「……は、え、いやいやいや!? 殺し合いをなかった事にする!? どゆこと!? どゆことでフ?!」
ビエンフーは大混乱だった。黄前久美子の言葉の意味をちゃんと分かった上で。
殺し合いに反抗するだとか、殺し合いに乗るだとかならまだ兎も角。主催を利用して殺し合いを無かったことにするという。
一体何を考えているんだ、と叫びたくなったが。
殺し合いに反抗するだとか、殺し合いに乗るだとかならまだ兎も角。主催を利用して殺し合いを無かったことにするという。
一体何を考えているんだ、と叫びたくなったが。
「黙って。」
絶対零度の如き麗奈の声に。鬼神を思わせるその重さに怖気づき、沈黙。
そんな哀れなマスコット聖隷の事などガンスルーと言わんばかりに久美子が話を続ける。
そんな哀れなマスコット聖隷の事などガンスルーと言わんばかりに久美子が話を続ける。
「ずっと気になってたことがあるの、μの歌で。」
それは、第一回放送以降から放送毎に流れるようになったμの生歌。
『コスモダンサー』『Distorted†Happiness』『おんぼろ』。
どれもこれも、黄前久美子の耳からしても上手とも言うべき歌声で。
その上で、感じた違和感があった。
『コスモダンサー』『Distorted†Happiness』『おんぼろ』。
どれもこれも、黄前久美子の耳からしても上手とも言うべき歌声で。
その上で、感じた違和感があった。
「いつも流れる歌、あの娘のようで、あの娘じゃないって。」
黄前久美子は6年もの楽器経験年数を持つ楽器経験者。プロほどではないが相応に音楽に対しての耳も肥えている。その為か、μの歌を上手だと思いながらも、僅かな違和感が、彼女の脳内にへばり付いていたのだ。
「なんて言えば良いのかな……本領が発揮できていない? 棒読み? いや上手なんだけど、基礎が微妙に抜けていると言うか、管楽器慣れしてない人が他の人と一緒に演奏して隠しているような……。」
「誰かが、操作している?」
「麗奈、多分それ!」
「誰かが、操作している?」
「麗奈、多分それ!」
麗奈の相槌に、思わずサムズアップ。
そう、操作されているのだ。楽器のように、チューニングされた歌をμが上手に発声しているという。
だが、操作者がそこまで音楽に長けているわけでないので、μ本来の歌声が上手でも、それを完璧に生かしきれていない。
そう、操作されているのだ。楽器のように、チューニングされた歌をμが上手に発声しているという。
だが、操作者がそこまで音楽に長けているわけでないので、μ本来の歌声が上手でも、それを完璧に生かしきれていない。
「……言われてみれば。」
高坂麗奈もまた、μの歌を振り返って「そういえば……」と思い返していた。
上手だけれど、上手には程遠い。元の歌声が綺麗すぎて、違和感に気づかない。
こればっかりは、管楽器に長年触れて、音程の細かい幅を極め続けた者にしか気づかない、僅かな違和感。
上手だけれど、上手には程遠い。元の歌声が綺麗すぎて、違和感に気づかない。
こればっかりは、管楽器に長年触れて、音程の細かい幅を極め続けた者にしか気づかない、僅かな違和感。
「……私の勝手な憶測なんだけれど。μは、楽器なんだよ。楽器で……願望器。」
ヒト型の楽器にして願望器。黄前久美子はμの曲を聞いて、その僅かな違和感からそう考察した。
誰かに操られる楽器であるなら、楽器を扱うという点に長けた自分と麗奈ならば。
参加者の殆どが、第一回放送以降に流れたμの音楽を殆ど気にしていなかった。
直接の関係があるアリアですら、μの歌だということで優先順位は低かった。
今一度冷静になる機会がようやっと訪れて、現存でメビウス関係者以外でかつ、音楽に一日之長がある二人だからこそ。
誰かに操られる楽器であるなら、楽器を扱うという点に長けた自分と麗奈ならば。
参加者の殆どが、第一回放送以降に流れたμの音楽を殆ど気にしていなかった。
直接の関係があるアリアですら、μの歌だということで優先順位は低かった。
今一度冷静になる機会がようやっと訪れて、現存でメビウス関係者以外でかつ、音楽に一日之長がある二人だからこそ。
「……だったら。……だから、あの時。」
そして、高坂麗奈が思い返したのは第一回放送直後。
衝動の発散の為、月彦に音楽を披露した後の事。正しく認識するならば、『覚醒者006』となった時。
報告書を思い返せば、デジヘッド化した自分の音楽によって月彦は太陽の光への耐性を得た。
もしかすれば、μの力に酷似した内容のものが、既に宿っているとしたならば。
願望器であるμが、自らの鬱屈した感情に反応して、望んでもない願いを叶えたというのなら。
その結果、手に入れたのは。音楽という共通の果てに得たのが、歌姫と似て非なる、音楽を奏でし『奏者』としての力ならば。
いや、そもそも。この場所において、『音楽』という概念が、大きく作用するのならば。
衝動の発散の為、月彦に音楽を披露した後の事。正しく認識するならば、『覚醒者006』となった時。
報告書を思い返せば、デジヘッド化した自分の音楽によって月彦は太陽の光への耐性を得た。
もしかすれば、μの力に酷似した内容のものが、既に宿っているとしたならば。
願望器であるμが、自らの鬱屈した感情に反応して、望んでもない願いを叶えたというのなら。
その結果、手に入れたのは。音楽という共通の果てに得たのが、歌姫と似て非なる、音楽を奏でし『奏者』としての力ならば。
いや、そもそも。この場所において、『音楽』という概念が、大きく作用するのならば。
「……久美子。もしかしたら私は。」
μの力でデジヘッドになった麗奈。その音楽を受けて同じくデジヘッドとなってしまった月彦。
その力の大元がμと同じくするものであり、鬼の力と霊力、そしてビルダーと言う精霊ルビスの力との融合によって、μの力を断片を更に改良(ビルド)したかのような『夜』の力は。
その力の大元がμと同じくするものであり、鬼の力と霊力、そしてビルダーと言う精霊ルビスの力との融合によって、μの力を断片を更に改良(ビルド)したかのような『夜』の力は。
「μを何とかしたら、久美子の言う『無かったことにする』事が、出来るかも知れない。」
前提としては、砂漠の中から黄金を探すが如き難行苦行であるが。
今の高坂麗奈には、それが可能かもしれないという。
恐らく、辿り着く過程はμに、歌姫に対しての真っ向からの音楽対決。
全国大会なんて目じゃないレベルの大勝負を仕掛けるのと同義。
