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怪談金玉袋

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怪談金玉袋』(かいだん きんたまぶくろ)はレインコートによるビジュアルノベル風ホラー動画シリーズで、ニコニコ動画にて投稿されている。一部ではドクマムシの別名義による作品ではないかと噂されている。

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※訂正: 『怪談新玉袋』の作者は「ツョーシヵンクの空」

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概要

ニコニコ動画の一大コンテンツとなっている「真夏の夜の淫夢」と呼ばれるネットミーム(プロ野球選手のスキャンダルと男優の迷演技から話題になったゲイビデオ)を主題とすることで多くの視聴者を獲得している。内容は主に「淫夢」から切り抜かれて作られたクロマキー素材などの合成(ニコ動ではBB先輩劇場と呼ばれる)。ストーリーは主にNDが考案した「秘封霖倶楽部」という東方二次創作のホラー小説から借用しているか(ただしその大半は2chに投稿された怪談のリメイクや二番煎じのようだ)、あるいはレインコートが自作したもので、既存の「ホラー淫夢」というカテゴリに属する。 ホラー淫夢まとめ Wiki* によると「エグイ描写とホラー特有の後味の悪さとビデオカメラ演出と元ネタの洒落コワのアレンジが強い特徴」らしい。

ちなみに、元は ツョーシヵンクの空 という動画投稿者による既存のホラー淫夢シリーズ『 怪談新玉袋 』の二次創作という形で作られた作品で、後に現在の題名のものとして独立した。futaの同人漫画『洒落怖秘封霖』の二次創作から独自のタイトルとして派生した『秘封霖倶楽部』ともよく似た経緯と言える。

関連性

ドクマムシ作品との関連性を匂わせる要素については次のようなことが指摘されている。
  • なぜか「コンパス」を凶器として持ち歩いている描写がある(『極・魔導物語』の尻高事朗と共通する)
  • 主人公・野獣の言動が『極・魔導物語』の田中一郎と似ている(語彙の乏しさ、語尾に「☆」を付ける煽り方、宗教に対する反感など)
  • 拙すぎる日本語と独特な言葉遣い(作者がドクマムシと同一視される最も強力な理由)
  • 「きさらぎ駅と空手部」の回にて、『極・魔導物語』の隠しイベントで使用された緑色のデコ出し女性のホラー画像らしきものが使われている
  • 「生き人形を見た先輩」などのホラーシーンでの写真素材に行われている雑な加工が『極・魔導物語』作中のイラストの画風に似ている
  • 「コトリバコ」の回で「ガーネット」が出てくる(『極・魔導物語』でもウィッチのミイラが鍵とともに持っているが、彼女と何の関係もないアイテムなので、作者自身の誕生石であるか何かで唯一知る宝石を登場させたのではないかと言われている*1*2

登場人物

基本的には「淫夢」のゲイビデオの登場人物が用いられている。他の淫夢動画同様にゲイビデオの作中設定が継承されている。
  • 野獣 - 主人公。毎回罰当たりな行動をして怪奇現象に巻き込まれるというクズキャラの役回り。基本的にはオチ担当として行方不明になったり死亡したりする。
  • MUR(ミウラ) - 野獣の先輩。ボケーっとしているが作中通してなぜか優遇されており、金持ちという設定だったり、ピンチの時には行動力を発揮したり、野獣とKMRが怪奇現象に巻き込まれても彼だけなんともなかったりする。
  • KMR(キムラ) - 野獣の後輩(元ネタでも然り)。常識人の立ち位置で察しがよく、自分たちに迫る危険にもいち早く気付くが、だからと言って状況が好転するとは限らず、結局のところその犠牲になるという不遇な役回りであることが多い。
  • AKYS(アキヨシ) - 野獣たちが所属する空手部の顧問。霊能力者でもあるらしい。基本的にどのような二次創作動画でも「無敵の武闘家」ポジションに使われる素材で、『新玉袋』でも同様だったが、本作での活躍は控えめであり、むしろ霊能者であるにも関わらず怪奇現象に対して歯が立たず、敵側の力を強調する役割で登場することが多い。
  • MUR母(セイバー姉貴) - 野獣たちが遭遇する怪奇現象の背景を知る重要な存在。…かのように序盤は思わせるが、回を重ねるごとに影が薄くなっていく。
  • 楓ちゃん(MUR姉) - 生き人形 、すなわち強力な霊力と意思を持っており、時には人々に災厄をもたらすが、霊力が強すぎるあまり処分ができないのでとりあえずMURたちから大事にされている様子。序盤は重要な存在かのように思わせるが、MUR母同様に存在感を失っていく。ND 球体関節人形 と似ているので素材はNDから調達していそうだ。
  • 遠野(トオノ) - 野獣の恋人だが、登場頻度は高くなく、重要な役割を担うこともあまりない。

