バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

明日之方舟(ArkNights)-苦難揺籃-

最終更新:

kyogokurowa

- view
メンバー限定 登録/ログイン




―――長く終わらない憤怒の中を、振り向かず、前を往く背中を追って

―――一つ、また一つ、小さな声が、炎の中に消えていく



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


あり得ない光景を、見た。
太陽のみを覆い尽くす、昏き闇の緞帳が、その輝きのみを捻じ曲げていた。
空間自体が夜になったわけではない。文字通り太陽のみが闇に閉ざされた。

漆黒の十字架が、中心から除く白光の輝き、見える。
この世のものではない駆動音が、空気が擦れる異常な振動が木霊する。
人智ならざる光景だ、これを、これをたった一人の魔王が為し得たのだから尚更。

太陽の輝きを捻じ曲げ、収束させている。
黒の最奥に垣間見る白が示すのは"死"だ。遍く全てを消し去り燃やし尽くす禍き白銀だ。


ドクン、ドクン、ドクン。鼓動が聞こえる。それは心臓の音ではない。
収束する輝きが、凝縮される力の放流が、鼓動となって響いているのだから。
黒の緞帳に、雨粒が降り注ぎ描かれる紋様の如く白が開く。
白の奥底に、"輝き"が見える。白穴の粒は増える、増殖する。

十字が咆哮し、鼓動が止む。
空間が震え、悲鳴を上げているようにも聞こえる。
魔王が業魔手を上げて、勢いよく振り下ろせば、それが合図。

天照より滴り落ちるは、万物悉く滅ぼす神の雨。
黒き門を潜りて墜ちるは、敵対者を溶かす絶望の流星。
曰く、それは太陽を落とす絶望の一手。
故、魔王が告ぐ。その大いなる所業の名は―――。






『――戴冠災器(カラミティレガリア)・日輪天墜(パラダイスロスト)』





―――銀の柱が、悲鳴にも似た反響を伴い、黒の大地に堕ちてくる。

□□□□□□□□

「……随分と様変わりしたみたいじゃねぇか、災禍の顕主!」

太陽の下、焼畑の大地に一際目立つ黒点一つ、魔王ベルセリアもとい、ベルベット・クラウ。
電子が螺旋を描く偽りの輪廻の一端にて、魔王に声を掛けたのは対魔士、シグレ・ランゲツ。
監獄で見かけた時よりも、さらに人間離れしたベルベットのその姿。
見た目以上にバケモノとしてたたっ斬りがいのある風貌と来た。

「……誰? 私を知っているようだけれど?」

等の魔王には、彼の顔には見覚えなど無い。
遥か過去より来た彼女にとって、シグレ・ランゲツがロクロウ・ランゲツの兄であるという基本的事実ですら理解し得ないのだから。

「いや、忘れちまうまで変わっちまったんだったら構わねぇさ。」

だが、そんな事など微塵も気にもしないのがシグレ・ランゲツという男。
ただ強さを求め、最強を求めて自由奔放に振る舞い強者に挑む。彼という剣士の固定概念(レゾンデートル)という奴だ。

「戦う前にゴタゴタ言うほうが無粋ってもんだろ。テメェもそうだよな、災禍の顕主?」
「そいつは同感。少なくとも今の私からあんた達に話すことはないし、どうぜ全員殺すんだから。」
「……正気なのかな、君は? この数の差なんだよ? 非戦闘員は除くとして4対1だ。君にどれだけ実力があっても、勝てると言い切るには少々厳しいんじゃないのかな?」

琵琶坂が意見する。そもそもこの魔王は単身でこの場所まで移動し、そして自分たちを殺すと言い出した、たった一人でだ。
絵空事、などとは言わない。琵琶坂永至とてたった一人であかり達を追い詰めた安倍晴明という男の例があるからだ。
だが、この数を一斉に相手取って全員殺して勝つなどと、それこそ無茶というべきだろう。

「……厳しい? ああ、最初はそう思ってたわよ、これでも。でもあんた達全員を見て確信した。……一人で十分ね、やっぱり。」

挑発を返すかのように、魔王は告げる。有象無象の鳥群を眺めるように、興味なさげに。
岩永琴子は協力を断った、間宮あかりの鷹捲は毒ではなかった。
……強いて言うなら、μの関係者がいるかどうかは聞き忘れたが、まあ殺す前にそれを訪ねるぐらいはしておこうと。先ずは眼前の敵を叩き潰し再起不能にしてから考えよう。