今の高坂麗奈には、それが可能かもしれないという。
恐らく、辿り着く過程はμに、歌姫に対しての真っ向からの音楽対決。
全国大会なんて目じゃないレベルの大勝負を仕掛けるのと同義。
「――うん。μに何でもいいから勝って、無力化して、μの力を使って、この殺し合いで起きたこと全てを『最初から無かった』ことにするの。……そうすれば、あすか先輩やみんなも戻ってくる。」
「いやいやいや、無茶苦茶過ぎるでフ!?」
「いやいやいや、無茶苦茶過ぎるでフ!?」
案の定、久美子の言葉にビエンフーが抗議の声。
幾ら何でも滅茶苦茶というか、μに対して(想定では)歌対決仕掛けて勝利してμの力+αで殺し合いでの出来事全部無かったことにするとかマジでなどういうことなの?である。
幾ら何でも滅茶苦茶というか、μに対して(想定では)歌対決仕掛けて勝利してμの力+αで殺し合いでの出来事全部無かったことにするとかマジでなどういうことなの?である。
「………それに、麗奈も人間に戻れる。」
少なくとも、ビエンフーの心配と動揺を他所に、付け足すように加えた呟きが。
久美子にとって藁にも縋るような思いでかつ、友達を何とか出来ないかという正真正銘の善意によるもの。
その為の壁が、μやテミス率いる主催陣が仮想敵となる。
久美子にとって藁にも縋るような思いでかつ、友達を何とか出来ないかという正真正銘の善意によるもの。
その為の壁が、μやテミス率いる主催陣が仮想敵となる。
「(ヤバイヤバイヤバイヤバいでフ、これあの娘マジでやるつもりでフ!!!!)」
一方のビエンフー。久美子の言葉がマジでやらかす類の覚悟だと察してマジ焦り。
ビエンフー個人の意見として、「そんなものが他の参加者にとって罷り通るものなのか?」という事だ。
殺し合いに乗ってる奴らはそんな事関係あるかだし、ビエンフーの接触した他対主催にそんな都合のいいリセット的大団円を許容するようなメンツはまず居ないだろう。
一瞬何か反対意見とか出してくれるかなと僅かな期待を賭けて、麗奈の方を見てみるが。
当の麗奈は、そんな久美子の言葉に、呆れと喜びが入り混じった笑顔を見せて。
ビエンフー個人の意見として、「そんなものが他の参加者にとって罷り通るものなのか?」という事だ。
殺し合いに乗ってる奴らはそんな事関係あるかだし、ビエンフーの接触した他対主催にそんな都合のいいリセット的大団円を許容するようなメンツはまず居ないだろう。
一瞬何か反対意見とか出してくれるかなと僅かな期待を賭けて、麗奈の方を見てみるが。
当の麗奈は、そんな久美子の言葉に、呆れと喜びが入り混じった笑顔を見せて。
「……私がいなかったら、どうしてたの。ほんっと。」
「そんな事言われたって、麗奈とあんな事になってから思いついたから……。」
(あっこれ乗り気でフ。)
「そんな事言われたって、麗奈とあんな事になってから思いついたから……。」
(あっこれ乗り気でフ。)
期待していた自分がバカだったとビエンフーは絶望した。
やる気だこれ、本人たちガチでやる気だこれ。と言うかこれ色んな意味でこっちにとっても他人事じゃないのでは?などとは思った。
現状自分の契約主である垣根がそれを認めるのか? いやどう考えても否に決まっている。
連鎖的にブチャラティとかライフィセットも恐らく否を唱えるだろう。
やる気だこれ、本人たちガチでやる気だこれ。と言うかこれ色んな意味でこっちにとっても他人事じゃないのでは?などとは思った。
現状自分の契約主である垣根がそれを認めるのか? いやどう考えても否に決まっている。
連鎖的にブチャラティとかライフィセットも恐らく否を唱えるだろう。
「……私以外の全てを敵に回すことになるかも知れないのに。久美子、それでもするの?」
麗奈が久美子に問い掛ける。ビエンフーの焦りの通り、やろうとしていることは事実上主催どころか他の参加者ほぼ全てを敵に回しかねない無謀。
未だ何の力も持たざる身である黄前久美子の望みは。無茶のまた無茶であり。
未だ何の力も持たざる身である黄前久美子の望みは。無茶のまた無茶であり。
「するよ。一人じゃ心細いけど、麗奈がいるから。麗奈だけ悪者なんて似合わないから。」
たった一人の友達以外を敵に回しても、そんな大言壮語の幻想を望むそんな理由。
死んでしまった先輩のためと、鬼になってしまった友人のためと。
死んでしまった先輩のためと、鬼になってしまった友人のためと。
「それにやっぱり。……全て終わっても、戻ってこないものは戻ってこないなんて。絶対に御免。」
そこに込められた言葉は、悲哀か、願望か、それとも憎悪だったのか。
満面の笑顔で言い返したその言葉は、麗奈やビエンフーが思っているものよりも遥かに深い何か。
結局、勝手に理不尽に巻き込まれた事をなかった事にしたいだけの我儘だったのか。
満面の笑顔で言い返したその言葉は、麗奈やビエンフーが思っているものよりも遥かに深い何か。
結局、勝手に理不尽に巻き込まれた事をなかった事にしたいだけの我儘だったのか。
「……じゃあ、付き合ってあげる。何処までも、ずっと。」
なので、これ以上口を挟むのは野暮だとして、麗奈の覚悟は決まった。
例え全てが偽りだったとしても、今更そんな真実で久美子は止まらないだろう。
むしろ逆に「じゃあ偽物を本物にしてしまえば」的なニュアンスの事を言いそうだから。
例え全てが偽りだったとしても、今更そんな真実で久美子は止まらないだろう。
むしろ逆に「じゃあ偽物を本物にしてしまえば」的なニュアンスの事を言いそうだから。
「私の友達(とくべつ)を、誰にも穢させはしないから。」
だから、全て取り戻そう。残酷な現実を綺麗さっぱり消し去って。
全てを夏の夜の夢だと吐き捨ててしまおう。悪い夢を終わらせてしまおう。
この悪夢のような世界に終止符を。そして御都合主義なハッピーエンドを目指そう。
全てを夏の夜の夢だと吐き捨ててしまおう。悪い夢を終わらせてしまおう。
この悪夢のような世界に終止符を。そして御都合主義なハッピーエンドを目指そう。
「……賛同してくれて嬉しい所悪いんだけれどさ麗奈。……またイメチェンした?」
「えっ?」
「あっ、ホントでフ。銀髪になってるし、右眼が赤くなってるでフ。」
「えっ?」
「あっ、ホントでフ。銀髪になってるし、右眼が赤くなってるでフ。」
なんて神妙な雰囲気を一気に崩壊させるような久美子の呆けた声。
ビエンフーが言うには髪の色は赤から銀になって、右眼は完全に赤く染まっていると来た。
しかも、無くなったはずの左腕が、何故か復元していたのだから。
