「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-30l

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匿名ユーザー

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○月×日 23:15 視聴覚室横階段前


「………死後は保証できない、か」

 …くっく、と
 あのモフモフ生物の契約者らしい男に言われた言葉に……辰也が、低く笑った
 その顔に浮かんでいるのは、絶望

「遅いんだよ。そんな事…とっくに、わかりきってる」
「…辰也」

 「爆発する携帯電話」が、そんな辰也を心配そうに見詰めていた

 …辰也は、自分が契約した都市伝説の能力がどんなものか、よくわかっている
 「組織」にいた頃、「組織」に忠実な契約者を育てるという実験の元、無数の人間の命を奪ってきた事も自覚している
 本当なら、知らされなかっただろうその事実を、俺が教えたのだから

 黒服Hは小さく苦笑し、辰也の頭を撫でる

「んな顔すんな。お前が悪い訳じゃねぇ」
「………餓鬼扱いすんな」

 ぱしり 
 その手をはたかれた
 …まったく、冷たいこった
 やはり、俺はあのお人好しのように、うまくはいかないようだ

「…携帯のにーちゃん、俺達も、上、行くけど…」

 と、「爆発する携帯電話」と一緒に行動していた少女が、そう口を開いた
 こちらも、マッドガッサー達を「説得」してくれる様子、と言ったところか
 なんともまぁ、お優しい面子がこの学校にあつまったものだ

「くけ……傷の手当て、終わったら、、すぐ、後追う」
「わかりました……行きましょう、少年、ひきこさん」

 ばたばたと、三人が階段を駆け上がっていく
 ドクター達も、その後を追うように、三階に向かうようだ
 ……一瞬
 バイトちゃんが、黒服Hの姿に気づき、睨みつけてきたので
 にやり、黒服Hは笑ってやる

「…あぁ、そうだ、お姫様。スーパーハカーは、学校中の監視カメラをジャックしたままか?」
「………??けけ……っ、そう、だが?」

 …びくり
 バイトちゃんが、その言葉に反応する

「なるほど。この学校を選んだのは、監視システムをジャックできるからか」

 ドクターが、何か納得したように頷いている横で、バイトちゃんは固まっていて
 ……しぃ、と
 黒服Hは、笑いながら人差し指を口元に持っていってやる

『どうなさったのです?』
「い、いや、な、なんでも、ない」

 ザクロの言葉にギクシャク、答えて
 彼女等もまた、階段を登っていく
 くっくっく、と黒服Hは、その後ろ姿を見送って笑う

「…悪党が」
「ん~?何の事だ?」

 辰也の言葉に、ニヤニヤと笑う黒服H
 まぁ、ドクターは感づいていたようだが…黙ってもらった方がありがたい
 できれば、あの過労死候補ナンバー1のお人好しな同僚には、知られたくないのだ
 主に、彼の胃痛や頭痛の種にならない為にも

「………ま、いいだろ?ようやく、お前らとゆっくり話せる」
「やっぱり、目的はそれか」

 黒服Hに「お姫様」と呼ばれた意味がわからないようで、首を傾げ続けていた「爆発する携帯電話」だったが…黒服Hが、自分達に話があるらしい事を知って、ますます首を傾げた
 辰也は小さく舌打ちして、ポケットに手を突っ込んだ

「…とりあえず、これは返すからな」

 と、ぺい、と黒服Hに……指輪を、投げつけた
 ぱし、と伸ばした髪で黒服Hは指輪をキャッチする

「持ったままでも良かったんだぞ?」
「やなこった。んなデカい都市伝説、俺じゃあ扱いきれねぇ」

 指輪の正体は「姿を消す指輪」
 某物語に登場する、名前通りの効果をあらわす指輪
 万が一の逃亡用に、黒服Hが辰也に預けていた物だ

「…で?他の連中の前で話せない話ってのはなんだ、この悪党」
「あんまり悪党悪党言うと、俺の心が折れるぞ泣くぞ……これからの、お前たちに、ちょいとアドバイスを、な」

 くっくっく、と
 黒服Hは、笑みを深めていった

 そう、アドバイス
 この騒動がどう終わるにしろ、マッドガッサー達の立場は苦しくなるだろう
 「組織」相手の切り札は、辰也が「組織」を離れる際、自分が預けた
 だから、それ以外のアドバイス

「…それと。他にも少し、な」

 他の連中に、知られるわけには行かない
 己の本心を、知られないためにも

 黒服Hは深く、深く……しかし、本心をはっきりさせない笑みを浮かべ続けるのだった




to be … ?





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