「なあお前ら、こいつはどう思う?」
放送を聞き終えた麦野沈利は傍の二人にそう問いかける。
「意外ね。てっきりもっと喜ぶと思っていたけれど」
「あ?...もう充分堪能したからな。この手で殺してやったしちゃんと死亡も確認した。ならこれ以上ウダウダ引きずるタチじゃないって」
「そ。意外にサッパリしてるのね」
「そいつは褒めてんのか喧嘩売ってんのか...ま、いいわ。それでさっきの質問の答えは?」
「あ?...もう充分堪能したからな。この手で殺してやったしちゃんと死亡も確認した。ならこれ以上ウダウダ引きずるタチじゃないって」
「そ。意外にサッパリしてるのね」
「そいつは褒めてんのか喧嘩売ってんのか...ま、いいわ。それでさっきの質問の答えは?」
再びの問いかけに夾竹桃はフゥ、と煙管の煙を吐く。
三人が今いるエリアはD-2。なんの因果か、ほどなくして一時的な禁止エリアになる場所だ。
ならば早々に離れるのが吉と言えよう。
三人が今いるエリアはD-2。なんの因果か、ほどなくして一時的な禁止エリアになる場所だ。
ならば早々に離れるのが吉と言えよう。
「そうね。私はこれをチャンスだと捉えているわ」
だが、夾竹桃の答えはその逆であり、彼女の言葉に麦野の口角がニィと吊り上がる。
この一時的な禁止措置はただのエリア制限ではない。壊れた駅を修理するためのものである。
だがこれが本部からの遠隔操作で出来るものならばわざわざ禁止エリアにする必要性は感じない。
恐らくだが主催の手の者が現れるはずだ。
それも、たかだか二時間程度で駅を修復出来る者がだ。
この一時的な禁止措置はただのエリア制限ではない。壊れた駅を修理するためのものである。
だがこれが本部からの遠隔操作で出来るものならばわざわざ禁止エリアにする必要性は感じない。
恐らくだが主催の手の者が現れるはずだ。
それも、たかだか二時間程度で駅を修復出来る者がだ。
「ソイツは間違いなく重職よね」
「でしょうね。下っ端に任せられるようなモノじゃないし、下手すりゃあいつら本人が直々にお出ましになるかもしれない」
「そいつらと接触するのが狙いという訳ね」
「可能ならそのまま殺す。生憎、いつまでも無料で殺し(しごと)してあげるほどお人よしじゃないのよ。夾竹桃はもとよりベルベット、あんたもあくまでも生きて帰るのが目的なんでしょ?」
「...まあ、ね」
「じゃあ文句はないわね。ここが禁止エリアになるまでは待機して、連中が現れ次第、あたしの原子崩しで隣のエリアから狙い撃つ」
「あんたの能力はそんなに遠くまで届くものなの?」
「ま、あいつらが出てくる位置によるけどね。最悪、双眼鏡かなんかで姿を拝むくらいはできるでしょ」
「ならこれで私たちの方針は決まりね」
「でしょうね。下っ端に任せられるようなモノじゃないし、下手すりゃあいつら本人が直々にお出ましになるかもしれない」
「そいつらと接触するのが狙いという訳ね」
「可能ならそのまま殺す。生憎、いつまでも無料で殺し(しごと)してあげるほどお人よしじゃないのよ。夾竹桃はもとよりベルベット、あんたもあくまでも生きて帰るのが目的なんでしょ?」
「...まあ、ね」
「じゃあ文句はないわね。ここが禁止エリアになるまでは待機して、連中が現れ次第、あたしの原子崩しで隣のエリアから狙い撃つ」
「あんたの能力はそんなに遠くまで届くものなの?」
「ま、あいつらが出てくる位置によるけどね。最悪、双眼鏡かなんかで姿を拝むくらいはできるでしょ」
「ならこれで私たちの方針は決まりね」
かくして三人は渋谷駅に現れるであろう主催の者を待ち伏せする形と相成った。
その余暇として、三人は足並み揃えてある施設に向かっていた。
その名はコンビニエンスストア。主に簡易的な食料品を取り扱う施設である。
つまり彼女たちの目的は空腹を満たすことにあった。
その名はコンビニエンスストア。主に簡易的な食料品を取り扱う施設である。
つまり彼女たちの目的は空腹を満たすことにあった。
「ふーん、中々種類揃えてるじゃない」
「私好みの茶葉はあるかしら」
「私好みの茶葉はあるかしら」
入店するなり物色を始める麦野と夾竹桃。
その二人とは対照的に、入り口から動かないベルベットに二人は首を傾げる。
