『K』(ケー)は、WOLF RPG エディター(ウディタ)によって製作され、匿名で公開されたアドベンチャーゲーム。公開された時期はおよそ2015年の9月前後と考えられる。2018年3月4日に「
例のゲーム『K』
」として検索してはいけない言葉 Wikiにも登録された。
『たくろう』とよく似た経緯・経路で動画化・拡散されている(内容にも似たような表現方法が用いられている)が、作者は実況プレイ動画の投稿者(Shota)から本作について詮索されると著作権の放棄を明言し、配布とサポートを終了した。
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概要
外観や操作感は簡素なつくりのRPGと言ったところで、ウディタの提供するゲームシステムをほぼそのまま用いている。黒猫を操作して移動できるが、開始時点から四方にマップ移動が分岐しており、一度マップ移動を行うと元のマップには戻れない。探索中は街の住人に話しかけたり、拾ったメモを読んだりすることで、ネガティブな意図の取れる英文がたびたび現れ(これらは専用まとめサイトの
テキスト資料集
でも閲覧できる)、他にも不気味な動画が再生される箇所が多々見受けられる。ただし、追ってくる敵から逃れなければならない箇所があり、接触されると、人間の顔写真から切り抜かれて拡大されたような目と口だけの、紫色の顔の画像が画面いっぱいに表示され、タイトル画面に戻される。なお、戦闘が発生する場面があるが、戦闘にゲーム性はなく、すぐに終わる。
『
Sad Satan
』の影響を受けて作られており、BGMの選曲(「
私の好きな天安門
」の逆再生、乱数放送の「スウェーデン狂詩曲」など)は『Sad Satan』のものをそのまま流用しているが、独自にRADWIMPSの「五月の蝿」という曲を加工して採用している箇所があるという。また、同様に『Sad Satan』の影響を受けていると思われる点として、所々で日本の凶悪犯罪者(宅間守、宮崎勤、酒鬼薔薇)の写真が表示されたり、虐待・殺害された猫「こげんた」の遺体写真(モザイク処理済みだが、スターアイランド曰く残酷さは十分伝わってくる程度のものらしい)が表示されたりする場面がある。
経緯
このゲームは何とも怪しい経緯で動画サイトに広められた。発端は2015年9月、ゆっくり実況プレイ動画投稿者スターアイランドのask.fmに投稿された実況プレイリクエストだった。このリクエスト投稿者はリクエストした経緯について「他のゲーム実況者にリクエストしたが応えてもらえなかった」と説明。スターアイランドはリクエストに応えてニコニコ動画上に実況プレイ動画を投稿した。しかし、直後にゲームの配布サイトは消滅。さらにこの実況プレイ動画には糾弾のようなコメントが殺到したらしく、続いてShotaが投稿した動画にも同様のコメントが集まった。これらのコメントは動画投稿者の二次配布行為に対する批判から始まったが、動画投稿者たちのツイッターを監視していることを威圧的に主張するものや、なぜかゲーム作者の正体等について根拠のない推理を披露しながら攻撃するものもあった。しかし、スターアイランドもShotaもYouTubeに移動するとそうした攻撃はなく、YouTubeでの『K』の動画はむしろ好評で、しかもShotaがニコ動での非難のコメントに対してNG登録を行ったところ全て同一人物による被害だったことが判明。
やがて、同年10月末にShotaはゲーム作者と連絡を取り始め、作者は自身が日本人であること(しかし日本人だと知られたくないらしい)、ゲームの題材が近所の人間の虐待で殺害された飼い猫であること、そして『Sad Satan』を参考にこのエピソードをゲーム化しようと思い立ったことを明かした。明確に動物虐待を非難する意図を込めたという。(なお、紫色の顔の画像は作者の顔写真を加工したものらしい。また、BUMP OF CHICKENの楽曲に黒猫の物語を歌詞とする「K」というものがあるが、このゲームの着想には一切関係がないらしい。)しかし、ほどなくして作者はこのゲームの著作権を放棄すると明言し、二次配布を許諾したのちに消息を絶った。
ただ、こうしたエピソードの反面、結局のところ実況プレイのリクエスト自体が作者の自演によるものだったのではないかという指摘は多い。中でもその根拠を知る人物がShotaのツイッターへリプライを送っていたらしく、曰く「リクエストした人物が昔作ったGIF画像に『K』に使われた曲のPVが使われている」、「英語でメールを送ってみたが下手な英文が返ってきただけ」(つまり彼が『K』の英文と同等に拙い英語を用いることを指摘している?)とのことだが、この情報を掲載したまとめサイトには裏付けとなる情報がなかったので詳細は不明。また、作者が言った通りの動物虐待を非難するゲームにしては内容が一貫しておらず、スターアイランドはむしろ動物愛護に対する反感を表現したゲームではないかという感想を示した。まとめサイトの作者であるShotaはゲーム作者の「自分の正体を詮索しないでほしい」という要求を律義に守り、実況プレイをリクエストした人物の名前や詳しい情報を伏せている。
なお、冒頭で言及した『たくろう』について、表面的な特徴の類似などは見当たらず、関連性はあまり指摘されていない。が、ストーリー性の低いアドベンチャー要素、断片的な文章による抽象的表現、画像によるジャンプスケアなどといった表現方法にはわずかながら共通するところがある。また、第一に発見された経緯が怪しいところはよく似ているが、『K』が深層ウェブのゲームとされる『Sad Satan』を題材にしたように、『たくろう』もまた深層ウェブを題材にした可能性があり、そうでありながらどちらも深層ウェブで配布された作品ではないが、いずれにせよ単にスターアイランドがゲーム作者から匿名で宣伝に利用されているだけという疑いも否めない。
参考サイト
- K - Shotaによるまとめサイト。プレイ動画もここから参照できる。ただしゲームの経緯の解説は内容が雑多であまり快適に読めたものではない。
- 例のゲーム K - 検索してはいけない言葉 Wiki - atwiki(アットウィキ)
- ガチでヤバすぎるカルトゲーム - YouTube - 登録者数180万のYouTuberに紹介された。
関連項目
コメント
K/コメントログ(2020年05月25日のコメント)
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