バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

有刺鉄線の向こう側

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kyogokurowa

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悪夢を、みた


『そうだカナメ!! 全部お前のせいだ!!』


『お前が弱いくせに俺をコケになんてするから!』


どうしようもなく、悪い夢だ


『無関係な子豚ちゃんがこんな哀れな姿になる!』


『可哀想に!!』


でも、それはどうしようもなく現実だった


『子豚ちゃんにはやりたい事はたくさんあっただろう!! 家族だっていただろう!!』


『将来の夢も! 人生の喜びも! 彼はカナメ君のせいで全て失ったのです!!』


もしそれが悪夢であったなら、どれだけ良かっただろうか


◯ ◯ ◯

エリアG-6 紅魔館――その内部に位置する大図書館
この館本来の主である紅魔の吸血鬼『レミリア・スカーレット』の友人、動かない大図書館ことパチュリー・ノーレッジの保有する書庫である
高さ数十メートルもある本棚には幻想郷内外から集められた書物が満天の星の如く埋め尽くされており、まさに書物の宝物庫と言わんばかりの光景だ
あと書物の類は防火防水防刃防弾魔法障壁その他etc……つまりは「ここで戦闘が起こっても全力で攻撃しない限りは書物には傷一つ付かない」ということである

「ふざけんじゃねぇぞ……」

そんな、まさに蔵書の迷宮と言わんばかりの場所にただ立ち尽くし苛立つ一人の青年。名は『スドウカナメ』
彼がこの殺し合いに巻き込まれたタイミングというは、本当の意味で彼にとっても『最悪』であった


『宝探しゲーム』において矛を交える結果となったクラン『エイス』。その『エイス』が報復としてカナメの友人の一人であるシノヅカを誘拐
友人を取り返すために自らのクランメンバーと同盟先のクランメンバー一人を連れ、彼らが待ち受けている港の倉庫に突入する、が――結論から言って全てが遅すぎた
シノヅカは既にエイスリーダー『王』によってバラバラに切り刻まれ、箱詰めにされていた


この時、スドウカナメは自らの考えの浅はかさを悟った、そして自らに覚悟がないからシノヅカが死んだと悟った
元々カナメはエイスのメンバーを不用意に殺す事は避けたかった。たとえあんな奴らでもダーウィンズゲームに巻き込まれた被害者だと思っていたし、何も知らないやつが外から糾弾したなら自分が同じ立場だったとしてもキレていただろうであるからだ
が、奴らにそんな事なんて関係なかった。ダーウィンズゲームに中も外も関係なかったのだ。だから、こそ――

『覚悟』を決めようとした途端に呼ばれたのがこの趣味の悪い殺し合いゲームだ
喧しいというだけで殺された青年、見せしめと称して恋人らしき男の目の前で少女、そして優勝すればどんな願いも叶えるという主催者テミスの言葉

もはや怒りを通り越した何か。これがもしダーウィンズゲームの運営がしでかしたゲームイベントの一つだとしたら、もはや奴らが堕ちるところまで堕ちたとしか思えない
それに自分がよりによってあのタイミングから呼ばれたのだ、尚更悪意に満ちている。

「だれがあんな奴の思い通りになってたまるものか……」

だが、それが結果として怒りやら悲しみやらが吹き飛び冷静になれたわけで。一度頭を冷やしまず確認したのは名簿だ。自分の名以外で確認できたのはこの5名だ

――シュカ、レイン、リュージ
クラン『サンセットレーベンズ』の頼れる俺の仲間たち。何故かスイだけハブられているのは多少気になるが、レインなら何だかんだで情報集めながら動いてそうだし、リュージも自分で自分の能力をクソだとは言っていたがこんな状況では逆に有能ではないだろうか
……シュカはこっちの知らない間に何かしらやらかしてそうな可能性はあるものの、あいつが負けるなんて早々ないと思えてしまう自分も何だかんだで絆されてしまったのだと思ってしまった。が、スイと戦った時のこともあるし早く見つけてあげよう


――(ワン)
シノヅカを殺しやがったクソ野郎。絶対に報いは受けさせる、殺す。いくら能力のタネは分かっているからと言って俺単体でどうにかなる相手ではないのは分かっている。それにヤツの事だ。意気揚々と無関係な奴らを巻き込むだろう。復讐云々以前に絶対にやつは止めないといけない


