マッドガッサーと愉快な仲間たち 20 「マッドガッサーの憂鬱」
都市伝説は、人間と契約を結びやすい存在と、結びにくい存在とに二つに大きく分ける事ができる
それは、契約リスクの問題もあるが、他に…その都市伝説の「在り方」も大きく関係してくる
元々人間に友好的な都市伝説や、そうじゃなくとも、人間たちが恐怖を抱いてこない都市伝説ならば、契約しやすい事だろう
それは、契約リスクの問題もあるが、他に…その都市伝説の「在り方」も大きく関係してくる
元々人間に友好的な都市伝説や、そうじゃなくとも、人間たちが恐怖を抱いてこない都市伝説ならば、契約しやすい事だろう
……だが、自分は
女子供だけを狙い、毒ガスで殺して回る存在
軍の人体実験など、ほの暗い背景が付きまとう都市伝説
そんな都市伝説と積極的に契約したがるのは、悪人か狂人のみ
そして、そんな都市伝説は…すぐに、誰かに討伐される
女子供だけを狙い、毒ガスで殺して回る存在
軍の人体実験など、ほの暗い背景が付きまとう都市伝説
そんな都市伝説と積極的に契約したがるのは、悪人か狂人のみ
そして、そんな都市伝説は…すぐに、誰かに討伐される
生まれてこの方、誰かと契約した事はない
ただ単体で存在し、生まれたその都市伝説の噂のままに殺し続けた
そうして暴れているうちに、スリーピー・ホロウによって首を切り落とされ、絶命して…
ただ単体で存在し、生まれたその都市伝説の噂のままに殺し続けた
そうして暴れているうちに、スリーピー・ホロウによって首を切り落とされ、絶命して…
再び生を得た、その時
何故か、自分は二人に分裂していた
何故か、自分は二人に分裂していた
片割れは、今まで通りの毒ガスを使うマッドガッサー
そして、自分は…通常語られてもいない、特殊な毒ガスを使うマッドガッサーに
二つに、別れてしまった
原因は、わからない
ただ、都市伝説の中には、生まれてくる際に通常語られるのとは全く違う、突然変異的な個体が生まれる事がある事は知っていた
だから、復活した際、どう言う原因か理由かはわからないが、自分がそれになったのだと…ただ、そうとだけ理解した
そして、自分は…通常語られてもいない、特殊な毒ガスを使うマッドガッサーに
二つに、別れてしまった
原因は、わからない
ただ、都市伝説の中には、生まれてくる際に通常語られるのとは全く違う、突然変異的な個体が生まれる事がある事は知っていた
だから、復活した際、どう言う原因か理由かはわからないが、自分がそれになったのだと…ただ、そうとだけ理解した
一つから別れた二つの都市伝説
通常ならば、共に行動するところだろう
通常ならば、共に行動するところだろう
…だが、自分は片割れと離れた
共に行動はできなかった
片割れは、マッドガッサーと言う都市伝説にまつわる暗い面を全て受け継いだかのような存在だった
積極的に殺して回る
役に立たないならば、片割れでも捨石として利用する…ただただ、非常で冷徹な存在
共に行動はできなかった
片割れは、マッドガッサーと言う都市伝説にまつわる暗い面を全て受け継いだかのような存在だった
積極的に殺して回る
役に立たないならば、片割れでも捨石として利用する…ただただ、非常で冷徹な存在
その片割れと行動し続けるのは、苦痛だった
どうせ、自分のガスでは誰も殺せないのだ
足手まといにしかならないのなら、いつか自分は片割れに殺される
だから、その片割れから逃げるように……遠く離れた、小さな島国までやってきた
どうせ、自分のガスでは誰も殺せないのだ
足手まといにしかならないのなら、いつか自分は片割れに殺される
だから、その片割れから逃げるように……遠く離れた、小さな島国までやってきた
しばらくは、仲間を作ろうなどとは考えなかった
誰かと行動する事に、恐怖すら感じていた
どうしても、己の片割れを思い出してしまい、できなかった
誰かと行動する事に、恐怖すら感じていた
どうしても、己の片割れを思い出してしまい、できなかった
しかし、己の無力さを実感し
やはり、仲間が必要だ、と感じたのだ
そこで、少しずつ、仲間を集めはじめた
マリ・ヴェリテのベート
魔女の一撃とその契約者
「頭を強打すると記憶を失う」の契約者に、スパニッシュフライの契約者
「爆発する携帯電話」と「13階段」
そして、アメリカにいた頃に知り合っていたジャッカロープと、もう一体……とある、巨大都市伝説を仲間にして
少しずつ、少しずつ、周りが賑やかになっていった
仲間がいる事が、仲間と共に行動する事が、酷く心地よくなっていっていた
知らないうちに、仲間と言う存在が大切になっていっていた
やはり、仲間が必要だ、と感じたのだ
そこで、少しずつ、仲間を集めはじめた
マリ・ヴェリテのベート
魔女の一撃とその契約者
「頭を強打すると記憶を失う」の契約者に、スパニッシュフライの契約者
「爆発する携帯電話」と「13階段」
そして、アメリカにいた頃に知り合っていたジャッカロープと、もう一体……とある、巨大都市伝説を仲間にして
少しずつ、少しずつ、周りが賑やかになっていった
仲間がいる事が、仲間と共に行動する事が、酷く心地よくなっていっていた
知らないうちに、仲間と言う存在が大切になっていっていた
…それと同時に、恐怖が芽生える
再び、かつての孤独な状態に戻ってしまう事が
今の仲間を失う事が、恐怖で仕方ない
失いたくない、あの頃に戻りたくないと、強く恐怖する
再び、かつての孤独な状態に戻ってしまう事が
今の仲間を失う事が、恐怖で仕方ない
失いたくない、あの頃に戻りたくないと、強く恐怖する
だが、自分のガスではロクに戦えない
仲間を護るどころか、護られる事しかできないではないか
…ならば、どうする?
仲間を護るどころか、護られる事しかできないではないか
…ならば、どうする?
少しずつ、思い出す
己ではなく、片割れに受け継がれていた知識を
軍が人体実験を行っている、その言われから身につけていた重火器の扱いの知識を
幸い…と言うか何と言うか、少しその手の武器が手に入る機会もあったし
これで、少しは護れるかもしれない
仲間を失わずにすむかもしれない
そう、考える
己ではなく、片割れに受け継がれていた知識を
軍が人体実験を行っている、その言われから身につけていた重火器の扱いの知識を
幸い…と言うか何と言うか、少しその手の武器が手に入る機会もあったし
これで、少しは護れるかもしれない
仲間を失わずにすむかもしれない
そう、考える
…あぁ、でも、油断はできない
この街は、都市伝説が集まっているから
中には、強大な力を持っている奴もいるだろう
集団の力が恐ろしい事も、アメリカにいた頃に味わっている
この街は、都市伝説が集まっているから
中には、強大な力を持っている奴もいるだろう
集団の力が恐ろしい事も、アメリカにいた頃に味わっている
…だが
この仲間を失うものか
お前たちなどに殺させるものか
この仲間を失うものか
お前たちなどに殺させるものか
目的のために集めた仲間
だが、今では
だが、今では
目的よりも、むしろ、仲間と共に生き続けたいのだと
時折、ふっと、そう考えるのだ
時折、ふっと、そう考えるのだ
fin