ストーリー

「生き人形を見た先輩」から複数の動画に分岐し、そこで完結するものもあればさらに他の動画に続くものもあるらしい。基本的に一話完結式だが、他の回を見ていないと分からない文脈がたまに出てくることがあるようだ。

生き人形を見た先輩

野獣たち三人はMURの家で食事をしていると「楓ちゃん」という人形に目が留まる。それはMURの母親が小さいころに彼女の父親から買ってもらって以来大事にしているものらしく、テレビ番組「民家に泊まろうよ」でもMURの自宅と共に紹介され、タレントのマジメ君から愛着を持たれる。しかしその後、何かに怯えるマジメ君を残して番組のスタッフは全員失踪。

この事件を受け、その人形は稲川淳二がかつて語った「 生き人形 」の実例として心霊特集の番組に取材されることとなるが、ここでは途中で映像が乱れて奇妙な火災の映像が放送される。MUR母は人形の身を案じてテレビ局に返送を要求するが、テレビ局側はこれを無視して再度特集番組を企画・生放送。番組に集った専門家たちは人形が地下劇場で使われていたこと、中に20人以上の霊が込められていることを告げるが、そこで再び心霊現象が発生してスタジオは炎に包まれる。

人形がMURたちの元に戻った翌日、霊能力者AKYSは野獣に対して人形のことを話し、一度目の放送事故で映った火災はかつて実際に見た同級生の焼身自殺の現場であること、自分の手には負えないので人形を捨ててはならないこと、かつての友人が人形と関係するかもしれないことを告げる。

裏S区に迷い込んだ先輩

野獣は恋人の遠野が突然失踪し、3週間連絡が取れないことを受けてKMRたちと共に失踪現場の隣町へと足を伸ばすが、立て続けに声をかけた相手から襲い掛かられる。MURが反撃して攻撃の意図を問うと、彼らは善意から「悪霊を払う」ために襲い掛かったのだといい、遠野も「治療」のために暴行され続けていることを仄めかす。そこでKMRがいなくなっていることに気付いた野獣たちは廃墟と化した病院へと踏み込み、「治療」を受けるKMRを救出するが、その過程で野獣は殺されてしまい、さらに住人たちは葬式にまで出張って野獣の父親に集団暴行を加える*3

彼らを撃退する代わりに深手を負ったAKYSは、病室でKMRたちに隣町の「裏S区」が狂った宗教団体の巣窟であることを明かし、その後KMRたちは裏S区が立ち入り禁止になっているのを目の当たりにする。警察の話によると裏S区はすでに無人だというが、学校の知人が失踪したことからそれについて疑念を抱く。

福井県にある禁后

福井県を観光してゴールデンウィークを過ごす空手部員3人組は、時間を潰すために越前町の心霊スポットへ足を運び、山道の先に出入り口のない廃墟を発見する。そして、野獣とKMRは窓から廃墟に侵入し、そこで鏡台と、棒に掛けられた髪の長いかつらが置かれているのを見つける。そばの箪笥に気配を感じた野獣はその引き出しを順番に開けて調べると、中からは錆びた鉄球や汚れた名刺、髪の毛が見つかり、片やMURは部屋の隅の「禁后」と書かれた張り紙を注視するが、その間にも廃墟では奇妙な現象が起き続ける。

さらに野獣がもう一つの箪笥の引き出しを順番に調べると、中からはたくさんの汚れた紙を見つけ、紙のそれぞれに書かれた名前の中からAKYSの名も発見するが、そこでさらなる怪奇現象に遭遇した野獣たちは廃墟から撤退する。最後の引き出しには「ヤサニタマモル」と書かれた紙が入っていたが、スマホに記録された当時の映像からAKYSは何も霊的なものを感じることができない。