その二人とは対照的に、入り口から動かないベルベットに二人は首を傾げる。
「どうしたのよボサッと突っ立って」
「ねえ、本当にこれが食糧なの?」
「ねえ、本当にこれが食糧なの?」
ベルベットから零れた思わぬ疑問に顔を見合わせる二人。
ベルベットの世界にも弁当という概念はある。
しかしそれはあくまでもバスケットに乗せられたサンドイッチやおにぎりなど保存が効かないものを持ち運ぶだけのもの。
包装された嗜好品や冷蔵ケースに並べられた色とりどりの弁当などは知識の範疇外にあった。
しかしそれはあくまでもバスケットに乗せられたサンドイッチやおにぎりなど保存が効かないものを持ち運ぶだけのもの。
包装された嗜好品や冷蔵ケースに並べられた色とりどりの弁当などは知識の範疇外にあった。
「どんだけお上りさんよあんた」
「そういえば私たちお互いのことをロクに知らなかったわね」
「そういえば私たちお互いのことをロクに知らなかったわね」
三人は互いの能力と大まかな世界事情は教え合ったものの、すり合わせにより生じる矛盾点や時代のズレなどの検証は一切行っていない。
それは麦野が浜面を殺すまで苛立っており、ベルベットが警戒し続け、夾竹桃はそんな二人をなるべくぶつからせないように立ち回っていたというある種三竦みの関係であるためだ。
それは麦野が浜面を殺すまで苛立っており、ベルベットが警戒し続け、夾竹桃はそんな二人をなるべくぶつからせないように立ち回っていたというある種三竦みの関係であるためだ。
「ハッ、知る必要なんてないでしょ。所詮消耗品の『アイテム』なんだから」
今は麦野が浜面との因縁を清算したことで落ち着きを取り戻しているものの、所詮は期間限定で組んでいるだけの間柄。
本来のアイテムメンバーならば期間が定められていないからまだしもこの場においての同盟は最長でも三日だけ。
麦野はたったそれだけの付き合いに記憶容量を割くつもりはこれっぽちもなかった。
本来のアイテムメンバーならば期間が定められていないからまだしもこの場においての同盟は最長でも三日だけ。
麦野はたったそれだけの付き合いに記憶容量を割くつもりはこれっぽちもなかった。
だから。
「どれ食べればいいかわからないならこれでいいわよ。たぶん外れはないから」
麦野は冷蔵ケースから生姜焼き弁当を取り出し、割りばしと共にベルベットに手渡す。
いくら余暇があるとはいえ制限時間事態はあるのだ。ならば悩ませるくらいならこちらが選んで腹を満たしてやればいい。
曲がりなりにもイチグループのリーダーを務めてきた経験が彼女にそう行動をとらせた。
いくら余暇があるとはいえ制限時間事態はあるのだ。ならば悩ませるくらいならこちらが選んで腹を満たしてやればいい。
曲がりなりにもイチグループのリーダーを務めてきた経験が彼女にそう行動をとらせた。
弁当を渡されたベルベットは数秒それを見つめ、特に不満を漏らすことなく素直に受け取った。
(ふぅん、意外に人を見てるのねぇ)
今まで見てきた麦野は文字通り災害の粗暴な女だった。
しかしこうして落ち着けば不用意な衝突を煽るような真似はしないし、それなりの気配りもできる。
なにより口調の荒々しさがすっかり形を潜めている。
しかしこうして落ち着けば不用意な衝突を煽るような真似はしないし、それなりの気配りもできる。
なにより口調の荒々しさがすっかり形を潜めている。
ベルベットにしてもそうだ。
警戒しているのは相変わらずだが相手の善意を無下にすることもなくそれ自体は素直に受け取っている。
口にこそはしないものの、内心では礼すら言っているかもしれない。
警戒しているのは相変わらずだが相手の善意を無下にすることもなくそれ自体は素直に受け取っている。
口にこそはしないものの、内心では礼すら言っているかもしれない。
(これは『ネタ』に使えるかもしれないわね)
ポケットから『NETANOTE』と名された手帳を取り出しサラサラとペンを奔らせる。
書かれているのは、これまで見てきた二人のプロファイリングである。
これは二人と戦闘になった時の為に参考にする―――ものではない。
書かれているのは、これまで見てきた二人のプロファイリングである。
これは二人と戦闘になった時の為に参考にする―――ものではない。
