バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

とくべつになった少女

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kyogokurowa

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――高坂麗奈と鬼舞辻無惨の身に起きた現象は、複数の事柄が重なり合ったが故の偶然よ。いえ、この場合は、必然と言ってもいいかもしれないわね。きっかけは、第一回放送後のμのライブにあったわ。

病院へと歩を進める鬼の首魁。その姿を画面越しに眺めながら、神の座に座る女は語らう。
彼女は主催者側の進行役という特等席で、第一放送後の、各参加者の動向を観察していた。
悲しみに暮れるもの、自害を図るもの、焦燥に駆られるもの、顔色ひとつ変えないもの、次なる戦略を練り込むもの、放送そっちのけで殺し合いを行うもの――バトルロワイアルという鳥籠に閉じ込められた参加者達の反応は千差万別で、とても興味深いものではあったのだが、中でも鬼舞辻無惨と高坂麗奈の身に起きた現象は、特筆すべきものであったと言える。

――μが放送後に歌った『コスモダンサー』。楽士ウィキッドが手掛けたこの曲を聞いた参加者の大半が、ただの騒音として聞き流したと思うわ。だけど、少なからず、無意識しながらも影響を受けてしまった者がいるかもしれないわね。
μが創ったメビウスでは、μやメビウスに入れ込んだ者は「デジヘッド」と呼ばれる存在に変異するみたいよ。
そして、この会場は、メビウスと同様μが想像した空間。程度は違えど同じことが起きても不思議ではないわね。でないと、一部の参加者が扱えるカタルシスエフェクトやら楽士の力なんて代物は、発現できないものぉ。

血のように赤いワインが注がれたグラスを片手に、女は語る。
彼女の背後には複数の人影が佇んでいる。彼らもまた、このゲームの運営に携わる者たちであり、後に計画されている渋谷駅における歌姫の護衛を務める者たちであるが、女は彼らの反応を窺うようなことはしない。
ただ悠然と喜悦に満ちた笑みを浮かべて、目の前に広がる光景を見下ろし、言葉を紡いでいくだけだ。

――あの時、高坂麗奈は無意識のうちに、デジヘッド化していたのよ。ただし、侵食率は低め、御覧のとおり、異形化なんかはしていないわ。恐らく仲間を失った『死別』いうトラウマをきっかけに、無意識ながら『コスモダンサー』という人間のドス黒いものを吐き出した曲に感化されてしまったかもしれないわね。まあ、それだけなら他の参加者でも起こりえるし、侵食の度合いもそれほどのものではないから、大した影響もないわ。

でもね、と女は口角を吊り上げて、椅子をくるりと回転させ、背後を振り返る。
彼女の眼前に佇むは、黒のコートとスボンで身を包んだ透明骸骨、青髪の騎士風の青年、全身を土気色のラバースーツで覆われた男。彼らはただ女に視線を送っているだけ、女の語らう話には興味を示していない。それでも、女は語り続ける。

――そこから、高坂麗奈はデジヘッド化した状態で、自分の感情をまき散らしたのよ、トランペットの演奏という『音楽』の形でねぇ。どうやら、カタルシスエフェクトという力がそうであるように、デジヘッドの力でも、相手の精神に多少なりとも影響を与えるみたいね。そして、彼女はそれを実行した……『音楽』という、この会場では最も効率的な伝搬方法を利用して。それも、あろうことか、あの鬼舞辻無惨に対して。うふふふふ、とんだ感情表現よねえ。ある意味、あの瞬間、高坂麗奈は『歌姫』に代わる『奏者』になったとも言えるわねぇ。

