「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 赤い靴-15

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だれでも歓迎! 編集
 姿を現した…すなわち、能力を発動した状態で、赤い靴は契約者の少女と共に歩いていた
 マッドガッサー一味が、不意打ちが得意である事がわかったから、一応警戒しているのだ
 一応、赤い靴は既に女性の姿にされている
 次に襲われたらどうなるか……は、残念ながら、赤い靴には容易に想像できた
 契約者のほうは、あまり想像できていないようだが
 …いや、想像などしてほしくない
 まだ10歳にも満たないロリに、そんな事を想像してはほしくないものだ
 ロリはピュアが一番だろう、常識で考えて

「…どう?気配は感じる?」
「いや、あまり……そもそも、マリ・ヴェリテのベートは気配を隠すのが得意だしな」

 学校町は、都市伝説が多い
 だから、その他の都市伝説の気配に紛れ込まれたら、どうにもならないだろう
 つまるところ…警戒しているしかないのだ、自分たちは
 ならば、騒動が治まるまで…元に戻る方法が見付かるまで、こうやってうろつくべきではないのかもしれない
 しかし、それでは契約者が納得しないのだ
 ガタガタ震えて閉じこもるのは御免、という事だろう
 その気持ちは赤い靴もわからないでもないが……契約者に、危険は及んで欲しくない
 己の身体能力が、本来の姿の頃に比べて明らかに落ちている事を、赤い靴は自覚している
 本来の自分ならば、あの時…Tさんたちと共にマリ・ヴェリテに遭遇した時、押さえつけられても反撃できたはずなのだ
 しかし、あの時の自分は、押さえつけられた状態から動く事すらできなかった
 元々、熊くらいなら軽く殴り殺せるだけの腕力はあったから、女になった今でも、猪を押さえつける程度ならできるかもしれない
 だが、それでも……力が、足りない

 ……今のままでは、契約者を護れるかどうかも、危ういのだ

 出来る限り、早く元に戻りたい
 まぁ、中和方法も聞いた訳だが、あれは却下。色んな意味で
 主に、契約者に見せられないよ!聞かせられないよ!!的な意味で
 ……と
 そうやって、考え事をしていると

「……む、気配を感じる」
「本当?」
「……空中から。魔女の一撃が仲間にいると言っていたから、そっちだろう」
「……空中、はまずいわね」

 戦闘能力に関しては、自分たちは接近戦闘能力しか持っていない
 …一応、赤い靴には銃器の類を扱う知識はあるが、そんな物もっていないし、使いたくもない
 とにかく、空中から襲い掛かってくる魔女の一撃相手には、あまり有利な戦闘は期待できない

「向こうがこちらに気づいているかどうかわからんが……襲い掛かってきたら、退くぞ?」
「えぇ、わかってるわよ」

 むすっとした表情を浮かべながらも、同意してきた契約者
 今の自分達の戦闘力が下がっている事は、彼女も自覚してくれている

 空を飛ぶ都市伝説の気配は、ゆっくりと近づいてきていた
 …気づかれている、ような気がする
 そろそろ、異空間を形成した方が良さそうだ
 赤い靴がそう考え出した、その時