「ほぅ。好い目をしやがる。アルトリウスが見りゃどういう反応するんだかな。」
「……アルトリウス……誰、そいつ?」
「……あ?」

この時、初めてシグレの眉が動いた。ベルベットがアルトリウスに復讐しようとしているのは周知の事実だ。勿論それはシグレは知っている。
だが、このベルベットは、魔王はアルトリウスの存在を知らないような口ぶり。ここで初めて、異常に気づいた。
自分の名前を覚えていないだけなら、それ程復讐にのめり込んだ、と解釈すれば良い。
だが、復讐対象であるアルトリウスすら忘却しどうでもいいものとして扱っていると見受けられる今のベルベットは、シグレ・ランゲツという男からしても異常としか思えなかった。

「……くは、あっはっはっはっは!!! マジか、マジかてめぇ、強くなりすぎてテメェの復讐相手すら忘れちまったのかよ! マジかよオイ!」

呵々大笑。まさかそうなるまで強くなった、というのなら予想外だ。アルトリウスがどういう反応をするのか楽しみである一方で、明らかな冥府魔道へと堕ちた今のベルベットに対し、シグレは好奇心を隠さない。

「――じゃあもう俺がテメェを殺しちまってもいいってことだよな?」

だったら良い。元々シグレとしてはアルトリウスの計画を良くなど思ってはいない。
眼の前の上等な獲物を前に舌舐めずりなどやるわけがない。あんな大物を、あんな化け物を前に剣士としての好奇心が、闘争心が震え煮え滾る他無いだろう。
殺意と歓びが入り混じった、吹き上がる溶岩の如き笑みを、シグレ・ランゲツは浮かべているのだから。
興味なしとつまらない表情を浮かべる魔王以外は、ただ圧倒されていた。
間宮あかりは何かを言おうとしたのだろう、カタリナも何かしら声をかけようと思っていたのだろう、それはただ一瞬にして遮られた。

「……戦えるやつだけがその気があるなら出ろ、弱えやつは死ぬぞ。」

一言。シグレが味方側に告げたのはそれだけだ。
これは一騎打ちの類ではないのだから、別段他者の介入はシグレは気にしない。一応には退魔士だし弱者を守るのも、一応は義務だ。
この相手は、魔王は別格。下手に弱者が首を突っ込めば足を引っ張りかねない。だったらそもそも参加はするなこの場に来るな、と言いたいところではあるが。
魔王に認識された時点でそれは全て鏖殺対象。故に逃げるのは困難である、だからせめて余計な真似はするな、ということだ。

「カタリナさん、私達は出来るだけ下がっておきましょう。少しは助力したい、と言うところではありますが……」
「え、ちょっと? で、でも、あかりちゃん達は……。それに私だって土ボコがあるわけなんだし……。」
「流石に無理があると思われますカタリナ様。……あれは、明らかに。」
「……こりゃ、俺も完全に戦力外、か。」

素直に引き下がることに微妙に納得できないカタリナはともかく、メアリは正しくその驚異の意味を理解していた。岩永琴子は最初からそれを理解した。
リュージもまた、自分が今から始まる戦いでの、実力不足であることの実感をまざまざと理解させられたのだから。

「ですので、カタリナ様は今は見守ってください。」
「………メアリ?」

ただし、メアリ・ハントは違う。
魔王と対峙予定と成っているのがシグレ・ランゲツ、冨岡義勇、間宮あかり、琵琶坂永至だ。
前者二人は単純な消耗も少ないのもあるし、間宮あかりに関しては鷹捲を狙う夾竹桃とあの魔王が手を組んでいると知っているため、引き下がるわけにはいかなかったのだろう。琵琶坂永至に関しては凡そ前者二人と同じ理由ではある、最もこいつに関しては機を見てとんずらしよう、なんて内心考えていたり。
そんな中で、恐らくカタリナ達と同じカテゴリに、役不足と該当されるであろう彼女が、魔王の対峙者の一人として加わっていたのだから。

「………さっきのこの剣士の言葉、聞いてなかったの?」
「何出しゃばってんだメアリ、命の保証はねぇぞ」
「ええ。そうですわね。だからどうしたというのですの?」

現状場における最高実力者二人の威圧にも怖気すらしない。
メアリ・ハントには既に覚悟は決まっている。
あの魔王との戦いに、安全圏は存在しない。カタリナ様だって否応なく巻き込まれる。あくまでシグレが告げたのは余計な真似はするな、と言うことだから。

「……あなたがカタリナ様の敵、と言うだけで十分です。」
『……だったら、どうするのよ?』

その一言に、魔王の覇気が漏れる。それだけで、風圧が残骸を吹き飛ばす。
メアリ・ハントは、動じない。微動だにしない。

『――死にたいなら、今すぐにでも殺してあげるわよ?』
「……私とカタリナ様の未来を邪魔するというのなら。」

何かを掴み、天に手を振り上げる。
それは、白い仮面のようなもの。
紫色のオーラのような何かが迸り、魔力と混ざりながら撹拌し、メアリの内へと染み込んでいく。

「……あれって、ミカヅチさんが付けてたのと、同じ……?」
「メアリ!? それ確かミカヅチさんのと……?」

間宮あかりとカタリナは知っている。その仮面が何なのか、その仮面は一体どういうものであるのかを。
その仮面が齎すモノの、意味を。
メアリがその仮面を装着し、隙間より漏れる殺意を以て告げる。