(普段は衝突し合う俺様系女子とクール系女子が何気ない会話をするときのギャップ...悪くないわね)
夾竹桃は『クリスチーネ桃子』のペンネームで女同士の友情を扱った同人誌を書いている。
それは時に仄かなものであり、時にダイナミックであり、時に濃厚なものであり。
麦野とベルベットのプロファイリングはこの同人誌のネタに活かされるものであり、三人が『アイテム』を組んだ時より密かにネタ収集を行っていたのだ。
それは時に仄かなものであり、時にダイナミックであり、時に濃厚なものであり。
麦野とベルベットのプロファイリングはこの同人誌のネタに活かされるものであり、三人が『アイテム』を組んだ時より密かにネタ収集を行っていたのだ。
(残しておいたのが麦野でよかったわぁ。あの子(シュカ)だったこうはいかなかったかもしれないもの)
最初に遭遇した時、麦野とシュカ、どちらを殺しどちらを残すかは夾竹桃の裁量次第であった。
あの時の麦野はお世辞にも上品とは言えず、ひとつ会話を誤れば同盟が決裂しかねないほどの危うさがあった。
それに対してシュカは初対面と思しき参加者との協力もこなし、殺人への忌避感もなく実力で勝る麦野を二度も殺しかけた。
あの時の麦野はお世辞にも上品とは言えず、ひとつ会話を誤れば同盟が決裂しかねないほどの危うさがあった。
それに対してシュカは初対面と思しき参加者との協力もこなし、殺人への忌避感もなく実力で勝る麦野を二度も殺しかけた。
一撃必殺の技を持つも不安定なバーサーカーと安定した強さを誇り、対話の余地も大いにあり技術豊富な賢者。
通常、仲間に引き入れるべきは後者である。
これはベルベットにも言及されたことだ。
しかし夾竹桃は麦野を選んだ。それはなぜか。
シュカが交際済み、彼氏持ちのノンケであるからだ。
通常、仲間に引き入れるべきは後者である。
これはベルベットにも言及されたことだ。
しかし夾竹桃は麦野を選んだ。それはなぜか。
シュカが交際済み、彼氏持ちのノンケであるからだ。
シュカはしきりに『カナメ』という名前を口にしていた。
死が迫っていようとも『カナメ』に害為す麦野を仕留めようとしていた。
つまり彼女の進展はもうそこからなく、彼女の関係性の果てはカナメで完結してしまっているのだ。
死が迫っていようとも『カナメ』に害為す麦野を仕留めようとしていた。
つまり彼女の進展はもうそこからなく、彼女の関係性の果てはカナメで完結してしまっているのだ。
ならば女(絹旗)の尻を追いかけていた麦野の方が美味しいネタが拾えるかもしれない。
その差が麦野を生かしシュカを殺したのである。
後に聞かされた浜面という『男』の存在は予想外だったが、彼を仕留めても引きずらずスッパリ切り替えてくれたのはネタ的にも都合がよかった。
その差が麦野を生かしシュカを殺したのである。
後に聞かされた浜面という『男』の存在は予想外だったが、彼を仕留めても引きずらずスッパリ切り替えてくれたのはネタ的にも都合がよかった。
(今期の夏コミは彼女たちモチーフに何冊いけるかしら...ウフフ)
ニマニマと不気味な笑みを浮かべながらペンを奔らせる夾竹桃から距離を置き、麦野とベルベットは黙々と食事に取り掛かるのだった。
【D-2/一日目/朝/コンビニエンスストア】
※30分前くらいになったらD-3に移動しそこで駅を見張る予定です。
※30分前くらいになったらD-3に移動しそこで駅を見張る予定です。
【ベルベット・クラウ@テイルズオブベルセリア】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 生姜焼き弁当@現地調達品
[思考]
基本:他の参加者共を喰らって、主催共を喰らい、復讐のための力を貯める
0:駅に現れるであろう主催の手の者を確認、あるいは攻撃する。
1:夾竹桃、麦野沈利と共に行動する
2:ライフィセットの名を騙る『悍ましい何か』は私の手で殺す
3:あの時戦った対魔士(オスカー)は殺す
4:牢獄で会った女(マギルゥ)に関しては保留
5:0を果たした後、夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう
6:味がしない...本当にこんなものが普及しているの?
