える。
主人公の共通点の多さに加えて作品のテーマ自体が似通っていたことも相俟って、ARC-V開始当初は「ゼアルでの失敗を取り返そうとしている」という意見もあったらしい。*9
結果としてゼアルにあった問題は解消されず、ARC-Vも問題作となってしまったわけだが。(販促アニメとしては問題なしなだけ良かったと言うべきか)



なお、「共通しない点を無視して共通点だけを持ち出すのは詭弁だ」という箇条書きマジックを心の拠り所にできると思った方々に「共通しない点だけを持ち出して共通点を無視するのは詭弁にならないの?」と反論してもどっちもどっちにしかならないため、ここではその共通点は記さない。*10








コメント欄
  • 誰かが「かっとビングの意味は『努力をすることなく最良の結果を得ようとすること』」と言っていたな。だから誰にでも無責任に広める事ができると -- 名無しさん (2013-07-11 01:31:03)
  • 遊矢も -- 名無しさん (2019-09-09 20:37:15)
  • ニコ百だと信者の巣窟だったあ -- 名無しさん (2020-04-11 13:50:19)
  • かっとビングの宣言が発動条件のカードあるけどあれふざけ過ぎだろ -- 名無しさん (2022-07-29 12:01:43)
  • 新興宗教の布教活動みたいで気持ち悪かった -- 名無しさん (2022-08-18 14:18:26)
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最終更新:2022年08月18日 14:27
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*1 後に「ゴーシュとセックス」や「ウンチホープ」といった言葉も作られており、ゼアル関係の非公式ネタにはやたらと下ネタが多い

*2 と、存在意義に乏しいデュエルの天才

*3 この設定も後に形骸化したが

*4 ゼアルに客演した場合も洗脳されそうだが

*5 ベクターの言いなり

*6 元は被害者

*7 ハートランドが敗北後に炎上した時も遊馬は全く意に介さず、ハートランドが持つ偽のナンバーズのことを気にしていた

*8 投影や分裂

*9 遊戯王VRAINSも似たようなテーマである。いつになったら元の遊戯王に戻れるのやら

*10 まぁ本格的に記すとなると遊矢の記事も必要になっちゃうし