「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-30e

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○月×日 22:11 二階廊下


「あの……体、大丈夫なんですか?」
「ん?……あぁ、問題ないさ」

 女装少年との戦い、その後のマリを逃がした後に受けたダメージ
 それらを総合するに、この黒服H、あまり動ける状態ではないはずである
 が、この状況において、彼は共に行動している面子の前を導くように歩いていた
 多少ふらついてはいるが、倒れそうな様子はない

「なぁに、俺は都市伝説だからな。大丈夫さ」
「だが、無理に動き続けては、都市伝説とは言え専門的な治療が必要になるぞ?」
「だろうねぇ。まぁ、「組織」にもそこら辺やってくれる奴はいるんで大丈夫さ………それに」

 ニタリ
 共に歩く面子を見回し、黒服Hは笑う

「このハーレム状態から離脱しなきゃいけないだなんて、男としてちょっと、なぁ?」
「む…君が女になるか離脱してくれれば、むしろ僕にとってのハーレム状態なのだが」
「女になるのは御免だねぇ。俺は突っ込まれるよりもむしろ突っ込む方が」
『下品な会話はおやめください。主に黒服さん』

 ザクロの突っ込みが、会話を中断させる
 女装少年(いや、今は少女だが…)は、黒服Hの言った言葉の意味がわからないのだろう
 きょとん、と首をかしげていた

『それよりも、「13階段」の契約者ですが…どこかの階段の踊り場にいる、と言うのは確かですの?』
「あぁ。そこが、あいつにとって一番の安全地点だからな」

 家庭科室前の階段の前に立ち、踊り場を見あげながら黒服Hはザクロの疑問に答える
 どうやら、ここにはいないようだ
 一向は移動を開始する

「窓から入り込まれない限り、まず踏み込まれないだろ?…まぁ、遠距離攻撃されたらアウトな訳だが」
「その、「13階段」って、13段目を飛び越えても駄目なんですね?」

 女装少年の言葉に、あぁ、と頷く黒服H

「昔はそれで対処できたんだがなぁ。あいつが都市伝説の力をより引き出せるようになったから、今はそれでもアウトだな。引きずり込まれたら、漏れなく亡者と一緒に血の池地獄で混浴だぞ」
「血の池地獄か……毒性はあるのかい?」
「ない。ただし、亡者たちが引きずり込んでくるから溺死するだろうな」

 移動しながら、黒服Hは「13階段」の能力を説明する
 一時期面倒を見ていたせいか……担当であったせいか、能力の特性などはほぼ、把握している
 スパニッシュフライに支配された…はず…事により、一時的に久々に共に行動したせいで、今の状態もしっかりと把握していた

『説得、ですが……うまく行くでしょうか?』
「さぁなぁ。俺の過労死候補ナンバー1の同僚だったら、その辺うまくやってくれそうなんだが…」
「…それって、もしかしてDさんですか?」

 化学準備室隣の、空き教室の横、そこの階段の踊り場に視線をやる
 ……ここにも、いない
 となると、残りは一箇所
 視聴覚室隣の階段へと、一向は向かう

「あぁ、そうさ。あいつは色々と特殊だしな。おかげさまで、性格的にも説得交渉に向いてる」
「ふむ、特殊、か」

 わずかに、ドクターが反応する
 男には興味は無いが…「特殊な都市伝説」ならば、興味がある
 突然変異などの特殊な都市伝説は、貴重な存在だからだ

「あぁ、あいつは特殊で貴重さ……何せ、「組織」が人為的に都市伝説と契約させて、人為的に都市伝説と同化させた存在なんだからな」
「…………え?」

 黒服Hの言葉に、女装少年がきょとんと声をあげた
 …くっくっく、と黒服Hは低く笑う

「何でも、「組織」において、「組織の黒服」以外の能力を持つ黒服…すなわち、元・人間の黒服を量産する実験、だったかねぇ?あいつはそれの被害者で唯一の生き残りなのさ」
『そんな実験が、行われていたのですか?』

 背負っているバイトちゃんを落とさないよう歩きながら、ザクロはやや嫌悪を滲ませた様子でそう言った
 …それが、事実だとしたら
 なんとも、非人道的な実験である

「ま、昔の話さ。今は責任者が暗殺されただかなんだかでプロジェクトは凍結。「なかった事になった」実験の一つだからな」

 肩をすくめる黒服H
 自分も、詳しくは知らない
 そうとでも言いたそうな様子だ

「結構な人数が実験されたそうなんだがな。そうなった連中、ほとんど正気を保ってないのが多くて、そもそも黒服化しなかったのが大半らしい。そこら辺は全部「廃棄」されたらしいな」
「………」

 ----廃棄
 されは、すなわち 
 …「組織」によって、殺されたという事
 凄惨なその事実を、黒服Hはまるで映画の内容でも話すように続ける

「その唯一の生き残り。さぞや貴重で特殊だろうよ?………あいつは色々と好かれてるから、調べる気があるんだったら、命をかける必要があるかもしれんがね?」
「なるほど………ところで」

 じっと、黒服Hを見詰め…ドクターは尋ねる

「どの辺りまでが真実で、どの辺りまでが嘘だね?」
「…………え??」

 ??と首をかしげる女装少年
 ドクターの疑問に対して、黒服Hは………くくくっ、と笑って肩をすくめた

「おや、もうバレたか。結構うまくできた話だと思ったんだがね」
「え………嘘、なんですか?」
「あぁ」

 きっぱり
 悪びれた様子もなく、黒服Hはそう言い切った

「あいつはそんな実験なんざ受けてねぇよ。まぁ、色々と特殊な事実に変わりはないけどな」
「う、嘘つくなんて酷いじゃないですか!?」
「ま、許してくれや。暇つぶしにはなっただろ?」

 くってかかる女装少年相手に、黒服Hはなんとも楽しそうに笑った
 ザクロは、呆れたように小さくため息をつく

「…………」

 ---そんな中
 ドクターは一人、静かに黒服Hを観察していた
 確かに、先ほどの話は「嘘」だろう、彼の過労死候補ナンバー1とやらの同僚は、実験など受けていない
 それが、「真実」なのだろう

 しかし
 黒服Hが語った、実験
 それは、確かにあった事実なのではないか?
 そして、その実験の被害者であり、唯一であろう生き残りは…確かに、存在するのではないだろうか?

 真実混じりの嘘は、嘘であると見抜きにくい
 嘘混じりの真実は、たとえそれが真実であっても、真実であると認識されにくい
 …先程の話は、どこまでが「真実」だ?

「……っと、そろそろお喋りは終わり、だな」

 …声が、聞こえてくる
 なんだか惚気と言うか、いかに自分が誰かを愛していると言う事を熱弁している声に聞こえるのだが
 なんとも、場にそぐわない

「さて、と…こっちの話を、聞いてくれりゃあいいんだがねぇ?」

 …一向は
 視聴覚室横の階段前まで……到着した


to be … ?




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