「--------っ!!」

 獣の気配
 マリ・ヴェリテの気配

「不味い……っ!」
「え?きゃあっ!?」

 咄嗟に、異空間を形成する
 そして、そこに咄嗟に契約者だけを押し込めて…

 ばしゃり
 赤い靴の頭上に、空から液体が降り注がれた

 一歩遅かったら、契約者にもこの液体は降り注いでいた事だろう
 急いで、赤い靴も異空間に逃れようとしたが

「----ぅあ!?」

 じわり
 体に、熱が篭る
 体に力が入らず…集中が乱れ、異空間に入り込めない
 これは、まさか

「……ッ媚薬、か」
「ひっひっひっひ!!あぁ~~ったりぃ!」

 けたけた、箒にまたがる魔女が下りてきた
 ……っち、ババアか

「…何だか、この姿になってから始めて、ババアと認識された気がするわ」
「ババアー?」

 てちてち
 駆け寄ってきた、幼女姿のマリ・ヴェリテ
 じっと、赤い靴を見つめてくる

「……前は、よくも騙してくれたな」
「騙すー??」

 マリ・ヴェリテはかくんっ、と首をかしげて
 …そして、笑った

「ひゃはははは、お前が勝手に騙されたんだろぉ?」

 どしゃり
 その場に押し倒される
 時刻は、夕暮れ時
 場所は……北区の公園
 辺りに人気など、ない

「…んじゃあ、楽しませてもらうか」
「ひひひっ、ごゆっくりぃ!私は、主のところに帰ってるわね」

 人狼姿になったマリ・ヴェリテが、赤い靴の体を担ぎ上げる
 きょろ、と辺りを見回し…より、人目に付かないであろう茂みまで、赤い靴を連れ込んだ
 どさり、そこに投げ込まれる

「ぐ……っ、お前の獲物は、女子供だけだったはずだが…」
「ひゃっはは、お前も今は女だろぉ?」

 びりぃっ!と
 音を立てて、着衣が引き裂かれる
 ふるんっ、と豊かな胸元が晒され、体が震えた
 先ほど駆けられた媚薬の影響でか、体が熱い
 ぴちゃり、降りてきた舌の熱い感触に、体が跳ねる

「…っやめ……精神が男の奴をヤっても……楽しくはないと思うがな……!」
「そうかぁ?結構楽しいもんだぞ?」

 けたけたけた、マリ・ヴェリテは笑う
 この言い方……既に、何人かを餌食にした後か
 残酷な笑みを浮かべて、マリ・ヴェリテは続ける

「本来は男なのに、女にされて、男に翻弄される……その絶望した顔は、見てて楽しいぜぇ?そして、その顔がその内、快楽一色に染まる様子!たまらねぇな」
「………っの、下衆が…!」

 ぴちゃり、ぴちゃり
 赤い靴を押さえつけたまま、マリ・ヴェリテの舌は、赤い靴の体を滑り続ける
 濡れた箇所が空気に触れて、じわじわ、熱を生み続ける

「いいだろぉ?別に。てめぇだって、元々は俺と同じような存在じゃねぇか」
「……っ、誰が……!」
「「赤い靴」。異人が女のガキを連れて行く歌」

 ……ぴくりっ
 赤い靴の体が、小さく震える

「連れて行ったガキを、異人はどうした?犯した?殺した?食い尽くした?」
「------っやめ」
「お前、古いもんだが……血の匂いがするぜぇ?」

 ーーーーーーーーーっ
 思い出したくもない記憶が、引きずり出される
 血で染まりきっていた、己の記憶を


 獲物を見つけて、犯せや犯せ
 獲物を見つけて、殺せや殺せ
 肉塊にして、見付かったら大変だ
 それじゃあ、この子をどうしよか?


「…やめ、ろ」
「ひゃはははははは!!変わったつもりかぁ?人殺しじゃない「赤い靴」に!無駄に決まってんだろ!都市伝説が、その生まれの由来から逃れられるとでも思ってんのか?」

 のし、と
 赤い靴に圧し掛かり、その耳元に口を寄せ…マリ・ヴェリテは囁く

「…俺も、な。人食いをやめようとした時期があったよ。正義面した連中に殺されるのもうざくなったからな………だが、無理だった。体が疼くんだよ。犯してぇ、殺してぇ、食いてぇ!ってよぉ!!俺達は都市伝説だ、人間が噂したその性質から変わるなんざ、無駄なんだよ!!」

 ----びりっ、と
 ジーンズも引き裂かれ、下腹部が露出する
 ぴちゃり、舌は今度は両足の付け根を味わいだした

「ひぐ………っ、や、め………っ」
「感じちまえよぉ?堕ちちまえばいいだろぉ?お仲間同士、仲良くしようじゃねぇか……人殺しの、人食い同士としてなぁ!」

 下衆な笑いが、耳を犯す
 ぴちゃり、ぴちゃりと、与えられる刺激が思考を掻き乱す


 嫌だ
 嫌だ、嫌だ、嫌だ!!
 あの頃に戻るなど、御免だ
 自分は、もう二度と幼女を殺したくなどない!!


