「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-56b

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12月24日 11:50


 厨2病の昼食を作り終え、「首塚」拠点のラブホテルを出た「日焼けマシン」の契約者
 さて、「死人部隊」と「一年生になったら」にも、クリスマスケーキは届けてやったし…早く、帰ろう
 「日焼けマシン」の契約者は、そのまま家路につこうとして

「------メッリィイイイイクリィスマァアアアアス!!」
「っ!?」

 すたん!!と
 目の前に突然降り立ってきた不審人物の姿に、即座に警戒する

「何者だ?」

 目の前に現れたのは…サンタクロース、の、姿に見えた
 どう考えても、都市伝説だろう
 サンタクロースの姿をした、危険な都市伝説は多い
 「日焼けマシン」の契約者は、油断なくサンタクロースを睨みつけた

「さぁ、プレゼントだ!」

 背負っていた袋を開くサンタクロース
 ずるり
 その中から、どさり、どさり
 二人の人間が……引きずり出された

「……………え」

 それは
 黒服と、少女の………死体
 全身に、無数の切り傷を負った、血塗れの……惨殺死体

「………ど、して」

 何故
 何故、この二人が、こんな状態に?
 状況を理解しきれずに……

 「日焼けマシン」の契約者の意識が、闇に飲み込まれた





 -------ごぉぉぉぉう!!

「っな!?」

 窓の向こうに上がった火柱
 それに、料理を思わず喉に詰まらせそうになりながら、厨2病は驚いた
 ホテルから近い…と言うか、ホテルのまん前!?
 一体、何だと言うのか
 急いで、窓から外を確認して

「……チャラ男!?」

 窓の外、ホテルの前で
 「日焼けマシン」の契約者が、炎に包み込まれている様子が、見えた
 彼の前に、何やらサンタクロースのような姿をした者がいて…そいつも、炎に包み込まれている

 何があったというのだ!?
 厨2病は窓を開け放ち、外へと飛び出した
 都市伝説の能力で、無傷で地上に降り立つ……若干、道路にヒビは入ったが、それは気にしない方向で

「おい、チャラ……………うぉ!?」

 ごぉおおおおう!
 炎は、激しく燃え盛っている
 炎に包み込まれて、サンタクロースのような格好をした…多分、男が、容赦なく焼き尽くされていこうとしていた
 …「日焼けマシン」の契約者は、これだけの炎に包み込まれながらも、火傷一つ負っていない

「…多重契約とやらの、炎の力か…!」

 彼が、自分が契約したのとはまた違う「厨2病」と契約した事は、話に聞いていた
 だが、その炎は手から出すものだったはずだし…ここまで、大規模なものではなかったはずだ
 一体、どうなっている!?
 熱風が吹き荒れる中、目を凝らすと…「日焼けマシン」の契約者の足元に、二人分の死体が転がっているのが見えた
 しかし、それはよくよく見れば酷く作り物めいていて…偽物の死体に見える

 まさか
 あの偽物の死体を本物と思い込んで…正気を失って、力を暴走させている?

 ぞくり、悪寒が駆け抜ける
 どう言う力の暴走の仕方をしているのか知らないが…これは、ヤバイ
 炎は、どんどん、どんどん、激しく荒れ狂っていっている
 このままでは、周囲一体を焼き尽くしかねない

「おい!チャラ男!!……聞こえねーのか!?」

 呼びかけるが、反応はない
 炎は弱まるどころか、強くなる一方で

 …このままでは、不味い
 方向性が違うとは言え、厨2病と言う都市伝説と契約しているからこそ、この危険性がわかる
 このまま暴走し続けたら、何よりも…「日焼けマシン」の契約者の体が、持たない

「おいコラ!聞け!!このままじゃ、お前が燃え尽きるぞ!!!」

 聞こえていない
 その表情は、空虚に支配されているようにも見えて

 何も見えていない
 何も聞こえていない
 何も…………--------


「------翼!!」


 -----ピクリっ
 聞こえてきた、声に…「日焼けマシン」の契約者の体が、反応した

「!お前ら…」
「翼!」

 路地からかけてきたのは、黒服と、はないちもんめの少女
 息を切らせ、炎に包み込まれている「日焼けマシン」の契約者に駆け寄ろうとしている
 「日焼けマシン」の契約者の足元に転がる、自分達とそっくりな姿の惨殺死体(作り物)にやや眉を顰めつつ、黒服は叫ぶ

「私達は生きています!それは偽物です!!」
「------ぁ」

 炎が
 ゆっくり、ゆっくりと……勢いを弱めて、消えていく
 炎が消えた頃には、サンタクロースは焼き尽くされていて…その姿が、風に拭かれて灰すら残らず消えていく
 同時に、作り物の死体も、消えた

 …とすん
 「日焼けマシン」の契約者が、膝をついた

「大丈夫ですか?」
「ちょっと、しっかりしなさいよ」

 黒服と少女が、彼に駆け寄る
 厨2病も、流石に心配しながら近づいた

「おい、チャラ………」
「----------た」

 …つぅ、と
 「日焼けマシン」の契約者の頬を流れた、それに
 思わず、言葉がとまる

「…良かった……生きて、くれていて…」
「っきゃ!?」
「!」

 ぎゅう、と
 「日焼けマシン」の契約者は、目の前まできた黒服と少女の体を抱きしめて
 ぽろぽろ、ぽろぽろと
 涙を流し、泣き始めた
 嗚咽の声が、辺りを支配する

「翼…」
「…もう、大丈夫ですよ」

 ……あいつでも、泣くのか
 厨2病は、そんな感想を抱いてしまう
 泣きそうになっても、その目に涙をためたとしても…「日焼けマシン」の契約者は、泣いている様子を見せた事がない
 弱みを見せる事を嫌うように、泣こうとしないこの男が…人前で、一目を気にせず、泣くとは

 それだけ、安心したのだろし…
 …あの偽物の死体が、強い絶望と恐怖を与えた、ということか

「……悪趣味なサンタがいたもんだ」

 焼き尽くされたサンタが立っていた跡の、黒こげたそこを見て
 厨2病は、胸糞悪い物を感じながら呟いた



 …はらはら、はらはらと
 静かに降り続ける、雪は
 焼け焦げた道路を白く染め上げて…何もなかったかのように、全てを覆い隠したのだった


fin





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