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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ※ただしイケメンに限る-03

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匿名ユーザー

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【平唯の人間観察 第三話「家庭科テイカー」】

「さて、今日は皆さんに転入生を紹介しま~す!」
「え?転校生?」
「ウッソー!超楽しみじゃない?イケメン!イケメン!」
「もしかして超美少女とか?うっは、たまんねえな!」
ざわつく教室。
我関せずで眠っているのは勿論私こと平唯である。
人とは外見に簡単に囚われる愚かな生き物なのである。
まあ見た目に内面が現れるのは紛れもない事実なんだけどね。
すこし眼を開いてチラリと見てみると……

「こんにちわ!旗出幸司です!
 趣味は車と映画です!
 みんなよろしくぅ!」
黒服Fが其処には居た。
いやいやいや……、何でいるのあんた?
「旗出君は平さんの隣に座ってね?」

恰幅の良い国語の女性教師―――――私の担任が私の隣のぽかんと空いた席を指さす。
クラスの隅っこの席だ。

「よろしくね!平さん!」
馴れ馴れしく私に話しかけてくる。
うっせえ……。
私は学校じゃダウナー系(美)少女で通ってるんだよ!
「……よろしく。」
さりげなく紙を手渡された。
「これからしばらくここの都市伝説の保護観察をすることになっちゃった。
 よろしく頼むよ!」
その場で破り捨てた。

休み時間。
奴はわりと人気だった。
クラスメイト達に囲まれて質問攻めにあっていたのである。

「どこから来たの?」
「学校町から!」
「学校町って町全体がミステリースポットになってる場所?」
「そうそう、まさにそこ。」
「好きな車は?」
「DMC-12」
「好きな映画は?」
「真夜中のカーボーイ」
バックトゥザフーチャーじゃねえのな、てか真夜中のカミナリボーイ……アレは違うか。
「罵ってください!」
「この豚野郎!」

いやいや、最後の質問じゃねえし。
そして私の平穏なノーマルライフ誰かのこの一言とその後のやりとりで打ち砕かれたのだ。
「学校の案内でもする?」
「親戚の平さんに放課後に案内して貰う予定なんだ!」

クラス全員の視線が私に向けられる。
え……?
いやいやいや、それはやめようよ。
私は地味キャラでいたいの、謎の転校生の知り合いに仕立て上げられた日には私の地味な高校生活バイバイだからさ。
「え、何?ユイちゃん知り合いなの?」
「なんだなんだ?転校生と知り合いなのかよ平!」
私まで五月蠅い会話の輪の中に引き込まれた。
「え……、うん。」
いまさら否定するわけにもいかない。
適当に答えておく。

キーンコーンカーンコーン

丁度良い。
休み時間は終了だ。
五月蠅い人達はまた散ってくれた。

残りの授業と休み時間をやりすごしてなんとか放課後。
後は帰るだけだった。

「というわけで平さん、学校を案内してくれないかな?」
「却下、勝手に人のことを使う気?」
「そんなこと言うなよ、君とぼくの仲だろ?」
「どんな仲?」
「監視者と被監視者の仲。」
「駄目じゃねえか!」
黒服Fは予想以上に厚かましい奴だった。
こんなの相手して居られない、そう思って家に向けて歩き始めた時だった。
「あ、あの人誰?」
黒服Fが指さすのは我が学舎の生徒会長。
品行方正文武両道でファンクラブまである完璧超人である。
私とは縁のないタイプの人間だ。
「この学校の生徒会長、それがどうしたの?」
「ん、いや何でもないよ……。」

黒服Fの態度に妙な違和感を抱きつつその日は学校や町の案内を彼にしてから家に帰った。

翌日も学校に行くと彼は人気者だった。
男子のグループと思いっきり談笑している。
私は私で彼のメアドを聞かれたりなんだりで引っ張りだこである。
なぜここまで奴に人気が集まるかが解らない。
謎の転校生がクラスの人気者なんてありがちすぎる展開ではないか。

キーンコーンカーンコーン

ああ、また授業が始まる。
一時間目と二時間目は体育。
三時間目は数学で四時間目は古典だ。
特にトラブルも何もなく授業は終わる。
そして昼休みになった。

しかしみんなあまり昼ご飯を食べようとしない。
それもそのはずだ午後は家庭科の調理実習。
家庭科の先生は割とハンサムなので女子に人気がある。
更に話も面白いせいか男子からも結構受けているらしい。

みんなが家庭科室に集まるとすぐに授業は始まった。
「は~い、皆さん。
 今日はこの前の授業で言っていた通り、ビーフシチューを作りたいと思います。
 ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、ビーフシチューの元。
 これだけでお~いしいビーフシチューはできちゃいます。」