復元した左腕と変化した銀色の髪をまじまじと見つめて、麗奈はこう呟いた。
ビエンフーが言うには髪の色は赤から銀になって、右眼は完全に赤く染まっていると来た。
しかも、無くなったはずの左腕が、何故か復元していたのだから。
復元した左腕と変化した銀色の髪をまじまじと見つめて、麗奈はこう呟いた。
「……ええと、多分。多分、だと思うけれど……久美子の血、吸ったから?」
「ええっ?」
「多分、ドーピング的な、そんな感じだと思う。……ほら。」
「ええっ?」
「多分、ドーピング的な、そんな感じだと思う。……ほら。」
つまる所、久美子の血を吸ったことで一時的に変わった、というか左腕まで回復するとは思わなかった。
と言いたい所だが、その直後に髪の色も赤に戻り、左腕も煙のように消えてさっきまでの欠損状態のままに。
と言いたい所だが、その直後に髪の色も赤に戻り、左腕も煙のように消えてさっきまでの欠損状態のままに。
「時間制限あるみたいだから、元に戻っちゃった。」
「……ほ、ほんとだ。な、何だか恥ずかしくなってきたんだけど。友達の力借りてパワーアップ?とかそういうの、本当にあるんだって。」
「……ほ、ほんとだ。な、何だか恥ずかしくなってきたんだけど。友達の力借りてパワーアップ?とかそういうの、本当にあるんだって。」
そんな、少年漫画的な感じでのパワーアップ現象。しかも自分の血を飲んでという事実が妙に気恥ずかしくなり、久美子は思わず顔を手で覆ってしまう。
麗奈の方はそんな久美子の赤らめ顔にほんの少しご満悦のようで。
麗奈の方はそんな久美子の赤らめ顔にほんの少しご満悦のようで。
「そ、そんな事なら私の血ぐらいいっぱいあげる! ほら、今からでも噛み付いていいよ!!」
「いやいや、そんな事したら久美子まだ一般人なんだし、あの時はちょっと吸っただけだし本当は負担大きいから好き好んでは吸えないから!」
(一体ボクは何を見せられてるんでフか。ていうかこの間に逃げれば良いのでは?)
「いやいや、そんな事したら久美子まだ一般人なんだし、あの時はちょっと吸っただけだし本当は負担大きいから好き好んでは吸えないから!」
(一体ボクは何を見せられてるんでフか。ていうかこの間に逃げれば良いのでは?)
それを発端に始まった夫婦漫才を死んだ眼で見つめながら、この間に脱出できないかななんて思い始めたビエンフー。
実際なんか巻き込まれて気を失って眼が覚めたら何か逃げるなされて。というか何かそういうの多いとか思いながら、そろ~り、そろ~りと一歩一歩その場から離れようとする。
実際なんか巻き込まれて気を失って眼が覚めたら何か逃げるなされて。というか何かそういうの多いとか思いながら、そろ~り、そろ~りと一歩一歩その場から離れようとする。
「それで麗奈が死んじゃったら元も子もない! それにどうせなら左腕はあった方が良いって、また麗奈のトランペット聞きたくなった時とか不便だから!」
「それじゃあ久美子すぐに貧血になっちゃう! いやそういう気遣いは嬉しいんだけど!」
(今のうち……今のうち……)
「それじゃあ久美子すぐに貧血になっちゃう! いやそういう気遣いは嬉しいんだけど!」
(今のうち……今のうち……)
二人に目もくれず、バレないようにとゆっくりと。
何とか飛行し始めてもバレ無さそうかな、なんて距離まで離れたと安堵した。
何とか飛行し始めてもバレ無さそうかな、なんて距離まで離れたと安堵した。
「――それで、あなたは何逃げようとしてるの?」
「ふぇ?」
「ふぇ?」
高坂麗奈の背中から生えた、管のような触手に捕縛されるまでは。
ビエンフーでは視認すら出来ない速度で生え出たそれは即座にビエンフーの身体に巻き付き、地面に一度叩きつける。
ビエンフーでは視認すら出来ない速度で生え出たそれは即座にビエンフーの身体に巻き付き、地面に一度叩きつける。
「ぐへぇっ!?」
潰れたカエルのような悲鳴を上げて、ビエンフー再度沈黙。
そして縛り上げられたまま気絶したビエンフーの身体は麗奈の眼前まで運ばれる。
そして縛り上げられたまま気絶したビエンフーの身体は麗奈の眼前まで運ばれる。
「あれ、麗奈いつの間にそういう事出来るようになったの?」
麗奈の行動に対し、久美子は物珍しそうな感じで声を掛けた。
常人が見るには中々グロテスクな光景であるが、破壊神シドーという異常を目撃したためか、もはやこの程度では全く動じなくなっていた。
常人が見るには中々グロテスクな光景であるが、破壊神シドーという異常を目撃したためか、もはやこの程度では全く動じなくなっていた。
「久美子のやろうとしていること手伝うにしても。この先水口さんや月彦さんみたいな強敵と戦わなきゃいけないから、慣れとかないとって思って。」
麗奈としては、これから久美子の願いを叶えるため。その前に立ち塞がるであろう強敵に対して、今の自分の力を自覚し取り扱えるようにと慣れたい思惑があった。
その第一として、麗奈が目撃し一番印象に残っているであろう月彦の技を再現して、何か逃げようとした珍生物(ビエンフー)をとっ捕まえた。
その第一として、麗奈が目撃し一番印象に残っているであろう月彦の技を再現して、何か逃げようとした珍生物(ビエンフー)をとっ捕まえた。
「その背中から生えてる触手が?」
「うん。流石に月彦さんみたいにいっぱい出せないし、速度だって月彦さんには及ばないけれど。」
「うん。流石に月彦さんみたいにいっぱい出せないし、速度だって月彦さんには及ばないけれど。」
あくまで真似ただけ。食人衝動は沈静化したが鬼の身体という状態は治ってる訳ではない。
だが、鬼の身体になったなら鬼の身体らしくやれることの拡大解釈。今ならなんか出来そうと言うインスピレーションを浮かばせて、見様見真似で月彦の、鬼舞辻無惨の管を再現した。
だが、鬼の身体になったなら鬼の身体らしくやれることの拡大解釈。今ならなんか出来そうと言うインスピレーションを浮かばせて、見様見真似で月彦の、鬼舞辻無惨の管を再現した。
「それで、この子どうするの? このまま逃しても良いとは思うけど……何か余計なことされそうだなぁって。」
「少なくとも私達の事は聞かせちゃったから、ただでは返せないかな。……私に任せて、久美子。試したいことがあるの。」
「少なくとも私達の事は聞かせちゃったから、ただでは返せないかな。……私に任せて、久美子。試したいことがあるの。」
兎も角、この珍生物の対処はどうするか、ということで。
