"Beggin'"(ベギン)は『怪談金玉袋』作中で「カイカク君」のMAD動画に使用された楽曲。映像にはしりあがり寿の「
ならべうた
」の動画を改変したものが合わせられた。この演出が用いられたのは2018年のことだが、この後"Beggin'"は2021年にMåneskin(マネスキン)のカバーでTikTokを経由して世界的に流行した。余談だが、2019年2月公開の「極・魔導物語 vs のび太のバイオハザード」の小説版続編「たくろう編」でも増田太郎の特殊能力(スタンド能力)の名前に使われている。
曲そのものは1967年に
ボブ・ゴーディオ
とペギー・ファリナが作曲し、
フォー・シーズンズ
が有名にした。1970年代のイギリスのノーザン・ソウルを代表し、その後もたびたびカバー曲が登場してヒットしている。一つはフランスのDJ・Pilooskiによってリミックされたもので、その後ノルウェーのヒップホップデュオ・Madcon(マッドコン)、イタリアのロックバンド・Måneskin(マネスキン(*1))がこの曲を再び有名にし、ヨーロッパ諸国のミュージックチャートで首位を飾っている。
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The Four Seasonsの原曲
キーボード・作曲担当のボブ・ゴーディオは、1965年のシングル "Girl Come Running" 以降のフォー・シーズンズの作曲を行わなかったが、それまではほぼすべてのフォー・シーズンズの作曲に関わってヒットさせた。
"Beggin'" はフォー・シーズンズの1967年のアルバム New Gold Hits のうちの2枚目のシングルで、ゴーディオがシーズンズの作曲に戻ったことを示す曲であると同時に、フランキー・ヴァリの情熱的なソウルの歌唱とより現代的なバンド演奏が合わさる曲だった。これはゴーディオがプロデューサーであるボブ・クルーの作詞と組んだ "Dawn (Go Away)" 以来のシングルでもあり、今回はペギー・ファリナが作詞した。(ペギー・ファリナはエンジェルスのペギー・サンティグリアとしてよく知られている。1963年のヒット曲 My Boyfriend's Back(「
私のボーイフレンド
」)でリードシンガーを担当し、クルーによって頻繁にバックコーラスとして起用された)。
アメリカのBillboard Hot 100で16位にランクインし、トップ20の一覧に並び続けた。しかし、ゴーディオとクルーが作曲しヴァリがソロで録音した曲 "Can't Take My Eyes Off You" には負ける結果で、こちらの曲は2位まで上り詰めた。ゴーディオの作曲で再びフォー・シーズンズをトップ20にランクインさせたのは、1975年の "Who Loves You" だった。
この曲はフォー・シーズンズを題材にしたブロードウェイ・ミュージカル『
ジャージー・ボーイズ
』の第二幕にて、アディダスの60周年記念を祝う広告キャンペーンのメインテーマに用いられた。
Pilooskiのリミックス
2007年、フランスのディスクジョッキーであるPilooskiがフォー・シーズンズのこの曲を再編集してリリース。イギリスのランキングでは32位にランクインし、UKダンスチャートでは1位を獲得。アルバム Beggin': The Ultimate Collection の1stシングルとなった。Pilooskiの再編集版に新しい演奏やボーカルは追加されていないが、エコーや位相二極化を用いて純粋にフォー・シーズンズの録音を修正・リミックスしていた。
Madcon版
Pilooskiのリミックスと同じ2007年、ノルウェーのヒップホップデュオ・マッドコンが新しいバージョンを収録してリリース。原曲の歌詞を変更しラップを付け加えたものだった。マッドコン版は完全に録り直したもので、編曲は3Elementzが行い、ボーカルはすべてマッドコンが担当。ノルウェーの「ヴェーゲー・リスタ」チャートで累計して12週にわたり1位を獲得。Spellemanprisen アワードの "Hit of the Year" も獲得。ヨーロッパ全土で有名となり、フランスやオランダ、ベルギーのワロン地域で一位に上り詰めた。イギリスでも5位、ドイツでも7位にランクイン。
アメリカ・ベストダンスクルー・シーズン3のライブフィナーレで使用され、ファイナリストのビート・フリークスとクエスト・クルーがこの曲に合わせてパフォーマンスを行った。ドラマ『CSI: ニューヨーク』シーズン6のエピソード "Battle Scars"、So You Think You Can Dance の "Meet the Top 20" にも使われた。ダンスムービーの Step Up 3D、StreetDance 3D にも使われ、2011年のコメディ Bad Teacher と映画 Just Go with It のトレイラーにも使われた。MVはボーカルの二人が出演する
ブラックスプロイテーション
映画的な映像を組み合わせたもので、二人が『ヘイロー 3』を遊びながらうたた寝する場面から始まる。
2021年にマネスキンのカバーが成功を収めると、マッドコンのカバーもあわせて注目された。それを受け、2021年7月16日に再びリミックスをリリースした。
Måneskin版
イタリアのロックバンド・マネスキンが2017年にこの曲のカバーを録音し、イタリアのテレビ番組で披露したほか、EP Chosen に収録した。シングルとしてリリースされたものではないが、イタリアのシングルチャートで39位にランクインし、2018年にはイタリア音楽産業協会からゴールド認定を受けた。その後、2021年5月下旬のユーロビジョンでもマネスキンは優勝を収め、それまでにリリースした曲も含めてヨーロッパやその他の国のミュージックチャートに現れるようになった。そのあとすぐにTikTokで"Beggin'"が大流行。これまでにこの曲はオーストリア、チェコ共和国、ドイツ、ギリシャ、リトアニア、オランダ、スロヴァキア、スイスで1位を獲得しており、オーストラリア、フィンランド、フランス、ハンガリー、アイルランド、マレーシア、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スウェーデンでは5位以内にランクイン。カナダ、デンマーク、インド、フィリピン、シンガポール、イギリスではトップ10にランクイン。
初週ではイギリスのシングルチャート(2021年6月24日)で73位だった。しかしその後、 The Official Chart: First Look のトップ20では56位にランクインした後17位に上昇。翌週のチャートでは10位に上り、半月にも満たないうちにバンドで3回目のイギリストップ20獲得となった。しかも同じバンドの "I Wanna Be Your Slave" が再びトップ10にランクインしたので、マネスキンはシングルチャートの10位以内に2曲をランクインさせるという快挙を同時に達成している。これはイタリア人史上初めてのことで、ユーロビジョン史上でも初の出来事である。イギリスの3週目では7位にランクイン。Billboard Hot 100では78位でデビューし、その後35位に上昇。Billboard Global 200、Billboard Global Excl. U.S. では5位に届いている。
外部リンク
関連項目
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