「…さぁて、そろそろいいかぁ?」

 じっくりと味わい尽くされ、とろり、蕩けてしまったそこから、マリ・ヴェリテはようやく舌を放す
 ……のし、と
 赤い靴に覆い被さり、その豊かな胸元をいじくりながら、笑う

「安心しなぁ?すぐに天国見せてやるからよ」
「----っ」

 逃げ出そうにも、体に力が入らない
 次に来るであろう衝撃に、体を強張らせていると


「----子羊と羊の首を絞めろ」


 どこからか聞こえてきた、子供の声


「子牛と子馬と雌ラバの首を絞めろ」


「-------ぐ!?」

 聞こえてきた、その呪文のような声に
 マリ・ヴェリテは苦しみだす


「…我が家でなければ、どこへでも好きなところへ行け!!!」
「がぁあああああああああああああああ!?」

 マリ・ヴェリテが耳を塞ぎ、苦しむ
 その隙を突いて、赤い靴は何とか、その下から脱出した
 …しかし、体に力が入らず、すぐに倒れそうになって

「大丈夫?」
「……っ、あんた、は」
「…さて」

 がちゃり
 赤い靴の体を抱えた女性……否、女性にしか見えない男性が、マリ・ヴェリテに銃を向けた

「……覚悟はいいわね?マリ・ヴェリテのベート」

 水商売風の服装をした、女性の姿をした男性は
 ライフルを構え、勇ましくマリ・ヴェリテを睨み付けた

「……「幸運の眉毛コアラ」の契約者の……パパさん、か」
「大丈夫?「赤い靴」さん」

 マリ・ヴェリテに向けていた鋭い表情とは違う、優しげな表情を彼は赤い靴に向けてきた
 何度か、顔を合わせた事がある相手だから、赤い靴もちゃんと覚えている
 ……一応、赤い靴が今の女性の体になってからも、一度顔を合わせていたから、きちんと相手もこちらを認識している

「何故…ここに…」
「ちょっとね、お使いの帰りなの」

 じゃきん、と
 彼は、未だ苦しんでいるマリ・ヴェリテに銃を向けたままだ
 よろりっ、とマリ・ヴェリテは体を起こす

「くそ…っ、邪魔すんじゃねぇぞ…!」
「あなたは、私の息子の友人の契約している都市伝説を襲っていたんですもの。だから、あなたは私の敵」

 …向けられている銃口に、マリ・ヴェリテはやや、怯んでいるようだった
 マリ・ヴェリテは最後には銃殺された、と伝説で語られている
 故に、銃は苦手なのかもしれない

「……さぁ、覚悟はいい?地獄への片道キップ…その地獄への行き先も、生ぬるい物ではないわよ」
「っは!!所詮人間如きが、俺に勝てるとでも…」
「----それはどうかのぅ?」

