……中央高校での決戦翌日 「組織」本部
「…いやはや」
まいったねぇ
小さく苦笑する黒服H
彼の周囲には、アルファベットが浮かんだ26枚の無機質な板が並んでいる
それらは、DやXなど一部を除いて、淡く光っていて
小さく苦笑する黒服H
彼の周囲には、アルファベットが浮かんだ26枚の無機質な板が並んでいる
それらは、DやXなど一部を除いて、淡く光っていて
『…呼び出された理由はわかっているな?H-No.360』
その板の一つから、冷酷な声が響いた
だが、それに臆した様子もなく、黒服Hは肩をすくめる
だが、それに臆した様子もなく、黒服Hは肩をすくめる
「さぁ?一体、俺は何かしでかしてしまったでしょうか?」
『とぼけるな!!』
『この期に及んでしらを切るつもりか!?』
『とぼけるな!!』
『この期に及んでしらを切るつもりか!?』
激しい怒気を浴びせられても、彼は一切、怯まない
ただ、恐らくこちらの様子を見て、激昂しているであろう連中の様子を想像して、小さく笑っていた
ただ、恐らくこちらの様子を見て、激昂しているであろう連中の様子を想像して、小さく笑っていた
「俺は、スパニッシュフライを飲み込まされて操られていましたからね。その間の行動につきましては、一切、責任をもてませんので」
『本当に、操られていたのか?意図して、あの実験体の味方をした訳ではないのだろうな?』
「………当然」
『本当に、操られていたのか?意図して、あの実験体の味方をした訳ではないのだろうな?』
「………当然」
不敵に笑って、そう答える
……実際、はどうだったのか?
実のところ、それは彼自身にもわからない
ただ、自分は間違った事など、何一つしてはいない
そう、考えているだけだ
実のところ、それは彼自身にもわからない
ただ、自分は間違った事など、何一つしてはいない
そう、考えているだけだ
『…今まで下されてきた処分と、同じ処分が下ると思うなよ……!!』
たっぷりの憎悪をこめて、告げられた言葉
あぁ、これは確か、強硬派の奴だ
…なるほど、こちらを恨んでいるだろう
何せ自分は、あいつの部下をたっぷりと「処分」してきたのだから
あぁ、これは確か、強硬派の奴だ
…なるほど、こちらを恨んでいるだろう
何せ自分は、あいつの部下をたっぷりと「処分」してきたのだから
……ちらり
黒服Hは、「H」の板をじっと見つめた
沈黙し続けている、その板を
黒服Hは、「H」の板をじっと見つめた
沈黙し続けている、その板を
『H-No.360、今回こそ、貴様を処分して……』
激昂した声が、そう告げようとした、その時
前触れもなく、その部屋の扉が開け放たれた
暗い部屋に、光が差し込む
暗い部屋に、光が差し込む
入ってきたのは、長身で大柄な黒服の男
その顔には、縫い目が入っていた
その顔には、縫い目が入っていた
『---何だ!?G-No.1!』
『審議中だぞ!?』
「……失礼、急いでいましたもので、ノックを忘れました」
『審議中だぞ!?』
「……失礼、急いでいましたもので、ノックを忘れました」
淡々と口を開く顔に縫い目のある黒服……G
彼は、すたすたと黒服Hに近づいていく
彼は、すたすたと黒服Hに近づいていく
『何をしている!?出て行け、G-No.1!!』
『…出て行く必要など、ない』
『…出て行く必要など、ない』
…幼い少女の声が、部屋に響き渡る
Hと浮かび上がるその板から響く、声
Hと浮かび上がるその板から響く、声
『H-No.360の処分、妾に任せてもらおうか』
『--H-No.0!?何を言っている!』
『また、もみ消すつもりか!?』
