「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-46d

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
 雪が降り積もった境内を進んでいく
 出店が並ぶ辺り、ちょうど、タコヤキの屋台の傍に、望はいた
 傍には、彼女の友人や赤い靴とその契約者、それに、見覚えのない少女の姿が見える

「む……食べにくいのじゃ」
「あー、ちっちゃい爪楊枝だと食べにくいよね、タコヤキって。箸もらってこようか?」
「むぅ。箸は使いにくいのじゃ」

 彼女の友人と、その見覚えのない日傘の少女が、和やかな会話をしていて
 望は、何やら財布の中身を確認中のようだった
 ……無事で会った事に、酷くほっとする

「望」
「あ……黒服、翼」

 名前を呼べば、すぐに振り返ってくれた
 この様子…やはり、迷子の自覚はなかったようである
 いや、ヘタに迷子の自覚があって、心細い思いをするよりは、ましか

「おや、そちらがお前の連れかの?」

 タコヤキに苦戦していた日傘の少女が顔をあげ、黒服を見つめてきた
 黒髪だが、恐らく西洋系の出身であろう顔立ちと赤い瞳
 …その瞳の色は、なぜか血の色を連想させた

 何やら話している望と日傘の少女
 翼が、逸れた事で望に何か言おうとしていたようでは有るが…見付かった事にほっとしていて、ひとまず、その文句は消えたらしい

「やっぱり、迷子だったのか」
「そうみたいね」

 赤い靴と契約者が、ぼそりと呟いている
 …望が迷子なんじゃないか、となんとなく感じていたようだ
 黒服は小さく苦笑し、赤い靴達や少女の友人に向き直る

「皆さん、あけましておめでとうございます……あの子の傍にいてくれて、ありがとうございました」
「気にしないでいいんだよ、黒服さん」

 まぁ、ちょっと酷い目にあったけど!と答える望の友人
 …若干、ボロボロになっているように見えるのは、気のせいか、否か

「さて、あとはあなたの連れだけね?」
「うむ。まったく、どこにいるのやら」

 タコヤキをこの場で食べるのは、ひとまず諦めたようで
 日傘の少女はパックを閉じつつ、ぼやいている
 …こちらも、迷子だったようだ

「あの、あなたは…」
「妾はヘンリエッタ・ホークウッドじゃ」

 唯我に一礼してくる日傘の少女
 黒服も、釣られたように一礼した

「あの、あなたは、ご両親と一緒に来られたので?」
「いいや、部下とじゃ。まったく、逸れるとは情けない男じゃ」

 …部下?
 違和感を感じたその言葉に、黒服はじっとヘンリエッタを観察する

(…都市伝説?)

 いや、正確には…「都市伝説に飲まれた人間」とでも言うべきか
 それならば、部下と言う存在がいてもおかしくない
 それは同時に、彼女がどこかの組織に所属しているであろうことを意味するが…

 …どちらにせよ、彼女が迷子である事実に変わりはない
 彼女の言う部下とやらと、合流させてやるべきだろう

「なぁ、その部下、名前なんて言うんだ?」

 翼が、そうヘンリエッタに尋ねた
 迷子の放送でもかけさせる気なのかもしれない
 確かに、最終手段はそれだ
 …自分達は、望が「顎砕き飴」の契約者に狙われている事実から、その方法は使えなかったが
 青年の言葉に、ヘンリエッタはうむ、と答えてきた

「広瀬 宏也じゃ」
「……広瀬?」

 聞き覚えのある名前に、黒服は眉を顰めた
 その名前は、確か
 彼の同僚が使っている…偽名だ


「…お嬢さん、やっと見つけたぜ」


 雪を踏みしめる音
 ヘンリエッタの背後から、一人の男が現れる
 黒服よりは若い印象の、しかし、彼と同じようにサングラスをつけた「黒服の男」
 その髪が一瞬、しゅるりと伸びた

