20:45 職員室
「なんかこのネズミ、さっきより増えてね?」
「さてのぅ?他の場所から逃げて来たんぢゃろ」
「他ってどこよ?」
「あたしが知る訳無いぢゃろう」
「さてのぅ?他の場所から逃げて来たんぢゃろ」
「他ってどこよ?」
「あたしが知る訳無いぢゃろう」
一通り少年の傷の治療が終わった時、部屋の中に大量の鼠が入り込んで来た。
オーナーによると何かしらの都市伝説の影響を受けているらしい。机の上に避難したものの、何匹かは上まで登ってくる。
今のところ襲ってくる気配は無いが、いつどうなるか解らない。
オーナーによると何かしらの都市伝説の影響を受けているらしい。机の上に避難したものの、何匹かは上まで登ってくる。
今のところ襲ってくる気配は無いが、いつどうなるか解らない。
「どっか別んとこに移った方がいいかもな」
「ですが今動いてはあなたの身体が…」
「大丈夫、平気だって」
「ですが今動いてはあなたの身体が…」
「大丈夫、平気だって」
そう言って笑う少年だったが、その顔は青白い。
オーナーには解る。彼と契約しているから。自分が【人肉料理店】だから。
確かに表面の傷は塞いだ。しかしダメージは筋肉や骨、下手をすれば内臓にまで及んでいる。
オーナーには解る。彼と契約しているから。自分が【人肉料理店】だから。
確かに表面の傷は塞いだ。しかしダメージは筋肉や骨、下手をすれば内臓にまで及んでいる。
「申し訳ありません。私の力が足りずに…」
「そりゃオーナーのせいじゃねーだろ?気にすんな!」
「そりゃオーナーのせいじゃねーだろ?気にすんな!」
治療の際に一旦異空間に跳ぼうとしたのだが、入口を開く事すらできなかったのだ。おそらく何らかの妨害措置だろう。
(力の強い都市伝説なら異空間へ跳ぶくらいなら可能でしょうが…)
都市伝説の力の強さは知名度の高さに由来する。……そして【人肉料理店】は、あまり有名な都市伝説ではない。
こればかりはどうする事もできなかった。
こればかりはどうする事もできなかった。
「うだうだ言ってねーで早く行こうぜ?…正直この数のネズミは気持ち悪い」
「解りました……っと、ちょっと待って下さい。奥の方に誰か居ます」
「解りました……っと、ちょっと待って下さい。奥の方に誰か居ます」
職員室のドアから顔をだすと、教室の前で数人の男女が向かい合っていた。
「さっきまでドカンドカンやってた人達かな?なんか睨み合ってるし…」
「どうぢゃろうな?お前さんがそんな状態ぢゃし、今は近付かん方がいいぢゃろ」
「そうですね。階段から上へ上がりましょうか」
「おけー。んじゃ早速……って携帯のにーちゃん!?」
「どうぢゃろうな?お前さんがそんな状態ぢゃし、今は近付かん方がいいぢゃろ」
「そうですね。階段から上へ上がりましょうか」
「おけー。んじゃ早速……って携帯のにーちゃん!?」
目の前の階段を見上げると、そこに居たのは探していた爆発する携帯電話の契約者。
しかしその目はこちらを向いていない。廊下を走り回る鼠を見て、ジャッカロープを抱きしめながら小さく震えていた。
しかしその目はこちらを向いていない。廊下を走り回る鼠を見て、ジャッカロープを抱きしめながら小さく震えていた。
「オーナー、ばーちゃん、行くぞ!」
「あ、急に動いては…!」
「あほ孫が!オーナーさんや、追うぞい!」
「あ、急に動いては…!」
「あほ孫が!オーナーさんや、追うぞい!」
奥に居る人影に気付かれない様に階段を駆け登る。
「にーちゃん!こっちだ!」
「………ぁ…?」
「にーちゃん!こっちだ!」
「………ぁ…?」
途中で爆発する携帯電話の手を掴み、そのまま二階まで上がる。そして正面にあった扉に飛び込んだ。
「ここは……図書室か?なんか震えてたけど大丈夫?」
「…くけっ……ああ………そっちこそ……身体は、平気なのか…?」
「へ?…おお、平気平気!つかなんで……」
「…くけっ……ああ………そっちこそ……身体は、平気なのか…?」
「へ?…おお、平気平気!つかなんで……」
知ってるんだ、と続けようとした所で、かくんっと膝が折れた。
その勢いを止められずに、そのまま床へと倒れ込む。
その勢いを止められずに、そのまま床へと倒れ込む。
「………っ!」
「あ、あれ?おかしいな……」
「あ、あれ?おかしいな……」
起き上がろうとするが、手足がうまく動かない。
後を追ってきた二人が、倒れている少年を見つけて駆け寄ってきた。
後を追ってきた二人が、倒れている少年を見つけて駆け寄ってきた。
「少年!?」
「このあほーが。無茶するからぢゃ」
「ぬははは……これは…ちょーっとマズイかなー………とか思ってみたり?」
「ふざけている場合ですか!」
「……なにか、コップみたいなの………あるか…?」「…?こんな時に何を……」
「……早く……!」
「このあほーが。無茶するからぢゃ」
「ぬははは……これは…ちょーっとマズイかなー………とか思ってみたり?」
「ふざけている場合ですか!」
「……なにか、コップみたいなの………あるか…?」「…?こんな時に何を……」
「……早く……!」
泣き出しそうな顔で必至に言われ、オーナーが慌ててコップを呼び出した。それを受け取ると、抱いていたジャッカロープを降ろし、その乳を搾り始める。
「…何をしているんですか?」
「ってゆか何そのリアルいっかくウ〇ギ?」
「……飲め……治る…」
「うぇっ!?の、飲めって……………それを?」
