「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - Sombre Dimanche

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kemono

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だれでも歓迎! 編集
子供の頃、私が泣いていると母がピアノを弾いてくれた。題名は教えてくれなかったが、今思えば適当に指を動かしていただけだった気がする。
でも、そんな曲でも私は泣き止んだ。そんな事があったからだろう。私は音楽には不思議な力があると思うようになった。
そんな母も数年前に自殺し、私はピアノの先生になった。

普段なら真夜中でも数台の車が通る道だというのに、何故かまだ日が暮れて間もないこの時間に、すでに他に車が見当たらず。
カーラジオからはボブ・ディランの「はげしい雨が降る」がながれていた。
突如、ヘッドライトに映った人影に急ブレーキをふむ。車がとまり、見れば、二人の黒服の男。気がつけば、車の後ろにも数人の人影。
左側は崖、右には林。木々の間からも、人が現れる。前方の黒服が車からおりるように指示され、私は警戒しつつ外へ出る。
「初音愛佳さんですね?」
「そうですけど。」
「ここ数ヶ月、貴女の周囲で死人が異様に多い。また、貴女を調べさせていた契約者が行方不明になりました。
 貴女は契約者だ。あなた、殺しましたね?」


こいつは何を言っているのだろう。濡れ衣だ。私は殺してなどいない。
そう、音楽を馬鹿にした彼等は自殺させたのだから、私は殺しなどしていないのだ。
「我々はこれから貴女を拘束します。抵抗すれば殺します。言っておきますが、私も含め此処にいる十人は全員契約者です。勝てるとは思わないことですよ。」
見れば、同じ様な黒い服を着た男が二人に、刃物を持った男や、何かの植物を持った少女、足元に上半身だけの男がいる女など、確かに契約者らしき人達がいた。
でも、私に、数は無意味だ。
「Sombre dimanche Les bras ~ ♪」
私は信じている。歌は人の心を動かすと。だから私は歌う。
「歌?……っ!歌系の都市伝説かもしれません!すぐにやめ、さ……せ…………
 あの、この任務失敗したら、私の、責任ですかね?」
「はあ!?いきなり何言い出すんだよ………………俺が悪いに決まってるだろ!」
「あの時、俺にもっと力があれば…………」「ママー」「殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない殺したくない」「任務だからってデートすっぽかして……絶対フラれたわ……」「なんでみんなボクをいじめるの?」
「鬱だ……」「もう嫌だ!」「死にたい……」「死のう」「死?」「そうだ、それだ」「死のう」「死のうか」「殺して」「死なせて」「死ぬ」「死んじゃおう」

「ヤーヴォル・ラースロー作詞、シェレッシュ・レジェー作曲、歌い手、私。『暗い日曜日』」
歌い終わった私は車に乗り、この場を立ち去った。
後には、頭を銃で撃ち抜いた黒服や、自分の胸に刃物を突き立てた男、崖から飛び降りた少年などの、自殺死体。
カーラジオからながれる「北国の少女」の音だけが響いていた。






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