[備考]
※牢獄でのオスカー戦後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 生姜焼き弁当@現地調達品
[思考]
基本:他の参加者共を喰らって、主催共を喰らい、復讐のための力を貯める
0:駅に現れるであろう主催の手の者を確認、あるいは攻撃する。
1:夾竹桃、麦野沈利と共に行動する
2:ライフィセットの名を騙る『悍ましい何か』は私の手で殺す
3:あの時戦った対魔士(オスカー)は殺す
4:牢獄で会った女(マギルゥ)に関しては保留
5:0を果たした後、夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう
6:味がしない...本当にこんなものが普及しているの?
[備考]
※牢獄でのオスカー戦後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました
【麦野沈利@とある魔術の禁書目録Ⅲ】
[状態]:ダメージ(中)、少しばかり機嫌がいい
[服装]:いつもの服装(ボロボロ)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 鮭弁当@現地調達品
[思考]
基本:『願いを叶える力』とやらを手に入れる
0:駅に現れるであろう主催の手の者を確認、あるいは攻撃する。
1:気に食わないが、夾竹桃、ベルベットとともに行動する
2:絹旗とフレンダも見つけたら必ず殺す
3:0を果たした後、夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう
4:悪くない鮭ね。
[備考]
※アニメ18話、浜面に敗北した後からの参戦です
3人でアイテムを結成しました
[状態]:ダメージ(中)、少しばかり機嫌がいい
[服装]:いつもの服装(ボロボロ)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 鮭弁当@現地調達品
[思考]
基本:『願いを叶える力』とやらを手に入れる
0:駅に現れるであろう主催の手の者を確認、あるいは攻撃する。
1:気に食わないが、夾竹桃、ベルベットとともに行動する
2:絹旗とフレンダも見つけたら必ず殺す
3:0を果たした後、夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう
4:悪くない鮭ね。
[備考]
※アニメ18話、浜面に敗北した後からの参戦です
3人でアイテムを結成しました
【夾竹桃@緋弾のアリアAA】
[状態]:健康、ゲッター線に魅入られてる(小)、夏コミ用のネタの香りを感じている。
[服装]:いつものセーラー服
[装備]:オジギソウとその操作端末@とある魔術の禁書目録Ⅲ、胡蝶しのぶの日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、シュカの首輪、素養格付@とある魔術の禁書目録Ⅲ
[思考]
基本:間宮あかりの秘毒・鷹捲とゲッター線という未知の毒を入手後、帰還する
0:駅に現れるであろう主催の手の者を確認、あるいは攻撃する。
1:ベルベット、麦野と共に行動
2:0を果たした後、紅魔館(の図書館)に向かう。首輪の解析は図書館到着後
3:神崎アリア及び他の武偵は警戒
4:ゲッター線の情報を得るためにゲッターチームから情報を抜き取ることも考慮
5:夏コミ用のネタが溜まる溜まる...ウフフ
[備考]
※あかりとの初遭遇後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました
※晴明からゲッター線に関する情報を入手しました
[状態]:健康、ゲッター線に魅入られてる(小)、夏コミ用のネタの香りを感じている。
[服装]:いつものセーラー服
[装備]:オジギソウとその操作端末@とある魔術の禁書目録Ⅲ、胡蝶しのぶの日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、シュカの首輪、素養格付@とある魔術の禁書目録Ⅲ
[思考]
基本:間宮あかりの秘毒・鷹捲とゲッター線という未知の毒を入手後、帰還する
0:駅に現れるであろう主催の手の者を確認、あるいは攻撃する。
1:ベルベット、麦野と共に行動
2:0を果たした後、紅魔館(の図書館)に向かう。首輪の解析は図書館到着後
3:神崎アリア及び他の武偵は警戒
4:ゲッター線の情報を得るためにゲッターチームから情報を抜き取ることも考慮
5:夏コミ用のネタが溜まる溜まる...ウフフ
[備考]
※あかりとの初遭遇後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました
※晴明からゲッター線に関する情報を入手しました
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撫子乱舞 -凛として咲く華の如く-(後編) | ベルベット・クラウ | It's My Life ーTir na nOg ー(前編) |
撫子乱舞 -凛として咲く華の如く-(後編) | 麦野沈利 | It's My Life ーTir na nOg ー(前編) |
撫子乱舞 -凛として咲く華の如く-(後編) | 夾竹桃 | It's My Life ーTir na nOg ー(前編) |