久美子としては害は無さそうだし放逐しても良いとは思っていたが。あの話を聞いて否定的な雰囲気だったからそういう訳にはいかない。
少なくとも、麗奈の言う通りただでは返せない。ではどうするか。
その為、麗奈が言い出した試したいこと、というのを信じ、久美子は麗奈に珍生物の処遇を一任する。
久美子としては害は無さそうだし放逐しても良いとは思っていたが。あの話を聞いて否定的な雰囲気だったからそういう訳にはいかない。
少なくとも、麗奈の言う通りただでは返せない。ではどうするか。
その為、麗奈が言い出した試したいこと、というのを信じ、久美子は麗奈に珍生物の処遇を一任する。
「出来るかどうかは兎も角、何となくやれそうって事をしたくて。」
右手の指先をビエンフーの頭に翳す。つま先から滲み出るように現れるのは小さな赤い管。
それをビエンフーの頭に突き刺し、そのまま数十秒ほど沈黙。
それをビエンフーの頭に突き刺し、そのまま数十秒ほど沈黙。
「………うん、もういいかな。」
突き刺した管が抜かれて爪の間へ仕舞われる。
ビエンフーの脳天には小さな穴が空き、そこから麗奈の管から注入されたらしき、蒼い血が漏れている。
ただし、ビエンフーの生存状態には特段影響はない様子で。
ビエンフーの脳天には小さな穴が空き、そこから麗奈の管から注入されたらしき、蒼い血が漏れている。
ただし、ビエンフーの生存状態には特段影響はない様子で。
「何したの?」
「記憶、というより情報の読み取り。血を介さないと出来ない事だけど。」
「記憶、というより情報の読み取り。血を介さないと出来ない事だけど。」
高坂麗奈が黄前久美子の血肉を喰らった際、『ビルダー』もとい『精霊ルビス』の情報も食べた事で、ある種『情報』の取得を感覚で理解することが出来た。その感覚を元に、自分の蒼い血を媒介に、ビエンフーの頭からその記憶を読み取ったのだ。
「何だか凄いことしたって事ってのはわかったけど……結局この子どうするの?」
「……もう放置でいい。何も問題ないから。」
「……もう放置でいい。何も問題ないから。」
後は処遇となる。またしても気絶したとは言え、このまま目を覚まして自分たちの今の方針を伝えられても問題。そんな久美子の心配を尻目に麗奈は何の問題もないと告げる。
「えっ、まだ何か仕込んでる感じなの?」
「少なくとももう何もしなくても良いって断言できるぐらいには、ね。……そんな事より、これから何処行く?」
「少なくとももう何もしなくても良いって断言できるぐらいには、ね。……そんな事より、これから何処行く?」
既に事は済んだと、珍生物(ビエンフー)の事など気にも留めず、久美子へ対して次の目的地をどうするかの相談。本当にもう大丈夫だという麗奈の自身有りげな言葉には素直に納得して。
「麗奈がそう言うなら心配ないんだろうけれど……うーん。……あ、そうだ。やりたいことあるから連れて行って欲しい所があるんだんけど? ……あとさ、今の麗奈って、私を片手で抱っこして運ぶとか出来る?」
「うん、出来るけど、どうしたの? それにやりたいこと?」
「――ものづくり、かな?」
「うん、出来るけど、どうしたの? それにやりたいこと?」
「――ものづくり、かな?」
そうにこやかに、久美子は麗奈へ提案した。
☆ ☆ ☆
エリアB-7、池袋駅。正しくは池袋駅を施設の一つとして置ける程の大きさ。
4エリアを覆う大きさを誇る、会場最大施設たる遊園地。
渋谷駅を内包しているという点において、置かれている物品等の数も施設内で最大規模と言うべきか。
黄前久美子の言葉を受けて高坂麗奈と共に向かったのはこのエリア。様々な力を内包した鬼となった高坂麗奈にとって、片腕で黄前久美子をお姫様抱っこしながら遊園地までかっ飛ぶのは割りと容易いことであった。
久美子曰く「流石にお姫様抱っこは恥ずかしかった」とのことらしい。あと「麗奈が王子様に見えた」とか。
4エリアを覆う大きさを誇る、会場最大施設たる遊園地。
渋谷駅を内包しているという点において、置かれている物品等の数も施設内で最大規模と言うべきか。
黄前久美子の言葉を受けて高坂麗奈と共に向かったのはこのエリア。様々な力を内包した鬼となった高坂麗奈にとって、片腕で黄前久美子をお姫様抱っこしながら遊園地までかっ飛ぶのは割りと容易いことであった。
久美子曰く「流石にお姫様抱っこは恥ずかしかった」とのことらしい。あと「麗奈が王子様に見えた」とか。
黄前久美子はジオルド殺害からの現実逃避の際に鐘の音は聞いていた。
それは聞いた者に『ビルダー』の"ものづくり"の力を与えるもので。
勿論、それだけでは黄前久美子にビルダーのような"ものづくり"は難しいのだが。
麗奈に血肉の一部を食われて、修復されたのが要因か、何となく『創造』と『破壊』の感覚自体は掴めてはいる。自分の肉体が破壊され、創造されると言う出来事を経て。
それは聞いた者に『ビルダー』の"ものづくり"の力を与えるもので。
勿論、それだけでは黄前久美子にビルダーのような"ものづくり"は難しいのだが。
麗奈に血肉の一部を食われて、修復されたのが要因か、何となく『創造』と『破壊』の感覚自体は掴めてはいる。自分の肉体が破壊され、創造されると言う出来事を経て。
遊園地は、この殺し合いにおいて、黄前久美子にとっての始まりであり。この場所から始まって、セルティと弁慶の二人と出会った、ある種思い出深い場所である。
ある種、ものづくりの為に向かった場所としてここを指定したのは、その思い出にほんの少しだけ浸りたかったのか、それとも一番"もの"があるからという理由からかは、久美子の頭の中の秘密だ。
ともかく、まず"ものづくり"の為に必要なのは作業台なのだが、久美子の何となくの感覚を元に、麗奈が素材の造形や構築等を手伝う事で完成。素材として必要であろう心のカケラに関し、隼人がカタルシスエフェクトを発現させたのと同じ用に、高坂麗奈がカタルシスエフェクトを発現させてそこから心のカケラを回収する事で解決。
ある種、ものづくりの為に向かった場所としてここを指定したのは、その思い出にほんの少しだけ浸りたかったのか、それとも一番"もの"があるからという理由からかは、久美子の頭の中の秘密だ。
ともかく、まず"ものづくり"の為に必要なのは作業台なのだが、久美子の何となくの感覚を元に、麗奈が素材の造形や構築等を手伝う事で完成。素材として必要であろう心のカケラに関し、隼人がカタルシスエフェクトを発現させたのと同じ用に、高坂麗奈がカタルシスエフェクトを発現させてそこから心のカケラを回収する事で解決。
