三面鏡の少女 18
将門により宴の閉幕が告げられるしばらく前
会場内を見回しながら歩いていた呪われた歌の契約者が、壁際でちびちびとワインを傾けていたドクターところに近付いてきた
「あの……あの子、何処へ行ったか見ませんでしたか? なんだかお酒を飲んではしゃいでいたようで、見失ってしまって」
やられた事をはしゃいでいたで片付けられる辺り、大物というか特殊性癖というか
「ボクも途中で見失ってしまった。動きは速くはなかったが、どうも捉え難い動きをしていたようだからな。酔拳の才能でもあるのかもしれないな彼女は」
そう言うとドクターはワインを手近なテーブルの上に置き、すん、と鼻を鳴らした
そして会場の片隅にある一つのテーブルに歩み寄ると、そのテーブルクロスを捲り上げた
そこには酒瓶を抱いて幸せそうに眠りこける三面鏡の少女の姿があった
「……見失っていたのではないのですか?」
「ああ。しょうがないから彼女の匂いで探した」
「……匂いですか」
「ああ。アルコール臭が強かったから自信は無かったのだが、意外となんとかなるものだな」
会場のあちこちにあった布類を集めてさながらハムスターの巣のようになったテーブルの下から、少女をずるずると引きずり出すドクター
「彼女は酔いが抜けたら自宅に送っておこう。両親が不在とはいえ部屋が酒くさいとまずいだろう」
「今晩は診療所の方に?」
「ああ、大丈夫だとは思うが飲み過ぎて体調を悪くしていては困るしな」
少女を抱きかかえたドクターは、呪われた歌の契約者に微笑を向ける
「心配しなくても、これからは求められなければ積極的には関わらないようにするさ。曲がりなりにも『組織』の所属である契約者が『第三帝国』と関わりが深くなるのは心配なのだろう?」
「……私からは、何も」
そういった気遣いが本当に必要ならば黒服Hが動くだろうし、深刻になるのであればとっくに担当の枠を越えて黒服Dが動いているだろう
ただ余計な事だけは言わないよう、極力言葉は抑えておく
「いずれは『組織』や『薔薇十字団』にもきちんと挨拶をしたいのだが……今日の成果を見ると難しそうだな。まったく総統閣下達も嫌われたものだ、お陰でボクらが割を食う」
珍しく眉間に皺を寄せて、盛大に溜息を吐くドクター
身長はあるが力があるわけではないためやや頼りない足取りで、ドクターは少女を連れて会場を後にするのであった
会場内を見回しながら歩いていた呪われた歌の契約者が、壁際でちびちびとワインを傾けていたドクターところに近付いてきた
「あの……あの子、何処へ行ったか見ませんでしたか? なんだかお酒を飲んではしゃいでいたようで、見失ってしまって」
やられた事をはしゃいでいたで片付けられる辺り、大物というか特殊性癖というか
「ボクも途中で見失ってしまった。動きは速くはなかったが、どうも捉え難い動きをしていたようだからな。酔拳の才能でもあるのかもしれないな彼女は」
そう言うとドクターはワインを手近なテーブルの上に置き、すん、と鼻を鳴らした
そして会場の片隅にある一つのテーブルに歩み寄ると、そのテーブルクロスを捲り上げた
そこには酒瓶を抱いて幸せそうに眠りこける三面鏡の少女の姿があった
「……見失っていたのではないのですか?」
「ああ。しょうがないから彼女の匂いで探した」
「……匂いですか」
「ああ。アルコール臭が強かったから自信は無かったのだが、意外となんとかなるものだな」
会場のあちこちにあった布類を集めてさながらハムスターの巣のようになったテーブルの下から、少女をずるずると引きずり出すドクター
「彼女は酔いが抜けたら自宅に送っておこう。両親が不在とはいえ部屋が酒くさいとまずいだろう」
「今晩は診療所の方に?」
「ああ、大丈夫だとは思うが飲み過ぎて体調を悪くしていては困るしな」
少女を抱きかかえたドクターは、呪われた歌の契約者に微笑を向ける
「心配しなくても、これからは求められなければ積極的には関わらないようにするさ。曲がりなりにも『組織』の所属である契約者が『第三帝国』と関わりが深くなるのは心配なのだろう?」
「……私からは、何も」
そういった気遣いが本当に必要ならば黒服Hが動くだろうし、深刻になるのであればとっくに担当の枠を越えて黒服Dが動いているだろう
ただ余計な事だけは言わないよう、極力言葉は抑えておく
「いずれは『組織』や『薔薇十字団』にもきちんと挨拶をしたいのだが……今日の成果を見ると難しそうだな。まったく総統閣下達も嫌われたものだ、お陰でボクらが割を食う」
珍しく眉間に皺を寄せて、盛大に溜息を吐くドクター
身長はあるが力があるわけではないためやや頼りない足取りで、ドクターは少女を連れて会場を後にするのであった