ここで女は、グラスに入ったワインを一飲みする。それから、またぐるりと見渡し、己が言葉に耳を傾ける者たちの表情を確認してから、改めて口を開く。

――面白くなるのはここからよ。演奏を聴いてきた鬼舞辻無惨の身に何が起きたと思う?嘘のような話だけど、あろうことか鬼である彼も、彼女の演奏をきっかけにして、デジヘッド化してしまったのよ。
本来であれば、μの歌声がない音楽なんて、ただの雑音に過ぎないはずなのだけれども……もしかすると、本来の高坂麗奈の演奏というのは、μが唄う歌に成り代わるほどの、人の心を突き動かすポテンシャルがあったのかもしれないわね……。
ともあれ、彼は、デジヘッド化した高坂麗奈の奏でる『音楽』に、入れ込んでしまったのよ。不本意ながらも『怒り』という形でね。それも、デジヘッドはデジヘッドでも、高坂麗奈の時とは違って、危うく理性を失いそうになる程に……うふふふふふ、余程激しい怒りを覚えたことでしょうね。
滑稽でたまらないわ、彼は自分のことを「完璧に近い生物」と自負しているわりには、誰よりも人間臭いわよね。感情も規格外というか。観ていて飽きないわぁ、彼。

クスクスと、女は暫く笑い続け、やがて一呼吸を置いて、話を続けた。

――それで結局今あの二人が、今どうなっているかと言うと、相互に干渉し合っている状態
ね。デジヘッド化した鬼舞辻無惨による無自覚ながらの精神干渉が、高坂麗奈をデジヘッドのままに留めおいて。そのデジヘッド化した高坂麗奈による精神干渉もまた、鬼舞辻無惨をデジヘッドに留めているというところかしら。鬼舞辻無惨のあの回復は、デジヘッド化し発現した高坂麗奈の能力の賜物といったところかしらね。彼は、高坂麗奈に利用価値ありと見ているようだけど、そこはご明察ね。仮に二人が離れることがあれば、相互作用もなくなり、二人のデジヘッド化は解除され、回復の恩恵は受けられなくなるわぁ。

ここで女は、くるりと正面へと振り向き、モニターに映る鬼舞辻無惨を観察する。彼の抱えるデイパックには、気絶した高坂麗奈が収められている。

――さあて、彼らが向かう先は病院。既に六人の参加者が、それぞれの思惑を胸に争っている混沌化した戦場よ……ここに鬼舞辻無惨と高坂麗奈という劇薬が投入されるということになるわ。果たして、どんな化学反応が起きるのかしらね。楽しみだわぁ。

妖艶な笑みを含んだまま、運営の女はグラスに残ったワインを飲み干し、これから病院で起こるであろう展開に思いを馳せるのであった。




メビウスがそうであったように、この殺し合いの会場では、創造主たるμの力を確固たるものとするため、『音楽』が齎す影響は絶大なものとされている。
しかし、それはμの歌という『音楽』に限定されたものではない。創造主たるμ、もしくは、その裏に潜む何者かの計らいによるものかは定かではないが、兎にも角にも、仮にμの歌声に匹敵する『音楽』があり、それを発信する者が精神干渉の能力の類を備えていれば、その『音楽』も、また絶大な影響力を有するものになりうるだろう。

そして今回、高坂麗奈はその片鱗を見せることとなった。全参加者の中でも、最弱の部類の参加者でありながら、彼女は無自覚のまま覚醒し、μと同等の力を持つ『音楽』を奏でるに至ったのだ。その結果、高坂麗奈は、自身の意志とは無関係に、同行人の鬼舞辻無惨に多大な影響を及ぼすことになり、彼の関心を引くことになってしまった。つまり、高坂麗奈は鬼舞辻無惨にとって、単なる駒ではなくなったのである。