そうして二人が作成した"もの"というのが衣服の類。
どちらも血やらで汚れてしまってるものだから、心機一転・気分転換も兼ねての衣服チェンジの為にと作成。始めての共同作業ということでノリと勢いと麗奈の衝動のままに作ってみた結果。
どちらも血やらで汚れてしまってるものだから、心機一転・気分転換も兼ねての衣服チェンジの為にと作成。始めての共同作業ということでノリと勢いと麗奈の衝動のままに作ってみた結果。
「着てみて何だけど、……これ、メイド服?的なやつだよね。」
まず黄前久美子。瑠璃色を基調とした、例えるならば不思議の国のアリスのような衣装。
肩部分がはだけやすくなっているのは緊急時に麗奈が手早く久美子の血を吸えるようにするため。
アリス的衣装と言うけれど、一見してみればこれはメイドなのでは?と勘違いされてもおかしくないというか。ただ、動きやすさと言うか何だか身体が軽くなったのでこれはこれでOKと。
肩部分がはだけやすくなっているのは緊急時に麗奈が手早く久美子の血を吸えるようにするため。
アリス的衣装と言うけれど、一見してみればこれはメイドなのでは?と勘違いされてもおかしくないというか。ただ、動きやすさと言うか何だか身体が軽くなったのでこれはこれでOKと。
「……それで、麗奈。その衣装、着てて恥ずかしくないの?」
「いや、出来上がったのがこんなだから気にしても仕方ないと思うけど。それに久美子と一緒に作ったんだから、安全性とかは保証できる。」
「いや、出来上がったのがこんなだから気にしても仕方ないと思うけど。それに久美子と一緒に作ったんだから、安全性とかは保証できる。」
問題は高坂麗奈の衣装だ。見事なまでに純白のウェディングドレス。そこに赤を基調としたスカートとフリルが追加されたような姿で。
扇情的かつ神秘的な姿に一瞬見惚れ、久美子の心の中で一瞬キュンとなり、それはそれとして一度冷静になって「それ恥ずかしくない?」なんてマジレスしたくなる程に。
ちなみにであるが、この衣装の作成に当たり、黄前久美子の衣装には高坂麗奈の蒼い血が、高坂麗奈の衣装には黄前久美子の血が素材として使われている。
比翼恋理の契りというべきか、お互いにとって大切な者の血を使っており、お互いがお互い大切に思い、失いたくない・望みを叶えたいという共通意思によって装着者に対して加護を与える仕組みとなっているのだが。
扇情的かつ神秘的な姿に一瞬見惚れ、久美子の心の中で一瞬キュンとなり、それはそれとして一度冷静になって「それ恥ずかしくない?」なんてマジレスしたくなる程に。
ちなみにであるが、この衣装の作成に当たり、黄前久美子の衣装には高坂麗奈の蒼い血が、高坂麗奈の衣装には黄前久美子の血が素材として使われている。
比翼恋理の契りというべきか、お互いにとって大切な者の血を使っており、お互いがお互い大切に思い、失いたくない・望みを叶えたいという共通意思によって装着者に対して加護を与える仕組みとなっているのだが。
もう一つ、現在久美子の薬指に嵌められている、赤と青のメビウスの輪のように多重に重なり合ったような指輪。
麗奈の提案で、遊園地内に隠されていた『千年氷の結晶』を使い、同じく蒼い血を込めて作られたもの。
曰く「御守り」との話らしく、作ったは良いが作成時にお互いにみぞれの事を思い出してしまい、何とも言えない気分になったのはご愛嬌である。
その間に、ビエンフーから読み取った情報を二人で共有した。やはり一番の危惧は断片的に語られたベルベット――魔王ベルセリアなる存在だ。
まだ姿形すら知らず伝聞のみであるが、少なくとも月彦や水口茉莉絵を遥かに超越する怪物だというのは明らかであり、二人にとっても間違いなくいずれ立ち塞がるであろうと認識した。
一通りの事はやり終えて、休憩がてらとベンチに座り自販機のドリンクをぐいっと飲み干しながら、空を見上げる二人。
少女二人の眼に映る夜空は、あの時とあいも変わらず輝いている。その下で、殺し合いが起こっているなんて思えないほどに。
だが、そういうものなんだろう。世界の何処かで誰かが殺されても、本来ならばそれを知らなければ何も感じることはない。殺し合いというものが身近に感じてしまうようになってしまったからこそ、いつもよりも夜空に輝く星々が感慨深く思えてしまうのかもしれない。
麗奈の提案で、遊園地内に隠されていた『千年氷の結晶』を使い、同じく蒼い血を込めて作られたもの。
曰く「御守り」との話らしく、作ったは良いが作成時にお互いにみぞれの事を思い出してしまい、何とも言えない気分になったのはご愛嬌である。
その間に、ビエンフーから読み取った情報を二人で共有した。やはり一番の危惧は断片的に語られたベルベット――魔王ベルセリアなる存在だ。
まだ姿形すら知らず伝聞のみであるが、少なくとも月彦や水口茉莉絵を遥かに超越する怪物だというのは明らかであり、二人にとっても間違いなくいずれ立ち塞がるであろうと認識した。
一通りの事はやり終えて、休憩がてらとベンチに座り自販機のドリンクをぐいっと飲み干しながら、空を見上げる二人。
少女二人の眼に映る夜空は、あの時とあいも変わらず輝いている。その下で、殺し合いが起こっているなんて思えないほどに。
だが、そういうものなんだろう。世界の何処かで誰かが殺されても、本来ならばそれを知らなければ何も感じることはない。殺し合いというものが身近に感じてしまうようになってしまったからこそ、いつもよりも夜空に輝く星々が感慨深く思えてしまうのかもしれない。
「麗奈はさ、先にやりたい事とかって、ある?」
不意に、久美子が訪ねる。それは心残りに対しての。
久美子も麗奈もまた、この殺し合いの中で育んできた繋がりというものがある。
久美子がやろうとしていることは、その絆を荼毘に付して全てをリセットするという事だから。
だから訪ねた。久美子自身は割り切っているとしても、麗奈にとっての心残りがあるかどうかを。
久美子も麗奈もまた、この殺し合いの中で育んできた繋がりというものがある。
久美子がやろうとしていることは、その絆を荼毘に付して全てをリセットするという事だから。
だから訪ねた。久美子自身は割り切っているとしても、麗奈にとっての心残りがあるかどうかを。
「……ある。」
麗奈には、思う所があった。唯一の心残りがあった。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン。滝先生への恋手紙の代筆を依頼して、時には助けられたり。