――ヒイラギイチロウ
通称『花屋』。宝探しゲームでは対立の末に和解し協力してくれたが、エイス幹部と相打ちになったらしいが、事実この名簿に名前が載っているということは、信じられないことだが『蘇った』ってことになるのだろう。これだけで主催共の『どんな願いも叶えられる』という言葉にも信憑性が増してしまう
話を戻して、あの時は結果として協力してくれたが、今回も素直にそうというわけにはいってくれないだろう。蘇った以上、あのおっさんは自分の娘の為に優勝を狙う可能性がある


方針としてはシュカ、レイン、リュージの捜索を最優先としながら、王や他の殺し合いに乗った奴らに対抗するために仲間を集める。もちろん首輪の解除も重要だ。首輪のサンプルを自分の異能(シギル)で複製して中身を見ようとしたが、内部構造が複雑だったのか、それとも異能(シギル)に制限が掛けられているのか複製できなかった。連中がそう簡単に許してくれるかと言われればそりゃ当然だ

デイバッグの中身を探り、取り出した支給品の一つ……確か『白楼剣』という名前の日本刀。これに一度異能(シギル)を試してみた結果、ちゃんと複製はできた。
日本刀と言うには少々短いが、変に長い得物はいい感じに扱えそうではあった。……なんて思っていた時だ

「ああ、その剣は白楼剣っていう庭師の……ってなんで二本もあるんだ?」
「っ!?」

唐突に聞こえた声に反応してしまい、思わず臨戦態勢になり声の方に剣を向けてしまう
視線の先にいるのは金髪金眼、白黒の魔女っ子ルックにドロワーズ、そして白黒魔女帽子という、いかにも『魔法使い』ですと言わんばかりの衣装
その少女は、剣を向けた相手に対し、それに応えるかのように、俺に向けて箒を向けていた
魔法使いの格好の意味がいまいち分からないが、もし相手がそういう異能を持っていた場合であれば、何を仕掛けてくるかわからない。そして相手もまた俺が何を仕掛けてくるか分からないが故に、箒を構えて動かない

「おいおいおい、初対面の人間に対して剣を向けるなんて物騒だぜ。それとも……あんたはそっち(・・・)側ってわけなのか?」
「………いや、悪い。俺はカナメ、須藤要だ」
「霧雨魔理沙だ。……こっちこそ、勘違いして悪かったぜ」

……どうやら、誤解は無事解かれたようだ。両者とも得物を下ろし、俺はほっと一息つくのであった


◯ ◯ ◯


霧雨魔理沙は『普通』の魔法使いである
幻想郷において『魔法使い』と呼ばれる種族は基本長命であるが、普通の人間と対して変わらない寿命である霧雨魔理沙という人間は一般から見るならば『普通』なのだろう
幻想郷という場所は何かと好戦的な人物がいる、例を上げれば彼女の友人の一人である博麗の巫女こと博麗霊夢がわかり易い例であろう。霧雨魔理沙もある意味そういうタイプの人種だ
だがそれはあくまで幻想郷における『弾幕ごっこルール』でドンパチやらかすのであって、こんないびつな殺し合いを許容するほど非情な人物でない

霧雨魔理沙の眼から見てもこの催しは、今まで幻想郷で解決してきた『異変』の中でも一番の曲者だ。
もちろんガチの殺し合いなんてやるつもりもないし、どう考えても霊夢や早苗あたりは真っ先に殺し合いの元凶をぶっ飛ばしそうな気がした。咲夜あたりが少々危なそうな気もするがその時はその時でぶっ飛ばせばいいと割り切った
……幻想郷には枷がなかったらマジで殺しをやらかしそうな連中が何人かいるけどそこは一旦触れないことにしよう

それで、目が覚めれば紅魔館、パチュリーの大図書館である。ある意味彼女にとって運が良かったのか――
まず始めたのは片っ端から欲しかった本を自分のデイバッグに入れることからだ

最近は本を借りようとしたら門前払い喰らうわ変なセキュリティシステムで強制的に追い出されるわで困っていたらしく、せっかくのいい機会だからこっから好きなだけ借りてしまえばいいという方針だった。えっ、いつになったら返すかって? 死ぬまで借りる、である

