「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-42d

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 がちゃり、玄関から音が聞こえてきて
 あぁ、黒服が帰ってきたんだな、と認識した
 はないちもんめの少女は、ちょうど風呂に入っている時間帯だ
 だから、「日焼けマシン」の契約者が、黒服を出迎えて…

「おかえ…………っ!?どうしたんだよ、そいつ!?」
「負傷していたところを、保護してきました。手持ちの「蝦蟇の油」だけでは、完全に治療してきれていません…すみません、私の部屋から、予備の「蝦蟇の油」をとってきてくださいますか?」
「あ、あぁ」

 黒服が背負っていたのは、傷だらけの少女
 これでも「蝦蟇の油」で応急処置をした後、という事は…本来の怪我は、どれほどのものだったのか?
 通常の人間であれば、死んでいたかもしれない
 とにかく、「日焼けマシン」の契約者は、急いで黒服の部屋に向かう
 ……酷く、片付いた部屋だと思う
 そもそも、まず物が少ないのだから散らかりようがないのかもしれないが…そうじゃなくても、あの黒服ならば、部屋が散らかるなどと言う状況にはならないだろう
 飾り気も何もなく、この部屋すらも仕事場でしかないような、そんな場所
 そんな部屋の棚にあった「蝦蟇の油」をあるだけとって、「日焼けマシン」の契約者はリビングに戻った
 既に、黒服は少女をソファーに横たわらせていて

「ほら、黒服」
「ありがとうございます」

 「日焼けマシン」の契約者から「蝦蟇の油」を受け取り、黒服は慣れた手つきで治療をはじめる
 元々、後方支援が担当の黒服だ、「都市伝説」を利用しての治療は手馴れているのだろう


 …そして、その様子を見ながら
 やはり、黒服は優しいな、と「日焼けマシン」の契約者は考える
 見ず知らずの相手でも、こうやって助けようとして
 ……その際に発生するであろうリスクなど、彼はカケラも考えはしないのだ
 子供相手ならば、未成年相手ならば、特に
 必ず、助けようと動く
 そして、助けられなければ……きっと、とても、とても後悔して、自分を責めるのだ
 いや、たとえ助けられたとしても、後悔するかもしれないし、自分を責めるのかもしれない
 もっと早く助けられなかったか、などと、彼は考え続けるのだ

 …その優しさに自分も助けられたから、こそ
 「日焼けマシン」の契約者は、黒服のこの優しさを支えてやりたいと…そう、考えるのだった



「…それで、彼女、どうするの?」

 はないちもんめの少女が風呂からあがってきた頃には、治療は終わっていた
 少女はすやすやと、小さく落ち着いた寝息を立てている

 …どうするの?と言うのは
 保護したからには放っておく訳にはいかないが、ようは…今夜、何処で寝かせるのか、という事
 何せこの家は、三人で生活する為の家
 一応客室に使えそうな部屋はあるが…その部屋に、寝台は用意していない
 この家に存在する寝台は、三つしかないのだ
 ならば、この少女を何処で寝かせる?

「私の寝台を使えばいいかと。私はソファーで寝ますから」
「「それは駄目」だ」

 即答する、「日焼けマシン」の契約者とはないちもんめの少女
 ものの見事に、セリフが被った

「あなたも疲れているんだから、ちゃんとベッドで寝ないと駄目でしょ?」
「心配知るのはわかるけど…俺達も、お前の事が心配なんだからな」

 主に、黒服がソファーで寝るのは断固拒否、むしろ阻止
 二人の様子に、黒服は少し困ったような表情を浮かべる
「ですが、この子をソファーで寝かせる訳にも…」
「俺のベッド使えばいいさ。俺がソファーで寝るから」

 あっさりと、「日焼けマシン」の契約者はそう言い切った
 ソファーで寝るくらいは、平気だ

 …ただ、その提案に
 はないちもんめの少女が、やや怪訝な表情を浮かべる

「…?どうした?」
「いえ、別に」

 「日焼けマシン」の契約者は、その契約している都市伝説の関係なのか、寒さには強いようだが暑いのは苦手らしく
 そのせいか、大抵いつも薄着だ
 そして、それは女体化している今も変わらず、家の中ではノースリーブのシャツ一枚と言う格好だ
 当然、下着なんぞない
 その状態で、ソファーで寝たら…どうなるか?
 おもに、ぽろり的な意味で
 恐らく、本人はカケラも気にしないだろうし、黒服もその手の事に関しては関心がない為、気にしないのかもしれないが
 ……色々と、どうかと思う
 それを突っ込むべきか否か、はないちもんめの少女はそう悩むのだった



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