高坂麗奈にとって、この殺し合いで初めて出会った参加者であり、ある種の絆(つながり)が芽生えていた、友人(とくべつ)の一人であり。
久美子という親友(とくべつ)を選んだ以上は、いつか決別しなければならないと行けない因縁で。
謝りたい事も、言いたいことも、感謝の気持ちも全て伝えないと、そうしないと割り切れない。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン。滝先生への恋手紙の代筆を依頼して、時には助けられたり。
高坂麗奈にとって、この殺し合いで初めて出会った参加者であり、ある種の絆(つながり)が芽生えていた、友人(とくべつ)の一人であり。
久美子という親友(とくべつ)を選んだ以上は、いつか決別しなければならないと行けない因縁で。
謝りたい事も、言いたいことも、感謝の気持ちも全て伝えないと、そうしないと割り切れない。
「最後に、ヴァイオレットさんと話がしたい。私達の理想と、決して相容れないと分かっていても」
「……それが、麗奈のやりたいことなら。」
「……それが、麗奈のやりたいことなら。」
いいよ、と。久美子はその選択を尊重し、二人はベンチから立ち上がる。
遊園地で素材集めの最中、池袋駅の中で見つけた大きな扉。別の場所に転移できるという門(ゲート)。
それが照らす輝きへと向けて足を進めて、二人の少女は輝きの中へ向かう。
遊園地で素材集めの最中、池袋駅の中で見つけた大きな扉。別の場所に転移できるという門(ゲート)。
それが照らす輝きへと向けて足を進めて、二人の少女は輝きの中へ向かう。
☆
「……渋谷、駅だ。」
扉を潜れば、渋谷駅。
それは一種の偶然なのか、必然なのか。
麗奈が巻き込まれた怪物たちの狂騒曲の舞台となった遺跡の近くだった。
既に門の姿は消え去っており、二人の背中を押して満足したかのように。
それは一種の偶然なのか、必然なのか。
麗奈が巻き込まれた怪物たちの狂騒曲の舞台となった遺跡の近くだった。
既に門の姿は消え去っており、二人の背中を押して満足したかのように。
「……行こう、麗奈。伝えなきゃいけないんでしょ?」
「そうだね、久美子。伝えないと、何も始まらない。」
「そうだね、久美子。伝えないと、何も始まらない。」
黄前久美子が望む、御都合主義(ハッピーエンド)の為に。
その前の禊とも言うべき、友が抱いた彼女への心残りの決着のため。
例えその結末が悲劇かもしれないとしても、それでも一度託した『想い』を、無碍にはしたくなかったから。もしかしたら、自分たちの理想に賛同してくれる、なんて淡い希望をほんの少し抱いて。
その前の禊とも言うべき、友が抱いた彼女への心残りの決着のため。
例えその結末が悲劇かもしれないとしても、それでも一度託した『想い』を、無碍にはしたくなかったから。もしかしたら、自分たちの理想に賛同してくれる、なんて淡い希望をほんの少し抱いて。
彼女たちの交響曲(ものがたり)は、再び始まるのです。
【一日目/夜/D-2渋谷駅内部】
【黄前久美子@響け!ユーフォニアム】
[状態]:全身に火傷(冷却治療済み)、右耳裂傷(小)、右肩に吸血痕、確固たる想い
[役職]:ビルダー
[服装]:特製衣装・響鳴の巫女(共同制作)
[装備]:契りの指輪(共同制作)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、デモンズバッシュ@テイルズオブベルセリア、セルティ・ストゥルルソンの遺体
[思考]
0:歌姫(μ)に勝って、その力を利用して殺し合いの全てを無かったことにする。……そうすれば、麗奈は人間に戻れるから。
1:もう、麗奈の事は裏切らない、――絶対に。
2:麗奈の為なら、この命だって捧げても良い。ただ今はまだ死ねない、麗奈を悲しませるから。
3:例え隼人さん達を敵に回したって、もう私は迷わない。望みを叶えるまで逃げ切ってやる。
4:一旦は麗奈のやりたいことを優先、遺跡に向かう
5:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒
【黄前久美子@響け!ユーフォニアム】
[状態]:全身に火傷(冷却治療済み)、右耳裂傷(小)、右肩に吸血痕、確固たる想い
[役職]:ビルダー
[服装]:特製衣装・響鳴の巫女(共同制作)
[装備]:契りの指輪(共同制作)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、デモンズバッシュ@テイルズオブベルセリア、セルティ・ストゥルルソンの遺体
[思考]
0:歌姫(μ)に勝って、その力を利用して殺し合いの全てを無かったことにする。……そうすれば、麗奈は人間に戻れるから。
1:もう、麗奈の事は裏切らない、――絶対に。
2:麗奈の為なら、この命だって捧げても良い。ただ今はまだ死ねない、麗奈を悲しませるから。
3:例え隼人さん達を敵に回したって、もう私は迷わない。望みを叶えるまで逃げ切ってやる。
4:一旦は麗奈のやりたいことを優先、遺跡に向かう
5:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒
※少なくとも自分がユーフォニアムを好きだと自覚した後からの参戦
※ロクロウと情報交換を行いました
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。現状は麗奈と一緒に衣装やら簡単なアイテムを作れる程度に収まっています。
※麗奈がビエンフーから読み取った記憶を共有し、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。
※μの事を「楽器」で「願望器」だと独自の予想しました
※ロクロウと情報交換を行いました
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。現状は麗奈と一緒に衣装やら簡単なアイテムを作れる程度に収まっています。
※麗奈がビエンフーから読み取った記憶を共有し、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。
※μの事を「楽器」で「願望器」だと独自の予想しました
【高坂麗奈@響け!ユーフォニアム】
[状態]:鬼化(無惨の呪い無し)、新月の花嫁、確固たる思い、左腕の肘から先が消失