「先生、肉はどうするんですか~!」

「あ、うっかり忘れていたよ!
 ごっめ~ん。」

額をペチンと叩いておどけてみせる。
この人の妙なテンションの高さも解らない。
何が楽しくてテンションを上げているのだろう。

「でもね、心配ないよ。
 今日は只のビーフシチューじゃなくて人肉を使った人肉シチューだから。」

………ギャグなのか?
いやでもこの先生が滑った所は見たこと無いぞ。
固まる生徒達を余所に先生は続ける。

「ほら、午前中のクラスはこんなに上手に作ることができたんだよ?」

机の上に置いてある鍋をみんなの前に置いてふたを取る。
香ばしいブラウンソースの中で脂の乗っている肉が浮いている。
カチャカチャとおたまで鍋の中をかき混ぜると其処の方から浮き上がってきた物がある。
丸い。
ソースがかかっていてよく見えない。

「美味しいんだよねえ、人の肉って。
 特に眼の部分がトロトロして絶品でさあ。
 数日間煮込んだ牛すじのような味わいがして本当に最高なんだよ。」

トプン
お玉ですくって皿に盛ってみんなの前に置く。
真ん中は黒くて外の部分は白い。

ああ、

――――――――――目玉だ。


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
女子の一人が絶叫して卒倒してしまった。
当たり前である。
かくいう私も吐きそうだ。
喉の奥辺りまでこみ上げてきている。

「おい、ふざけんなよ先生!」
男子の一人が家庭科の教師に掴みかかる。
体育の好きな奥山君だ。
「いやですねえ、僕だって巫山戯てなんかいませんよ?」
掴みかかられたままケラケラと笑う家庭科教師。

「不味い!」

私と同じ班で調理実習をすることになっていた黒服Fが慌てて立ち上がる。
教師の所まで急いで走ると奥山君を突き飛ばした。
勢いよく突き飛ばされた奥山君。
「いてえな……。」
奥山君が地面に手をついて立ち上がる。
だが地面についた手はまるでよく煮込まれた豚の角煮のように、ドロリと崩れ落ちた。

「――――――!?」
そのまま気絶する奥山君。
なんてこったい、優しかった家庭科の先生が豹変?
アニメや漫画でもあるまいにこんな急展開あって良いはずがない。
黒服Fが叫ぶ。
「平さん、他の生徒を連れてここから逃げてくれ!」
教師は嗤う。
「遅いよ、そこの黒服。君が来ていることは既に聞いていたからね。」

パチィン

「私の能力は既に発動させて貰っている。」

「うわ、身体が!」
「な、なぁにこれぇ……。」

先生が指を鳴らすと同時に身体を動かしたクラスメイトの身体が次々崩れ始めている。
とっさに私は目をつぶった。

「自己紹介させて貰うよ、黒服。
 私の名前は田山花袋。
 契約した都市伝説は人肉シチュー。
 組織が何故ここまで来たのかは知らないけれどさっくり死んで貰う。
 ああ、あと平さん。君も何らかの都市伝説と契約して居るみたいだけど妙な動きはしないでね?
 僕の能力は契約者に対しては直接触れ続けないと煮込めないんだよね。
 だから君に妙な真似されちゃうと私は困るんだ。」

「……人肉シチューの契約者?聞いてないぞ!」

黒服Fが焦っている。
完全に予想外の事が起きたのだろう。

「いやぁ、助かりましたよ。
 こっちは事前に情報が入っていたおかげで貴方を潰せます。
 まあとりあえずこの子達ぶっ殺されたくなかったらそこの包丁で胸を裂くなりなんなりで死んでください。」

私の能力は男装しないと使えない。
当然この状況では一般人に等しい。
いわゆるピンチ。

「仕方ない……、一般人に被害を出す訳にはいかない、か。
 しかし組織の把握していない契約者……。
 困ったねえ………。」

戸惑う黒服。
それを時間稼ぎと思ったのだろうか?
田山先生は黒服Fをせかす。

「速くやらないなら人質を一人ずつやっていきたいと思います。
 さーん、
 にーぃ、
 いー………。」

「待てっ!!」

隣に座っていた女子が悲鳴を上げる。
目をつぶっていて見えないが彼女の肉がベチャッと音を立てて崩れる音が聞こえてきた。

不味い不味い不味い不味い!!!

そう思った次の瞬間だった。

「縊り殺せ、十三階段。」
突然響く声。

しゅるしゅるしゅる………
バチィーン!


静かだ。
何があったというのだ?
その場でしばらく黙っている。
「目、開けて良いぞ。平さん。」
黒服Fの声。

目を開けて周囲を見回すと全員が眠っている。

「急にロープが出てきて人間シチューの契約者の首が絞められちゃってさ。
 まあ訳がわからないけどラッキーだった……。
 ここの生徒達の記憶は消させて貰ったよ。
 これから色々と事件の後片付けもしなくちゃいけないし……。」

訳がわからない。
只、もう自分が安全な場所に居られはしないということだけは痛感してしまった。
【平唯の人間観察 第三話「家庭科テイカー」 fin】

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