K > スウェーデン狂詩曲
「スウェーデン狂詩曲」（スウェーデンきょうしきょく、The Swedish Rhapsody）は『K』や『Sad Satan』などのゲームにBGMとして用いられた音楽。
元となったのは、1950年代後期から1998年の間、ポーランドの公安省（Służba Bezpieczeństwa、後の情報部、Agencja Wywiadu）がAM放送を使用して発信していた乱数放送。西側諸国にいる諜報員に対して暗号化されたメッセージを伝えるために用いられた。一時期はドイツ語を話す少女の声を使っているとして有名だったが、東ドイツのシュタージで使われていた特殊な機械（"Sprach-Morse-Generator"）による声であったことが後に判明した(*1)。
この乱数放送の名前の由来は、信号に伴って流れる音楽、ヒューゴ・アルヴェーン作曲の「スウェーデン狂詩曲 第1番」（“Swedish Rhapsody No.1”）で、この音楽はリュージュ（Reuge）のオルゴールから録音されたもの。ただし、ポーランド情報部によればこの曲は「ルクセンブルク・ポルカ（
Luxembourg Polka
）」なのだという。この信号の発信に際しては非常に厳しいスケジュールが組まれており、人為的なミスや中断が入ることは稀だった(*2)。
冷戦時代、この信号の発信元がどこに属するかは不明だった。しかし、2014年に機密情報でなくなったとしてポーランド政府が公開した文書によると、信号の発信を行っていたのはポーランド人民共和国の政府と、政府の秘密警察であった公安省だった。合成音声を自動で作り出していたシュタージの「モールス音声生成機（"Sprach-Morse Generator"）」は東ドイツで開発されたもので、シュタージの偵察総局がこれを用いて似たような暗号を発信していた。これらの東ドイツの放送は似ていたとはいえ、「スウェーデン狂詩曲」に用いられた音声は機械の音声を更に加工したものだったため、あたかも少女に喋らせているかのように思わせた。さらに、ポーランド政府の文書によれば、暗号を発信していた放送局は少なくとも1970年代にはすでに存在しており、年ごとに時期によって周波数を変更しつつ、いくつもの短波の周波数によって放送を行っていた。
メッセージは5桁の数字の形式を取っており、数字はドイツ語で読み上げられ、その前には"Achtung!"（ドイツ語で「注意」の意）という音声が入った。メッセージは
ワンタイムパッド
を用いて暗号化されたものと考えられている(*3)。
1991年にソビエト連邦が解体された後、発信元の放送局は稼働を停止した。しかし、後の1998年頃には似たような発信源による信号が確認され、東ヨーロッパのNATO諜報員に向けて発信されていると考えられた(*4)(*5)(*6)(*7)。
外部リンク
- Swedish Rhapsody (numbers station) - Wikipedia
- スウェーデン狂詩曲 (乱数放送) - Wikipedia
- 1_01: The Swedish Rhapsody - YouTube - The Conet Project （様々な乱数放送を収録したCD）のアーカイブ。
- The Swedish Rhapsody - 検索してはいけない言葉アットウィキ【10/4更新】 - atwiki（アットウィキ）