 きひひひひひっ、と
 響いた、笑い声

「……んな!?」

 げごぉっ、と
 何時の間にかマリ・ヴェリテの背後に現れていた、巨大な蝦蟇
 それが、べろぉんっ、と………一瞬で
 マリ・ヴェリテをその巨大な口の中に、飲み込んだ

「きひひひひひひひひっ!!大した事もないのぅ!」

 けらけらと、滝夜叉が笑う
 その影には、赤い靴の契約者の友人である、「幸運の眉毛コアラの契約者」の姿があった

「うー!滝夜叉強いー!うーうー!」

 マリ・ヴェリテを飲み込んだ巨大蝦蟇は、静かにそこに存在し続けている

 …ぱさり
 赤い靴の肩から、コートがかけられた

「大丈夫?あなたの契約者は?」
「……何とか。彼女は、異空間に避難させたから無事だし…何も、見ていない」


 何も見ていない
 何も聞いていない
 知らない、わからない

 自分が、マリ・ヴェリテにされた事を彼女は何も見ていないし知らない
 自分が、マリ・ヴェリテに言われた事を、彼女は何も聞いていないしわからない

 ………彼女は、何も知らないままでいい


「とにかく、場所を移動しましょ?」
「あぁ…そう、だな」

 …ひとまず、服が欲しい
 いや、その前に、契約者を異空間から出してやるべきか
 赤い靴が、異空間を解除しようとすると

「………うー!不吉、うーうーうー!!」
「-----っ」

 …げごっ!?と
 蝦蟇が、苦しげな声をあげ出した
 その背中が、不気味に盛り上がり始める

「-----っまさか!?」

 ぼごぉっ!!と
 蝦蟇の背中が……裂けた
 そこから、血塗れた巨大な獣が姿を現す

 ---おぉおおおおおおおおおん!!
 獣の咆哮が、空気を振動させる

「…あの程度では死なぬと言うか!?」

 滝夜叉が、今度は髑髏を出現させてマリ・ヴェリテを攻撃しようとする
 しかし、マリ・ヴェリテは身を翻し……こちらに背を向けて、一目散に逃げ出した

「逃がさないわっ!!」

 ずどぉんっ!と銃声が響く
 しかし、マリ・ヴェリテは素早い動きでその銃弾を避け、公園から逃げ出していった
 その姿は、一瞬で見えなくなる

「…追いかけるわ」
「いや、待て……相手には「爆発する携帯電話」や「13階段」がいるんだ。そいつらが戦える場所におびき寄せられると…不味い」

 ---薬の影響が、ようやく抜けてきたようだ
 都市伝説であるが故に、影響が薄れるのが早いのだろう
 ようやく、意識がはっきりとしてきた

「うー……「13階段」は不吉ー!階段の中に飲み込まれるー!うーうー!!」
「…仕方ないのぅ」

 「幸運の眉毛コアラ」の少年の言葉もあって、滝夜叉とその契約者である彼は止まってくれたようだ
 ほっと、赤い靴は息を吐く

 ……あぁ、そうだ 
 早く、契約者を異空間から、出してやらないと
 空間を制御して、現実と異空間の間に隙間を作る
 そこから、こちらを見ている契約者の姿が…
 否
 睨んでいる、契約者の姿が見えて

「-----がはっ!?」

 契約者の放ったとび蹴りを、まともにくらい
 赤い靴は、その場に突っ伏したのだった

「っあんたねぇ!!いきなり人だけ異空間に押し込んで!!あんたがなかなか来ないもんだから、どれだけ心配したと思ってるの!?」
「よし、まずは落ち着け。わりと本気で痛い」

 みし、と
 遠慮なしに後頭部を踏みつけられる
 うん、その、痛いのわりと平気でちょっぴり気持ちいいのだが、地面とキスしたままはちょっと

「うー、怒っちゃ駄目、うー」
「う……わ、わかったわよ」

 あぁ、ありがとうコアラショタ
 そのピュア心がありがたい

「この人は、あなたを護ろうとしたんだから。あんまり怒っちゃ駄目よ?」

 滝夜叉の契約者も、援護射撃してくれた
 …やや、むすっとした表情のまま、契約者は赤い靴を見下ろしてくる

「…あんたは、あたしが契約した都市伝説なんだから。勝手に一人で危険な状態になってるんじゃないわよ。わかった?」
「………わかった。善処する」

 小さく、苦笑する
 …まったく、このお嬢様ロリは
 こちらのことを、所有物とでも思っているのか

 ……まぁ、それでもいい
 彼女に、あの残酷で残虐で、血にぬれてばかりだった頃の自分を、知られないですむのなら
 そんな扱いでも……自分は、全く構わないのだ

「とにかく…何があったのか聞かないけど、その状況でうろつきまわるのは色々とアレよね、一旦、能力の発動を解除するわよ」
「あぁ、わかっている」

 ほぼ全裸の上に、コートのみの姿

 この格好で、姿を現したままうろつくのは危険だろう、常識で考えて
 いや、能力を発動していなくとも、この目の前の親子のように霊感がある相手には効果はないのだが…


 …ひとまずは、危機を乗り越える事が、できた
 だが、自分一人では…どうにも、ならなかった
 やはり、元に戻らなければ……自分は、契約者を護りきれない

 目の前の大切な契約者をじっと見詰めながら
 赤い靴は、早く元に戻ろうと、決意を新たにしたのだった





終わる






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