『―――お前が死ね、魔王ベルセリア!!!』




瞬間、メアリを青色の光が包み込み、輝きが弾けるとともに、それは覚醒(めざ)めた。

■■■


メアリが所持していた仮面(アクルカ)。
その実態は、仮面の試作品であるプロトタイプと称される存在。
元来、アクルカはオンヴィタイカヤンの為に作成された仮面のデータを、ヤマトの帝が参考の上独自に改良して作り上げたものだ。そもそも、これは本来人類用のものであるのだから。
ミカヅチら仮面の者(アクルトゥルカ)はこの仮面を所持しその力を行使しているが、亜人である彼らはそのスペックの3割程度しか発揮していない。全力のスペックを発揮するには使用者は人間かつ男でなければならないのだ。まずそもそも過去の暴走事件もあって、プロトタイプから意図的に機能を落としたのが彼らの付けている仮面なのだ。
だが、今回装着したのはメアリ・ハントと言う『人間の女性』だ。
アクルカは人間が装着することで本来のスペックを発揮できるが、女性であるからこそ怪獣形態にはなることは出来ない。そもそも暴走する可能性だって高いのだ。
だが、彼女にはたった1つ誰よりも勝る要素がある、カタリナ・クラエスへの愛情だ。
例えそれがどれだけ歪んだものだとしても、その思いに一切の曇りなど無い。
この世界において、認識が、意思が、思いが力になる空間において。メアリ・ハントの愛は当にうってつけの要素だ。


――愛は、神の力すら御するもの。
――愛は、理すら捻じ曲げるもの。

この世界であれば、当然の摂理。
思いは世界を捻じ曲げる。

何故なら、既に愛に狂った彼女は、暴走しているようなもの。
理性ある狂戦士とは、つまりはこういうことなのだろう。

■■■






「………なるほど。」

メアリ・ハントの異常を、魔王は興味深く眺めている。
仮面を付けた、らしいが包み込んだ光が弾け飛んだ後は仮面の姿は影も形もない。
凡そ、『力を取り込んだ』と考えるのが道理ではあった。
その証拠に、メアリ・ハントの蜂蜜色だった瞳は、澄んだ蒼い色へと変化している。

「―――あんたも、覚醒(めざ)めたのね。」
「死ね。」

そう思考していれば、メアリの殺意の籠もった言葉を共に彼女が腕を振り上げる。
頭上を見上げれば、巨大な龍が浮かんで見えた。
透き通った、氷細工の如ききめ細かさで構築された、水の魔力だけで構築された、ドラゴンである。
ガラスが軋むような叫び声を鳴り響かせ、激水が魔王目掛けて墜ちてくる。

「――はぁぁぁぁっ!!」

メアリの叫びと共に、水竜は魔王を食らわんと大口を開ける。
眼前に脅威を映してなお、魔王の心情の水面は単純な凪のままである。

(理屈はわからないけど、あの仮面の力を愛とやらで無理やり制御してるのかしらね)

メアリ・ハントの所持していた仮面、理論理屈は戦闘後に調査するとして。
先ずあの水は面倒、という簡易結論には達している。

(―――まずは小手調べ)

僅か数コンマの思考。直後、真正面まで迫った瀑龍の魔力を、文字通り顔面を鷲掴み業魔腕で受け止める。
業魔腕が一瞬黒く輝いたと思えば、水龍の体はひび割れ、唯の水滴へと戻り爆散する。
水龍が爆散して数秒後。シグレ、冨岡の両名が挟むこむように突撃。

「裂空!」
「水の呼吸・壱ノ型――水面斬り」

水平の斬撃、叩きつけるような一撃が交互より迫る。
魔王は左腕でシグレの太刀を受け止め、右腕で冨岡の一撃を指で挟み込むように静止させる。
その隙を突いてあかりが銃弾を魔王の左肩に向けて発射する、目的は厄介であろう左腕の機能をできる限り落とすこと。
冨岡を投げ飛ばすように右手指を離し、そのまま銃弾を受け止め、銃弾を指で押し潰す。