[服装]:特製衣装・新月の花嫁(共同制作)
[装備]:
[道具]:高坂麗奈のトランペット@響け!ユーフォニアム、危険人物名簿@オリジナル
[思考]
0:久美子の願いを手伝う。……人間に戻れたら、私は滝先生にもう一度――
1:最後まで、久美子と一緒に。
2:なるべく久美子には無茶はしてほしくはない。
3:遺跡に向かう。そして、ヴァイオレットさんと話をしたい。……出来れば、仲間になって欲しいかな。
4:無茶にもほどがあるけど、音楽勝負なら負けてやらないから。
5:水口さんや月彦さんとはいずれ決着を付けないといけない。
6:まずは、力の使い方に慣れたい。
7:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒
[状態]:鬼化(無惨の呪い無し)、新月の花嫁、確固たる思い、左腕の肘から先が消失
[服装]:特製衣装・新月の花嫁(共同制作)
[装備]:
[道具]:高坂麗奈のトランペット@響け!ユーフォニアム、危険人物名簿@オリジナル
[思考]
0:久美子の願いを手伝う。……人間に戻れたら、私は滝先生にもう一度――
1:最後まで、久美子と一緒に。
2:なるべく久美子には無茶はしてほしくはない。
3:遺跡に向かう。そして、ヴァイオレットさんと話をしたい。……出来れば、仲間になって欲しいかな。
4:無茶にもほどがあるけど、音楽勝負なら負けてやらないから。
5:水口さんや月彦さんとはいずれ決着を付けないといけない。
6:まずは、力の使い方に慣れたい。
7:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒
※『ビルダー』黄前久美子の血肉を喰らい、精霊ルビスの情報を取得した結果、無惨の呪いから解放されました。
これ以上無惨の影響を受けることは有りませんが、無惨の血による鬼化自体は治っておりません。
※首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。
※『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『006』が麗奈、『007』が無惨であることを認識しました。
※ 精神の安定に伴い、カタルシスエフェクトの発動が可能となりました。形状は後続の書き手にお任せします。
※己の『奏者』としての特別(ちから)を自覚しました。それがどう作用するか後続の書き手におまかせします。
※ビエンフーから記憶情報を読み取り、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。
※鬼化した身体の扱い方にある程度慣れました。現状では鬼舞辻無惨の『管』等や、対象によって可能不可能の差異はありますか血を介しての情報の読み取り等が可能です
※久美子の血を飲むことで一時的に『夜の女王』形態になります。この場合左腕が一時的に再生し、通常時を遥かに超える出力が可能です。
これ以上無惨の影響を受けることは有りませんが、無惨の血による鬼化自体は治っておりません。
※首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。
※『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『006』が麗奈、『007』が無惨であることを認識しました。
※ 精神の安定に伴い、カタルシスエフェクトの発動が可能となりました。形状は後続の書き手にお任せします。
※己の『奏者』としての特別(ちから)を自覚しました。それがどう作用するか後続の書き手におまかせします。
※ビエンフーから記憶情報を読み取り、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。
※鬼化した身体の扱い方にある程度慣れました。現状では鬼舞辻無惨の『管』等や、対象によって可能不可能の差異はありますか血を介しての情報の読み取り等が可能です
※久美子の血を飲むことで一時的に『夜の女王』形態になります。この場合左腕が一時的に再生し、通常時を遥かに超える出力が可能です。
【特製衣装・響鳴の巫女】
久美子が麗奈と共に"ものづくり"の力で作成した衣服、黄前久美子が着用。
不思議の国のアリスの衣装を象った、メイド服のような格好。麗奈の青い血が編み込まれており、見た目以上に機能性と耐久性が高く、魔力的加護も持ち合わせる。
首元がはだけやすくなっているが、これは麗奈がもしもの時に久美子の血を吸血しやすくするための処置。
久美子が麗奈と共に"ものづくり"の力で作成した衣服、黄前久美子が着用。
不思議の国のアリスの衣装を象った、メイド服のような格好。麗奈の青い血が編み込まれており、見た目以上に機能性と耐久性が高く、魔力的加護も持ち合わせる。
首元がはだけやすくなっているが、これは麗奈がもしもの時に久美子の血を吸血しやすくするための処置。
【特製衣装・新月の花嫁】
久美子が麗奈と共に"ものづくり"の力で作成した衣服。高坂麗奈が着用。
赤を基調としたスカートとフリルが追加された純白のウェディングドレス。麗奈がインスピレーション(あと久美子への思い)のままに作り上げたらこうなったとの事。
久美子の血が編み込まれているが、これは麗奈が久美子の思いを感じやすくという久美子からの提案によるもの。
久美子が麗奈と共に"ものづくり"の力で作成した衣服。高坂麗奈が着用。
赤を基調としたスカートとフリルが追加された純白のウェディングドレス。麗奈がインスピレーション(あと久美子への思い)のままに作り上げたらこうなったとの事。
久美子の血が編み込まれているが、これは麗奈が久美子の思いを感じやすくという久美子からの提案によるもの。
【契りの指輪】
久美子が麗奈と共に"ものづくり"の力で作成した指輪。黄前久美子が装備。赤と青のメビウスの輪のように多重に重なり合ったような形状。
素材には遊園地内に隠されていた"千年氷の結晶@ビルダーズ2"と『響鳴の巫女』でも使用された麗奈の青い血が使われており、装着者にちょっとした恩恵を与える御守りのようなもの。
余談であるが、『氷』と聞いて二人が思い浮かべたのは青い鳥にして、破壊神戦においては最後まで久美子を守りきった鎧塚みぞれの事。久美子の御守りに『氷』というのは、偶然か、必然か、もしくは……?