『もみ消す?はて、何のことやら。こやつは間接的に妾の部下じゃ。部下の処分を上司が行うのは当たり前じゃろう?』
『--H-No.0!?何を言っている!』
『また、もみ消すつもりか!?』
『もみ消す?はて、何のことやら。こやつは間接的に妾の部下じゃ。部下の処分を上司が行うのは当たり前じゃろう?』
投げかけられる罵声を、H-No.0と呼ばれた少女の声は、意に介している様子などなかった
上司の様子に、黒服Hはくくっ、と小さく笑う
…そんな彼を、黒服Gが、憎悪をかすかに滲ませて、睨んでいた
上司の様子に、黒服Hはくくっ、と小さく笑う
…そんな彼を、黒服Gが、憎悪をかすかに滲ませて、睨んでいた
『今回のマッドガッサー達の騒動、その後始末を、全てこの男に任せる。それでは駄目かのう?』
「全部?流石に過労死しそうなんですが?」
「全部?流石に過労死しそうなんですが?」
あのお人好しじゃないんだからよ
そう言いたいのを、流石にぐっと堪える
相手は、全員上層部のメンバーだ
一応、素を出すのは控えるべきだろう
そう言いたいのを、流石にぐっと堪える
相手は、全員上層部のメンバーだ
一応、素を出すのは控えるべきだろう
『だからこそ、罰になるであろう?』
『…なるほど。それでこいつが過労死しようが、一切構わない、そう言う事だな?』
『そう言う事じゃ』
『…なるほど。それでこいつが過労死しようが、一切構わない、そう言う事だな?』
『そう言う事じゃ』
うわ、酷ぇ
こっそり、口の中で呟く黒服H
…まぁ、自業自得といえば、自業自得なのだが
こっそり、口の中で呟く黒服H
…まぁ、自業自得といえば、自業自得なのだが
「…それでは、彼を連行させていただきます」
がし、と
黒服Gの武骨な手が、黒服Hの肩を掴んだ
仕方ない、と黒服Hは無抵抗に引きずられて行く
黒服Gの武骨な手が、黒服Hの肩を掴んだ
仕方ない、と黒服Hは無抵抗に引きずられて行く
……部屋を、出て
くっくっく…と、黒服Hは、肩の力を抜いて笑った
くっくっく…と、黒服Hは、肩の力を抜いて笑った
「いやぁ、助かった。お嬢さんに礼を言わないとな」
「…ならば、今からその感謝を口にするがいい。お嬢様がお前をお呼びだ」
「…ならば、今からその感謝を口にするがいい。お嬢様がお前をお呼びだ」
苦々しい声で、そう告げてきたG
連行された部屋は…「組織」本部内の、上層部メンバーH-No.0の部屋
黒服Hの、間接的な…
連行された部屋は…「組織」本部内の、上層部メンバーH-No.0の部屋
黒服Hの、間接的な…
-----否
直接の、上司の部屋だ
直接の、上司の部屋だ
「来たか。H-No.360」
黒いスーツを身に纏った少女が、黒服Hを見あげた
その愛らしい姿に、正直そのスーツは似合っていない
その愛らしい姿に、正直そのスーツは似合っていない
「お久しゅう、お嬢さん。いい加減、そんなスーツじゃなくてもっと可愛らしい服を着る気はねぇか?」
「……H-No.360…」
「うむ、妾ももっと可愛らしい服を着たいのじゃ」
「……H-No.360…」
「うむ、妾ももっと可愛らしい服を着たいのじゃ」
ぷぅ、と可愛らしく、頬を膨らませる少女
そんな仕草は、その外見相応だ
そんな仕草は、その外見相応だ
「…まぁ、それはさておき、じゃ……よく、無事でいてくれた」
「俺がそう簡単にくたばると思ったか?」
「俺がそう簡単にくたばると思ったか?」
くっく、と楽しげに笑う黒服H
その髪が、しゅるりと伸びて
その髪が、しゅるりと伸びて
-----ごがっ!!と
少女の体を絡めとり、そのまま壁に叩き付けた
突然の衝撃に、かはっ、と少女の口から血痕が漏れ出す
少女の体を絡めとり、そのまま壁に叩き付けた