「………頼む…」
「ってゆか何そのリアルいっかくウ〇ギ?」
「……飲め……治る…」
「うぇっ!?の、飲めって……………それを?」
「………頼む…」
ウルウルした目で見下ろされ、ぐっと言葉に詰まる少年。
ぶっちゃけかなり可愛い。元は男だけど。
ぶっちゃけかなり可愛い。元は男だけど。
「男は度胸!……ング……ング………ぷはぁっ!」
「……どうだ?」
「なかなかウマい………って、お?……おぉ?おおぉおおおおぉっ!?」
「……どうだ?」
「なかなかウマい………って、お?……おぉ?おおぉおおおおぉっ!?」
いきなり叫びだしたかと思ったら、すっ、と立ち上がり腕をぐるんぐるん回し始める。まともに動く事すら出来なかった筈なのに。
その様子を見てぽかーんとするオーナーとひきこさん。
その様子を見てぽかーんとするオーナーとひきこさん。
「治ったーーーーーっ!!!!スゲーぞ!いっかくウ〇ギ!!」
「くけけっ………ジャッカロープ……だ……」
「おぅ!サンキューな!ジャッカロープ!にーちゃんも!」
「くけけっ………ジャッカロープ……だ……」
「おぅ!サンキューな!ジャッカロープ!にーちゃんも!」
ぴすぴすと鼻を鳴らすジャッカロープ。心なしか得意げに見える。
「治療系の都市伝説でしたか…ありがとうございました。正直、打つ手が無かったもので」
「…なんで……」
「ん?どしたの?」
「…なんで………逃げてくれなかった……?」
「逃げんなら、にーちゃん達も一緒だ。っつーかなんかヤバイもんが居るならぶっ倒した方が性にあってるし?」
「そういう訳です。申し訳ありませんが、ここで何が起きているのか教えてもらえませんか?
実はどういった状況なのかさっぱりでして」
「……………」
「…なんで……」
「ん?どしたの?」
「…なんで………逃げてくれなかった……?」
「逃げんなら、にーちゃん達も一緒だ。っつーかなんかヤバイもんが居るならぶっ倒した方が性にあってるし?」
「そういう訳です。申し訳ありませんが、ここで何が起きているのか教えてもらえませんか?
実はどういった状況なのかさっぱりでして」
「……………」
オーナーの言葉に俯く爆発する携帯電話。
「にーちゃん?」
「………御免」
「…前も思ったんだけどさ、何を謝ってるんだ?前回も今も、助けてもらったのはこっちじゃん?」
「………違うん、だ…………実は………」
「………御免」
「…前も思ったんだけどさ、何を謝ってるんだ?前回も今も、助けてもらったのはこっちじゃん?」
「………違うん、だ…………実は………」
(説明中)
「貴方がマッドガッサーの一味?」
「司祭さんやあの兄ちゃんも!?」
「屋上の嬢ちゃんもねぇ?しかも目的がハーレムとはの……うむ、男の夢ぢゃな」
「司祭さんやあの兄ちゃんも!?」
「屋上の嬢ちゃんもねぇ?しかも目的がハーレムとはの……うむ、男の夢ぢゃな」
爆発する携帯電話の話しを聞いた一行。正直驚きが隠せない。……一人感心してるけど。
「携帯のにーちゃんがガッサーの仲間………司祭さんは、マリ・ヴェルテのベート…人も、食ってる……」
静かに暮らしたい、という言葉が嘘だったのか、それとも本心からだったのか。ほんの数回会った事があるだけの少年には解らない。
どの言葉を信じればいいのか、解らない。
ただ、司祭が……マリ・ヴェルテのベートが人を襲っているのは確かだ。
静かに暮らしたい、という言葉が嘘だったのか、それとも本心からだったのか。ほんの数回会った事があるだけの少年には解らない。
どの言葉を信じればいいのか、解らない。
ただ、司祭が……マリ・ヴェルテのベートが人を襲っているのは確かだ。
「……少年」
「……………大丈夫。それよりもこれからの事!」
「……………大丈夫。それよりもこれからの事!」
ある決意と共に、爆発する携帯電話へと話しかける。
「オレはマッドガッサーを止めに行く。このままだと学校町がヤバイ事になりそうだし」
「……そ……れは……」
「にーちゃんが仲間を大事に思ってるのは、話しを聞いてて解ってるつもり。だけど、何を言われようとこれは変えらんないよ。
助けてもらった恩もあるし、ここでにーちゃんに何かする事は無い。仲間の元へ戻るっつーんなら邪魔もしない。
ただ、次に会った時は……」
「………」
「……できればここで、この騒ぎから手を引いてほしい。
マッドガッサー達も、止めるだけだ。荒っぽいマネする事になるかもしれないけど、誰も*さない。*させもしない。
もし、あいつらの命が危なくなったら………オレは、全力で助けに行く。にーちゃんが今、どっちを選んだとしても。約束する。
「……そ……れは……」
「にーちゃんが仲間を大事に思ってるのは、話しを聞いてて解ってるつもり。だけど、何を言われようとこれは変えらんないよ。
助けてもらった恩もあるし、ここでにーちゃんに何かする事は無い。仲間の元へ戻るっつーんなら邪魔もしない。
ただ、次に会った時は……」
「………」
「……できればここで、この騒ぎから手を引いてほしい。
マッドガッサー達も、止めるだけだ。荒っぽいマネする事になるかもしれないけど、誰も*さない。*させもしない。
もし、あいつらの命が危なくなったら………オレは、全力で助けに行く。にーちゃんが今、どっちを選んだとしても。約束する。
オレが言えるのはこんくらいかな…………どうする?」
そして、彼の答えは………
続