リュパンさんと私より
…街中で騒動が起きている中
騒ぎの中心たる中央高校から離れた街中で……
騒ぎの中心たる中央高校から離れた街中で……
その人物は一人、本を読みながら夜道を歩いていた
ぱらり、ぱらり
本をめくりながら歩む様は、どこか危なっかしい
男のような、女のような、中性的な顔立ち
眼鏡の下のその眼差しは、理知的なような、どこか眠たそうな、曖昧なもので
ぱらり、ぱらり
本をめくりながら歩む様は、どこか危なっかしい
男のような、女のような、中性的な顔立ち
眼鏡の下のその眼差しは、理知的なような、どこか眠たそうな、曖昧なもので
夜道を歩く、その人物の背後から
ひたり、ひたり
一人の少女が、近づいて…
ひたり、ひたり
一人の少女が、近づいて…
「………ふむ、僕の元に来てくれたか。ありがたい」
気配を消して、近づいていたはずなのだが
しかし、その人物は、近づいてきていた少女に、気づいていた
直後…少女の背後に現れた何者かが、少女を押さえつける
しかし、その人物は、近づいてきていた少女に、気づいていた
直後…少女の背後に現れた何者かが、少女を押さえつける
「…っな!?何ですか、いきなり!いたいけな少女を取り押さえて!?」
「夜道、気配を消してナイフを手に近づいてくる少女をいたいけな少女と呼ぶかどうかは、なんとも微妙だと思う」
「夜道、気配を消してナイフを手に近づいてくる少女をいたいけな少女と呼ぶかどうかは、なんとも微妙だと思う」
くるり、その人物は少女に振り返った
ぱらぱらぱらぱらぱら
人物が持っている本は…ひとりでに、めくれていっている
ぱらぱらぱらぱらぱら
人物が持っている本は…ひとりでに、めくれていっている
「なるほど。このところの行方不明事件の犯人は君のようだね」
…いや、と
その人物は、軽く頭をふった
その人物は、軽く頭をふった
「あぁ、いや。一部は少し、食べ残しが残っていたな…うん、君が犯人で間違いないかな?」
「………」
「………」
少女は、取り押さえられたその状態で、人物を睨みつけていた
人物は、少し困ったような表情を浮かべると…ぱらぱら、手元の本をめくる
…人物の背後に、人影が現れた
人影はじっと少女を見詰め…そして、ぼそぼそと人物の耳元でなにやら耳打ちする
人物は、少し困ったような表情を浮かべると…ぱらぱら、手元の本をめくる
…人物の背後に、人影が現れた
人影はじっと少女を見詰め…そして、ぼそぼそと人物の耳元でなにやら耳打ちする
「…なるほど、わかった………出てきたまえ、リュパン。さもなくば、君に食事を提供してくれているこの少女は、首の骨でも折られてしまうかもしれんぞ?」
「-----っ!?で、出てきちゃ駄目です!リュパンさん!」
「-----っ!?で、出てきちゃ駄目です!リュパンさん!」
人物の言葉に、少女は慌てて叫んだ
しかし、その叫びを無視するように…路地裏から、それは姿を現した
しかし、その叫びを無視するように…路地裏から、それは姿を現した
…それは、やせこけた狼に見えた
獰猛そうなその顔立ちは、痩せたその外見とあわせ、飢えた狼の迫力を充分に引き出している
獰猛そうなその顔立ちは、痩せたその外見とあわせ、飢えた狼の迫力を充分に引き出している
だが、彼の正体を知る者は、彼を恐れはしないだろう
リュパンは、酷く臆病な存在で、ちょっとした物音にすら驚いて逃げ出してしまう存在なのだから
リュパンは、酷く臆病な存在で、ちょっとした物音にすら驚いて逃げ出してしまう存在なのだから
それは、この人物も知っている事実だった
「ふむ。臆病な君が姿を現したのを見ると…よほど、この少女が大切かね?」
「リュ、リュパンさん…」
「…その子、から、手を離せ」
「リュ、リュパンさん…」
「…その子、から、手を離せ」
リュパンが、小さく唸り声をあげる
しかし、その人物はそれを恐れない
ただ、静かにリュパンを見詰める
しかし、その人物はそれを恐れない
ただ、静かにリュパンを見詰める
「あぁ、安心してくれたまえ。僕としても、人殺しは極力避けたい。だが、この少女が君に食事を与えるために、随分と人を殺してしまったのも事実だからね。どうしたものか、悩んでいるのだよ」
「…私、悪い事してないもん」
「いや、人殺しは駄目だろう。死んでも誰も悲しみはしないクズを殺すならさておき、君はそれ以外も殺してしまっているしね」
「…私、悪い事してないもん」
「いや、人殺しは駄目だろう。死んでも誰も悲しみはしないクズを殺すならさておき、君はそれ以外も殺してしまっているしね」
少女の呟きに、人物は眼鏡の下で困ったように苦笑した
唸り声を上げたまま、リュパンは人物を、そして、少女を取り押さえる存在を睨みつける
唸り声を上げたまま、リュパンは人物を、そして、少女を取り押さえる存在を睨みつける
「そ、その子は、悪く、ない。悪いのはおいら、だ」
「…まぁ、君の食料は死体や死者の魂だからね。大方、フランスで墓荒らしでもしているところを「教会」の連中にでも見付かって、この遠く離れた島国に逃げてきたのだろう。そこで、こんな可愛らしいパートナーを見つけた訳だ」
