夢の国への贈り物より
「あ"~~」
くそう、黒服さんめ、なかなかインパクトのある代物を食わせてくれるじゃねえか。
「自分で食ったんだけどさ……」
うん、過ぎ去った過去のことは忘れよう。さてさて、お口直しにいろいろと物色しましょうかね~。
「契約者?」
「げ」
ホールの本会場でよさげなものを見つけ、それを片手に戻ろうとしたところでTさんに見つかった。
「どうしたんだ?」
「い、いやぁ、食料確保?」
嘘だ。いや、あながち嘘じゃないけど。
黒服さんが持ってきたクソ甘いクッキーの形をした劇薬(そうとしか思えん)。それの中和のために、
「酒はいかんな、契約者」
黒服さん、なんで酒を持ってきてくれなかった!?
そう恨みごとが頭の中に浮かぶけど、あの人は真面目そうだししょうがないかな~。
「後生だ! なんかクッソ甘い代物食わされちまって辛い酒でもこうグイっとやりたい所なんだよ!」
頼みこんでみるが、
「却下」
「鬼いいいっ!」
取りつく島もないTさんに手をぶんぶん振って麦酒でもいいんだ! アルコール少ねえから酔わないだろ!? と訴える。
「酒が飲みたいだけだろう、契約者。酩酊した状態で夢子ちゃんと別れるつもりか?」
「う、」
ま、まあ、実際さっきの烏龍茶でけっこう状態異常は回復したけどさ。いつもは気づいても気づかない振りしてくれるくせに今日だけ厳しいのはそのためか。
しょうがない。これ以上言っても最終的にTさんに酒瓶を奪われるだけだし俺も素面で夢子ちゃんとは別れたい。恨みがましく舌うちを一つして話を変えることにした。
「まあそれはおいといて」
ジェスチャーも付ける。手に持った酒もそのジェスチャーの動きで机の上に置くと、Tさんもこっちにのってきた。
「うん?」
「黒服さんがさ、なんか毛玉のお守りを夢子ちゃんにあげてたんだ」
「毛玉?」
頷き、簡単に大きさとあの毛玉のふわふわ感の説明をする。
「知り合いが拵えてたとか言ってたぜ?」
Tさんは数秒考え込み、
「では十中八九実際に力があるお守りだな」
ああ、やっぱり?
「すげえな」
「ああ、おそらくとても佳いものだろう」
Tさんも嬉しそうにしている。あの人は夢子ちゃんを応援してくれるんだと思うと俺も嬉しい。
だけど、
「どうした?」
Tさんに訊かれる。そんなに分かりやすいですかね~俺は。
「いや、俺もなんか渡したいなと思ってさ」
なんか負けた気がするから。
「ただ、実際に力があるものにゃ敵わねえよな~。いや、勝ち負けじゃないんだけどさ」
そうぼやくと、
「契約者、ほれ」
Tさんに何かを放り渡された。
「なんじゃこりゃ?」
青……いや、緑が薄くかかった青色な、石? を見て呟く。すると、
「パワースト―ン、力のある石だ」
Tさんが解答を出してくれた。
「それで夢子ちゃんにネックレスでも作ってやれ」
ほれ、道具。と言って懐からなんか道具を取り出すTさん。
「おお、流石Tさん!」
欲しい時に欲しいものをタイミングよく届けてくれるぜ!
「こういうのは手ずからやるのがいいんだよな?」
「ん、その通りだ」
満足げなTさんを見て俺も一つうなずく。そしてもらった道具を確認していく。
よし、穴をあけて鎖を通すだけだ。俺でも問題なくいける!
「ちょっとやってくるぜ!」
そう言って他の人間の邪魔にならないようにホールの隅へと行くことにした。
「では契約者は少し遅くなると夢子ちゃんたちには伝えておこう」
「任せた!」
Tさんにそう答えて俺は夢子ちゃんへのプレゼントの制作に勤しみだした。
くそう、黒服さんめ、なかなかインパクトのある代物を食わせてくれるじゃねえか。
「自分で食ったんだけどさ……」
うん、過ぎ去った過去のことは忘れよう。さてさて、お口直しにいろいろと物色しましょうかね~。
「契約者?」
「げ」
ホールの本会場でよさげなものを見つけ、それを片手に戻ろうとしたところでTさんに見つかった。
「どうしたんだ?」
「い、いやぁ、食料確保?」
嘘だ。いや、あながち嘘じゃないけど。
黒服さんが持ってきたクソ甘いクッキーの形をした劇薬(そうとしか思えん)。それの中和のために、
「酒はいかんな、契約者」
黒服さん、なんで酒を持ってきてくれなかった!?
そう恨みごとが頭の中に浮かぶけど、あの人は真面目そうだししょうがないかな~。
「後生だ! なんかクッソ甘い代物食わされちまって辛い酒でもこうグイっとやりたい所なんだよ!」
頼みこんでみるが、
「却下」
「鬼いいいっ!」
取りつく島もないTさんに手をぶんぶん振って麦酒でもいいんだ! アルコール少ねえから酔わないだろ!? と訴える。
「酒が飲みたいだけだろう、契約者。酩酊した状態で夢子ちゃんと別れるつもりか?」
「う、」
ま、まあ、実際さっきの烏龍茶でけっこう状態異常は回復したけどさ。いつもは気づいても気づかない振りしてくれるくせに今日だけ厳しいのはそのためか。
しょうがない。これ以上言っても最終的にTさんに酒瓶を奪われるだけだし俺も素面で夢子ちゃんとは別れたい。恨みがましく舌うちを一つして話を変えることにした。
「まあそれはおいといて」
ジェスチャーも付ける。手に持った酒もそのジェスチャーの動きで机の上に置くと、Tさんもこっちにのってきた。
「うん?」
「黒服さんがさ、なんか毛玉のお守りを夢子ちゃんにあげてたんだ」
「毛玉?」
頷き、簡単に大きさとあの毛玉のふわふわ感の説明をする。
「知り合いが拵えてたとか言ってたぜ?」
Tさんは数秒考え込み、
「では十中八九実際に力があるお守りだな」
ああ、やっぱり?