 間違いなく、黒服の同僚である、黒服Hだ
 あちらも黒服に気づき、よう、と気さくに声をかけてくる

 …その姿に、望が一瞬、警戒する
 マッドガッサー騒動の時に顔を合わせてはいるが、まだ信用していないようだ
 それは、翼も同じ事のようで、警戒態勢に入っている

「おぉ、やっと来おったか、どこに行っていたのじゃ」

 そんな、望達の警戒など気づいていないようで
 ヘンリエッタは、黒服Hに不満の声を漏らしている

「それはこっちのセリフだ。俺と行動している時に迷子なんて、勘弁してくれ」
「妾は迷子になんぞなっていないのじゃ」

 こちらも、迷子の自覚は皆無だった
 …何故、この街の迷子は揃いもそろって自覚がないのだろうか
 恐らく、黒服Hも似たような事を考えているのではないだろうか?

「大体な、俺と一緒のときにそうやってはぐれられちゃあ…」

 -----ぬぅ、と
 黒服Hの背後から……大きな人影が、姿をあらわす

「…こいつに、どやされるのは俺なんだぜ?」

 その、赤い靴に匹敵する大柄な姿に、先ほどまで警戒していなかった赤い靴とその契約者まで敬愛する
 人に威圧感を与える、大柄な体格とそれを包み込む黒いスーツにサングラス
 だが、その体格よりも彼が人に威圧感を与えるのは、その顔に走るツギハギのような縫い目だ
 手術後のようなそれがくっきりと顔に表れていて、その人相を酷く凶悪なものにしていた
 望が、ヘンリエッタを庇うように立って、その巨体の黒服を睨んでいる

 …警戒が、ピークに達しようとしている中
 それでも、黒服は警戒してはいなかった

「…Gさん?」
「……?黒服、知り合いか?」

 翼の言葉に、黒服ははい、と頷いた
 知り合いも、何も

「私の上司です」

 自分や、黒服H、黒服Cの上司である黒服G
 上層部の意思を自分達現場の黒服に伝えるのがおもな仕事であり…このように、現場に出てくることなど、ないはずなのだが

「……見つけましたよ、お嬢様」

 Gの口から、低い声が漏れる
 その矛先は、ヘンリエッタに向いていた

「むぅ、もう抜け出したのがバレたというのか」
「当たり前です………帰りますよ、お嬢様」

 極力、感情を押し殺しているGの声
 それに対し、ヘンリエッタは不満そうに日傘を回している

「嫌じゃ。まだオマイリとやらをしていないし、オミクジもひいておらぬ!」
「…そう言えば、食べてばっかりだったわね」

 思い出したように呟いている少女
 …どうやら、二人は初詣にきた当初の目的を忘却していたらしい

「駄目です。帰りますよ」
「嫌じゃ!!」

 Gの言葉に、ヘンリエッタは頑として首を上下に振らない
 困ったような表情を見せ始めたGに、黒服はあの、と遠慮がちに声をかけた

「…この、少女は?」
「む、Dか………………あぁ、私が担当している契約者だ」

 一瞬、視線を彷徨わせ、そう答えてきたG
 若干の、嘘が含まれている言葉
 だが、嘘をつかなければならない、と言う申し訳なさを含んだ声だった

「この方は、とある理由から、あまり本部から外に出られては困るのだ」
「嫌じゃ!!妾はもう閉じ込められる籠の鳥は嫌なのじゃ!!」

 地団駄を踏むように、ヘンリエッタが主張する
 はっきりとGを見あげ、己の意思を通そうとしている
 どこまでもどこまでも強い、強い主張
 それを前に、Gは困り果てている様子で
 …極力、勘上を表に出さないようにしている上司が、ここまで困惑している様子を始めて見て
 黒服はどう、この状況で動いたらいいものか、悩んでしまう

 ……ただ、望が無事で良かった、と言う安堵
 その感情が一番強いのは、確かであった





to be ??





タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー