「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と-02

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だれでも歓迎! 編集
ーー このシーンはマッドガッサー騒動の最中のものではありますが、一連の騒動になんら影響を及ぼす事破ありません
      所詮、ただの勢いに任せた小ネタに過ぎないのですから  --


「…どうして、付いて来るんですか?」
「こんな時間に、レディを一人歩かせるわけにも行かないだろう」
「リュパンさんも一緒だから平気です。一人じゃないです」

 リュパンと契約している少女は、自分の隣を歩いてくる「仲介者」を名乗った人物に、鬱陶しそうにそう言った
 すたすた、歩きながら本をめくり、仲介者は少女から離れる様子はない
 家まで、送るつもりのようである

「…もしかして、疑ってます?私が、またリュパンさんにご飯を提供するんじゃないか、って」
「いや、それはないよ。君がそんな事をしようとしたら、リュパンが止めるだろうからね」
「…ぜ、善良な組織に目をつけられて、この子が危険になるのは、嫌だ」

 少女の隣を歩くリュパンが、頷きながらそう答えた
 …まぁ、つまり
 この仲介者、100%善意で行動しているらしかった
 だとしても、ほんの数十分前、自分の首の骨を追ってこようとした相手だ
 隣を歩かれて、いい気分はしない

 少女がやや、憂鬱になっていると
 …なにやら、騒がしい
 こんな時間に…?

「…うん?中央高校からか。何かあったのか…」

 音の方向に、仲介者は視線をやって…
 …言葉を失ったように、固まる
 少女も、そちらに視線をやって
 …思わず、固まった

 中央高校、上空
 そこで、雷を纏った巨大な鳥とロボットが、特撮映画並のバトルを繰り広げていて
 その周囲を、全裸マッチョで翼を生やした卑猥物が飛び回っているのだ
 なんと言う悪夢の光景

「…スパニッシュフライが街中で騒ぎを起こしているらしいのはわかっていたが。我母校で何というカオス」
「…思いっきり近寄りたくないですね。あそこの傍通るのが近道なのに」
「……あ、あっち、行かない方が、いい。嫌な予感が、する」

 うん
 あの道を通るのは止めよう、そうしよう
 少し遠回りになるが、安全な道を進みたい
 そう考えた少女は、遠回りの道を選ぼうとして…

「-----っ!」

 近づいてくる、飛行物体に、気づいてしまった
 三本の足をもった全裸兄貴…いや、違う!
 真ん中のは足じゃない!!

 ばさり
 翼をはばたかせ、その兄貴は二人と一匹の前におりたつ!

「む……そこの眼鏡の人。男性のような女性のような曖昧な外見ですが…生物学的に、男性ですね!?」
「まぁ、染色体的に言えば、僕は男だね」

 仲介者は眼鏡を押し上げ、全裸兄貴にそう答えた
 この状況でも驚かないとか、どんな神経をしているんだこの男は
 もふもふなリュパンに喜んでもらいたいという理由で人殺しを重ねた少女だが、仲介者の神経を疑いたくなった
 彼女にそんな風に思われたと知ったら、仲介者としては心外かもしれないが

「むぅ……」

 じっと
 全裸兄貴は、しばし、仲介者と…そして、リュパンを見詰め

「-----駄目だ!」

 絶望したように、叫んだ

「筋肉が全く鍛えられていない!!そちらの狼も、筋肉がさほど鍛えられていない!!むしろ、肉が足りない!!」
「失敬な。僕は鍛えたくても鍛えられなかっただけだ」
「…お、おいら、都市伝説としての姿がやせこけた姿なんだから、し、仕方ない」
「リュパンさんはモフモフだから問題ないんです!」

 ひっし!
 リュパンを抱きしめる少女
 あぁ、このもふもふ……やっぱり、リュパンと一緒だと、幸せだ

「お騒がせしました。我守備範囲でないとなれば、用はありません」

 しゅた!
 紳士的に(?)挨拶して、この場から飛び立とうとする兄貴
 どうやら、助かったようである、色んな意味で
 ……しかし

「…まぁ、待ちたまえ。猥褻物罪君。レディの前にその姿で現れたのは、わりと万死に値する気がしてね」
「え?関わっちゃうんですか?関わらない方がきっと人生幸せですよ?」

 思わず、少女は突っ込む
 すると、仲介者は眼鏡の下で笑って

「…僕達本人が、引き続き関わる訳ではないさ」

 ぱらぱらぱらぱらぱらぱらぱらぱら
 仲介者の手にしている本が、勝手にめくれ出した
 そして、その本から…三人の、人影が飛び出す

「む……!?」

 …その、一人の姿に
 全裸兄貴は、歓喜の表情を浮かべた

「これは……なるほど。ガチムチの気配は、間違っていなかったようですね」

 飛び出したのは、三人の…黒い翼を生やした、男達だった
 その一人、燃え盛る鎖を手にし、黒い腰布を纏った上半身裸の男は…間違いなく、兄貴の守備範囲である、ガチムチであった
 他の二人は、わりとどうでもいい

「アフ、ヘマハ、マシト。街を壊さない程度に、その猥褻物罪の排除を」
「「「了解、我らが主(マイ・マスター)」」」

 三人の黒い翼を生やした男が、黄金の翼を生やした全裸兄貴に向けて獲物を構えた
 …何、この色んな意味で記憶に残したくない光景
 少女は、やや眩暈すらおぼえた

「だ、大丈夫、か?」
「…大丈夫じゃないみたいです、リュパンさん…早く帰りましょう。これは悪い夢です」
「あぁ、そうだね。この場はアフたちに任せて、僕らは帰ろうじゃないか」

 …せっかく悪夢から逃れられそうだったのに、悪夢を加速させたのは誰だ
 頭痛を覚えつつ、少女はリュパンと一緒に歩き出す
 その横を、仲介者もまた、ついてきた
 全裸兄貴は、アフと呼ばれたガチムチに視線を奪われており、最早少女達のことなど眼中に入っていない

「…いいんですか?あれ、あなたの契約都市伝説なのに、置いて帰っても」
「問題はないさ。危険を感じたら、彼らは自動的に消滅してこの本に戻る」

 ぱらぱらぱら
 本は、未だに勝手にめくれ続けている
 …この本が、都市伝説の本体か

「…まったく。この街は物騒だな。君も、一人歩きは気をつけるといい。切実に」
「いつでもリュパンさんが一緒だから平気です!」
「…お、おいら、出来る限り、この子を護るんだな」


「さぁ、来るがよい。猥褻物陳列罪よ」
「我等、地獄の三天使なり」
「猥褻物陳列罪に罰を!!」
「この筋肉の素晴らしさがわからぬとは…ひとまず、ガチムチは大人しく掘られなさい!」

 …中央高校から、少しは慣れたこの場所で
 息を呑むようなバトルが展開されたらしいのだが…それを見ている者は、誰もいないのだった




終われ





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