そんなこんなで本を集めまくっていた最中、人影を見つけて話しかけたら一触即発になりかけ、何とか収まって今に至る

「ダーウィンズゲーム? 外の世界じゃそんなんが流行ってるのか?」
「……勝手にダーウィンズゲームをブーム扱いされてもな。俺なんて完全に巻き込まれたわけだぞ」
「ま、死ぬかクリアするまで辞められないゲームとかはた迷惑にも程があるもんな、それは同感だぜ」
「お前の……幻想郷だったか、そっちも大概だろ、なんだ弾幕ごっこルールって。個人間でやってることがダーウィンズゲームと比べ物になってないだろ」
「ルール自体はこれ以上の被害を出さないためのものなんだけどな。まあ油断したら死にかねないが」
「おい!?……はぁ、ダーウィンズゲームがまだマシに思えてきたぞ……ただでさえ危険地帯が沢山あるっていうのに常軌を逸した異能持ちが沢山いるって話か」
「魔法使いに妖怪、吸血鬼に月の住人、神様だっているんだぜ。よかったら異変を解決したらあんたを幻想郷に」
「丁重にお断りさせてもらう」

お互いの情報交換、そしてそこから発展した簡単な雑談。魔理沙が話す幻想郷の全貌はカナメからすればダーウィンズゲーム以上の驚天動地の衝撃である。というかリアル神様とかいたならば神頼みしてダーウィンズゲームクリアを願いたいところだったが叶う気がしないから心の内にしまっておくことにした

「……それで、『サンセットレーベンズ』だったか? そいつらを探せばいいんだな?」
「話が早くて助かる。だがいいのか、お前にも……霊夢とかいった友人がいるんだろ?」
「霊夢のやつなら早々倒されるやつじゃないんだぜ。なにせ私の友人なんだからな!」
「その根拠はどこから出てくるんだか、だがそれはそれで逆にありがたい気もしなくはないな」
「大船に乗ったつもりでいるんだぜ! で、カナメ、まずどこに行くんだぜ?」
「過信は禁物だがな魔理沙。と言っても俺やシュカ達を繋ぐ場所というのが無くてな。強いて言うなら渋谷駅だが、あれはあくまでゲームの舞台になった、というだけの話だ」
「だったらどうするんだ?」
「別に行き当たりばっかりにするつもりはない。だが……」
「あーカナメ、私はまだここに用事があるからゆっくり考えればいいんだぜ」
「……用事?」

「ここの本をとにかく借りまくるんだぜ」
「……はい?」

魔理沙の素っ頓狂な返答にカナメ思わず唖然

「最近パチュリーのやつが本を貸し渋るようになったから困ってたんだぜ」
「おい、貸し渋ってお前借りた本返してないのか? といかまさか盗んで」
「盗みとは人聞きは悪い、私はただ死ぬまで借りているだけなんだぜ!!」
「言ってることおかしいだぞお前! それは一般的に盗んでるのと同じだろ!」

意味不明のジャイアニズムもどきの持論にツッコミを入れてしまう

「というわけだから1時間ぐらいで戻ってくるからそれまで考えてほしいぜ!」
「おいまだ話は終わってな――」

とカナメが言いかけたと思いきや魔理沙は颯爽と箒に跨り浮上、そのまま本棚の海の中に紛れてしまったのであった

「……はぁ、大分滅茶苦茶だぞあいつ……幻想郷っていうのはああいうやつばっかなのか?」

幻想郷の魔法使い、霧雨魔理沙との交流だけで体力が半分ぐらい持っていかれたような気分になる
だが、せっかく考える時間が出来たのだ。シュカたちと合流もしたいが焦っても逆効果

「……どうする?」

今はただ、先の方針をじっくり考えることにした


【F-6/紅魔館 大図書館/一日目/深夜】
【カナメ@ダーウィンズゲーム】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:白楼剣@東方Project、白楼剣(複製)、基本支給品一式、不明支給品2つ
[思考]
基本:主催は必ず倒す
1:【サンセットレーベンズ】のメンバー(シュカ、レイン、リュージ)を探す
2:王の野郎は絶対に許さなねぇ、
3:花屋のおっさんは現状方針がわからないから保留
4:今は焦らず方針を考えよう
[備考]
※シノヅカ死亡を知った直後からの参戦です

【霧雨魔理沙@東方Project】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:魔理沙の箒@東方Project、基本支給品一式、不明支給品2つ
[思考]
基本:この異変(殺し合い)の元凶はぶっ飛ばす
1:今のうちに借りられなさそうな本を借りまくるんだぜ!
2:まあ霊夢のやつなら大丈夫だろ
[備考]
※参戦時期は後続の書き手におまかせします

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