彼女の覚醒が、この殺し合いにおいて、どのような影響を与えることになるか、また彼女自身の運命がどのように転がっていくのは、現時点では定かではない。

だが、少なくとも、これだけは断言できる。

高坂麗奈という少女は、この殺し合いにおいて、特別な存在となってしまった、と。



【D-6/病院/一日目/朝】

【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[状態]:健康、月彦の姿、デジヘッド化(無自覚、浸食率低め)、麗奈の回復スキルにより回復力大幅向上
[服装]:ペイズリー柄の着物
[装備]:シスの番傘@うたわれるもの 二人の白皇(麗奈の支給品)
[道具]:不明支給品1~3
[思考]
基本:生き残る。手段は問わない
0:最優先で高坂麗奈を鬼化させ、能力を確かめる。病院の参加者は基本皆殺し。
1:累と合流し、首輪を調達若しくは爆発の実験体にする。
2:昼も行動するため且つ鬼殺隊牽制の意味も込めて人間の駒も手に入れる(なるべく弱い者がいい)。
3:逆らう者は殺す。なるべく目立たないように立ち回り、優勝しか手段が無くなっても構わないよう、殺せる者は密かに殺していく。
4:もっと日の光が当たらない場所を探したい。
5:鬼の配下も試しに作りたいが(麗奈を鬼化させる前に病院の参加者で試しておきたい)、呪いがかけられないことを考えるとあまり多様したくない。
6:『ディアボロ』の先程の態度が非常に不快。先程は踏みとどまったが、機を見て粛清する。よくも私に嘘をついたな。ただでは殺してやらない。
[備考]
※参戦時期は最終決戦にて肉の鎧を纏う前後です。撃ち込まれていた薬はほとんど抜かれています。
※『月彦』を名乗っています。
※本名は偽名として『富岡義勇』を名乗っています。
※ 『危険人物名簿』に記載されている参加者の顔と名前を覚えました。
※再生能力について制限をかけられていましたが、解除されました。現在の再生能力は麗奈の回復スキル『アフィクションエクスタシー』の影響で、太陽によるダメージを克服できるレベルのものとなっております。
※蓄積したストレスと、デジヘッド化した麗奈の演奏の影響をきっかけに、デジヘッド化しました。但し、見た目は変化しておらず、精神干渉を行うレベルに留まっております。現在は、同じくデジヘッド化した麗奈からの精神干渉の影響で、デジヘッドの状態を維持しておりますが、麗奈と離れればデジヘッド化の状態は、解除されます。
※デジヘッド化しましたが、無惨自身が麗奈のように何かしらの特殊スキルを発動できるかについては、次回以降の書き手様にお任せいたします。


【高坂麗奈@響け!ユーフォニアム】
[状態]:デジヘッド化(無自覚、浸食率低め)、気絶中、腹部貫通(回復中)、回復スキル『アフィクションエクスタシー』発動中(無自覚)
[服装]:制服
[装備]:
[道具]:高坂麗奈のトランペット@響け!ユーフォニアム、危険人物名簿@オリジナル
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
0:???
1:ヴァイオレットと再合流後、滝先生への手紙の続きを書いてもらう
2:部の皆との合流。
3:久美子が心配
[備考]
※参戦時期は全国出場決定後です。
※『コスモダンサー』による精神干渉とあすか達の死によるトラウマの影響で、デジヘッド化しました。但し、見た目は変化しておらず、精神干渉を行うレベルに留まっております。現在は、同じくデジヘッド化した無惨からの精神干渉の影響で、デジヘッドの状態を維持しておりますが、無惨と離れればデジヘッド化の状態は、解除されます。


■ 発現能力紹介: アフィクションエクスタシー@Caligula Overdose
デジヘッド化した麗奈が、無自覚に発動している能力。
自身を含む近距離にいるデジヘッド、もしくはカタルシスエフェクトを発現している参加者を回復させ、効果時間の長い自動回復状態を付与する。
あくまでも己の精神を具現化(デジヘッド化、カタルシスエフェクト発現)している参加者のみに効果があり、それ以外の参加者には、特に影響を与えることはない。

前話 次話
愛 want you! ~Scarlet Eyes~ 投下順 未来戦線異常アリ

前話 キャラクター 次話
わたしのとくべつ(後編) 高坂麗奈 病院混戦~劇薬投下~
わたしのとくべつ(後編) 鬼舞辻無惨 病院混戦~劇薬投下~
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