一方、KMRはMUR親子から裏S区へと呼び出され、MUR母から「禁后」について教えられる。禁后とは少女の名前で、その名を張り紙にすることは「天国」に行く方法の一つであると同時に、引き出しの中に入っていた紙の名前は「天国」へ行った人々の名かもしれないとMUR母は話す。やがてKMRたちは病院の廃墟へと辿り着き、そこで再び「ヤサニタマモル」の紙と髪の置物を目の当たりにする。MUR母が話を続けると、曰くAKYSが霊的なものを感じることができないのは禁后が生存しているためで、彼女の亡き知人から聞いた話では、禁后は人々から拷問を受け続けても彼らに感謝し、善意から彼らを「天国」へ連れて行こうと願いながらその家の下に留まっているのだという。

深層ウェブで見つかったフリーゲーム

野獣たち空手部はニコニコ動画で「クッキー☆kiss」という動画投稿者によるゲーム実況動画を視聴する。ゲーム内容は古い民家の中を探索するもののようだが、作者の意図は掴めないもので、プレイしているうちにクッキー☆kissは幻聴を訴え始める。やがて画面がブラックアウトし、「明日また来てね」のメッセージと共に勝手にゲームは終了、翌日になるまで起動できなくなる。そんな動画を傍目にKMRはMUR母とともに裏S区で見た髪の毛の置物や「禁后」について考察を続ける。

クッキー☆kissの実況動画は続々と続きが投稿されるが、その中でゲームは勝手に起動して録画も同時に行われるようになる。さらに、コンピューター上で「ヤサニタマモル」なるフォルダが作成され、その中に「マモル」と名の付いた少女(「禁后」のことらしい)の画像が複数生成されたことが明かされる。そして、ゲーム内の探索を続けると、鏡台と髪の毛の置物が現れ、さらに野獣たちを含めた複数人の実名らしきものが列記される。クッキー☆kissは自分の実名もこの中にあることを訴える。

MUR母とKMRはこれが以前訪れた廃墟に関係していると気付き始めるが、一方でKMRを含む空手部一同は裏S区に行きたい衝動に駆られ始め、やがて野獣との連絡がつかなくなる。また、クッキー☆kissも同様の衝動に駆られ始め、ゲーム内で列記される氏名の数は徐々に減り始める。その後、クッキー☆kissはことの核心を知ったかのようにして正気を失い、髪の毛の置物が「禁后」の髪から作られたことを明かすと同時に、禁后と共に「天国」へ行くために、その置物のある「集合場所」に到着したことを告げる。KMRとMUR母は多くの人が集まるその「集合場所」に到着し、AKYSの助力を借りてその中からMURと楓ちゃんを連れて帰るが、楓ちゃんは「禁后」によって霊力を奪い去られ、KMRは野獣を連れ帰ることができず、ともに行方不明となる。

(余談だが、本作に登場する「クッキー☆kiss」は実在する動画投稿者であるスターアイランドを元にしているのではないかと噂されている。)

きさらぎ駅と空手部

オクトーバーフェストの帰り、電車で居眠りして乗り過ごした空手部3人組は「 きさらぎ駅 」という終着駅で立ち往生を強いられ、近場の民家で宿泊しようとする。片や、自販機を探して近辺を探索するKMRはこの地域の異様さに気付き、その後合流した野獣たちとは時間の感覚に大きな違いが生じていることにも気付く。さらにKMRたちの前には、未来や過去からやってきたという多数の自分たち自身が現れ、長い間この地域から出られていない未来の彼らは飢えの余り互いを殺し合って食人し始める。

KMRたちは脅威から逃げ続ける中、探索の最中に拾った謎の木箱が未来の自分たちによって作られたものだと知らされ、開けさえしなければ脱出の鍵となることに気付かされるが、野獣たちの一人にそれを奪われ開けられてしまう。脱出の術を奪われたKMRは望みを捨てそうになるが、木箱を作り上げる未来の自分たちが複数に増殖していればその分木箱も増殖していることに気付き、別の木箱を持って過去の野獣たちとともに生還する。しかし、きさらぎ駅から追ってきた霊から逃れる過程で、霊に捕まった野獣は昏睡状態に陥って入院し、MURたちも謎の女性が虐げられる光景を幻視する。