「お前、「教会」の人間じゃ、なの、か?」
「…まぁ、君の食料は死体や死者の魂だからね。大方、フランスで墓荒らしでもしているところを「教会」の連中にでも見付かって、この遠く離れた島国に逃げてきたのだろう。そこで、こんな可愛らしいパートナーを見つけた訳だ」
「お前、「教会」の人間じゃ、なの、か?」
人物の能力で現れたと思われる、少女を取り押さえる存在と、人物の傍らの人影を見て、リュパンは首を傾げた
その言葉に、人物は肩をすくめる
その言葉に、人物は肩をすくめる
「あぁ、僕はあそことは何の関係もない。僕はそこの組織にも所属していないしね……まぁ、僕の事破、どうでもいい」
ぱたんっ
人物が、本を閉じた
人物が、本を閉じた
「取引でもしないかい?」
「…取引?」
「あぁ、取引さ」
「…取引?」
「あぁ、取引さ」
少女は、束縛から逃れようともがきながら、その人物を睨みつけた
人物はその視線を受け止めながら続ける
人物はその視線を受け止めながら続ける
「君が侵してしまった罪は、紛れもない事実。これは君の罪だ…だが、罪とは償う事ができるのだよ。今後は無差別に殺すのではなく、殺しても問題なさそうな者だけを殺し、リュパンの餌とする…それでは、駄目かな?」
「そんな都合のいい人間、いるんですかー?」
「…困った事にわりと存在するのだよ。僕らのような都市伝説契約者の中には特に、ね」
「そんな都合のいい人間、いるんですかー?」
「…困った事にわりと存在するのだよ。僕らのような都市伝説契約者の中には特に、ね」
困ったように、人物は苦笑した
…この少女もまた、ある意味でそんなカゴテリに分類されそうだな、と思っているのかもしれない
…この少女もまた、ある意味でそんなカゴテリに分類されそうだな、と思っているのかもしれない
「僕の元には、都市伝説に悩まされる人々から、相談が寄せられるんだよ。僕はそう言った人達の為に都市伝説や都市伝説契約者と戦っている。場合によっては、僕が仲介して他の者に戦ってもらっているがね」
「…仲介…」
「…仲介…」
…人物が言わんとしている事を
少女は、理解する
少女は、理解する
「私にも、その仕事をしろって事ですかー?」
「まぁ、そうなるかな?正確には、君とリュパンに、だ。僕としては未成年の少女に人殺しなどあまりさせたくないのだが…既に罪に塗れてしまっている君相手には、あまり意味はなさそうだ」
「まぁ、そうなるかな?正確には、君とリュパンに、だ。僕としては未成年の少女に人殺しなどあまりさせたくないのだが…既に罪に塗れてしまっている君相手には、あまり意味はなさそうだ」
…そして
やや、脅すように続ける
やや、脅すように続ける
「この取引は、受けた方がいいと思うけどね。たとえ、僕がここで君達に殺されたり、君達が取引を蹴ってここから逃げ出したとしても。君達のしている事は、いつかどこかかしらの組織に気づかれるだろう。そうすれば、それこそ、君達は殺されてしまうかもしれない……少なくとも、僕の友人が君達がしている事を知ったならば、君達はミディアムステーキにでもされてしまうだろう」
苦笑し
そして、人物は手を伸ばす
そして、人物は手を伸ばす
「さぁ、どうかね?悪い取引ではないと思うのだが。堂々とリュパンに食事を提供できる意味で。そして、リュパン。君の大事な契約者を護る意味でも」
「リュパンさん…」
「………」
「リュパンさん…」
「………」
リュパンは、考え込むように俯いていた
ちらり、少女を取り押さえている存在に視線をやり、少女を見詰め…
…そして、答える
ちらり、少女を取り押さえている存在に視線をやり、少女を見詰め…
…そして、答える
「と、取引を、承諾、する」
「リュパンさん!?」
「おいら、は、その子に死んでほしく、ない」
「リュパンさん!?」
「おいら、は、その子に死んでほしく、ない」
…ニヤリ
その人物は、眼鏡の下で笑った
その人物は、眼鏡の下で笑った
少女を取り押さえていた存在が、消える
「取引成立だ。携帯の番号を教えてくれたまえ。仕事が入ったらすぐに伝えよう」
「…信じてくれるんですかー?」
「なぁに、約束を破られたらその時はその時さ。ただ、少なくともリュパンは約束を守ってくれそうだからね」
「…信じてくれるんですかー?」
「なぁに、約束を破られたらその時はその時さ。ただ、少なくともリュパンは約束を守ってくれそうだからね」
むー、と少女はやや不満げながらも、リュパンが決めたのなら、とその人物に携帯の番号を教えた
…まぁ、いいや
リュパンと一緒にいられる事に変わりはないのだし
そう考えて、納得する
…まぁ、いいや
リュパンと一緒にいられる事に変わりはないのだし
そう考えて、納得する
「…ところで、あなたは何者なんですかー?」
「……うん?僕かい?」
「……うん?僕かい?」
少女の携帯番号を己の携帯に登録しながら…その人物は、答える
「…その筋の者にはこう呼ばれている。「仲介者」、とね」