「――災禍顕現(ディザスティ)・爆塵(イクスプロス)」

言葉を呟いたと同時に魔王を中心とした薄黒い球体状のオーラを展開。放出されたオーラから舞い散る黒い粉が次々漏れ出し、誘爆しはじめる。

「水の呼吸・参ノ型――流流舞い!」
「旋風!」

すかさず冨岡は爆風を弾き返すように参ノ型を展開、爆発を受け流しながらも距離を取る。
一方のシグレは回転しながらの切り上げによる鎌鼬で爆風を切り裂きそのまままた振り下ろすことで業魔腕と鍔迫り合う。

「ひゃっはぁぁぁぁっ!!!」
「……ふん。」

畳み掛けるように琵琶坂が爆風に紛れながらベルベットの首元を狙おうと鞭を振るう。
魔王が鼻で笑えば、鍔迫りあっていたシグレに対して黒い魔力球を超至近距離で生成し、爆発させる。
刀でガードしたとはいえシグレは大きく吹き飛ばされるも、すぐに体勢を立て直す。
その後の琵琶坂に対しては先程の魔力球を数発生成、今度は発射。

「ちぃっ!」
「私をお忘れでなくて!」

すぐに弾き飛ばすも肝心の魔王には距離を取られてしまう。
歯ぎしりする琵琶坂を他所に、いつの間にかメアリが先程爆散させられた水龍の部品――何万粒もの水滴を空中へ展開。

「これなら! ――行きなさい!」

号令と共に、大量の水滴よりウォータージェットを彷彿とさせる水のレーザーが発射。

「――災禍顕現(ディザスティ)・暴蝕(メルゼズゾア)」

それに対抗するかのように、同じく空中に巨大な黒い球体を生成。
球体を中心に黒い枝を伸ばし、急速に伸びた枝が次々と水滴の砲台を相殺していく。


「……付与(プラス)・爆塵星船(スターゲイザー)」

『付与』するように言葉を紡げば、黒い枝を放出点として更に小さな黒い球体がばら撒かれる。
ばら撒かれた球体が地面に接触した瞬間に爆発。連鎖的に爆発が加速し、エリア一帯を文字通りさらなる火の海にせんと拡散。

「きゃあああああ! 何なのコレ!? 無茶苦茶よ!!」
「言いたいことはわかりますが、最初から私達も巻き込むと宣言された以上、安全な場所に避難するしかありません。」
「安全な場所っつってもこの規模の攻撃してくるやつをどうやって凌げっつーんだ!?」
「あそこに建物があります、完全な安全地帯はもう不可能でしょうが、せめて攻撃を凌ぐぐらいには役に立つでしょう!!」

既に焼け野原を超えた何かに変貌、火炎地獄へと変わりつつある戦場を走り回るカタリナたち。
岩永の提案でせめて凌げる場所ということで、エリア近くに存在する複合温泉施設、宮比温泉物語へ向かう。しかし―――。

「―――あっ。」
「岩永ッ――!?」

爆発の余波の一つが、岩永琴子の義足を破壊したのだ。
突然のアクシデントに対応できず地面に倒れ込む岩永の体をリュージが受け止める。
だがその一瞬の時間が命取り、既に黒球の爆弾は周囲の地面に触れており……。

「伏せてぇ!!」

カタリナが叫び、二人を庇う形で立ち塞がるも、黒い球体は白色の閃光を放ち、三人は一瞬にして赤黄色の衝撃に飲み込まれる。

「カタリナ様ぁ!!! ……お前、よくもぉぉぉぉぉっっ!!!!!!」

その惨状を目の当たりにし、メアリは激昂。冷静さを失い再び魔力を用い先程の巨大な水龍を召喚。今度は一体ではなく三体も。
メアリの怒りの感情に共鳴するかのように咆哮を上げる三体の水龍。その口からは怒りと殺意の具現でもある眩い輝きが魔王に向けて放射された。




「カタリナさんッッ!! みんなっ!!」
「ぼさっとするな間宮あかりっ! まだ死んだとは決まってはいない!」
「っっ!」
「今は冷静になれ。一度でも意識を逸らせば潰されるぞ!」

一方、動揺するあかりを落ち着かせようと冨岡が叫びながら、陸ノ型ねじれ渦を用いながら爆風の隙間をうまい具合にくぐり抜けている。
爆発そのものは防げなくとも、爆風を回避のブースター代わりとして利用することが出来る、今の冨岡義勇が行っている状態がそれだ。

「……あかりさん、私達もカタリナさんも生きてます! なので今は目の前の事に集中してください!」
「わ、わかりましたっ!」

そして幸運にも岩永琴子の言葉があかりに届き、すぐさま冷静を取り戻す。今はその言葉を信じて戦場へと姿を翻すのであった。

「……ええ、生きてはいます、ね……。」
「……よ、よかった。みんな、無事で………。」

岩永琴子の言葉は嘘ではなかった。
岩永琴子は義足を破壊されたものの無事。リュージは元の装備のこともあり比較的軽症で済んだ。
ただ、二人が無事だったのはそれだけが理由ではないのだ。
その代償に、大怪我を負ったのはカタリナ・クラエスだ。背中は見るも無惨に焼け爛れている。むしろ、それだけで済んでいるのが奇跡と言ってもいいほどだ。