別エンドによると、3人は別の駅で気絶していたところを深夜2時に発見されて1時間後に病院へ搬送されたという。野獣は数ヶ月が経っても意識が回復せず、AKYSは今後も回復が見込めないことを呟く。(別エンドという割には分岐ではなく、『秘封霖倶楽部』の内容と同様に作られた単なるエピローグの続きのようだ)

名前のない神社に入った遠野

ビデオカメラを購入した野獣は恋人の遠野とともにデートに出かけ、見知らぬ神社に足を踏み入れて遠野とのやり取りを撮影するが、その映像には不可解な光景と不気味な巫女の姿が紛れ込んでいた。それを見た野獣は再び遠野のもとを訪れるが、遠野の部屋の壁は彼自身の手によって「器羽美」という血文字で埋め尽くされていた。血文字を描くために犬猫を殺害したと話す遠野に対し、異常を察した野獣はAKYSに相談する。すると、AKYSは野獣たちが立ち入った神社が強力な霊気に満ちていることを告げ、悪霊に取り付かれた遠野を除霊する。一方で神社の存在に疑問を覚えたKMRとMURは地主のUNTI(うんち提案おじさん)を連れてその神社を訪れるが、UNTI曰くその神社は4日前にはなかったという。

遠野は一時的に正気を取り戻すが、除霊は成功していなかったらしく、何かに憑かれたかのようにして再びその神社へと向かう。野獣は遠野を止めようとするも力が敵わず、神社の中で遠野が人ならざるものへ歩み寄っていくところをカメラを通して目の当たりにする。また、カメラの映像を確認したAKYSは、その怪物が持つ複数の顔が別々の都道府県における行方不明者のものと一致するといい、神社が複数あるのか、あるいはそのものが移動しているかもしれないことを指摘、野獣にも危険が迫っていることから彼を自分の部屋に泊めることにする。

しかし翌日、KMRとMURがAKYSのもとを訪れると部屋の中は血まみれになっており、二人の姿もなくなっていた。残されたビデオカメラには昨晩の様子が記録されていたが、映像には二人のもとを訪れたUNTI、姿を消す野獣、廃墟と不気味な巫女の姿が残されており、そして不気味な姿になっていくAKYSを映した映像は再び血まみれの室内を映し出す。

(この回に限ってはレインコートが自分でストーリーを考えたらしい。)

村と空手部と八尺様

道に迷って山道を歩く空手部3人組は偶然見つけた村の民家に宿泊して食べ物と寝床を世話してもらうが、翌日の帰途でKMRは都市伝説の「八尺様」を目撃してしまう。空手部は「八尺様」に魅入られて取り殺されることを回避するため、村民の指示で都市伝説通りに蔵に閉じ込もって八尺様を追い払うことにする。しかし、野獣がたばこをポイ捨てしたのを原因に蔵は炎に包まれ、3人は村民たちに追われながら村を後にしAKYSを頼る。AKYSが村そのものに怪しさを感じて3人とともに村へ赴くと、そこで明らかになったのは、村民たちが殺人と食人を行いながら被害者の皮から作った人形で「八尺様」を捏造していたという事実だった。

野獣達に届いた謎の空メール

野獣はスマホに差出人不明の空メールを受け取り、差出人が誰かを詮索する。話を聞いた友人のMNRは、差出人と思しき自称集団ストーカー被害者の動画を野獣に見せ、彼が不特定多数に空メールを送っているのだと話すが、その後行方が分からなくなる。野獣たちは動画の人物の住所が判明したため興味本位で訪問してみるが、そこには人の気配がなく、発見されたビデオカメラを確認するとその男は何者かに誘拐されていた。

一方、野獣の友人であるジョニィはMNR失踪が空メールの差出人と関係するのではないかと睨み、ハッカーのONDISKに差出人の住所を特定させようとする。しかし特定はできず、代わりに空メールの受取人が現在地を特定されていると分かる。野獣の身に危険が迫っていることを知らされたKMRは急いで彼に連絡を取るが、野獣は彼の警告に耳を貸さず通話を切る。KMRたちが急いで野獣の家に行くと鍵は開いており、部屋に入ると誰もいない。野獣の父とも連絡がつかず怪訝に思っているとスマホの着信音が鳴り、そこで危険を察知したKMRはその場から逃げようとするが、かつてのビデオカメラの映像で見た誘拐犯に襲われる。そして、事前に応援に呼ばれていたAKYSも野獣の家に到着するが、やはりそこには誰もおらず、警察に探させても異常なしとして片付けられる。

