「……起きろ」
「…にい、さん」
「無事か?」
「無事か?」
…どうやら、たまたた傍を通りかかったらしい兄が、自分を助け出してくれたらしかった
兄に助けられたのは嬉しいが、情けなさも感じてしまって
青年は、しょんぼりと落ち込む
兄に助けられたのは嬉しいが、情けなさも感じてしまって
青年は、しょんぼりと落ち込む
「…御免なさい。兄さんには、迷惑かけたくなかったのに」
「いい…それよりも、誰にやられた?」
「いい…それよりも、誰にやられた?」
咥えていたタバコを手に取り、兄は青年に尋ねた
…兄を危険に巻き込みたくない意味でも、あまり教えたくないのだが
だが、誤魔化すことなどできる雰囲気でもなく
青年は、渋々答える
…兄を危険に巻き込みたくない意味でも、あまり教えたくないのだが
だが、誤魔化すことなどできる雰囲気でもなく
青年は、渋々答える
「ハーメルンの笛吹きだよ」
「-----そうか」
「-----そうか」
低い
低い、声
ぐしゃり、青年の兄は、手にしていたタバコを握りつぶした
低い、声
ぐしゃり、青年の兄は、手にしていたタバコを握りつぶした
「…兄さん?」
「……あぁ、気にするな」
「……あぁ、気にするな」
気にするな、と言われても
火がついたままのタバコを、兄は握りつぶしたのだ
火傷をしたら、大変だ
火がついたままのタバコを、兄は握りつぶしたのだ
火傷をしたら、大変だ
「兄さん、手…」
「…ハーメルンの笛吹き…マッドガッサー騒動の時、ネコミミを生やしていたあの男で間違いないな?」
「え?うん、そうだよ?」
「…ハーメルンの笛吹き…マッドガッサー騒動の時、ネコミミを生やしていたあの男で間違いないな?」
「え?うん、そうだよ?」
あれは、なんとも愉快な姿だった
聞くところによれば、マッドガッサーの一味のスーパーハカーが、あの姿の映像を世界に配信したとかしなかったとか
聞くところによれば、マッドガッサーの一味のスーパーハカーが、あの姿の映像を世界に配信したとかしなかったとか
「…お前の所属している「組織」でも、討伐対象だったな?」
「うん。僕の担当は説得できないかって無駄な足掻きをしてるみたいだけどね」
「そうか…………なら、殺しても問題はないな」
「うん。僕の担当は説得できないかって無駄な足掻きをしてるみたいだけどね」
「そうか…………なら、殺しても問題はないな」
------低い
どこまでも、低い、低い
まるで、地獄の底から響いてくるような…声
今、この青年の兄は…静かに、殺意に囚われていた
どこまでも、低い、低い
まるで、地獄の底から響いてくるような…声
今、この青年の兄は…静かに、殺意に囚われていた
「…人の弟に手を出して、ただですむと思うなよ…ハーメルンの笛吹き……!」
…この兄弟は、かつて通っていた高校で「双頭の狂犬」と呼ばれていた
片割れが攻撃されたならば、もう一方が相手を徹底的に痛めつける
当時、彼らに負けた連中は、皆こう言った
片割れが攻撃されたならば、もう一方が相手を徹底的に痛めつける
当時、彼らに負けた連中は、皆こう言った
「駄目だ、あのブラコンツインズ、早く何とかしないと……!!」
そう、ブラコン
この兄弟、そろって重度のブラコンなのだ
普段は弟の危険なまでのヤンデレブラコンばかりが目立つが、この兄のブラコンも重症だ
特に、両親を失って以来、それは更に重症化して
この兄弟、そろって重度のブラコンなのだ
普段は弟の危険なまでのヤンデレブラコンばかりが目立つが、この兄のブラコンも重症だ
特に、両親を失って以来、それは更に重症化して
弟を、ここまで危険に追い込んだ相手
殺さずにはいられるか
殺さずにはいられるか
普段、表に出す事のないブラコンをやや表に溢れさせつつ
青年の兄は、静かに殺意を燃やし続けるのだった
青年の兄は、静かに殺意を燃やし続けるのだった
続く予定はない