「おいカタリナ、まじで大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫。大丈夫だと、思う。だって、やっと建物の近くに、ううぅ……。」
「……おいっ!」

目的地に近づいた安堵か、カタリナが崩れ落ちる。
明らかな大火傷で体力が持っていかれたこともあり、一先ずは彼女を優先して建物の中に隠れさせる。

「……とりあえずこっちの中に入ってた上やくそうとやらを渡しておいた、火傷は酷かったが、逆を言えばそれだけだ、あれでなんとかなれば、良い・・・・・・あ?」
「………リュージさん?」

建物の中に隠れさせた直前、リュージが残っていた支給品である上やくそうの数束をカタリナに渡しておいた。火傷は酷いが本当にそれだけだったのもあって、応急的な手当にはなると思っていた。その直後であった。

「……まずいっ!」

リュージと琴子に、複数の黒い球体が高速で迫っていた。



シグレの剣戟が、冨岡義勇の流れるような剣技が、琵琶坂永至の炎鞭が、間宮あかりの正確無比な射撃が。
そして怒り狂うメアリ・ハントが召喚せし巨大水龍の群れによる破戒の光線が。
その全てを魔王はいなし、払い、捌き、振り払う。まるで有象無象の虫を煩わしく思うかのように。
魔王は苦にも思っていない、ただの有象無象、ただの湧き出す蛆の如き、余りにもどうでもいい存在である。魔王にとって、奮闘を続ける彼ら彼女らに対しての認識など、本当にその程度のもの。
多少興味を示した、新たなる覚醒者へ至ったメアリ・ハントですら、少し厄介程度としか思っていない。

「死ね! 死ね! 死ねぇぇぇっ! よくも、よくもカタリナ様をぉぉぉっ!!!」
「せっかくの覚醒(めざ)めたというのに、その程度では哀れでしか無いわね。それじゃあ私の命にまでその牙は届かない。」

洪水を彷彿とさせる轟たる水竜のうねり、それが地面に触れるだけで焦げた大地を炎もろともえぐり取る。
それでも仲間に対して直撃させず魔王のみを狙えているのは、少なからず彼女の冷静さは失われていない証左である。
蠢く龍の道程がそのまま敵の攻撃を阻害する遮蔽物としても機能しており、それが魔王の直接的な攻撃を防いでいる。
『暴蝕』と『爆塵星船』が機能しているとは言え、あの何度も湧き出る水竜を止めるには術者本人を叩くしか無い。

(……けれど、この人数差で術者だけを狙う、と言うのは些か面倒ね)
「よそ見してる場合かよ魔王サマよぉっ!!」

背後を突く形の琵琶坂の奇襲をも軽々と黒い障壁を貼ることで防御。障壁を破裂させて琵琶坂を大きく吹き飛ばそうとするも、それに対応してか爆風を利用しいい塩梅の距離に飛んで着地。

「逃がさないっ!!」
「割殺!」

入れ替わる形で水竜の一体が魔王に向けて大口を開き噛み砕こうと舞い降りる。少しタイミングがずれる形でシグレが背後から飛び上がり大太刀を叩けつけようとする。

『――小賢しい。』

周囲に黒いオーラを展開し二人の攻撃を拒み、吹き飛ばす。
吹き飛ばしたと判断したタイミングで水竜に向けて黒いエネルギー弾を射出。直撃した水竜は黒い塵と代わり消失するも、すぐに空気中の水分が水滴へと変化し集合、水竜は再び蘇る。
水竜復活のラグを隙間を縫い、シグレが態勢を立て直すよりも前にメアリへと急接近。

「水の呼吸・漆ノ型――雫波紋突き・曲!」

そのまま業魔腕で切り裂こうとしたタイミングで冨岡の突き下ろしが相殺。相殺時の衝撃で両者とも弾き飛ばされる。

『余計な真似を』

背後に後ずさる動作のまま、漆黒の魔槍を展開、超高速で射出。
義勇が態勢を整える前に仕留めるつもりで放った魔槍は、横から伸びた炎の鞭によって全弾切り裂かれる。

「……助かった。」
「そんな無愛想な表情で言われても嬉しくもないと思うけどね。そんな顔だから友達出来ないとかよく言われるんじゃない?」
「俺は嫌われていない」
「……そういうところだと俺は思うぞ」