翌日、野獣たちは学校に来ず、遠野は連絡の取れない野獣に電話をかけ続ける。しかしその頃、野獣たちは廃屋のような場所で複数の人々に食用として解体されていた。犯行に加担する人々は被害者たちを臓器売買にも利用していることを明かし、檻で生き残っているKMRに近付いていく。

廃墟の中のコトリバコ

廃墟の中にMNRの鞄を投げ込んでしまった野獣は、廃墟に侵入して取り戻す過程で「器羽美」と書かれた貼り紙のある血まみれの和室を目撃するが、妙な安堵感を覚える一方、物置の中から赤い寄木細工の箱を手に入れる。そして、箱の魅力に取り付かれた野獣はその後風呂や就寝の時間すら惜しんで箱を開けようとし続ける。数日後、野獣は廃人のようになって「カフカ*4のために箱を開けるのだと主張し続けており、彼を心配する遠野は箱を捨てようとしてもままならず、野獣の所属する空手部へ相談に訪れる。AKYSに問い合わせると、曰くその箱は「コトリバコ」というもので、開けてしまえば子孫もろとも根絶やしにし、それ以外にも被害を及ぼすのだという。

その後、遠野はAKYSたちを連れて冒頭の廃墟まで行くと、AKYSは別世界から来たような凶悪な気配を感じる中、廃墟の奥で野獣が箱を開けるところを目撃し、そのまま気を失った野獣を運んで病院へ連れて行く。しかしその一方で、野獣が箱を発見して以来、常に背後に気配を感じると訴えていたKMRはビルから飛び降りて自殺する。野獣の無事を確認したAKYSは、その「コトリバコ」が単なる「子取り箱」*5ではなく、その災厄によって虚しか残らなくなることから「虚取り箱」と記されるものだと付け加える。その頃、遠野は廃墟で見つけたビデオテープを再生すると、そこにはAKYSが感じた凶悪な気配の正体が映っており、「ありがとう」という声を最後に映像はノイズに包まれる。

転校生メアリースー

野獣は昼食を取るために学生食堂の人だかりに潜り込んだところ、 メアリー・スー HNS姉貴 )という女子学生に声を掛けられる。メアリーはリヒテンシュタインの エッシェン から野獣の大学の医学部に移籍してきたらしく、周囲では多くの取り巻きたちが常に彼女に称賛の言葉をかけ続けている。野獣は彼女のことが気に食わないが、一方で大学の講義が学生共々中学レベルまで落ちていく現象を目の当たりにし、そこではメアリーだけが優等生としてひたすら称賛され続けていた。KMRやMURまでもがメアリーと親密になっていく中、野獣はこの現象の元凶がメアリーにあるかもしれないことをONDISKから聞かされる。

その後、野獣はモブたちの煽りに乗せられてテストの成績をメアリーと競うが、現象の影響を受けなかったために圧勝する。しかし、結果として野獣は暴徒と化した取り巻きたちに追い詰められ、遠野の手によって校舎の屋上から突き落とされる。重傷を負った野獣を前に釈然としないAKYSはその後メアリーたちと偶然出会い、野獣の落ち度を主張する取り巻きを交えて口論し始めるが、その最中に取り巻きたちは突然拳銃を取り出して続々とメアリーに発砲し始め、呆然とするAKYSをよそにメアリーは袋に詰められる。

それ以降、かつてのメアリーの取り巻きは野獣との騒動やメアリー自体の記憶を失っており、その様子を怪訝に思うAKYSに対して、MURは謎の人物から届いたメールの動画を見せる。動画の中で送り主はことの背景を説明し始め、曰くメアリーは悪魔の子であり簡単には死なない身体を持つ上、その悪魔の力を正義に生かして人々を魅了することによって世界を征服しようとしていたが、彼らの「財団」が阻止して彼女を収容したのだという。その後、AKYSはONDISKと会話を交えると、ONDISKは野獣がメアリーと似た性質を持っていると指摘し、彼こそが本当のメアリー・スーなのかもしれないと告げる。