久美子が麗奈と共に"ものづくり"の力で作成した指輪。黄前久美子が装備。赤と青のメビウスの輪のように多重に重なり合ったような形状。
素材には遊園地内に隠されていた"千年氷の結晶@ビルダーズ2"と『響鳴の巫女』でも使用された麗奈の青い血が使われており、装着者にちょっとした恩恵を与える御守りのようなもの。
余談であるが、『氷』と聞いて二人が思い浮かべたのは青い鳥にして、破壊神戦においては最後まで久美子を守りきった鎧塚みぞれの事。久美子の御守りに『氷』というのは、偶然か、必然か、もしくは……?
「そういえばさ麗奈、結局、珍生物(あれ)って大丈夫なの?」
「だから大丈夫だって。……実はもう一つ、試した事があるから。」
「だから大丈夫だって。……実はもう一つ、試した事があるから。」
☆
「……急がないとでフ!」
目を覚まし、何かを理解したビエンフーは紅魔館へ向けて全速力で翔んでいた。
あの二人が話していた事が本当なら、間違いなく受け入れられる内容ではない。
それで全てが元通りになるのならビエンフーとしてもそうしたかっただろう、だがもうそうは問屋が卸さない自体にまでなっている。
リセットという行為自体が、この殺し合いで抗い、意思を残してきた者たちの思いを文字通り踏み躙り消し飛ばす行為であるのだから。
伝えるべき相手で真っ先に思い浮かんだのは垣根帝督。もう一度ぶっ飛ばされる可能性がさもありなんだが、そんな事考えている暇なんて無い。
あの二人が話していた事が本当なら、間違いなく受け入れられる内容ではない。
それで全てが元通りになるのならビエンフーとしてもそうしたかっただろう、だがもうそうは問屋が卸さない自体にまでなっている。
リセットという行為自体が、この殺し合いで抗い、意思を残してきた者たちの思いを文字通り踏み躙り消し飛ばす行為であるのだから。
伝えるべき相手で真っ先に思い浮かんだのは垣根帝督。もう一度ぶっ飛ばされる可能性がさもありなんだが、そんな事考えている暇なんて無い。
「早く、早く伝えないと本当に大変な事に……!」
妙な頭の違和感には気にも留めず、飛び続ける。
もしかしたら、あれは魔王とは別種の脅威になり得るかもしれないと。
ただ、急ぐことだけに全力でいたビエンフーに、その"異常"は訪れた。
もしかしたら、あれは魔王とは別種の脅威になり得るかもしれないと。
ただ、急ぐことだけに全力でいたビエンフーに、その"異常"は訪れた。
「……あれ?」
明るい、周囲が兎に角明るいのだ。まるでここだけ真っ昼間なように。
眠っている間に時が飛んで昼になった?などと混乱したくもなり。
眠っている間に時が飛んで昼になった?などと混乱したくもなり。
「ど、どうなってるでフ……?」
だが、そんな事気にしちゃいられない。だが、輝くは段々と増して、視界すら覚束なくなる。
それでも急ごうとして、もはやほぼ何も見えなくなろうとして、気付く。
それでも急ごうとして、もはやほぼ何も見えなくなろうとして、気付く。
「………あ。」
気づいた時には、周囲の視界は光に包まれて、何も見えなくなって。
「光ってるのは、ボクの方だったでフ~~~~~~~!!!」
その現実に気づいた時には時既に遅く。
「あっべぎゃあああああああ――――――ッッッ!!!!!!!!!」
輝きが一瞬で収まったと同時に、ビエンフーは今際の悲鳴を上げて。
盛大に爆散し、影も形も残らなかった。
盛大に爆散し、影も形も残らなかった。
【ビエンフー@テイルズオブベルセリア 死亡】
「試したことって?」
「水口さんの真似。爆弾じゃなくて、時間経過で爆発する血だけど。」
「……麗奈、もう私に性格悪いって言えないよね?」
「あすか先輩と希美先輩が死んじゃった時に、そう思った。」
「水口さんの真似。爆弾じゃなくて、時間経過で爆発する血だけど。」
「……麗奈、もう私に性格悪いって言えないよね?」
「あすか先輩と希美先輩が死んじゃった時に、そう思った。」
※ビエンフーが爆散した場所及び、それが周囲に目撃された・聞こえたかどうかは後続の書き手におまかせします
前話 | 次話 | |
よるのないくに ~新月の花嫁~ | 投下順 | 魔獣戦線 ー黙示録の始まりー |
前話 | キャラクター | 次話 |
よるのないくに ~新月の花嫁~ | 高坂麗奈 | Cold War |
よるのないくに ~新月の花嫁~ | 黄前久美子 | Cold War |