エンジェルさん 10
「ん……久しぶりにこんなにのんびりしたなあ……」
「だからと言って夜まで寝る奴があるか」
「だからと言って夜まで寝る奴があるか」
起きたら夜だった。……うん、寝すぎたって事はわかってるよ。
「寝坊! 寝坊!」
「自分でもなんだが、寝坊ってレベルじゃねーぞ」
「自分でもなんだが、寝坊ってレベルじゃねーぞ」
正直体がだるい。寝すぎるとだるくなるって本当なんだな。
「さて……俺買い物行くけどついてくるか?」
「行く! 行く!」
「行く! 行く!」
アンサーは即答。うん、素直でよろしい。
「ついていってやらんでもない」
「よし、おっさんは置いていくか」
「ちょっと待て」
「よし、おっさんは置いていくか」
「ちょっと待て」
素直じゃない奴は知るか。可愛い女の子ならまだしも、おっさんは知らん。
「なんだよ、勝手についてくればいいだろ?」
「まあな」
「買い物! 買い物!」
「まあな」
「買い物! 買い物!」
そうして俺達は買い物に出た。
そこでまさかあんなことが起こるなんて知らずに……。
そこでまさかあんなことが起こるなんて知らずに……。
*
「じゃあ、そこで待ってろよ」
「わかった! わかった!」
「わかった! わかった!」
二人を外に残して店に入る。二人がついてくると、どうしても不自然な動きになってしまう。
「それにしてもコタツでアイスの良さがわからないなんて……」
俺は大好きなのに二人には賛同してもらえなかった。なぜだ……。
「あ、欲しいものあるか聞くの忘れた」
二人はすぐ外で待っているはずだ。一旦商品を棚に戻し、俺は店の外に出た。
「……あれ?」
待っていろと言った場所に二人がいない。なぜだか分からないが、嫌な予感がする。
「おっさん! アンサー!」
二人の名を呼びながらあたりを探す。少し外れた道で、倒れているおっさんとアンサーを見つけることが出来た。
「おい、どうした?! おい!!」
取りあえず近かったおっさんを助け起こす。だが、何かがおかしい。
「え? あ、え? お、女?!」
女だった。他の人と間違えたかと思ったが、アンサーも近くに倒れている。 それに、こんな奇妙な服を着た女なんて、見たことが無い。
「お、おっさん? アンサー?」
「……契約者? 契約者?」
「ん……青、年」
「……契約者? 契約者?」
「ん……青、年」
顔も声も体も完全に女だ。何だこの状況。
「何だその顔」
「まあ、取りあえずこれ着てくれ」
「まあ、取りあえずこれ着てくれ」
顔をそらしつつ、着ていた上着を渡す。おっさんの服装はエンジェルの名のとおり、白いひらひらとした服。そして片乳がでている。まあ、そういうことだ。
「ん? ああ……え?」
「女! 女!」
「女! 女!」
体の変化に気付いたようだ。アンサーは体が無いせいで分かりにくいが、女顔になっている。ぶっちゃけ可愛いです。そしておっさんが美人なことに複雑な気持ちです。
「とりあえず、なにがあったんだ?」
「たしか……ん?」
「たしか……ん?」
おっさんが思案顔になる。悩んでる女の顔っていいよね! とも思ったが元がおっさんだしなあ……。
「記憶が、ない」
「は? ……アルツハイマーか」
「違う! そこだけすっぽり記憶が無いんだ」
「は? ……アルツハイマーか」
「違う! そこだけすっぽり記憶が無いんだ」
記憶が無い。……まあおっさんならアルツハイマーでも仕方ないよね!
「アンサー、何があったんだ?」
「……思い出せない。思い出せない」
「……二人とも記憶が無い?」
「……思い出せない。思い出せない」
「……二人とも記憶が無い?」
おっさんだけならまだしも、二人とも記憶が無いとは不自然だ。
「えー……あ! 確か都市伝説の気配を感じて……近づいたら甘いガスをかけられたような……」
「女体化、甘いガス、都市伝説……あ! 『マッドガーサー』か!」
「女体化、甘いガス、都市伝説……あ! 『マッドガーサー』か!」
前に聞いた事がある。なんでも、男を女に変えるガスをもったマッドガーサーがいるっつー話だったが……。
ははは、俺にそんなこと聞かれても。
「まあ、他にも被害受けてる人もいるだろうし、協力すれば治るんじゃね?」
「それまでこの重い体でいなければいけないのか……」
「他にも被害者がいないか捜し歩いてみるか」
「それまでこの重い体でいなければいけないのか……」
「他にも被害者がいないか捜し歩いてみるか」
そうして俺たちは夜の街を練り歩くことになった。