「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-11

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 うきうき
 わくわくきらきら
 あぁ、花子さんが瞳を輝かせている
 …こう言う場所、来た事ないだろうしなぁ

 喫茶ルーモア
 不良教師から聞いた店だ
 都市伝説でも、受け入れてくれる店らしい
 …うん、店に入る時、犬とすれ違ったしな
 何か、犬の顔が人間だったような気がしたしな
 なるほど、あれが人面犬か
 花子さんが気にしていなかったみたいだから、こちらも無視していたが
 まぁ、とにかく
 都市伝説でも気軽に入る事ができる店…ということで、花子さんを連れて来てみたのだ
 何せ花子さん、学校の外では、その存在を人に知覚される事がほとんどない
 一応、都市伝説と契約していたり関わっている者なら、知覚できるのだが
 …そう、つまり
 ここでなら、花子さんも普通に注文できて、食事も可能なのだ

「おまたせいたしました」
「わ~い!」

 キララララン!
 運ばれてきたパフェに、花子さんはますます瞳を輝かせた
 俺と関わってから、俺の家とかで色々食べるようになったり
 今の高校に通うようになってから、白骨標本が作る料理を食べたりしていた花子さん
 が、こう言う店に入った事なんざ、ないに等しい
 …いや、俺に付いてきて入ったとしても、注文できず…また、目の前で料理が消えるという怪奇現象を起こさない為にも、食べるには細心の注意を払い、誰も見てない時に食べなければならず
 なかなか、大変だったのだ
 ………だが
 この店では、それを気にする必要もない
 花子さんは喜んでチョコバナナパフェを注文し、やってきたそれにぱくついていた
 俺は、と言うと…特に甘い物が好きな訳でもないので、紅茶で済ましていたが

「美味いか?花子さん」
「うん!」

 にぱ~、と満面の笑みを浮かべてくる花子さん
 あ~、口の周りにアイスがついてるついてる
 食べ終わった時にでも、拭いてやらないと
 …にしても、あの不良教師も、いい店を教えてくれたものだ
 花子さんも気に入ったみたいだし、ちょくちょく来て見ようか…と考える
 何故、不良教師がこの店を知っていたのかは、考えない事にした
 うん、人体模型がこの店に来てる様子とかは、想像したくなかったし
 多分、一人で来たんだろう
 そう信じたい

「み~?けーやくしゃ、どうしたの?」
「ん、いや。何でもない」

 かっくん
 首を傾げてきた花子さんに、俺は笑って誤魔化した

 うん、その
 脳内にうっかりとグロい光景を浮かべてしまったんで、口に出したくないし、口に出すべきじゃない
 晴れやかな笑みを浮かべながらよさこいを踊る人体模型の幻想を振り払うべく、俺は紅茶を口にした
 ちらり、何気なく、店内を見回してみた
 時間帯のせいもあるのだろうか、空席はほとんど見当たらない
 楽しそうにお喋りしている女子グループや、何かの仕事の打ち合わせでもしているらしい大人

 …もしかしたら、その中にも、都市伝説に関わっている奴もいるのだろうか?
 何気なく、そう考える

 この街は、都市伝説が多すぎる…と、あの不良教師は言っていた
 正直、俺だってそう思う
 いくらなんでも、多すぎだろって思うくらい、都市伝説の目撃談が多いのだ
 もちろん、語られる都市伝説は、さらに多い
 その事について、何故?と疑問にこそ思うが…深く考えた事はない
 考えていくと、そのうち変な組織の陰謀など、それこそ、C級都市伝説的な答えに行き着きかねない
 そんな組織の事とかは、考えたくないし、関わりあいたくもない
 俺は、普通の日常をエンジョイしたいのだ
 …ま、現時点で、充分普通じゃないっぽい事実はさておき

「ごちそーさまー!」

 思考は、花子さんの元気な声で中断させられた
 …うお、花子さんにはちょっと量が多いんじゃね?と思っていたパフェだったと言うのに
 完食……だと……!?

 この小さな体のどこに収まったんだ!?
 これが、都市伝説の力だとでも言うのか!?
 …って、そして見事に予想通り
 花子さんや、口の周りが凄い事になっている

「花子さん、ほら」
「む~」

 ハンカチで、口の周りを拭いてやる
 大人しく拭かれている花子さん
 …こうしていると、妹みたいだ
 いや、俺の妹は、ここまで素直じゃないし可愛くないがな

「んとね、すっごく美味しかった!」
「良かったな。また来ような」
「うん!」

 ぴ!と元気に返事してくる花子さん
 うん、花子さんも気に入ったようで、本当に良かった


 都市伝説と契約した者は、どうしても戦いに巻き込まれがちだ
 日常が、それによって風化していきかねない
 …だから、こそ
 都市伝説と、それと契約した者がこうやって安らぎを得る事ができる、ここ、喫茶ルーモアは貴重な場所なのではないか、と

 俺は、そんな風に考えたのだった


fin

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