戦時少女の墓と野獣

遠野とデートをしていた野獣は便意に耐えかね、明らかに曰くのありそうな場所で用を足したため、以来悪霊に取り付かれて空襲を受けた街の風景を幻視するようになる。AKYSはITO(伊藤文學)とともに野獣の除霊を行おうとする中、ITOはことの元凶である「戦時少女の墓」について野獣に教える。曰く、野獣が用を足した場所は鈴木丸子という戦時中の少女を供養するために作られた墓で、丸子は両親が反戦論者だという風評を事実に反して町長から流された挙句、母親とともに殺害され肥溜めの中に遺棄された。それ以来、変死などの事故が多発するようになり、母子の供養が行われるも、娘の悪霊が供養しきれなかったことからこのような墓が作られた。しかし、今朝ITOが見回りに行くとその墓は跡形もなくなっていたといい、野獣はその写真を見せられる。AKYSは墓について思い当たることを野獣から聞き出すが、野獣のあまりにも罰当たりな行為を聞いて除霊を諦める。その後、野獣は楓ちゃんを持ち出し、襲ってきた戦時少女の霊を吸収させようとするが、逆に楓ちゃんの逆鱗に触れ、戦時少女の霊とともに吸収される。

(この回はレインコートオリジナルのようだが、レイソコートの釣り動画をネタにしたり、戦争被害者をネタにしたりと、妙に攻めている表現が多い。)

完全変態倶楽部

恋人の遠野がデートの最中に突如姿を消し、野獣は彼の姿を探し回る。しかし、その姿は見つからず、代わりに野獣のスクールバッグの中から見覚えのない白い箱が見つかり、その中からは遠野のものと思われる顔面の皮膚が発見される。また、野獣の友人であるジョニィのバッグの中からも白い液体がかけられた耳や眼球が白い箱に入った状態で発見され、彼は危険を察し始める。そしてその翌日、野獣たちは不審な人物が運転する自動車に突如追われ、逃げることができず捕獲される*6

その後、ジョニィは見知らぬ場所で目を覚まし、拘束を解いて周囲を探索すると、そこでは仮面を着けて武装した人々が血みどろの男たちに暴行を加え続けていた。そして、ジョニィは探索の末に、行方不明だった野獣の父や遠野などが変わり果てた姿になっているのを見つける。加害者の集団に追われて犯行現場を脱出したジョニィは近辺に車を停車させていたMUR母に助けを求め、集団から市街地へ逃れる。そして翌日、犯行を撮影した動画を警察に見せるが、警察は素っ気ない態度でそれに応対し、ジョニィは不信感を抱く。

そんな中、ジョニィは鞄の中から白い箱に入ったUSBメモリを見つけ、その中にあった動画を警戒しながらも再生すると、そこでは四肢を失った野獣がかつて見た犯行現場で大蛇に飲み込まれていた。ジョニィはその映像を友人のAKNMに見せるも、彼は犯行が実在のものだと信じようとしない。しかし、ジョニィはそれまでのAKNMの言動を疑い、彼が犯人の一人だという推理を突きつける。AKNMはその推理を否定するが、彼の着けている不自然な手袋に一番の証拠が隠されていると睨んだジョニィは、その手袋を外させる。すると、そこには大きな切り傷があり、それはかつてジョニィが犯行現場で犯人の一人と戦闘したときに付けた傷と一致していた。AKNMはジョニィを殺害しようとするが阻止され、他の犯人とともに逮捕される。しかしその後、AKNMは仮面を被った警察官たちのもとで殺害され、犯行が断絶されたわけではないことを匂わせる。