突然の衝撃に、かはっ、と少女の口から血痕が漏れ出す
「---っお嬢様!?H-No.360、貴様……っ」
「動くな、G」
「動くな、G」
しゅるり
黒服Hの髪は、いつの間にやら、Gの体にも絡み付いていた
彼が意図すれば…すぐに、Gを引き裂くことが出来るように
黒服Hの髪は、いつの間にやら、Gの体にも絡み付いていた
彼が意図すれば…すぐに、Gを引き裂くことが出来るように
「やめておけ。お前が俺に勝てると思ってるのか?……あぁ、それとも。また、縫い目を増やしたいか?」
「貴様……っ」
「よさぬか、G-No.1!」
「貴様……っ」
「よさぬか、G-No.1!」
今にも、黒服Hに殴りかかろうとしていたGを、少女が制した
けほけほと血を吐きながら……微笑み、黒服Hを見つめる
けほけほと血を吐きながら……微笑み、黒服Hを見つめる
「…わかっておるわ……お前が、そう簡単に死ぬはずがない。お前は嘘吐きじゃが、約束を護る男じゃからな」
「そりゃあ、どうも」
「そりゃあ、どうも」
しゅるしゅると伸び続ける髪
それは、少女の細い喉にも絡んでいた
それは、少女の細い喉にも絡んでいた
黒服Hが、それを望んだならば
少女は、今すぐにでも、その命を散らすだろう
少女は、今すぐにでも、その命を散らすだろう
「……その約束、今、果たしてくれるのかの?」
「…………」
「…………」
…黒服Hから
一瞬、全ての感情が、消えうせた
だが、すぐに、いつものどこか軽い笑顔に戻って
一瞬、全ての感情が、消えうせた
だが、すぐに、いつものどこか軽い笑顔に戻って
「いいや、まださ」
-----しゅるり
髪が、解かれる
解放されて床に落ち、少女はけほけほ、咳き込み続ける
髪が、解かれる
解放されて床に落ち、少女はけほけほ、咳き込み続ける
「お嬢様!!」
Gもまた髪から解放され、急いで少女に駆け寄った
そんな様子を眺め、黒服Hは笑い続ける
そんな様子を眺め、黒服Hは笑い続ける
「今回の件も、見逃してくれてどーも。一応、罰は受けとくわ。死なない程度に」
「…あぁ……また、あの過労死候補が仕事を一挙に引き受けてしまいそうだったから、の……すまんが、今回は頼んだぞ」
「あー……うん、確かに。こうでもしないと、またあいつが過労死一歩手前になりそうだよな」
「…あぁ……また、あの過労死候補が仕事を一挙に引き受けてしまいそうだったから、の……すまんが、今回は頼んだぞ」
「あー……うん、確かに。こうでもしないと、またあいつが過労死一歩手前になりそうだよな」
納得しつつ、黒服Hは部屋を出た
まっすぐに、己の仕事場に向かう
まっすぐに、己の仕事場に向かう
「……面倒くさ」
仕方ないとは言え、面倒な仕事を押し付けられたものだ
…まぁ、いいや
後で、Yとか誰か、ちょっと巻き込もう
そう考え、黒服Hは暗い廊下の中、姿を消していった
…まぁ、いいや
後で、Yとか誰か、ちょっと巻き込もう
そう考え、黒服Hは暗い廊下の中、姿を消していった
「………お嬢様」
ようやく呼吸が落ち着いた主を、黒服Gは悲しげに見つめていた
…彼の中では、ただ、黒服Hへの憎悪が育ち続ける
…彼の中では、ただ、黒服Hへの憎悪が育ち続ける
「…良い、のじゃ。これで、良いのじゃ」
ぼそり、呟く少女
酷く悲しげに、黒服Hが退室していった扉を見つめる
酷く悲しげに、黒服Hが退室していった扉を見つめる
「…この程度で、許されるとは思うておらぬ。妾には、死の安息など、到底許されぬ」
だが、それでも願わずにはいられない、だから、彼と約束したのだ
…お前が全ての目的を終えたその時には、自分を殺してくれ、と
to be … ?