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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-30m

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……中央高校での決戦翌日  「組織」本部


「…いやはや」

 まいったねぇ
 小さく苦笑する黒服H
 彼の周囲には、アルファベットが浮かんだ26枚の無機質な板が並んでいる
 それらは、DやXなど一部を除いて、淡く光っていて

『…呼び出された理由はわかっているな?H-No.360』

 その板の一つから、冷酷な声が響いた
 だが、それに臆した様子もなく、黒服Hは肩をすくめる

「さぁ?一体、俺は何かしでかしてしまったでしょうか?」
『とぼけるな!!』
『この期に及んでしらを切るつもりか!?』

 激しい怒気を浴びせられても、彼は一切、怯まない
 ただ、恐らくこちらの様子を見て、激昂しているであろう連中の様子を想像して、小さく笑っていた

「俺は、スパニッシュフライを飲み込まされて操られていましたからね。その間の行動につきましては、一切、責任をもてませんので」
『本当に、操られていたのか?意図して、あの実験体の味方をした訳ではないのだろうな?』
「………当然」

 不敵に笑って、そう答える


 ……実際、はどうだったのか?
 実のところ、それは彼自身にもわからない
 ただ、自分は間違った事など、何一つしてはいない
 そう、考えているだけだ


『…今まで下されてきた処分と、同じ処分が下ると思うなよ……!!』

 たっぷりの憎悪をこめて、告げられた言葉
 あぁ、これは確か、強硬派の奴だ
 …なるほど、こちらを恨んでいるだろう
 何せ自分は、あいつの部下をたっぷりと「処分」してきたのだから

 ……ちらり
 黒服Hは、「H」の板をじっと見つめた
 沈黙し続けている、その板を

『H-No.360、今回こそ、貴様を処分して……』

 激昂した声が、そう告げようとした、その時


 前触れもなく、その部屋の扉が開け放たれた
 暗い部屋に、光が差し込む

 入ってきたのは、長身で大柄な黒服の男
 その顔には、縫い目が入っていた

『---何だ!?G-No.1!』
『審議中だぞ!?』
「……失礼、急いでいましたもので、ノックを忘れました」

 淡々と口を開く顔に縫い目のある黒服……G
 彼は、すたすたと黒服Hに近づいていく

『何をしている!?出て行け、G-No.1!!』
『…出て行く必要など、ない』

 …幼い少女の声が、部屋に響き渡る
 Hと浮かび上がるその板から響く、声

『H-No.360の処分、妾に任せてもらおうか』
『--H-No.0!?何を言っている!』
『また、もみ消すつもりか!?』
『もみ消す?はて、何のことやら。こやつは間接的に妾の部下じゃ。部下の処分を上司が行うのは当たり前じゃろう?』

 投げかけられる罵声を、H-No.0と呼ばれた少女の声は、意に介している様子などなかった
 上司の様子に、黒服Hはくくっ、と小さく笑う
 …そんな彼を、黒服Gが、憎悪をかすかに滲ませて、睨んでいた