「すげえな」
「ああ、おそらくとても佳いものだろう」
Tさんも嬉しそうにしている。あの人は夢子ちゃんを応援してくれるんだと思うと俺も嬉しい。
だけど、
「どうした?」
Tさんに訊かれる。そんなに分かりやすいですかね~俺は。
「いや、俺もなんか渡したいなと思ってさ」
なんか負けた気がするから。
「ただ、実際に力があるものにゃ敵わねえよな~。いや、勝ち負けじゃないんだけどさ」
そうぼやくと、
「契約者、ほれ」
Tさんに何かを放り渡された。
「なんじゃこりゃ?」
青……いや、緑が薄くかかった青色な、石? を見て呟く。すると、
「パワースト―ン、力のある石だ」
Tさんが解答を出してくれた。
「それで夢子ちゃんにネックレスでも作ってやれ」
ほれ、道具。と言って懐からなんか道具を取り出すTさん。
「おお、流石Tさん!」
欲しい時に欲しいものをタイミングよく届けてくれるぜ!
「こういうのは手ずからやるのがいいんだよな?」
「ん、その通りだ」
満足げなTさんを見て俺も一つうなずく。そしてもらった道具を確認していく。
よし、穴をあけて鎖を通すだけだ。俺でも問題なくいける!
「ちょっとやってくるぜ!」
そう言って他の人間の邪魔にならないようにホールの隅へと行くことにした。
「では契約者は少し遅くなると夢子ちゃんたちには伝えておこう」
「任せた!」
Tさんにそう答えて俺は夢子ちゃんへのプレゼントの制作に勤しみだした。
●
青年がそのフロアの扉を開けると中にいた二人が声をかけてきた。
「あ、Tさん」
「お兄ちゃん」
「ああ」
青年は答えつつ、二人のうちの片方、夢子の手にある動物の毛でできたお守りを観察する。
これは、やはり相当佳いものではないか?
礼をいつかしなくては。そう青年が思っていると、
「あの、契約者さんは?」
夢子が訊いた。
そうだ。それを伝えに来たんだったか。
思い、青年は答える。
「急用だ。30分ほどで戻るだろう」
「そうなの?」
「あぁ」
本当のことを言う必要はない。どうせあの契約者のことだ、夢子ちゃんが出発するぎりぎりで渡すだろう。
そう考えて溜息を一つ、
「騒がしいだろう、アレは」
悪いな。と、愚痴のように言う青年に夢子は、
「そんなことありません。楽しいですよ」
と答える。机の上に置いてある人形も首をかくかく頷かせながら、
「お姉ちゃん、えんたーてぃなーなの」
楽しそうに言う。
「それはトラブルメーカーの間違いだ」
思わずため息交じりに言う青年。すると、
「でもお嫌いではないんですよね」
夢子が言った。
「まぁ、な。そうでなければずっと一緒に居はしない」
そう言う青年に夢子はそうですよね。と笑み、周りにいた≪夢の国≫の住人たちに微笑んで、
「御婚礼の際には私たち≪夢の国≫がその総力を挙げてお祝いしますね?」
言った。いい笑顔で。
「……要領を得んぞ?」
少し頭痛のような感覚を得つつ青年は言う。
「今はそうかもしれませんね」
変わらず笑んでいる夢子の顔を見て、青年は、
これでも相手の心理を読む力は鋭い方だと思っていたんだが……
机上のリカちゃんと目があった。
「さっぱりわからん」
「なの」
共に首をかしげる。
夢子はただ笑うだけであった。
「あ、Tさん」
「お兄ちゃん」
「ああ」
青年は答えつつ、二人のうちの片方、夢子の手にある動物の毛でできたお守りを観察する。
これは、やはり相当佳いものではないか?
礼をいつかしなくては。そう青年が思っていると、
「あの、契約者さんは?」
夢子が訊いた。
そうだ。それを伝えに来たんだったか。
思い、青年は答える。
「急用だ。30分ほどで戻るだろう」
「そうなの?」
「あぁ」
本当のことを言う必要はない。どうせあの契約者のことだ、夢子ちゃんが出発するぎりぎりで渡すだろう。
そう考えて溜息を一つ、
「騒がしいだろう、アレは」
悪いな。と、愚痴のように言う青年に夢子は、
「そんなことありません。楽しいですよ」
と答える。机の上に置いてある人形も首をかくかく頷かせながら、
「お姉ちゃん、えんたーてぃなーなの」
楽しそうに言う。
「それはトラブルメーカーの間違いだ」
思わずため息交じりに言う青年。すると、
「でもお嫌いではないんですよね」
夢子が言った。
「まぁ、な。そうでなければずっと一緒に居はしない」
そう言う青年に夢子はそうですよね。と笑み、周りにいた≪夢の国≫の住人たちに微笑んで、
「御婚礼の際には私たち≪夢の国≫がその総力を挙げてお祝いしますね?」
言った。いい笑顔で。
「……要領を得んぞ?」
少し頭痛のような感覚を得つつ青年は言う。
「今はそうかもしれませんね」
変わらず笑んでいる夢子の顔を見て、青年は、
これでも相手の心理を読む力は鋭い方だと思っていたんだが……
机上のリカちゃんと目があった。
「さっぱりわからん」
「なの」
共に首をかしげる。
夢子はただ笑うだけであった。