放送禁止アニメを見つけた空手部

空手部3人組は「カイカク君」というアニメをネット上で見つけ、MURは興味津々でその内容に見入るが、それは視聴の最中に権利者の申し立てによって削除される。それから一週間後、3人はマニア向けのニューハーフヘルスの噂を聞き、実際に利用しようと人気のない地域まで足を伸ばすが、店は3日しか続かずに潰れたことを知り、当てが外れた腹いせに近くの喫茶店の廃墟を物色しに侵入する。するとそこで頭が肥大化したミイラを発見し、価値を感じた野獣は持ち帰ろうとするが、何者かに警察へ通報されたことに気付いて逃走する。翌日、3人はジョニィが発見した「カイカク君」の第3話を視聴するが、登場人物の一人の頭が肥大化して金庫部屋に閉じ込められる描写を見たKMRは、そこに昨日見た光景との共通点を見出す。また、第3話の投稿日が今日だと知り、このアニメが発見された場所が昨日の喫茶店ではないかと推測すると、KMRは身の危険を感じ始める。

一方、その一週間後には「カイカク君」の背景の写真が京都の淀城で撮影されたものだという指摘がネット上で出始め、なぜかそこでオフ会が開催されるという流れになる。野獣たちはカイカクくんに関係する品を発掘してメルカリに出品しようと目論み会場に赴くが、その際にKMRはMNRの制止を聞き流す。その後、野獣たちが淀城周辺の会場に訪れるとオフ会はなぜか盛況で、参加者たちは金属探知機を渡され、地中のビデオテープやCDを探すようにと頼まれる。すると、しばらくの捜索の後、池の中からは「カイカク君」の最終回と人の手首が発見され、参加者たちは騒然となる。しかし、その場面はノイズとともに途切れ、野獣たちは何事もなかったかのようにMURの自宅に戻って食事しながら談笑する。

その最中、ジョニィは「カイカク君」の最終話を発見したと言って3人とともに観始めるが、それはアニメではなく「カイカク君」の内容すべてを事実だと主張する告発であり、食人や洗脳、カルト宗教を広めている組織が実在することを伝えようとするものであった。しかし、映像の途中でドアを叩く音やガラスの割れる音が入り込むと、話していた人物は取り乱し始め、組織の名が「リモデリ」「RM」であると明かした後、助けを求めて叫び、映像はそこで終わる。方や、その場を訪れたMNRは野獣やKMRがすでに手遅れな姿になっていると告げ、淀城からどうやってここに戻ってきたかを聞くが、野獣たちは普段通りに言葉が発せなくなる。するとノイズとともに場面が切り替わり、謎の人物が実験の中止と破棄を指示すると、頭が肥大化し目の飛び出たKMRの姿が明かされる。

エルサゲートを見つけた空手部

エルサゲート」の項目を参照。

参考文献


関連項目


コメント

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注釈

*1 shota@tさんのツイート: "ドクマムシは多分ポケモンで使われてるやつ以外で知ってる宝石がガーネットしかないんじゃないかなあ" — https://twitter.com/shota_at_t/status/953207524949336064

*2 白地ちゃんねる2・「極・魔導考察」スレ — http://ecoroecoro.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16103660、52レス目によると、仮にガーネットがドクマムシの誕生石だとすれば「彼の誕生日はおそらく1994年1月1日〜1月10日の間だと思われる」とのことだが、これはドクマムシ本人が公開しているプロフィールとは一致しない。

*3 このとき、野獣父は裏S区民が「甥の御祝儀」を持参してきたのを見て怒り出すという意味不明な描写があるが、これは『秘封霖倶楽部』の同じストーリーにも全く同じ形で存在している。ただし、それでも突然甥の祝儀が出てくる意味は分からない。祝儀とは結婚式に持参するものであって葬式に持ち込むものではない。

*4 「カフカ」は『秘封霖倶楽部』の「コトリバコ」の回にも名前が出てくるが、ドイツ文学の『変身』の作者としても知られるようにドイツ人名である。即ち、物語の出来事の背景にドイツ人が関与している可能性が微粒子レベルで存在する…?

*5 「子取り」は間引きか誘拐のどちらかを表すが、「子取り箱」の「子取り」は子孫そのものを奪うことを表すようだ。

*6 『秘封霖倶楽部』でも同様に霖之助たちが変態倶楽部に追われる場面があり、このとき霖之助たちは警察署に助けを求めるが、「留守中」の看板を見つけて当てが外れる。これは明らかに不自然な描写だったが、一方で怪談金玉袋では野獣たちの助けを求める先が交番に変更されていたので、レインコートもさすがにその間違いには気付いたようだ。