助けに入った琵琶坂だが、お礼を言ってるにしては全くもってそう思えない冨岡の表情に思わず突っ込むも、返ってきた以外な返答にまたしてもツッコミ。

『アンタが嫌われてるかどうかはどうでもいい』

魔王が無表情で呟き、メアリに向けて業魔腕を砲口として発射準備。
水竜や炎鞭等の妨害は『暴蝕』及び『爆塵星船』の支援でカバー。
背後に近づいたシグレは翼を大きくはためかせ暴風を発生させることで妨害。

『まずは水竜の術者を仕留める、邪魔はさせない。災禍顕現(ディザスティ)・邪竜咆哮(ダインスレイフ)――』
「―――残念だけど、君は重要なことを忘れているよ。」
『……何?』

余裕に、淡々と呟く魔王の言葉を、ただ笑みを浮かべて否定する琵琶坂。
メアリがいる方向から、『暴蝕』の黒枝と『爆塵星船』の爆発を掻い潜り此方に向かう少女が一人。
少女――間宮あかりが閃光の如く魔王と交差し、その直後に砲口の先端がひび割れ砕けたのだ。

「……!」 

魔王はこの戦場にて初めて瞠目する。かつ、一瞬の光景をその観察眼は見逃しはしていなかった。
琵琶坂の発言で間宮あかりが此方に突進するのを確認した一瞬の隙を突いて、『邪竜咆哮』の砲口に向けて炎鞭を1~2発入れていた事に。

「窮鼠猫を噛むと言うだろう、いくら何でもここまで多人数を相手にしているのなら、見落としは避けられないわけだ。」
「……まさか、出し抜かれるなんて。」

忌々しく吐き捨てる。一番の小物と一番弱いと思っていた二人に一矢報いられた事実を受けれながらも。
それと先の間宮あかりの技。そういえば鷹捲は毒ではないと言っていたが、先の技がもしやそれであるのだろうか? 砕けた砲口の通常形態の業魔腕へと一旦戻し、改めて周囲を見渡す。

「……どうやら、烏合の衆だと軽く見ていたのは改めなければならないわね。」

だが、これで大体の事は把握できた。覚醒者は推定含め二人。他に危険視すべきはあの剣士。
冨岡義勇は脅威ではない、間宮あかりは先の技のことも含め油断はならない。
……そして、仕留めたと思ったはずの三名のうち二名は未だ生存していると来た。
未だ発展の余地のある異能のさらなる試しも兼ねていたが、少なくとも、遊んでいては足元を救われかねない。

「―――だから、『少し本気でやらしてもらうわね』」
「……ッ!!」


故に、魔王の児戯はこれにて御仕舞。
右手から黒い球体を複数生成―――野球ボールほどの大きさを数十個揃えた直後、拡散させる。
だが、動作が丸わかりな攻撃はたやすく避けられる。

「……なんだぁ、ただの目眩ましか?」
「そんな悪足掻きが今更俺たちに当たるものか。」
「ええ、そうね。でも、あの二人にはそうでは無いみたいよ……元からそういう狙いだし。」
「なん、だと?」

多少は余裕を見せる剣士二人だが、魔王がそう告げた途端片方の、冨岡の表情は一変。
振り向いた時には、目視できる部分にいた岩永とリュージに向けて加速している。

「……リュージさんっ! 岩永さんっ! カタリナさんっっっ!!!」
「……まずい、カタリナ様っ……!」

そして、最初から理解させるために放った一撃に、魔王の目論見通り反応したのは間宮あかりとメアリ。
あかりは超高速でリュージと岩永の元に移動し、メアリは建物をガードするかのように水竜を移動させて壁とすることで黒球を防ぐ。

「……あかり、岩永は義足ぶっ壊されて移動できねぇ!」
「わかりましたっ!」

黒球自体は単体ならばリュージでも避けられる、だがそれが複数かつ義足破損で移動困難な岩永がいるとなれば話は別。さらに建物内にいるカタリナにまで被害が及ぶとなれば話は別。
案の定、メアリはカタリナを守るために水竜を障壁代わりに使うしかなく、間宮あかりも二人を助けるために移動せざる得なかった。――予定通り、黒球は回避され、防がれた。

「――これで余裕ができた。」
「……っ!」
「させるわけには行かないなっ!!」

業魔腕の掌を地面に押し付ける。冨岡が剣を振るい、回避地点を予測した琵琶坂の炎鞭が魔王に迫るが、もう何もかも遅い。

「――災禍顕現(ディザスティ)・毒蛇暴食(ヨルムンガルド)」

地面が黒く光ったと思えば、掌が触れた部分を中心にひび割れが発生。魔王を空中へ押し出すように黒い蛇が出現。
黒く長い躯体が、赤い眼光を輝かせ、残る2体の水竜に食らいつく。喰らいつかれた水竜は悲鳴の咆哮を上げるも、同時に黒蛇に同じく食らいつき、そのまま対消滅する形で爆散する。
だが、すでに魔王は翼を羽ばたかせ天空へ。