『今回のマッドガッサー達の騒動、その後始末を、全てこの男に任せる。それでは駄目かのう?』
「全部?流石に過労死しそうなんですが?」

 あのお人好しじゃないんだからよ
 そう言いたいのを、流石にぐっと堪える
 相手は、全員上層部のメンバーだ
 一応、素を出すのは控えるべきだろう

『だからこそ、罰になるであろう?』
『…なるほど。それでこいつが過労死しようが、一切構わない、そう言う事だな?』
『そう言う事じゃ』

 うわ、酷ぇ
 こっそり、口の中で呟く黒服H
 …まぁ、自業自得といえば、自業自得なのだが

「…それでは、彼を連行させていただきます」

 がし、と
 黒服Gの武骨な手が、黒服Hの肩を掴んだ
 仕方ない、と黒服Hは無抵抗に引きずられて行く

 ……部屋を、出て
 くっくっく…と、黒服Hは、肩の力を抜いて笑った

「いやぁ、助かった。お嬢さんに礼を言わないとな」
「…ならば、今からその感謝を口にするがいい。お嬢様がお前をお呼びだ」

 苦々しい声で、そう告げてきたG
 連行された部屋は…「組織」本部内の、上層部メンバーH-No.0の部屋
 黒服Hの、間接的な…

 -----否
 直接の、上司の部屋だ

「来たか。H-No.360」

 黒いスーツを身に纏った少女が、黒服Hを見あげた
 その愛らしい姿に、正直そのスーツは似合っていない

「お久しゅう、お嬢さん。いい加減、そんなスーツじゃなくてもっと可愛らしい服を着る気はねぇか?」
「……H-No.360…」
「うむ、妾ももっと可愛らしい服を着たいのじゃ」

 ぷぅ、と可愛らしく、頬を膨らませる少女
 そんな仕草は、その外見相応だ

「…まぁ、それはさておき、じゃ……よく、無事でいてくれた」
「俺がそう簡単にくたばると思ったか?」

 くっく、と楽しげに笑う黒服H
 その髪が、しゅるりと伸びて


 -----ごがっ!!と
 少女の体を絡めとり、そのまま壁に叩き付けた
 突然の衝撃に、かはっ、と少女の口から血痕が漏れ出す


「---っお嬢様!?H-No.360、貴様……っ」
「動くな、G」

 しゅるり
 黒服Hの髪は、いつの間にやら、Gの体にも絡み付いていた
 彼が意図すれば…すぐに、Gを引き裂くことが出来るように

「やめておけ。お前が俺に勝てると思ってるのか?……あぁ、それとも。また、縫い目を増やしたいか?」
「貴様……っ」
「よさぬか、G-No.1!」

 今にも、黒服Hに殴りかかろうとしていたGを、少女が制した
 けほけほと血を吐きながら……微笑み、黒服Hを見つめる

「…わかっておるわ……お前が、そう簡単に死ぬはずがない。お前は嘘吐きじゃが、約束を護る男じゃからな」
「そりゃあ、どうも」

 しゅるしゅると伸び続ける髪
 それは、少女の細い喉にも絡んでいた

 黒服Hが、それを望んだならば
 少女は、今すぐにでも、その命を散らすだろう

「……その約束、今、果たしてくれるのかの?」
「…………」

 …黒服Hから
 一瞬、全ての感情が、消えうせた
 だが、すぐに、いつものどこか軽い笑顔に戻って

「いいや、まださ」

 -----しゅるり
 髪が、解かれる
 解放されて床に落ち、少女はけほけほ、咳き込み続ける

「お嬢様!!」

 Gもまた髪から解放され、急いで少女に駆け寄った
 そんな様子を眺め、黒服Hは笑い続ける

「今回の件も、見逃してくれてどーも。一応、罰は受けとくわ。死なない程度に」
「…あぁ……また、あの過労死候補が仕事を一挙に引き受けてしまいそうだったから、の……すまんが、今回は頼んだぞ」
「あー……うん、確かに。こうでもしないと、またあいつが過労死一歩手前になりそうだよな」

 納得しつつ、黒服Hは部屋を出た
 まっすぐに、己の仕事場に向かう

「……面倒くさ」

 仕方ないとは言え、面倒な仕事を押し付けられたものだ
 …まぁ、いいや
 後で、Yとか誰か、ちょっと巻き込もう
 そう考え、黒服Hは暗い廊下の中、姿を消していった


「………お嬢様」

 ようやく呼吸が落ち着いた主を、黒服Gは悲しげに見つめていた
 …彼の中では、ただ、黒服Hへの憎悪が育ち続ける

「…良い、のじゃ。これで、良いのじゃ」

 ぼそり、呟く少女
 酷く悲しげに、黒服Hが退室していった扉を見つめる

「…この程度で、許されるとは思うておらぬ。妾には、死の安息など、到底許されぬ」

 だが、それでも願わずにはいられない、だから、彼と約束したのだ


 …お前が全ての目的を終えたその時には、自分を殺してくれ、と





to be … ?





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