『―――遊びは終わりだ』

エコーの掛かった魔王の声が、戦場に響き渡る。
手を振り上げた動作の後、皆は異常に気づく。

「……なんだ、こりゃ……。」
「太陽が、黒いなにかに、隠れてる……?」
「……いや、太陽の輝きを、捻じ曲げて……!?」

全ては手遅れ、全ては無意味。太陽の光は黒き緞帳に覆い隠された。

「……おいおい、マジかよ……。」

シグレですら、驚愕の表情を隠すことは出来ない。
眼前で起きている所業は、紛れもなく魔王がたった一人で引き起こしたことなのだから。
魔王以外の皆がただ唖然とするしかない、太陽の輝きが捻じ曲げられるという人智を超えた光景を。

鼓動が打ち鳴らされる、悲鳴の如き反響が響き渡る。
輝きを捻じ曲げ、黒き孔から降り注ぐ銀の凶器が垣間見える。
そして――――。








『――戴冠災器(カラミティレガリア)・日輪天墜(パラダイスロスト)』









魔王が告げるは、絶望への宣告。
銀の輝きを伴って、破滅の光柱が、戦場に降り注ぐ。
それは、まさに降り注ぐ神の裁きの如く。銀に煌めく流星群のようで。
齎すのは、魔王に歯向かう全ての敵対者の全滅。
――魔王に歯向かう一切よ、恩赦も慈悲も与えない、全て滅びて灰と化せ。




「……くううあああああああああああああああっっっ!!!!」

メアリ・ハントは自身と、カタリナ・クラエスのいる施設守るために水の防壁を最大展開。
だがそれでも銀の柱が直撃するために障壁にヒビが入り、灰色に染まり。

「きゃあああああああああああああっっっっ!!!!」

貫通した閃光が、メアリの防御すら無視し彼女を焼き尽くす。
それでもカタリナだけは護り通したいという意思が、施設への防壁を紙一重で保っていたのは、当に奇跡ではあった。



「メアリ、さんっ!!」
「人の心配なんてしてる場合なんかじゃねぇぞ、ここにいたら俺たち纏めてぜんめ――」
「どうやら、逃げる場所すらなさそうです。」

メアリの心配をするあかり、絶望的な状況に余裕なんぞすでに消失しているリュージを他所に、二人に運ばれる形の岩永は冷静にこの状況を理解して――

「あっ」

直撃こそしなかったものの、すぐそばの地面に降臨した光柱の衝撃に、三人はバラバラに吹き飛ばされた。



「がああああああああああああっっっっ!!!」
「ふざけんじゃねぇぞこんな化け物勝てるわけがねぇ!!」

すでに光柱の直撃を喰らい焼き尽くされる苦しみの叫びを上げる冨岡を他所に、琵琶坂は奇跡的にこの攻撃を掻い潜っていた。
光柱だけではない、黒い枝や爆発すらも辛うじて避けながら逃げ回っている。
勿論代償が無いわけではない。既に痣は浮き上がっており、それを用いて捌いて躱し、こうして走り回っているのだから。

「糞がっ、糞がっ、糞がぁぁぁぁぁっっっ!!!」

絶望の坩堝の中、何とか被害を逃れようとただただ琵琶坂は施設へと足を進める他なかった。

□□□□□□□□


数分後、銀の光柱の流星雨は止んだ。
黒い大地はまるで大災害に見舞われたかのように地面が大きく抉られ、人工物のような複雑怪奇なオブジェクトが大量に屹立しているという常軌を逸した光景が広がっていた。
人が倒れている、岩永琴子とリュージ。黒い煤が付いている程度、そして気を失っている。
元から敵としてすら認識しておらず、魔王は無視し、優先すべき対象を見つける。

「……ぁ……。」

冨岡義勇は体の大半を焼かれてなお、刀を手に立っていた。いや、立っていた『だけ』だ。
もはやまともに戦えるような状態ではない。いや、そもそもまともに意識があるのかどうかすらわからない状態で。

「――まず、一人目。」

冨岡義勇の首は意図もたやすく魔王の業魔腕に食いちぎられ、赤い噴水を吹き出す死体に早変わりした。
次に魔王が視線を向けたのは、辛うじて立ち上がっていたメアリ・ハント。

「……なんと、か、無、事。だった、の……。」

血が流れる右肩を抑え、顔からも血を流して、それでもなおカタリナを守ろうと奮起しようとしている。

「カタ、リナ、さ、ま…………ぁ……?」

見下ろすように、魔王がメアリの前に立っている。

「ま、ず……い……!」

力を込めて、掌から水の魔力弾を放つも、魔王の手によって弾き飛ばされてしまう。

「……あ、ぁ。」
「これで、二人目……ッ?!」

メアリに向けて業魔腕を振り下ろそうとした瞬間、魔王が突然頭を押さえる。


『邪魔、をする、な! わたしは、ベルベット、を、捨てた!」

苦しむように言葉を振り絞り息を吐き出す魔王。何故かは分からないがチャンスだと、メアリは足を引きずりながらも逃げる。逃げるしかなかった。
今のメアリの中には、逃げる事と、カタリナを守ることしか頭になかった。それ以外どうでも良かった。

「逃げないと、逃げてカタリナ様をまもら、ない、と……ガハッ!」

吐血。防壁ですら防ぎきれなかったダメージが、彼女の歩みを妨害する。
その背後で、未だ苦しむ魔王が、業魔腕を砲口へと変化させ、此方に向けている。

『おま え は、もう 要らない。消えて、しまえ、消えろシアリーズ!!!!!!!!!」

黒いエネルギーではない、炎のような赤い魔力球が膨張しながら展開される。
もはや、メアリにそれを避ける程の余裕は、残っていない。

「ダメェぇぇぇぇぇっっっ!!!」

メアリを庇ったのは、間宮あかり。
『梟座』の構えで、赤い魔力球を弾き返そうとして―――。

「あなたは、確か、カタリナ様の……ああっ!!!!」
「やああああああああああああああぁぁぁああああああああっっっ!!!!」

メアリが話しかけた頃には、その技すら無意味と言わんばかりに魔力球があかりに直撃し、その体を施設へと叩きつけるかのようにあかりの体を吹き飛ばしていたのだから。

「………あかりさんっ!!」

思わず、メアリは叫んだ。あの技がなんなのかはわからない、だがそれでも間違いなく致命傷だと。

「……今度こそ、改めて二人目、かしら?」

今度こそ、メアリの命を喰らわんと、苦しみの晴れた魔王が再びメアリを見下ろしていた。

□□□□□□□□


「……え?」

宮比温泉物語、その大広間の中。
上やくそうの効能で、何とか痛みを抑えたカタリナ・クラエスはそれを目撃してしまった。
隠れた後、リュージたちが未だ来ない。外で轟音が鳴り響いた、まるで天変地異の如き何かが外で起きているというのに、カタリナは何も出来なかった。
怪我をしたから、等という状態が言い訳になる、なんてカタリナ自身は思わなかった。
今でも自分にできることを何でもいいからしたかった。

音が鳴り止んだ。今までの厄災の如き鳴動が嘘のように。少しの静寂の後、動けるようになったカタリナは立ち上がり、外へ出ようとして。
大きな音が壁を突き破って、何かが何かを拉げさせ押し潰すような小さな音と、何かが叩き付けられる大きな音と舞い散る粉塵に巻き込まれて。



晴れた砂煙の向こう、カタリナ・クラエスは目撃してしまった。


脇腹を大きく焼き抉られ。

誰かの死体を押しつぶし。

その臓物の血と千切れた金の細かい毛髪を浴びるように仰向けに倒れ。

その瞳から輝きが失われた、―――間宮あかりの姿を。


「あかり、ちゃん?」


呟いて、近づいて、体を揺らして。流れて止まらない血を目の当たりにして。



「いや……いやああああああああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!!」


ただ、カタリナの悲鳴が、施設の中に響き渡った。

□□□□□□□□

「……なに!?」

魔王が、異常に気づいた。
『暴蝕』と『爆塵星船』を機能させる巨大黒球が、真っ二つに切断された音を聞いた。

「……えっ?」

メアリ・ハントも、それに気づき、切り裂かれた黒球の方に立っている男の姿を見た。
小さな火傷の痕は残れど、それでも大胆不敵に笑い、豪快に剣を持ち上げ、魔王へ鋒を向ける大男の姿を。


「……やるじゃねぇか! てめぇは俺の人生の中で一番の大獲物だぜ、魔王ベルセリア!!!」
「―――!!」

特等退魔士、シグレ・ランゲツ。この程度の厄災で倒れるはずがない。
ただ眼前の魔王をたたっ切らんが為に、この大地に、此処に在り。

前話 次話
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- 投下順 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-

前話 キャラクター 次話
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- カタリナ・クラエス 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- 間宮あかり 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- 富岡義勇 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- リュージ 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- 岩永琴子 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- 琵琶坂永至 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- メアリ・ハント 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- シグレ・ランゲツ 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- ベルベット・クラウ 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- 流竜馬 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
明日之方舟(ArkNights)-黎明前奏- ディアボロ 明日の方舟たち(ArkNights)-局部壊死-
ウィキ募集バナー